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クラウド事業、スマートフォン業務改革、グローバル需要etc.
ソフトバンクテレコムが、エンジニアの大量採用を開始
ソフトバンクグループがグループ全体で400人規模のエンジニアを積極採用する。中でも日本企業のアジア進出に伴うグローバルICT構築需要の増大で、法人向けICTサービスが好調なソフトバンクテレコムのエンジニア採用について聞いた。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:12.03.28
「グローバルICTサービス」を担うエンジニアが必要

 ソフトバンクテレコムが今、注力しているのは、日本企業のアジア進出に伴うグローバルICTのサポートだ。昨年9月には、韓国KT社とデータセンター事業で合弁会社を設立。東日本大震災後の急増するデータセンター需要および国内電力需給状況に応えるとともに、国内の広域災害に対するバックアップ体制を強化することを主な目的としたものだ。すでに慶尚南道金海市に「プサンデータセンター」が竣工しており、今年2月からサービスを開始している。

石岡 幸則氏
ソフトバンクテレコム株式会社
執行役員
営業・事業副統括/営業開発本部 本部長
石岡 幸則氏

 中国では、大手ITサービスプロバイダーGDS Service Ltd.(北京)と提携して、日系企業向けのクラウドサービスを中国各地で5月から始める予定だ。提供するサービスは、仮想ソフトウェアの米国ヴイエムウェア社との事業提携による「VMware vCloud ® Datacenter Services」。企業が海外拠点に新たにシステムを構築する場合でも、既存のシステムと同様の環境が容易に構築でき、さらにITリソースの拡張もスムーズに行えることをメリットにしている。

 英Cable&Wireless社、米Verizon社、Singapore Telecom社、など大手海外キャリアとの相互接続によるグローバルIP-VPN事業も現在120カ国以上で展開されている。今後は、グローバルサービスの拡大に伴い、韓国、中国だけでなくアジア全域でのエンド・ツー・エンドの接続サービスやクラウドサービスを展開していく。

「これまでの私たちのサービスは、国内の企業向けのものが中心でした。しかし、日本企業のグローバル展開の加速化を前に、私たちの意識も国内に閉じたものであってはならない。最初は国内のサービスとして提供し、その信頼性を高めた上で、それをグローバルサービスとしてさらに高度化していく必要がある」
 と語るのは、ソフトバンクテレコム執行役員の石岡幸則氏(営業・事業副統括/営業開発本部 本部長)だ。つまり、「グローバルICTサービスのエンジニアリング」が、これからのソフトバンクテレコムのエンジニアに求められる第一のミッションということになる。

インフラから新しいデバイスを活用したソリューションの提供

 グローバルICTとは、具体的にはどのようなソリューションなのか。ソフトバンクテレコムが関わったいくつかの構築事例を挙げてみよう。例えば、昨年10月より全日本空輸(ANA)グループ全客室乗務員へアップル社のiPadを約6000台納入した。ANAでは、客室乗務員が搭乗の度に持ち歩いていた2kgもの乗務マニュアルの電子化をはじめ、管理業務の改革や、iPadを活用した自己学習形式の導入など、教育訓練業務の改革を推進する。また、そのマニュアルは単なる電子化ではなくマルチメディアコンテンツとして再構成を行った。これにより、検索や関連項目の閲覧の利便性が格段にアップ。マニュアルの改訂もクラウドサービスを利用し配信することが可能だ。そのほかにも、端末ごとに必要なセキュリティ対策を一元的に提供するMDMサービス、さらに、国内4空港内にWi-Fi環境を構築し、ANAの業務効率化をトータルで支援した。

 iPhoneの導入では、ユニクロのファーストリテイリングの事例もよく知られている。ファーストリテイリングは、2010年3月の東京本部移転に合わせて、アップル社のiPhoneを約1200台導入している。ソフトバンクテレコムは、新東京本部におけるWi-Fi環境の構築や拠点間をつなぐネットワーク、FMCサービス、メールやスケジュールなどのコミュニケーション基盤、TV会議システムなども構築しており、iPhone活用はその延長線上にあるものだ。

