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前回に引き続き、C、shell、Perl、R、VB、Scala、ActionScript。7つのプログラミング言語を擬人化しました。話題沸騰中の子もいれば、舞台の中心からちょっとはずれてきてしまっている子もいる。プログラミング言語のセンター争いは熾烈です。
(文/渡辺将人 総研スタッフ/タニー只野)作成日:14.03.13
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Perlは1987年12月、アメリカのウォール夫妻の元で生を受ける。父のラリーはコンピュータや言語学に精通し、母も中世ルネサンスや言語学を専攻する、高い教養を持つ両親の元で育った。
父の教えは厳しかったが、同時に自由でもあった。父は教育の中で、よくこの言葉を口にした。
「方法は1つだけじゃない」
(There's more than one way to do it)
何かを実現しようと思った時、それを達成する方法は1つだけじゃない。何通りも考えられる。そんな父の教えは、彼女の人格形成に大きな影響を与えた。
「こんな風にやってみたらどうだろう」「こうしたらどうなるだろう」そんな好奇心の羽根を広げながら育った彼女は、その延長線上に「発明」という天職を見つけることになる。稀代の女性発明家、Perlの誕生である。
彼女が発明家の道に足を踏み出してから20年。生み出してきた発明品は、実に128,890 件にのぼる(2014年1月時点)。あまり役には立たないジョークのようなものから、世界の多くの問題を解決するような有益なものまで、実にさまざまなものを発明している。彼女が作った発明品のオリジナルは、シーパン博物館にすべて寄贈され、誰でも閲覧できるようになっている。
今日でもさまざまな発明を続けている彼女だが、役に立つ立たないに関わらず、作りたいと思ったものを作り続ける自身の姿勢を茶化してか「わたしは発明家というよりは、ガラクタ出力装置みたいなものだから」とインタビューに対しては答えている。歯を見せて笑いながらそう語る彼女の姿は、とてもチャーミングである。
洋服にはあまりこだわりがないようで、普段は趣味の機械いじりの邪魔にならないような、動きやすいカジュアルなものを着ている。最近よく着ているダウンコートはアメ横のWEGOで買ったそうだ。好きな食べ物はイチゴ。作業に集中して疲れた脳にイチゴは最適なのだと力説している。
聖母様と呼ばれることもある、この世界を支える女神様。
C様が生まれた年月は定かではない。創世記(1970年1月1日周辺を指す)以前からこの世界に存在していたとも言われているし、それより少し後の1972年ごろではないかとも言われている。
彼女は女神様である。なので「1970年ごろの生まれということは、今の彼女の年齢は……」などといったことを考えることは、不信心な行為になる。けして考えてはいけない。
彼女の名には「C」というアルファベットの3文字目があてられている。新約の史書によると、以前にはBと呼ばれる女神も存在していた。資料には「ケネスはデニスと共にBを作られたが、それは十分ではなかった。そこでデニスは皆と協力し合いCを作られた」との一節がある。
彼女には多くの信者が付き従った。しかししばらくの間、彼女の教えを正しく伝える為のバイブルが存在しなかった。当初はデニスとブライアンが書き残した詩篇がその役目を果たしていたが、人々はより明確な言葉を欲しがった。そこで何人かの識者が集まり逸話をまとめ、彼女の教えを正しく伝える為のバイブルが編纂された。その書はこれまで何度か改訂されており、改訂年に応じて、C89、C99、C11などと呼ばれている。
一般人はC様と直接対話をすることはできない。十分な修行を積んだ者のみが、C様と交信をすることを許される。
修行は大変厳しいもので「ポインタ・ノ・ポインタ」のような難問を理解し、どれだけ修行を積んでも失敗する者が後を絶たない「エムアロック・フリー」を100%の精度で成功させなければならない。そうした背景から、彼女と日常的に交信をしている者の数はけして多くはない。
しかし交信を行える者たちの手を介して、多くの知識や技術がこの世界に生み出されている。もしあなたが彼女の姿を見ることができなくても、その慈愛は確かにあなたの元に今日も届いている。
姓はBasic、名はVisual。VBというニックネームで呼ぶ人も多い。幼名はRubyという(あのRubyとは何の関係もない)。幼いころにとある資産家(名前を呼んではいけないあの人)に見初められ、一家ごと資産家の元に身を寄せることになった。その際に何度か名前を変えることになり、今の名に落ち着いたのだとか。少し複雑な家庭環境である。
