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『社会に貢献するWebサービス』をスタートアップ! Vol.1

全国の先生をつなげて、
教育環境の向上に貢献したい!

「社会に貢献するWebサービスを立ち上げたい!」多くのエンジニアは、一度はこうした思いを持ったことがあるはずだ。この企画は実際にそうした思いを現実に実現したさまざまなサービスを紹介しながら、開発の意図や目的、背景について探っていく。

(総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:14.01.27

【今回取り上げるWebサービス】『SENSEI NOTE(センセイノート) 』

全国の学校の先生が「つながる」Webサービス、それが今回紹介する『SENSEI NOTE(センセイノート) 』だ。
2013年5月に非公開β版がオープンし、本格リリースに向けて鋭意開発が進められている。
小学校〜高校の先生を対象に、面識のない先生同士が『SENSEI NOTE』を介してつながり、学校のあらゆる業務(教科指導・部活・事務作業など)についての情報交換をすることが可能となっている。国内外問わず、すべての先生が刺激を受けたり学び続けられる環境の実現を目指している。


今回紹介するWebサービス
『SENSEI NOTE』 http://senseinote.com/

【サービスが生まれた背景】「学校現場で奮闘する先生を応援したい」という思いから、起業イベントへ参加〜優勝を経て誕生


株式会社LOUPE
CTO&Co-Founder
末永昌也氏

サービス誕生のきっかけは、同社代表の浅谷氏が、中学で教師を務める高校時代の友人に出会ったことだった。全国の教育現場には子供と真摯に向き合い奮闘するたくさんの先生が存在する一方、いじめや教科指導など年々複雑化する問題や事務処理に追われている過酷な現実がある。しかし、先生の知人はいても相談できる先生は存在せず孤立している現状が存在すると知って、「現場で奮闘する先生がきちんと報われる環境を実現しよう」と浅谷氏はすぐに行動に移した。

その時、起業イベント「Startup Weekend Tokyo」で浅谷氏と出会ったのが、現在『SENSEI NOTE』の開発責任者として活躍する、株式会社LOUPE CTOの末永氏だ。
「浅谷の考えていたアイデアは、実社会に対する明確な課題意識を持ち、その上で具体的に解決策の両方を併せ持っていたことが魅力的でした。結果、「Startup Weekend Tokyo」では『SENSEI NOTE』は満場一致で優勝を果たしました。Startup Weekendは全世界で同時開催されているため、その後各都市で優勝したチームとランキングを争う世界大会に駒を進めます。世界大会を通じて浅谷と仕事をする中でこのサービスを本格的に立ち上げようと決心し、2013年3月末で前職を退職。正式なメンバーとして参画をしました」(末永氏)

【サービス開発舞台ウラその1】思ったようにユーザーは動かない現実に直面し、「知恵を持ち寄る」から「先生がつながる」に方向転換


実は当初、『SENSEI NOTE』は昨年春に本リリースする予定で開発が進められていた。しかし、実際に多くの先生のニーズを聞いていく内に、当初コンセプトにしていた「先生が知恵を持ち寄る」ことに対するハードルの高さと、その効果に対する疑問が大きくなっていったのだ。
「当初、先生が持つさまざまな知恵を各自『SENSEI NOTE』にアップロードし、その情報をユーザーが閲覧できる方式を取ってβ版をリリースしました。しかし、自分の知恵やノウハウを公の場で公開することに対する抵抗感が予想以上に先生たちの間であったこと、さらに先生が抱える課題は個別の環境や事情に大きく左右されるため、画一的な知恵やノウハウでは、現実的な課題解決に役立たないケースが多いことを思い知らされました」と、想定と現実とのギャップが予想以上に大きかったと、末永氏は語る。

