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プラチナバンドでエリア拡大!基地局設計などの技術者ニーズ急増
ソフトバンクモバイルが無線エンジニア採用強化の背景
ソフトバンクモバイルが積極的にエンジニアを採用中だ。中でも重要なのは、基地局設計などに関わる無線エンジニア。無線がコア技術でなくても、エンジニアとしての成長意欲があれば応募が可能だという同社の真意を聞いた。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:12.11.14
ネットワーク企画統括部 無線企画部 システム設計課 山口 範和氏
ソフト会社で携帯キャリアのサーバー保守業務を経験。2012年4月入社。
ネットワーク建設統括部 無線ネットワーク部 RAN1課 池内 一雅氏
携帯キャリアの業務請負、技術派遣を経て、2012年5月入社。
東京技術統括部 無線設計部 無線技術2課 大西 功洋氏
電子部品商社から半導体メーカーへ出向し、無線機器向け半導体の評価・測定に関わっていた。2012年6月入社。
プラチナバンドでのサービスエリア拡大のため、エンジニアの中途採用を強化

 ソフトバンクモバイルは、2012年7月から「プラチナバンド」と呼ばれる900MHz帯を使用したモバイルネットワークのサービスを開始した。「どこでもつながるソフトバンク」を目指して、申請計画を上回るスピードで展開している。

 スマートフォンの普及に伴い、通信需要は増える一方。新規インフラの構築と既存インフラの増強を併せて進めながら、拡大するトラフィックを吸収していくための技術力が欠かせない。それに輪をかけるように、プラチナバンドのプロジェクトは、その拡大規模とスピードにおいて、同社のインフラ構築の歴史のなかでも類をみないものになっている。もっと早く、よいものを提供したいという強い思いから、中途採用により、多くの仲間の力を集めることを決断した。

 それゆえ同社はチャレンジする姿勢を重視しており、職歴や技術の幅を広げた採用方針を採っている。例えば、通信会社の正社員としてではなく、請負や派遣の契約でモバイルネットワーク設計の仕事をした経験のある人なども、今回の採用の有力なターゲット。前職での雇用形態や学歴などは基本的には問わない。また、たとえネットワーク設計の中枢にはいなくても、基地局の建設工事やネットワークの保守・運用という周辺領域で仕事をしていた経験も十分に考慮される。その一例がシステム業界におけるSE(システムエンジニア)だ。

ソフトバンクモバイルで活躍する3人の中途採用エンジニア

 どのような職種・職務を経験している人なら、ソフトバンクモバイルで活躍できるのか。どのようなモチベーションをもつ人なら、同社での業務にすぐ慣れることができるのか。今年前期に採用されたエンジニアのプロフィールを知ることで、その条件をおおよそ知ることができるのではないか。3人のエンジニアに話を聞いた。

 池内一雅氏(ネットワーク建設統括部無線ネットワーク部RAN<Radio Access Network>1課)は、業務請負や技術派遣で複数の携帯キャリアの運用保守の業務に従事し、直近は、ソフトバンク傘下のWireless City Planning社に派遣され、AXGP基地局の設計やインテグレーションに関わっていた。

 大西功洋氏(東京技術統括部無線設計部無線技術2課)は、電子部品商社にて無線機器向け半導体のセールスエンジニアを担当していた。

 山口範和氏(ネットワーク企画統括部無線企画部システム設計課)は、社員150人規模のソフト会社に勤務し、携帯電話会社の顧客情報などのサーバーの保守・開発を請け負ってきた。

 それぞれ、携帯キャリアの仕事になんらかの形で関わってきているが、中でも、今回の無線エンジニアの職務内容に最も近い経験の持ち主が池内氏だ。派遣社員と正社員という違いはあるが、AXGPの設計経験はいまソフトバンクモバイルが取り組む通信の設計にそのまま活かせそうだと思った。
「転職理由は、自分の技術の幅をより広げたかったから。そのためには“動きやすさ”を重視し、最初は規模の小さな会社を考えていました。しかし、転職活動のなかで、ソフトバンクモバイルは規模こそ大きいものの、エンジニアの自主的な判断が重視され、裁量範囲も大きいということを知りました。

 これまでの経験で無線関係の幅広い技術を身に付けていることと、前職でもチームの中ではプロジェクトマネージャー的な立場で仕事をしていたことが評価され、それが採用につながったと思います」と振り返る。

 現在はプラチナバンドやLTEでの通信を支える無線機本体などネットワーク機器の選定・発注・導入の仕事に関わっている。プロジェクト推進のための調整作業も任されており、いわば無線ネットワークの総合職という立場だ。