なぜ資産家は、まだ幼かった彼女を引き取ったのか。あくまで噂にすぎないが、一説では彼が昔から憧れていたBasicさんと、どこか通ずるものを彼女の中に見出したのが理由ではないかと言われている。憧れの女性と似た雰囲気のある子供を引き取る、いわゆる光源氏計画を実行したというわけだ。
若い人はご存知ないかもしれないが、Basicさんはファッション雑誌「ベーマガ」でトップモデルもしていた、当時は誰もが憧れたマドンナである。私の知り合いにも若いころには彼女に傾倒していた人が実に多い。
VBは厳しい教育を受けながらも実直に育ち、趣味の分野では持ち前の器用さを活かして手芸やアクセサリーの製作などで才能を見せた。彼女がビーズアクセサリを制作しているところを見たことがあるが、まるで魔法のようだった。手をささっと動かしただけで、あっという間にネックレスができ上がってしまっていたのだ。
彼女が10歳の時、資産家の家に新しい養女(例のあの人)が迎え入れられた。
その為、今は家では良いお姉さんとして振舞おうと頑張っている。しかしもともと気弱であまりしゃべりも得意ではない彼女は、10歳年下ではあるもののしっかり者で弁舌も長ける妹に、逆に説教されてしまうこともあるのだとか。頑張れ、VBさん。
子供のころは親から買ってもらったエミリーテンプルの服を着ていたが、今は自分で買ったローリーズファームの服を着ていることが多い。今年で大学を卒業し来年からは社会人になるので、VBさんなりに大人っぽい路線を目指しているようだ。
彼女は2000年2月29日に生まれた。400年に1度の呪われた日として人々に記憶されているあの日である。非常に不吉な日に生まれはしたものの、彼女自身は人々から愛される利発な子として成長していった。
彼女の母親の名前はSという。神話の世界ではBの後にCが生まれたが、彼女の名は逆にSから1つさかのぼってRとされた。どれも大変ググりづらい名前である。
母はとても数字に強い人で、統計学者の助手などをしていたが、Rもその性質を受け継いだようだ。子供のころから数字に強く、小学生のころにはすでに高校の数学の問題をあっさり解いてしまうレベルになっていた。また、幾何学的な図形にも興味を持っているようで、二次元や三次元のいろんな図形を描いてみては、でき上がった絵を見ながら1人ご満悦な表情を浮かべる姿が何度も目撃されている。ちょっと変わった子である。
数字に強い代わりに言葉を使うのは少し苦手なようだ。先日、彼女にインタビューをした際には、こちらが投げた質問に対して答えようとするものの良い言葉が見つからなかったのか、代わりに散布図をぱっと描いて「こんな感じ」と答えることがあった。もしかしたら彼女の目には、この世界が言葉では表現しづらいような、折り重なった数式として見えているのかもしれない。
服装はあまりこだわりがないようで、ゆったりとしたワンピースやブラウスを着ていることが多い。
洋服は親に買ってもらっているそうで、いくらくらいの服か、どこで買っているのか等は認識していなかった。唯一、最近買ってもらったフレアスカートの裾が広がる角度に対しては強い関心を持っていた。
将来は統計学者になることが夢だそうで、14歳という年齢にも関わらず、大学に出没しては学生たちに混じって問題を解く日々を送っている。最近は大学だけに飽き足らず、親にお願いしてさまざまな研究所にも出入りさせてもらっているのだとか。
長年に渡って宗教戦争を繰り広げてきた、O教とF教。Scalaはその2つの宗教の牧師とシスターが結婚して生まれた異端の子である。生まれてすぐに両家の間に激しい対立が起こり、危険を感じた両親は、私立JVM学園のオダースキー先生のもとに養女として彼女を預けた。
現在では当時と比べると両宗教の関係は改善の兆しを見せており、一部では彼女の存在を融和の象徴として見る向きもある。しかしいまだに強い対立心を持っている人も多く、彼女の存在が論争の種になることもしばしばである。F教の人々は彼女の存在を十分にFであるとは認めず、O教の人々はFの存在が入り混じった彼女を理解しがたいと感じている。
そんな複雑な環境に生まれたものの、彼女自身は周囲の反応をたいして気に止めていないらしく、双方の教会に平気で足を運んでパンをもらってくるなど、たくましく生きている。彼女のそうした天真爛漫な姿に惹かれて、熱心なファンになる者も多いそうだ。
Scalaは同じ学園の高等部に通うJavaさんのことが好きらしく、休み時間になると頻繁に彼女のもとに足を運んでいる。JavaさんもScalaのことは悪く思ってないようで、年上のお姉さんらしく彼女を膝の上に乗せてやさしく頭を撫でてあげたりしているようだ。ScalaがJavaさんお気に入りのデュークくん人形を赤いロープで緊縛するイタズラをした時はさすがに怒られたようだが、それ以外はほとんど喧嘩をしたこともない。まるで本物の姉妹のような2人である。
