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求む!家電、電機、産業用機械、工作機械、サプライヤー…出身者

エコカー

エコカー大普及時代!
電気系エンジニアの争奪戦始まる

PHVやEVなどエコカーの開発が世界中の自動車メーカーで行われ、今年は販売ラッシュが続く。これらの開発には電気系エンジニアが中心となるが、経験者の絶対数が少ないため、異業界からの転職者も少なくない。そのニーズを追った。

(取材・文 総研スタッフ/高橋正志 撮影/刑部友康、関本陽介) 作成日:12.07.04

世界で続々と発売されるエコカーたち、異業界エンジニアにチャンスあり


(編集部が作成)

1997年に発売されたトヨタ自動車の「プリウス」から15年。日本の完成車メーカーは世界に先駆けてエコカーの開発を続けてきたが、この5年ほどで米国、欧州各国、そして新興国でも開発がスタートし、今年と来年で販売ラッシュが続く。この数年が「大普及期の始まり」と呼べるほどだ。

開発の対象車はハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、そして電気自動車(EV)。どれも共通しているのはモーターとリチウムイオンなどの二次電池を搭載し、電気で制御していること。関連するサプライヤーもガソリンエンジン車で中心だったメカトロ系メーカーではなく、電気、あるいは化学・材料系のメーカーが多くを占める。

しかし、完成車メーカーでもサプライヤーでも、クルマ作りに関わる電気系エンジニアや材料系エンジニアはほとんどいなかった。また、わずか十数年の歴史では、「生粋のEVエンジニア」などの人材はまだまだ育っていない。そこで熱望されているのが、異業界出身のエンジニアだ。
家電、電機、産業用機械、工作機械などのメーカー、そして各種のサプライヤー。今、エコカー開発に参加できるチャンスが、思わぬ業界のエンジニアに広がっている。

電気系5職種で募集、家電、産業機械、工作機械…異業界からの参入を歓迎
メイテックネクスト

エコカーを統合するシステム制御、思わぬ業界に転職のチャンス

メイテックネクスト

株式会社メイテックネクスト
CA統括マネージャー
河辺真典氏


「完成車メーカーもサプライヤーもエコカー開発に注力しており、電気系エンジニアの採用意欲が高まっています。特にEV開発の中心となる電気系エンジニアは、過去、採用の中心が機械系エンジニアであったため少なく、異業界からの転職者が一般的です」

各社がエコカーに開発熱を注ぐのは、欧州の排ガス規制など世界的な環境規制が背景にあると、株式会社メイテックネクストの河辺真典氏は語る。完成車メーカーは特にEVを開発してシェア拡大を目指さないと、先進国だけでなく、今後の環境規制強化が予想される新興国市場で勝てなくなるからだ。

「シェア拡大には車種の増加が欠かせませんが、車種単位でプロジェクトチームを立ち上げるため、メンバーのエンジニアが必要になります。その意味でも採用が継続しており、現在募集しているエンジニアは3〜4年先に発売する車種のためでしょう」
EVPHVEVとタイプは分かれても、求める電気系エンジニア像は同じで、募集職種には大きく分けて次の5つがあるという。

1番目はシステム制御職。募集企業は完成車メーカーやサプライヤー。EVは車体にモーター、電池、制御基盤を載せれば走るというものではない。これらを統合させて全体を設計するシステム制御が要となる。HVならここにエンジンが加わる。エンジンを軸にしたシステム制御エンジニアは社内にいても、モーターを軸とした人材はいないので、異業界からの人材が求められているのだ。

「溶接などの産業用ロボットやNCなどの工作機械、半導体製造装置などのシステム制御経験者であれば転職は可能と思います。実際に、産業用ロボットメーカーの多軸ロボットのシステム制御者が、完成車メーカーやサプライヤーに転職しています。こうした人たちの多くは自分のスキルがEVで活かせると思っていないでしょうが、大きなチャンスです」

