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ヨーロッパの経済不安がギリシャからスペインへと広がり、円高は高止まりを続けたまま。メーカーの新興国シフトも現地でのシェア争いは過酷であり、日本経済に朗報は聞こえてこない。 そんな中、エンジニア中途採用市場で気を吐くのはIT系企業だ。SNS系企業の採用熱は相変わらず旺盛で、大手プラットフォーマーからSAPまでが幅広い技術職種を募集している。SI企業は金融案件を中心にシステム開発のSEを募集しており、通信キャリアではネットワークエンジニアのまとまった採用を始めた。 事業会社でもIT系職種が人気だ。大手企業では社内のキーパーソンとしてのITコンサルタントの募集が広がり、社内SEを求める企業も増加しているという。 こうしたIT系職種の採用拡大は1年以上前から続いているが、最近では徐々に採用基準が上がりつつあるようだ。ハイパーな人材が争奪戦になるのはいつの時代も同じだが、問題はそれ以外の一般的なエンジニアの市場価値。キャリアアドバイザーたちは7月以降もこの状態が継続すると予想しているので、転職を考えているエンジニアは、忙しくても早めに動くべきだろう。 一方で、日本の屋台骨を支えてきたメーカー各社は低迷が続く。大規模なリストラが続く家電業界や半導体業界の下降傾向は止まらず、好調を続けてきたサプライヤーはまだ勢いを失わないものの、この数カ月で存在感を示し始めたのが特定派遣会社だ。 キャリアアドバイザーたちの話を聞いていくと、特定派遣会社の成長の背景にはメーカーからの受注増がありそうだ。すなわち、メーカーは先端技術の即時獲得や納期の短縮化を目的に、即戦力のアウトソースを増加させているということだ。 特定派遣会社の求人職種には開発職が目立ち、制御ソフト、電気・電子、機械・メカトロニクスと幅広い。従来は社内の人材だけでの開発が特徴だった、化学メーカーにもしだいにその傾向が表れてきている。 正社員として自社製品の開発にこだわるモノづくりエンジニアは少なくないだろうが、特定派遣会社が転職の選択肢となっていることは間違いない。転職活動の第一歩は「現状把握」から。まずは冷静な目で収集した情報を分析し、フットワークの軽い転職活動を始めたい。 |
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※2011年4月の「IT通信・インターネット業界」の求人人数を0値として、職種ごとの求人数の推移をグラフ化した。 | |
※リクルートエージェントのデータ(2012年5月まで)を基にTech総研編集部が作成。 |
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元気なのは産業機械メーカーとそのサプライヤー、自動車の完成車メーカーとそのサプライヤーです。自動車サプライヤーはTier3(3次部品サプライヤー)など多くの求人があり、長く堅調を維持しています。 ほかの業種では、半導体製造装置メーカーの求人数は横ばい、自動車業界など活況な業界と比較すると思ったほど求人数が伸びていないのが医療機器関連。開発サイクルが長いせいか、エネルギー関連の求人も目立たず、中途採用市場ではあってもピンポイント採用が中心です。 業界全体で業績が悪化している家電関連は、全般的に非常に厳しい状態。売上減や不景気も理由でしょうが、「機能の限界」も大きいと思います。画像の画素数やDVDの録画機能など、今以上の高い付加価値が付けにくい分野が多いという意味です。 こうした状況を見極めて、異業界に活路を見つけるという選択肢もあると思います。その場合、制御ソフトエンジニアに重視されるのはハードウェアの知識や経験です。これらがなければ理系の基礎的な素養が求められるので、理系学部出身者が有利。逆に言えば、文系出身の制御系SEで転職を様子見している人は、そうした動きが強まってくる前に、早めに転職活動を始めたほうがよいでしょう。 求人数で存在感を示すのは特定派遣会社で、数百人規模のエンジニアを採用する大手企業もあります。自社のエンジニアに新しい技術を習得させるより、即応性の技術力を持った外部の人材に開発を任せる傾向が、先端製品を扱う大手メーカーに強くなってきたことがその背景にあると考えられます。 そのためか、メーカー側でも制御ソフトエンジニアを募集しているものの、採用のハードルが高くなっています。また、こうした企業に派遣される特定派遣会社のエンジニアも、メーカーでの上流工程の経験者などレベルが高くなりつつあります。 