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アベノミクスに期待するのは「仕事の充実」か?
1位はダントツで「日本の経済成長」、66%の人が挙げた。年齢別では20〜24歳が最も多くて73%、一番少なかったのは30〜34歳で57%だった。2位は「雇用の安定・失業率の改善」で46%の人が挙げ、年齢による差は少なかったものの、ここでも20〜24歳が51%と最も多かった。 1位と2位の突出さを考えれば、政府への希望は数多くあっても、エンジニアは「仕事への影響」を期待しているようだ。経済の回復なしに充実した仕事は望めないだろうし、新しい仕事へのチャンスも生まれない。そして、仕事を安定して続けるための雇用全般も重視している。 ハード系職種は「円高」、ソフト系職種は「領土問題」が3位
アンケートからは職種差が出た。機械、電気、生産技術、品質管理などのハードウェア系職種と、プログラマ、SE、ネットワークエンジニア、コンサルタントなどのソフトウェア系職種とでは、期待する対象が若干異なっていた(下のグラフ)。
1位と2位は変わらないが、ハード系では3位が「円安」だ。これらの職種はメーカー勤務が中心なので、円安→輸出増→自社・業界の業績上昇と考えているのではないか。雇用の安定を望む声が全体の数値より低いのも、終身雇用制度が比較的存続し、転職者の少ないメーカーだからと考えれば納得できる。 ソフト系の3位は「領土問題の解決」。ただ、割合は28%で、4位以降が26%、26%、25%、24%と続く団子状態。領土への意識が特別強いというわけではないだろう。ハード系とは逆に「円安」は8位と低く、転職が珍しくない職種だからか、雇用に関する関心が高めだ。 では、そもそもアベノミクスとは何か。今後はどう動くのか。経済アナリストの森永卓郎氏に取材した。 |
円安効果を持つ金融緩和はもっと早くすべきだった
アベノミクスは大胆な金融緩和、財政出動、成長戦略を3本柱としていますが、当面大きな効果を発揮するのは金融緩和でしょう。リーマンショックの後、世界が金融緩和を進める中で、日本だけがしなかったのです。 |
インフレターゲット「2%」の実現が難しい理由
インフレ率の計算方法はさまざまですが、2%を達成しようとすると1ドル125円くらいの為替レートが必要になります。物価の構成要素を簡単に言えば、人件費、企業の利益、輸出入の3つです。 |
グローバル化による「弱肉強食」が日本でも始まる
このような事情から、私は当面の物価上昇率は「1%弱」に落ち着くと思います。実際、政府と日銀が1月に物価目標導入の共同声明を出すのと同時に、日銀が展望レポートの改訂版をまとめています。ここに2014年度の消費者物価上昇率の目標が、「0.9%」になっているのです。 |
アベノミクスはメーカーを救った?モノづくりの大切さ
ただ、アベノミクスはエンジニアに大きな恩恵を与えました。円安・株高によるメーカーの復活です。昨年11月まで、何人かのメーカーの経営者と話していると、特に大手企業は「いかに早く日本から逃げるか」ばかりを考えていました。私は日本の製造業が終わると本気で思っていました。
しかし、この円安で一息つき、1ドル100円まで戻れば国内で何とかやっていけると思います。日本からモノづくりが消える危機が去っただけでも、かなりの朗報です。エンジニアには技術だけやればいいと思う人もいるでしょうが、技術開発とモノづくりはセットで行うべきです。モノをつくっていなかったら、技術は進歩しません。
メーカーのエンジニアだけでなく、アプリ開発などIT系エンジニアもハードと無縁ではいられません。日本からモノづくがなくなれば、ソフトウェア産業も徐々に衰退していったと思います。
モノづくりがいかに大切かは欧米を見ればわかります。イギリスは産業革命で世界の工場となりましたが、ポンドが基軸通貨になってポンド高が起こると、製品が輸出で売れなくなった。そこで金融業を国の基幹産業に変えたら、結果的に国が衰退し、アメリカに大借金をするようになった。 |
東京大学経済学部卒業後、日本たばこ産業、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなどを経て、2006年より獨協大学経済学部教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。 |
年齢が上がるほど期待度はアップ、微妙な職種差
職種別では微妙な差が出た。全般的な傾向だが、ソフト系のエンジニアのほうがアベノミクスへの期待が高そうだ。比較的にだが好意的な選択肢が多く、マイナスのものが少ないからだ。 20代エンジニアからのメッセージ、エンジニアを幸せに!
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