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2013年7月に米国の携帯電話事業者スプリント・コーポレーションが加わったソフトバンクグループ。世界No.1企業を目指す同社の、本格的な世界展開となる。さらなる世界展開を見据え、情報システムにおけるグローバル化にも早速乗り出した。その最前線で働く社内情報システム部門のエンジニアを直撃した。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/伊藤理子 撮影/刑部友康)作成日:13.11.06
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米スプリント・コーポレーションが加わり、本格的な世界展開を行うソフトバンク。現在、米国携帯電話市場で3位のスプリントも新しい料金プランなどを展開している。今後は高速通信網の整備などが注目されるが、そうした技術投資の背後で見逃せないのが、グループによるシナジーだ。
調達力向上によるベンダーへの交渉力向上などのシナジー効果の創出は、業務システムの融合など、情報システム部門にとっても新しいミッションになる。
もちろん、海外企業がグループ入りしたからといって必ずしも業務システムまで統合する必要はない、という考え方もあるが、ソフトバンクは違う。販売・サービス、調達、ベンダー管理、ネットワーク構築支援などさまざまな面で、日本と米国の業務システムのシナジー効果を最大限発揮できるように検討している。
買収直後には、メンバーをスプリント社の本社がある米カンザス州に派遣するなどして具体的なリサーチを始めた。
この部分を支えているのが、大木壮一氏だ。着任早々、カンザス州にあるスプリント・コーポレーション本社に飛んだ。
「例えば一般論になりますが、日米で同様のシステムを持つことで、どちらからもメンテナンスできるとか、同時のタイミングで同一のサービス施策をスピーディーに展開できるなどのメリットも考えられます。それだけに私たち情報システム部門にとっては大きなチャレンジ。その第一歩を自分の足で印せると思うとわくわくします」 |
ソフトバンク モバイル株式会社
情報システム本部グローバルIT企画室 担当部長 大木 壮一氏 |
ソフトバンク モバイル株式会社
情報システム本部グローバルIT企画室 担当課長 辻 和人氏 |
この夏から秋にかけては双方の技術者は業務やノウハウなどの共有を行ってきたが、太平洋を往復し、テレビ会議やメールも駆使しながら業務システムの内容を点検した。
日米間のエンジニア同士の細かなすり合わせが不可欠だけに、この仕事には英語が必須だ。大木氏の場合、学生時代にアメリカに留学、ビジネス英語は前職の外資系企業で習得したが、とはいえ通信業界に特化した英語、とりわけ会議や文書で頻出する単語とは現在も格闘中だ。
必要なのは語学力だけではない。これまで自分が担当したシステム以外のことも幅広く知っておく必要がある。
「国内のシステムだけでもどれがどのようにほかのシステムと連携しているかなど、幅広い知識が必要だと、痛感しています」と大木氏も言う。 |
チャレンジャーとしての苦労は覚悟しながらも、二人は企業グローバル化の最前線で働けることに大きな喜びを感じている。
「スプリント・コーポレーションへの投資は、ソフトバンクにとって一つの大きなステップだったことは確かでしょう。そしてその向こうには、いくつもの跳び箱が見えています。世界No.1企業になるためには、まずは私たちのスプリンターとしての能力を鍛える必要があります。ソフトバンクグループが世界で闘うために、そのIT基盤を私たちの手で創り出したい。会社からの期待感もひしひしと感じています」(大木氏)
日本の通信企業が世界に打って出る。エンジニアにとっては、世界企業を支える情報システムとはどういうものか、その知見を得るまたとないチャンスだ。それでなくても、これから日本のエンジニアにとってグローバルな働き方は必須となるだけに、その修練の場としてソフトバンクを選ぶというのは賢い選択かもしれない。
「英語力だけでなく、異なる文化に対応するための柔軟性を持つ人が求められる」(大木氏)「周囲の状況を自分で判断して動くことのできる、自律性がなによりも重要」(辻氏)など、グローバル化を支える人材について、両人はそのイメージを語っている。
大手SIerでSEとして働いたあと、2007年にソフトバンクモバイルに転職。コールセンター応対システム、ユーザー向けWebシステムの構築などを経て、2013年7月より現職。 |
米国大学への留学後、外資系IT企業の日本法人に入社。2012年、ソフトバンクモバイルへ転職。ビッグデータ解析プラットフォーム構築などを経て、2013年7月より現職。 |
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