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カリスマプログラマ・Web企業経営者・専門家15人が語る

Webエンジニアよ、
「脱・組織依存」で生き残れ!

2012年もWeb業界では、さまざまな新技術・アプリ・サービスが生まれ活況を呈した。その中で見えてきたのは、Webエンジニア達の働き方が明らかに、組織ベースから個人ベースに急速に変化してきたこと。その動きを各界の著名人たちの意見から検証してみたい。

(総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:12.12.19

5年前と比べた変化で読み解く、組織→個人 依存→自立の動き


まずは上記の表をご覧いただきたい。
これは今から5年前、つまり2007年と2012年を比較した世の中の大まかな流れを記載したものだ。
これはあくまでごく一部を切り取って紹介しているにすぎない。しかしこうした変化を眺めていると、あるひとつの大きな変化の流れに気づく。それは「大きな組織ベースの価値観・ライフスタイルから、個人主体へのシフト」。
例えばここ1〜2年で急速に普及したスマートフォンやSNS。これらの登場によって、個人がより気軽に情報を発信できる時代になった。特に今年はITエンジニアやプログラマ向けに特化したソーシャルサービスやスキル評価サービスが登場したことで、これまで以上に個人のスキルや強みを不特定多数の人に向けて手軽にアピールできるようになった。

また5年前に比べたWeb業界の躍進によって、よりオープンな開発環境で、少数規模でも全世界に向けたソーシャルゲームやWebアプリ・サービスをスピーディに開発・リリースできる環境が急速に普及してきた。
そのためITエンジニア、中でもWebエンジニアの価値基準は「大企業や有名企業で仕事がしたい」という層よりも、「何か面白いことができる組織やチームで仕事がしたい」もしくは「あの人と組んで世の中をびっくりさせる開発がしたい」という流れが顕在化しつつある。

15名の著名人が分析する、Web業界における「組織→個人 依存→自立」シフト

次に、Web業界で活躍する経営者や著名エンジニアから人材コンサルタントや経済学者など、さまざまな立場にいる方から今回、Web業界における「組織→個人 依存→自立の動き」に関するご意見をいただいたので、紹介していきたい。

※今回ご意見をいただいた皆様(あいうえお順)
伊勢幸一氏(株式会社データホテル 情報環境技術研究室 執行役員CTA室長)
内山悟志氏(株式会社アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト)
大月英照氏(株式会社リクルートキャリア テクニカルアドバイザー)
片桐孝憲氏(ピクシブ株式会社 代表取締役社長)
上梨能寛氏(株式会社ループス・コミュニケーションズ シニアコンサルタント)
川田十夢氏(AR三兄弟 長男)
倉橋一成氏(iAnalysis代表 データサイエンティスト)
萩本順三氏(株式会社匠BusinessPlace 代表取締役社長)
橋本健太氏(クックパッド株式会社 執行役CTO)
まつもとゆきひろ氏(Rubyアソシエーション理事長)
村上太一氏(株式会社リブセンス 代表取締役社長)
望月宏氏(専修大学 経済学部教授)
柳澤大輔氏(面白法人カヤック 代表取締役)
湯川鶴章氏(TechWave.jp チーフブロガー)
和田英一氏(東京大学名誉教授 IIJ技術研究所所長)


TechWave.jp 湯川氏
「『Javaができる』といったようなコモディティ化したスペックを求められてきたITエンジニアの働き方はソーシャルグラフの広がりによって今、確実に変わりつつある   Facebookやツイッターを含めた“ゆるいつながり”を持てるメディアの登場で、個人同士のつながりがきっかけで新しい仕事が生み出されるケースが増えている。そして、表面的な技術スペックだけでなく、『Javaの○○に関して、○○レベルまで理解した上で実装できる』といったより詳細なスキルレベルや、『プロジェクトに参加するメンバーを気持ちよく仕事をしてもらうことを得意にする』など、人間的な魅力も含めて、自分の強みをより細かく主張できるようになっている」


AR三兄弟 長男 川田氏
「ひとえに、評価システムの有無。エンジニーアが扱う技術が細分化されているにも関わらず、それを評価できる人間が組織に少な過ぎる。成果物にばかり気をとられて、技術そのものを育てようとしない。これでは、エンジニーアは育たないし残らないですよね。あと、Webの技術はいったん公にしてしまえば、組織の外側からすぐに評価してもらえますからね。内側と外側のスピード感、外側の方がはやいということなら、そっちに流れるのは当然だと思います」


リブセンス 村上社長
「今までは組織に属して受動的にいわれたことをこなし、技術を何となく学んでいれば良かったが、今後は確固たる強い『技術力』を持ち、技術を活用して『成果を出す力』この両軸がより強く求められてくるのではないでしょうか。
人件費の安い国々のエンジニアと比較してもそれを超える技術とそれら技術を成果にまでつなげる力、それがないと今後エンジニアとしての市場価値を高めていくことは難しくなってくると思います」