モーター開発とその回路設計、家電メーカーから完成車メーカーへの転職も



2番目の職種はモーター開発。モーター専業メーカーでモーター制御全般の経験があれば、十分に転職できるという。募集企業はモーター関連のサプライヤーに加えて完成車メーカー。自社でモーター開発をしていない完成車メーカーでも、サプライヤーと折衝したり、購入したモーターの評価や最適な機能を考えるスペシャリストが必要になるからだ。

「モーター開発者は大抵、モーターを最適に動かすモータードライバICの開発にも関わります。また、モーター専業メーカーであれば顧客の要望を聞いて開発を行います。こうしたスキルも高い評価を受けるのです。人材が少ないため、小型から大型まで多少サイズが違っても大丈夫でしょう」
例としてはモーター専業メーカーや大手総合電機メーカーから、完成車メーカーへの転職があるという。ハードディスク内のモーター開発エンジニアが、完成車メーカーに転職した例もあるそうだ。

3番目はモーターを制御するアナログ回路の設計者。特に最近では、パワー半導体の上に回路を載せて周波数で制御する、アナログデバイスの経験者が人気とのことだ。ECUなどに使うデジタル回路設計者は社内にいても、彼らには従来の仕事があるし、そもそもアナログ回路とは技術領域が異なるので容易に対応できない。
ニーズは完成車メーカーとサプライヤーのほか、モーター専業メーカーからもあるという。モーターと回路をユニットにして販売できるメリットがあるからだ。

「ただ、アナログ回路の経験だけでは弱い。アナログ回路を深く理解し、ゼロから組み上げられるノウハウのある人なら引く手あまたです。こうした人には高周波での誤作動を封じるテクニックなど、職人技的なノウハウがあるからです」
転職者の候補となる異業界は家電メーカーが多いそうだ。液晶テレビのアナログ回路、プリンターやパソコンの電源周りなどの経験者で、完成車メーカーへの転職が多いという。

リチウムイオン電池は電気系なら異業界OK、機械系は苦境


4番目はリチウムイオン電池。募集企業は完成車メーカーやサプライヤーで、開発職の候補は化学メーカーの素材系エンジニア。ただ、ピンポイントでない人材の転職は難しいという。
「2000年前半に各社がリチウムイオン電池の工場を立ち上げ、『電気化学のわかる人』を積極採用して育てました。また、小型を中心に装置産業化が進行し、業界の再編やリストラもあり、リチウムイオン電池の開発者は比較的流動しています。そのため、経験者でないと転職は難しいと思います」

5番目はリチウムイオン電池の充放電を制御するアナログ回路設計者。完成車メーカーやサプライヤーのほか、総合電機メーカーからの求人もあるそうだ。求める人材はモーター用アナログ回路設計者とほぼ同じだという。

電気系に比べて機械系エンジニア、特に内外装系の募集は少ないという。EVの車両設計は車両メーカーが担当しても、内外装系は車種ごとに違うのでニーズは生まれそうに思える。この理由を河辺氏は、「技術をブラックボックス化できないから」と語る。
「極端に言えば、機械系の技術は他社が見れば真似できてしまう。また、開発の現地化も検討されている最中、人材が必要な場合には特定派遣会社に依頼するケースが増えているのだと思います。内外装系のサプライヤーについては、完成車メーカーの海外生産拠点では現地調達が主流となる中、厳しいコスト競争から中途採用も厳選採用が続いている状況です」

一方、電気系の部品やシステム制御はブラックボックス化できるし、ここがエコカーのコア技術になるので、自社の社員として雇用する傾向が強いという。
「大手企業は今後も、『コア領域』と『ノンコア領域』を分けて、グローバル市場で戦うべくコア領域の積極採用を続けると思われます。転職活動をするなら、早いほうがよいと思います」

完成車メーカーのエンジニア採用が復活、中心職種は電気系に加えて材料系も
リクルートエージェント

今年度から完成車メーカーが積極採用開始、サプライヤーが続く

リクルートエージェント

株式会社リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
プロフェッショナルサービス一部
3グループ
(電気・電子・化学業界 エンジニア担当)
コンサルタント
小野 崇氏