今回の経験で末永氏が気づいたこと、それは「思った通りにユーザーは動かない」という現実だった。まして先生の経験がない自分たちにとって、本当に先生のためになるサービスにするためにはどうすればいいのか?
浅谷氏は連日、全国の学校や先生を訪ね歩き、現在置かれている状況や課題、要望を吸い上げ、それを元に末永氏を含めチーム全員で検討する毎日が続いた。
その結果、辿りついたのが「全国の先生が“つながる”」というコンセプトだ。
「Facebookはリアルでつながっている人がWeb上でつながるSNSですが、『SENSEI NOTE』は面識のない先生同士でもつながれる“先生限定のSNS”です。先生同士がつながり、ほかに相談できない悩みや課題を気軽に共有しあえる場を求めている先生が全国に数多くいることを実感し、昨年10月、大きく方向転換する決断を下したのです」(末永氏)

【サービス開発舞台ウラその2】毎日が機能改善〜検証の繰り返し。将来のサービス拡充を見越し「Ruby on Rails」を採用


事務所は一軒家。社員全員が共同生活を行いながら日々『SENSEI NOTE』のサービス開発&改善に取り組んでいる

「全国の先生がつながる」という新たなコンセプトを掲げて、末永氏を中心にサービス機能の改善や新機能の追加など、ほぼ毎日のように開発・リリース〜効果検証〜フィードバックをしながら、今に至っている。
「例えば地域や担当教科等の属性を設定することで、つながるべき人につながりやすい機能改善を行っています。また、テキストだけではなく、ビデオチャットのような動画でつながりを持てるような仕組みも開発中です」(末永氏)

その中で末永氏が開発で重要視しているのは、「スピード」と「効率化」だ。
「浅谷からは連日、多くの先生から寄せられたサービスに対する課題や要望に関する情報が届くため、開発すべき案件が非常に多い。その上予算も人も限られているので、基本的には仮説検証ベースで細かく機能を洗い出し、優先度の高い所から短期間で開発しリリースするアジャイル型で進めています」

「また、スタートアップにおいてはリリース後の改善をどれだけ高速に回せるかが肝だと考えています。『Ruby on Rails』はミニマムにコードが書ける、非常に効率のよい言語です。今、エンジニアインターンの学生にも協力してもらっていますが、すべてのコードに目を通し、拡張性高い無駄のないコードになっているかのレビューを徹底しています。将来開発メンバーが増えた時にも、無駄のない効率的なコードを維持しておく事がスピード感を持って、継続的に大きく成長していくのに重要な事だと考えています」(末永氏)

【今後の展望】小・中・高。全国約107万人の先生のためのポータルサイトへ


インターン生も含め、現在5名のメンバーが活躍。今年4月の正式リリースに向けて奮闘中だ

現在はさらにスピードを上げて機能改善を繰り返しつつ、今年4月の本リリースに向けて急ピッチで開発を進めているという。『SENSEI NOTE』の開発に携わってからの1年は、末永氏にとってどのような経験だったのだろうか?
「今、小中高の先生は全国に約107万人います。この1年で私自身、多くの先生の話を伺ってみて教育に対して熱い想いを持つ先生が多くいることを知りました。その反面、閉鎖的な環境で誰にも相談できず、悩みを抱えている先生がこんなにもたくさんいるんだと気づかされましたね。だからこそ、この『SENSEI NOTE』を通じて、先生同士がつながり互いに刺激を受けたり情報共有できるきっかけを演出できればと考えています。先生がいきいきと働き、それによって子供たちの学びや教育現場がより充実したものになるようになる社会を実現することが、私たちのビジョンです」

最後に末永氏からは、同じように社会に貢献するWebサービスを作りたいと思っているエンジニアに対して「エンジニアは無から有を作れる素晴らしい職業だと思います。その技術をぜひ社会に価値を生み出す事に使っていただきたい。Startup Weekendでの私と浅谷の出会いからすべてが始まったように、まずは積極的にIT系やそれ以外のイベントにも参加することをお勧めします。」とのメッセージをいただいた。
また同社でも今後、『SENSEI NOTE』開発メンバーを募集していくそうなので、興味のある方は一度、同社サイトをチェックしてほしい。

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