 ネットワーク機器の多くは海外製。あるときベンダーとの会議に臨んだら、先方は全員が外国人で、当たり前のように英語で商談が始まったことに驚いた。グローバルに広がる通信ビジネスの一端に触れた思いだった。
「もっと大きなフィールドで技術力を広げるとともに、将来的にはマネジメントをやってみたい」と言うのが、池内氏のソフトバンクモバイルにおける目標だ。

池内 一雅氏
ネットワーク建設統括部
無線ネットワーク部 RAN1課
池内 一雅氏
大西 功洋氏
東京技術統括部
無線設計部 無線技術2課
大西 功洋氏
山口 範和氏
ネットワーク企画統括部
無線企画部 システム設計課
山口 範和氏
佐藤 和博氏
人事本部採用企画部
キャリア採用課 課長
佐藤 和博氏

 かたや転職に一抹の不安を感じていたのが、大西氏だ。
「無線通信機器向けの半導体の仕事をしているうちに、だんだんそれらの機器を使って構築される無線ネットワーク自体にも興味を覚えるようになりました。ソフトバンクモバイルを選んだのは、同世代のエンジニアが数多く働いており、若手を生かす社風があると聞いたから。とはいえ、無線の基礎知識はあるものの、オペレーター側で仕事をするのは初めての経験です。経験のないぶん、『積極的に取り組みたい』という意欲を前面に出して面接に臨みました」

 先述したように採用枠が「未経験」も対象となる。そこでは技術のポテンシャリティと同時に、その人個人の意欲が買われる。
「半導体をやっていたわけですから、電気の基礎知識はあると判断しました。その上で、非常にやる気とガッツを感じさせる人でした。話の端々からも適応能力の高さが感じられましたね」
 と、大西氏の採用にあたった人事本部採用企画部 キャリア採用課 課長 佐藤和博氏は語っている。

 現在は、東京技術統括部で無線システムの最適化(チューニング)という仕事に関わる。電波がつながりやすく、かつ周辺基地局と干渉しないようにするために、基地局のパラメーターを変更し、調整を行う。
「無線ネットワークの技術を勉強しながらの仕事なので苦労はあります。ただ、『焦る必要はないよ。一つひとつ身に付けていけばいい』と言ってくれた先輩社員からのアドバイスで、妙なプレッシャーは感じませんね。大船に乗ったつもりで取り組んでいます」

 ソフトウエア会社から転職した山口氏が現在携わる無線企画部は、プラチナバンドでのサービスエリアの拡大に応じて、エリアの設計基準を策定する部署。ネットワークの負荷情報を見ながら基地局のキャパシティをどのぐらい増やせばよいかを全国的な視点に立って判断する。山口氏は、その作業を楽にするため、基地局の電波の状態をマップに表示するシステムをいま開発している。

 今年4月の入社の時点でシステムの開発は6〜7割進んでいて、途中からの参画になった。システムはリリースされたが、社内のネットワーク技術者らがより使いやすいようにするため、これからも絶えず改修を重ねていく。いわば社内SEという立場から、無線ネットワークの向上に関わるのだ。
「無線のことは、いままさに勉強中。教科書で覚える部分もありますが、やはり経験の中で一つひとつ積み上げていくしかない。なるべく短期間でキャッチアップして、いずれはメンバーを率いて仕事ができるようにしたい」
 と、抱負を語る。

企画からエリア現地でのチューニングまで。幅広い無線エンジニアの仕事

 無線エンジニアの仕事は幅広い。まず、より事業計画に近い本社勤務の仕事がある。事業計画に沿って無線網拡充方針、スケジュールおよび予算を企画する。その後、具体的に実務に落とし込むため、無線機器、エリア設計、キャパシティ拡張など設計ガイドラインを策定する。そこでは新規に導入するネットワーク機器などの選定も含まれ、商用に展開することができるようにラボ、フィールドでの検証作業も同時並行し行う。これらを含めて、本社サイドではネットワーク設計のガイドラインを策定し地域の技術部門へ展開する。

 地域の技術部門では、お客様によりよい品質のサービスをお届けするために、より具体的な設計と無線網構築およびフィールドに展開する(ロールアウトと呼ばれる)仕事が待っている。基準に沿って全基地局の設計を個別に進めるのだ。このロールアウトが、あるエリアで動いていた基地局の設定をそのままコピー・ペーストするように、どんどん複製できたらどんなに楽だろう。しかし、そうはいかない。