「今年度に入ってほぼすべての完成車メーカーの中途採用が復活しています。震災やタイの洪水などダメージを乗り越えて各社の業績が回復し、海外売上比率を上げる計画や、具体的な生産目標を立てる中で、人材の増強が必要になってきたのでしょう」

ここにはエコカーに限らず、ガソリン車への人材も含まれると、株式会社リクルートエージェントの小野崇氏は語る。中でも電気系エンジニアのニーズが強く、大まかな割合として電気系が6割、材料系が3割、そのほかが1割程度という。また、開発職以外では生産技術者も募集しているそうだ。

こうした完成車メーカーの勢いを受けて、サプライヤーの採用意欲も高まっているという。完成車メーカーが生産拠点の海外移転を進めるのに伴い、サプライヤーも現地での生産を始めるようになり、開発拠点を置くようになった企業も出てきている。

「製品開発のための採用もありますが、海外拠点にエンジニアを送ると国内に人がいなくなるので、その補強という理由もあると思います。サプライヤーは開発製品によって求める職種や人材は異なりますが、サプライヤー全体を通して見ると、募集職種の割合は完成車メーカーと同じで6:3:1くらいになると思います」

軽量化のために材料系エンジニアを募集、狙いは燃費の向上



エコカー開発では現在、そのスピードアップが優先課題となっている。他社よりも早く市場に投入し、自社のシェアを拡大させたいという狙いからだ。そのため企業間での技術提携や共同開発なども積極的に進められているが、同じように開発の課題となっているのが燃費の向上だという。
これはエコカーに限らずガソリン車でも同様で、燃費を上げるために軽い素材を使ったり、各部品間の抵抗を減らしたりするのだが、EVにとって車重の軽量化は航続距離の延長にもつながる。

「キーワードは材料の『置き換え』です。鉄よりもアルミ、アルミよりも樹脂、樹脂よりも炭素繊維、炭素繊維に変わる新たな材料を研究する企業もあります。鉄やアルミの専門家は社内にいても、樹脂、炭素繊維、その先を探せるエンジニアがいないため、主に化学メーカーや材料メーカーのエンジニアが募集対象となります」

これらの材料を使うのは車体や外装部品だけでなく、エンジンやトランスミッションなどの部品も含まれ、完成車メーカーやサプライヤーでニーズがあるという。完成車メーカーではかなりピンポイントで経験を問うが、サプライヤーではその基準が一段階下がり、応募者の幅が広がっているそうだ。

電気系はモーターにリチウムイオン電池、生産技術職の募集も



電気系エンジニアで求められているのはモーターやリチウムイオン電池の開発、およびこれらを制御する回路設計。モーターの開発職募集は完成車メーカーが中心で、購入するモーターのサプライヤーとの折衝、購入したモーターの搭載設計などが仕事になる。異業界転職の主たる対象はモーター専業メーカーのモーター開発エンジニアだ。

一方、リチウムイオン電池では、素材系エンジニアの求人もあるが、充放電を制御する回路設計や制御設計の「電源マネジメント職」が多いと語る。
「バッテリーは使い切ってから充電したほうが寿命は長くなりますが、EVの充電ではそううまくいかない。例えば、そんな状況でいかに効率よく電池を使い、長く持たせるかといった制御を行う人材です」

こうした回路設計者はモーターの制御用にも求人があり、どちらも家電、エアコンなどの白物家電、産業機械、ロボット、工作機械などの回路設計者なら、十分に異業界転職が可能ということだ。
エコカーに欠かせないパワー半導体の開発者も完成車メーカーやサプライヤーが求めており、人材は総合電機メーカーでのパワー半導体開発者が主な対象となるという。

ほかの職種では、電気系ではないが完成車メーカーでの生産技術職。軽量化した新しい部品を内製するため、あるいは購入して車両に搭載するための、生産ラインを作るニーズからだ。こちらは異業界での生産技術者も対象になる。
「登録者の方と話していて、『前はなかった完成車メーカーの求人が今はあるのですね』と聞かれることが多くなりました。各社の今年度の採用計画が見えてきたこともあり、復活した完成車メーカーのエンジニア採用意欲は、今年度いっぱい続くと思います」

本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。 Supported by リクナビNEXT

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