専修大学 経済学部 望月教授
「Webエンジニアは労働市場としてみた場合、個人事業主としての自立の流れがある。
極端な話、自宅のパソコン1台とインターネット環境さえ有れば個人の力で起業できる。それが可能となったのは、インターネットという、世界最大の無料のインフラを利用できるためである。そこには、決済システム・流通システム・販売システムなどがネットだけで完結できるのである。それをいかに最大限利用できるようにするかが、「個」として自立していくWebエンジニアに必要なものになっていくだろう」


リクルートキャリア テクニカルアドバイザー 大月氏
「Web業界では、大企業の中でも組織単位が小さくなってきています。つまりそれは個人の責任が重くなってきていることの表れ。例えばアジャイル開発による少数チームによるソーシャルゲーム・ECサイトの開発等です。
また最近の面接では『具体的にこれを作って』とホワイトボードにテーマに沿ったソースコードを実際に書いてもらうケースなど、個人のスキルをより正確に判断するための実技試験が増えています


クックパッド 執行役CTO 橋本健太氏
「『組織から個人』『依存から自立』した働き方は前提にすぎません。クックパッドでは、優れた能力を持った個人同士が力を合わせることで、高い成果を出しています。そのためには自立した個人同士がお互いを尊重し合い協力し合うことが重要だと考えています。オープンソースコミュニティではこのような行動が浸透しているため参考になります


ループスコミュニケーションズ シニアコンサルタント 上梨氏
「最近感じるのは、“顧客からの要求レベル”に変化が起きている。それは会社や組織ではなく“個のエンジニア”に対して直接、ミッションを要求してくるケースが目立ってきていることです」


データホテル 伊勢氏
「 確かにWebエンジニアは組織よりも個人で識別認識される事が多いが、それは組織から自立しているという訳ではないと思う。Web2.0サービスによって個人がブログやSNSやコミュニティ、勉強会などで自分の携わっている業務で得た知識や技術的なTIPを公開したり、逆に公開されている情報を会社の業務に活用したりというオープンな情報公開と活用文化が浸透しているため、組織でなく個による識別風潮が強くなってしまうだけだと思う。
つまり、組織や人柄や経歴ではなく、今、何をどうしているかという公開された技術の内容に個人が紐づいているのだろう。十分な技術情報流通が確立していない若い業界であり、日進月歩で新しい技術や実装が出てくるため、個人が動いて情報を集めるしかない。その中で『NHN-Jの誰それ』ではなく、『FluentdとHIVEを組み合わせたtagomoris』や『MongoDBのdoryokujin』という感じで組織より個人が識別子となった、と捉えるべき」


このように、Web業界全体の動きや企業内における組織と個人の役割の変化、またエンジニアの採用現場の変化や顧客志向の変化など、さまざまな分野ですでに「組織から個人へ」という大きな変化が発生しているようだ。

Webエンジニアの最新ワークスタイル事情から読み解く、個人主体の働き方

次に、Web業界の最先端で存在感を発揮している企業の経営者や技術者の方たちから、個人主体のワークスタイルについて紹介していただいた。各々のコメントからは、具体的な方法は違っても、あくまで“個人”をベースにうまく組織を活用していくスタイルが見えてくる。


ピクシブ 片桐社長
「SEO Android UI/UXなどその道のスペシャリストたちが集まっている組織、それがピクシブです。そのため社内には数人だけしかその道のスペシャリストがいないことになります。だからこそ、より深く専門知識や技術を追求するために、外部のコミュニティへの参加を当社では推奨しています。
コミュニティで新しい技術をキャッチアップして、会社内に還元する。その技術を実際にビジネスとして活用して効果を出す。さらにその結果をコミュニティにフィードバックしていく。そうやって会社とコミュニティ、そしてエンジニアの三者に対して利益を還元していくことが当社のスタイルです」


カヤック 柳澤社長
「当社の開発スタイルは、『何をするか、より誰とするか』。つまりみんなで面白いサービスを作るプロセスを楽しむことに重点を置いています。世の中には『斬新かつ創造的なサービスを生み出すエンジニア』と、『ベースとなるアイディアやサービスがある上でブラッシュアップしていくことを楽しむエンジニア』の2つのタイプがいると思いますが、当社の多くのエンジニアは後者。その理由も、みんなで作る楽しさを追求したい個人が集まった結果、自然とそのような構成になったんだと思います」