武藤 実氏
モバイルネットワーク本部
ネットワーク建設統括部
無線ネットワーク部 部長
武藤 実氏

「エリアの状況はそれぞれ異なるし、基地局の立地状況や工事の進捗、周囲のエリアとの干渉状況もそれぞれ異なります。いわば、その一つひとつがカスタマイズ。設計して試験電波を飛ばして、それで終わりというものでもありません。エリア内にはお客様がいますから、トラフィックは常に変動します。トラフィック増に対応した容量拡大(キャパシティアップ)についても、一つひとつ手作りで対応しなければなりません」
 と語るのは、ネットワーク建設統括部無線ネットワーク部・部長の武藤実氏だ。

 エンジニアのそれぞれの経験が、無線ネットワークの仕事にどのように生かせるか、という観点で話を聞いた。
「なんらかの形でモバイルネットワーク設計・構築作業の近いところにいた人は、それがどういうものかは理解しているし、実際に機器に触れているので、私たちと一緒に十分仕事ができると思います」
 と、武藤氏は言う。

 当然、ネットワーク機器や携帯電話端末のベンダーで機器設計などの仕事をしていたエンジニアの経験はダイレクトに生かせる。ベンダーとオペレーター側で立場は変わるが、「信号処理など電気通信的なレベルでの知識はそのまま生かせるし、オペレーター側に移ることで、より広い視野から製品の選定や導入に関わることができるようになります、端末機器の設計者であれば、ネットワーク障害の切り分けなどについて、我々以上に有用な知識をお持ちなのではないかと期待します」(武藤氏)

周辺領域から本丸へ。経験の質と意欲を買われた中途採用エンジニアたち

 武藤氏が技術要件と共に重視するのは、エンジニアの志向性だ。
「市場やニーズの変化に対応しながら、お客さまによりよいサービスを提供するのが私たちの仕事。私が面接で重視するのは、まずは変化対応力とスピード感。自分の仕事だけ見ていてはだめで、社内の、あるいは市場の動きを敏感にキャッチしながら、スピード感をもって仕事を進めていくことが欠かせません」

 もう一つのポイントは本人の意欲だ。
「エンジニアとして何をしたいのか。ソフトバンクモバイルで何をしたいのか。この仕事を通してどのように成長したいのかを、聞きたいですね」

 これまでの面接では、日本におけるモバイルネットワークの将来像をイメージしながら、ソフトバンクグループの業界内での位置を押さえつつ、経営戦略にまで踏み込んだ内容を志望動機にする人もいた。一方では、「自分にはこれができます」と業務的・技術的な内容を中心に話す人もいた。
「どちらの方向でも構わないのですが、要は、『自分は何をやりたいのか』というその人本人の意志。これが明確であれば、面接で話をしていても楽しいし、採用してからもきっとスムーズに職場に馴染めると思うんです」

 言葉や語り口はどんなでもいい。意志あらばそれを示せ、というのが面接での基本的な態度になるのだろう。

世界企業へと展開するソフトバンク。未踏峰に辿り着くための階段づくり

 これまでの周辺領域の経験を活かしながら、意欲をもって無線エンジニアへと転身する3人。彼らの挑戦をサポートするのが、ソフトバンクモバイルの中途採用者向けの教育体制だ。

 といっても、座学やカリキュラムがかっちり整備されているわけではない。「現場で先輩社員とペアで作業してもらい、ツールの使い方一つから教える」(武藤氏)という現場での育成が基本だ。
「2〜3カ月もすれば独り立ちです。まずは小さな仕事を任せ、その成功体験をだんだん大きくしていきます。失敗は想定の内。失敗の数だけ成功も確かなものになっていくんです。もちろん仕事を任せるといっても、任せっぱなしにはしない。倒れそうなものをそっと支えるだけの気配りはしていますよ」
 と、武藤氏は笑う。

 ソフトバンクグループはいまや日本の企業というより、2012年10月にスプリント・ネクステル・コーポレーションの買収を発表した世界の企業。同社のビジネスプランは明確だが、そこへ至るための道筋は未踏峰の山を覆う霧の向こうにある。急斜面を登り、オーバーハングの壁を越え、一歩一歩視界を拓いていくしかない。その階梯を自分たちで積み上げていくのが転職者たちの仕事になる。自分たちが新しいルートを切り拓くたびに、それが日本の、そして世界の通信環境の改善につながるという確信をもって。

 今回の募集は職務経歴に関しての門戸は広く、経験の乏しい応募者にとってのハードルも低い。だからこそ、未踏の階段づくりを自ら担おうとする強烈なチャレンジ精神、志の有無が、採否の決め手になるだろう。

モバイルネットワーク本部ネットワーク建設統括部 無線ネットワーク部 部長 武藤 実氏
1993年東海デジタルホンに入社。東海エリアの基地局の地局設計、無線網構築などに取り組む。5年前東京本社に異動し現在、本社にて無線網中長期計画、無線ハードウエア導入、マイグレーション計画を統括している。
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