博識な養父とやさしいお姉さんを持つScalaは、その生まれの複雑さに反して、実は幸せな場所で生活しているのかもしれない。
洋服はくっきりとした色柄が好きだそうで、アルゴンキンの服をよく着ている。少し個性的なファッションにも見えるが、生い立ちからして個性的である彼女が着るとそれも自然に見えてしまうから不思議である。
創世記(1970年1月1日)より数年経過したころから存在が目撃されるようになった妖精。家に住み着く、いわゆるブラウニーに近い生態をしている、家事や雑用などをお願いすると、2つ返事で引き受けてくれる気の良い子たちである。
彼女らは人間がいるところにはあまり姿を現さず、言葉もしゃべれないので、意思疎通をする時は手紙を用いる。曖昧なお願いごとをすると、内容を取り違えてとんでもないことをしてしまうこともあるので、はっきりと「あれをする | これをする > ここに置いておく」といったように順序立ててお願い事を書くのがコツである。うまく願い事を理解してくれると、彼女たちは夜の間に仕事を片づけてくれる。ちゃんと仕事ができていたら、次の晩にはお礼の角砂糖を置いておくことを忘れないように。
shellにはさまざまな種族が存在する。現在確認されている種族の中で有名なものを挙げると、「ba」「c」「k」「tc」「z」などがいる。服装や姿形は種族ごとにマチマチだが、私が目撃した個体は身長60cmくらいでバーバリーの子供服を着ていた。おそらく目撃例の多い「ba」種ではないかと思われる。個人的には身長がもう少し高く耳も尖っている「z」種と遭遇してみたいと思っているのだが、今のところ手紙でのやり取りはできているものの、実物を目にしたことはない。
彼女たちは同じ家に住んでいるにも関わらず、人目に触れることはほとんどなく、どうすれば会えるのかも解明されていない。
一説では、真夜中までプログラムを書くという儀式を何日も繰り返し、カフェインで無理やり頭を起こした状態でふとディスプレイを見ると、その向こうに彼女の姿が見えるとか。確かに私が遭遇したのも、会社に泊まりこんでプログラムを書いている時だった。
shellは非常に個体数が多く、一家に1人は住んでいると言われている。皆さんの家にも、実は何人もの彼女たちが住んでいて、手紙が来るのを待っているかもしれない。
紛争地域で生まれた13歳の女の子。
父は有名なデザイナだったが、彼女が5歳の時に戦火に巻き込まれて亡くなった。幸い彼女はまだ幼く、彼女を引き取ったアドビおじさんが大切に育ててくれたこともあって、心に大きな傷は残らずに済んだ。おじさんが父と同じデザイナであり、彼女の記憶の中で2人が混同しがちだったことも救いになったかもしれない。
彼女が住む国は、JavaScriptが住む国の隣に位置する。両国は同じECMA人種によって構成されている。外国の人の目にはJavaScriptとActionScriptは似た顔をしているように映ることもあるそうだ。確かに子供のころの写真を見ると、肌の色や目鼻立ちなど似ている部分も見受けられるが、成長した今の写真を見るとどうだろう。
彼女は努力家で「祖国とおじさんの為に頑張る」をモットーにしているが、努力が報われずに終わることも多い幸薄な子である。
紛争地域一帯に新しい公用語が採用されるニュースが流れた時のこと。彼女は来たるべき平和な時代の一助になろうと、誰よりも早くその言葉を勉強し始めた。しかしようやくうまくしゃべれるようになったと思った矢先、その言葉は公用語としての採用を見送られることになった。
モバイル端末でのデザインについて彼女が力を入れて学び始めた時のこと。モバイルに強くなればおじさんの仕事の役に立てる。祖国に外貨をもたらすこともできる。そんな想いで頑張っていたのだが、おじさんの経営する会社が大手端末会社から一方的に取引を停止され、モバイル関連の仕事が急減することになってしまった。
頑張っているものの、なかなか報われない彼女ではあるが、今日も紛争が収まる気配を見せない大地に立って、前へ進もうとしている。
いつかその努力が報われる日が来るだろうか。どうか、10年後の未来も、彼女が無事でいてくれますように。前を向いて生きていてくれますように。
【注意書き】 ※言語の選別はRedMonkのProgramming Language Ranking(StackOverFlowとGithubの人気を元に作られている)で上位に位置している言語の中から、筆者が実際に会ったことがある子を取り上げています。「この人気言語がいない!」という場合は、筆者が直接会ったことがないことが原因です。 |
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