リブセンス 村上社長
 「ビジョンとミッションを明確に定め、ワークスタイルも含めて各エンジニアの裁量に任せられることが理想です。そのために個々のエンジニアの『技術力』『成果を出す力』の向上はもちろん、組織レベルでの取り組みにも力を入れています。その中で、巷にある多種多様なネットサービスを利用する中で感じる問題点を見つけ出す姿勢と、“自分ならその問題をこんな風にクリアにする”という解決へのロードマップを描けるスキルを併せ持つプログラマが活躍していることが、当社の強みとなっています」


クックパッド 執行役CTO 橋本氏
「クックパッドでは、各々のエンジニアが誰にも負けない強みを持つことを求められています。そういった強みを持ったエンジニア達が力を合わせることにより、これまで解決できなかった問題を解決し、競争力のあるもの作りをしています。また、お互いの創造性や開発速度を高め合うような行動が常に求められます


ループスコミュニケーションズ シニアコンサルタント 上梨氏
「組織の中にいる一番の理由、それは“営業力”。“営業”という組織の力を活用しながら、個人の能力を発揮し、更に集中できる環境が担保されているならば、そこから「個」で “突破する力”を持つのが理想です。あとエンジニア自身が顧客接点を持つことが重要。そこで仕事の喜びを感じられることで、自分のやりたいことや目標が見つかると考えます」


AR三兄弟 長男 川田氏
「技術の周辺にはいろいろな役割の人がいます。技術を発見する人、発見と発見をつなげて発明する人、発明にかたちを与える人、そのかたちを言葉にする人、これ全部エンジニーアの仕事だと僕は考えています。たとえば、プログラムを書かないとエンジニーアじゃないとか、研究所に席を置いていないと駄目だとか、大きな強迫概念を抱えたままの人がよくいます。もったいないことです。エンジニーアはもっと、楽にやればいい。肩書きもどうでもいい


ITR 内山社長
「『企画プランナーだけ在住し、必要に応じて専門の技術者を集める』『ITの専門家を集めたスペシャリスト集団化』このように、大きく二極化の流れがあります。そのどちらにも共通するのは、専門の技術力+企画力(ビジネスに精通し、それを技術を活用して形にしていく力)がエンジニア一人ひとりに必要とされているということ。
また大企業の若手ホープ社員も起業を目指す時代になってきていて、大企業にとどまることが安定ではないことに気づいているんです。本当の安定とは、自分の力で生きていくことです」


まつもと氏
「そもそも組織と個人は対等な関係であるべき。これまでが自分の幸せを犠牲にしてまで、組織の成長に尽くしてきた歴史がある。しかしWeb業界では少なくとも他の業界に比べれば、対等な関係に近づいている。ただし組織と対等な関係である以上、個人としてパフォーマンスを発揮していくことで、組織から信頼や評価を得る必要がある。“組織にわがままを言えるような人間になる”きっとそれができれば、対等な関係を築けている証拠になるだろう」


和田氏
「ビルゲイツ君やまつもとゆきひろ君のように若いころはプログラマでそれを元に企業化できるのが、やはり理想のひとつ。ほかにもいろいろあるでしょう。クヌース先生も理想ですが, 理想には簡単には近付けませんね」


iAnalysis データサイエンティスト 倉橋氏
「優秀なエンジニアは仕事が早いですので、クラウドソーシングによっていろいろな仕事をこなせるのが理想だと思います。また好奇心も強い傾向にありますので、1社にしばられるよりも、いろんな仕事をしていきたい方が多いと思います。ただそういった人が安定して仕事を受注できるよう、企業がそういったアウトソーシングサービスをうまく使える風土になっていくことが前提ですね」


データホテル 伊勢氏
「セミナー、カンファレンス、勉強会などのコミュニティ活動に自由に参加し、情報を得るだけではなく、講演者として自分の経験や知識を公開しているエンジニアが比較的優秀な場合が多い。もちろん業務の納期やスケジュール、成果物をきちんと出した上での話しだが、業界内にとって有益なコミュニティ活動をし、情報を発信しているエンジニアは比較的業務上においても納期や成果物をきちんと出している事が多い。
経営サイドも本来の業務に支障が無いのであれば、コミュニティ活動を通じて自己をより高めていくので、やがて組織へのフィードバックもあるし、会社の資産となるので大いにコミュニティにおける双方向情報交換への活動は推奨したい」


匠BusinessPlace 萩本氏
「ソフトウェア開発は、大きく作ることから小さく作る時代に変わっています。流行を追いかけるだけではなく、ビジネスに有効なIT活用法をビジネスパーソンに分かりやすく説明する能力を持ち、お客様ビジネスの企画段階から参画する意識とコミュニケーション能力を持つことが今後、さらに重要になってきています」


※1/9公開予定続編:「2013年 Webエンジニアとして活躍するためのヒント」を紹介

本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。 Supported by リクナビNEXT

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