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エンジニアの4割は
無駄な残業をしている!? |
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エンジニア1000人に残業に関する調査を行ったところ、ひと月の平均残業時間は29時間、平均残業代は6万円という結果が出た。会社業種や職種、年代によってばらつきが見られるエンジニアの残業事情をレポートする。
(総研スタッフ/宮みゆき) 作成日:13.10.18
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ひと月の平均残業時間は29時間、平均残業代は6万円
最近、ワークライフバランスの観点から、時短制度や定時退社推奨など、勤務時間の改善を積極的に行う企業が増えてきた。だが、景気回復による人材不足などで一人あたりの業務量が増えている傾向も見られる。そこでTech総研が2013年8月に実施した、20代後半から30代前半のエンジニア1000人の残業に関する調査から、その実態を紹介する。
全体での平均残業時間は29時間だが、年代・職種別で見てみると30代前半の「ネットワーク設計・構築(LAN・Web系)」の平均57時間、「通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)」の平均49時間、20代後半の「パッケージソフト・ミドルウェア開発」が平均51時間他職種に比べて多い。年代別では20代後半よりも30代前半のほうが、月平均の残業時間が5時間多くなっている。(DATA1)
DATA1 職種・年代別の平均残業時間・残業代 | (単位:時間/万円) |
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残業時間が多い業種はインターネット関連、大手SIer、コンサルファーム
これを会社業種別で見てみると、残業時間が多いのは「インターネット関連」「大手SIer・NIer、コンサルファーム、ベンダー」だ。全体にIT・ソフトウェア業種のほうが、製造業よりも残業時間が長いが、20代後半では「金融・保険系」の平均43時間、「重電・産業用電気機器メーカー」の平均41時間が高いという結果も出ている(DATA2)
DATA2 会社業種別の平均残業時間・残業代 | (単位:時間/万円) |
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業種別では平均残業時間が多いが、平均退社時間で見ると「インターネット関連」は50%が19時までに退社しており、20時台は21%、21時台は14%、22時以降は14%だ。「大手SIer・NIer、コンサルファーム、ベンダー」は19時までに退社しているのは47%、20時台は21%、21時台は16%、22時以降は17%と、同業種でもばらつきが見られる。
無駄な残業をしていると感じているのは38%
この残業時間の偏りは業務上必要なものなのか、それとも無駄な残業をしていたり、強いられていたりするものなのだろうか。そこで、本来必要ではない無駄な残業の有無について尋ねたところ、「ある」が38%、「ない」が62%という回答が得られた。(DATA3)
DATA3 無駄な残業の有無
無駄な残業と感じている内容のランキングとしては、以下が挙げられた。どれも改善の余地がありそうな内容である。
1位:なんとなくだらだら残業している
2位:上司が帰らないので、帰りにくい
3位:顧客対応で帰れない
4位:周りがみんな残っているので、帰りにくい
5位:会議が遅い時間に設定される
職種別で見ると残業時間が多いIT系のエンジニアたちは、無駄な残業をしていると感じている人が意外と少ない。「業務上必要な時だけ残業する」「計画を立てて業務をしている」「残業代も出ないのに無駄な残業はしない」という意見が多かった。
■ | 残業時間の抑制と定時退社の徹底、残業時間の上限設定など (システム開発/32歳) |
■ | 職制上、残業という概念はないが、顧客にあわせてサマータイムを実施するのは特に意味がない。朝早く来ても帰りはいつもと同じ時間 (コンサルタント/29歳) |
■ | 客先の要望で、自分の会社に意味のない資料作りをさせられた (サービスエンジニア/34歳) |
■ | 30分単位で給料が発生するため、早く帰りたいため休憩時間も仕事をしている (制御系システム開発/24歳) |
■ | 「今日やること」「今週やること」「今月やること」を常に明確にしてスケジュールし、明らかなオーバーワークが発生することがわかった段階で応援要請する。逆に明らかな空きが発生する場合はメンバーの応援を行い、上記の埋め合わせをする。「とりあえず作れるところから」ではなく、システム全体を見て「ここを作れば他は応用でできる」部分を先行して作る (Web系システム開発/29歳) |
最近は定時退社を推奨すべき、ノー残業デーを設置する企業も増えてきた。今回アンケートに協力してくれたエンジニアの勤務先でも、約半数の企業がその施策を取り入れているという回答があった。無駄な残業を減らすことはもちろん、これらの制度を活用し、技術の勉強や社外の人との交流会などに時間を当てるのも、技術者としての価値を上げる一つの方法ではないだろうか。
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