 さらに精密小型モーターの開発・製造において世界一のシェアを誇る日本電産も、2010年にソフトバンクテレコムと提携して、日本電産グループ全体を対象とするデータネットワーク・音声ネットワーク環境などを全面的にリニューアルしている。

 このように日本発のグローバル企業が次々にソフトバンクテレコムのソリューションを導入する背景には、優れたコスト意識や構築スピードと共に、固定回線、Wi-Fi網から社内LAN構築、さらにはモバイル端末を利用した業務改善まで一貫して行える総合力があると言える。

 さらに、ソフトバンクテレコム自社における業務のICT化によるノウハウの蓄積も見逃せない。2010年春からクラウドを導入し、iPhoneやiPadの活用を広げてきた。社内では「ホワイトワークスタイル」と呼ばれるものだが、場所や時間を問わずに幅広い仕事がこなせるようにしている。

 例えば、iPadの活用は顧客向けのプレゼンテーションの現場でも広がっている。
「プレゼンテーションで活用する動画は内製化されており、出演者や撮影者も社内の人。これを社内SNSで共有し、いつでも引き出して使えるようにしている。お客さまにソリューションを提供する私たち自身が、いつでもどこでも仕事をこなせるスキルを身に付けるのは当然だからです」と、石岡氏。

 企業内で急速に進むスマートフォンのソリューションを先取りし、それに伴う業務改善効果やセキュリティ対策などが日々ノウハウとして蓄積されている。さらにその経験からソリューションメニューが生まれていることも、同社の強みの一つと言えるのだ。石岡氏はそれを「ソフトバンク・オンリーワン・サービスの提供」という言葉で表し、エンジニアが達成すべき第2のミッションに挙げるのだった。

BtoB事業の先に、常に世界のエンドユーザーのデマンドを感じ取る感性

「社内のエンジニアの多くはネットワーク技術者。そこにシステム系の技術者を強化することで、クラウド・インターネットのサービスを強化する」と、石岡氏は今後のエンジニア採用戦略を語る。

 データセンターにおけるサーバー技術の開発・運用者やネットワーク設計の専門家も当然必要だが、今後はさらに法人企業向けにプラットフォーム構築や保守・運用にあたるシステム・エンジニアを増やしていく。

 バックグラウンドの教養は、工学系、情報系だけにとらわれない。経験値も幅広い方が望ましい。コンサル、SEとしてICTソリューションの提案をしてきたような人材がベストだが、それにこだわってはいない。ただ、「規模はどんなに小さくてもいいが、プロジェクトマネジメント経験はあったほうがベター」。想定外のトラブルに対して、チームをまとめ、総合的な技術力で乗り切るための胆力のようなものが、この仕事には不可欠だからだ。

「現場で回線をつなぎ込む作業などは、協力企業にお任せすることができます。むしろこれからのソフトバンクテレコムのエンジニアは、企業のCIOと直接会話ができて、お客様のIT中期計画を提案できるような人材として育ってほしいと願っています」(石岡氏)

 先のグローバルICTという事業路線からは当然、海外勤務という選択肢も出てくる。
「特にICT需要が急成長するアジア市場でもまれるというのは、これからのエンジニア人生の中でかけがえのない経験になると思いますよ」

 ソフトバンクテレコムは、もちろんソーシャルゲームやオンデマンド動画や業務アプリケーションを作る会社ではない。しかし、そうしたコンテンツ次第でトラフィックが増減することは、ICT技術者として当然知っておかなければならない。法人向けのサービス提供というB to B事業の先に、常に世界のエンドユーザーのデマンドを感じ取る感性は欠かすことができない。
「企業とコンシュマーをつなぐ役割と責務が私たちにはあります。それがこの仕事の最大の醍醐味と言ってもいいかもしれません」と、石岡氏は同社における仕事の魅力を語っている。

ソフトバンクテレコム株式会社 執行役員 営業・事業副統括/営業開発本部 本部長 石岡 幸則氏

日本テレコム株式会社(現ソフトバンクテレコム(株))に入社後、システムエンジニアリング本部長を担当。
その後、2008年7月より執行役員 ICTエンジニアリング本部長などを経て、現在、執行役員 営業・事業副統括 兼 営業開発本部 本部長を担当。

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