このような特定派遣会社の優秀層であれば、中堅・中小企業のメーカーに正社員として転職できると思います。ただ、その企業が時代に合った特殊技術などを持つ企業ならともかく、そのような目立った技術がなければ、メーカーとはいえ必ずしも安心のできる企業とは言えません。一方、特定派遣会社は給与や待遇も中堅・中小企業と同等かそれ以上ですし、勢いのある企業から依頼があるわけですから、先端技術に触れられるメリットもあります。 個人的に今後有望な業種は、デジタル家電のようなB to C型で開発ゴールの近いものではなく、産業機械のようなB to B型メーカーになると思います。製品の価格が高くなっても、高精細、高速度、安全重視といった「日本の企業でしか作れない」強みが出せるからです。 大手メーカーでは大規模なリストラが始まっていますが、この受け皿になるひとつが特定派遣会社ではないかと思います。その求人増もあり、天気マークはひとつランクアップさせて「晴れ」にしました。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 キャリアプロモーション一部 技術系CA3グループ キャリアアドバイザー 畑中澄夫氏
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アプリ系エンジニアの大きな求人枠は、SAP(ソーシャル・アプリケーション・プロバイダー)とSI企業です。どちらも求人数が伸びています。 SAPでは大手プラットフォーマーが引き続いてエンジニアの積極採用を進めており、プラットフォームにコンテンツを提供する、コンテンツプロバイダーも採用意欲が旺盛です。前者はかなり採用基準が高く、後者は企業ごとに採用基準に動きがあります。求人意欲は旺盛でも、ある程度の採用人数が満たされるとハードルが上がる場合もありますので、動向には注意が必要です。 また、この半年ほどの特徴は大手ゲームメーカーの参入です。ソーシャルゲームを開発できるエンジニアが自社にいないので中途採用を始めたわけですが、順調に採用が進んでいることから他社も参入を決断し、業界としての本格採用が始まったようです。 SAPのエンジニアに求められるのは、OSはLinuxやUNIX、開発言語はJava、PHP、Perl、Objective-Cなどで、開発経験が1年以上。引く手あまたでありながら採用基準は上がっており、一定の技術力は必要。先のスキル以外に、データベースやネットワークなどの周辺技術がわかれば有利になります。専門的に担当はできなくても、これらの部署のエンジニアと会話や折衝ができる技術レベルです。 SAP業界の積極採用は今後もしばらく続くと思いますから、転職を考えるなら7〜9月に動いた方がよいでしょう。 SIでは大手企業が採用を強めています。そして、この動きに伴って2次請け、3次請けベンダーの求人も増えています。この要因は金融系案件の増加で、銀行、証券、保険、カードからまんべんなくあり、客先常駐の業務形態になると思います。 基本的に求められるスキルはJava+Windows。金融関連は業務知識が重視される場合もありますが、現状では「あればなお可」のレベルです。 また、プライムベンダーが募集しているのでこちらに人気が集まり、中小のSI企業ではなかなかエンジニアが採れていない状態です。であれば、2次請けでも独自の技術や得意分野を持ち、安定している企業を狙うのも手ですし、今ならチャンスが広がっています。 社内SEも堅調です。ただ、自社開発した業務管理用のスマートフォンアプリを外販するとか、コンサルティングファームに依頼していたシステム開発を即時対応できるよう内製化するとか、高度なスキルが求められるケースが多いです。開発エンジニアに近い業務を担う社内SEです。 総じてアプリ系SEの求人は好調であり、この状態は9月くらいまで続くと思います。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 キャリアプロモーション一部 技術系CA1グループ キャリアアドバイザー 越前谷匡史氏
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事業会社の大手企業から、複数名単位でコンサルタント経験者を求める求人が、ゴールデンウィーク明けから入ってきました。メーカー、総合商社、流通系など業種はさまざまですが、共通点はグローバル化を強化していること。海外の拠点をつなぐシステムの構築や、買収した外国企業とのシステム統合などが目的で、英語でのコミュニケーションが求められます。 事業全体をとらえて、ITの今後あるべき姿を描くグランドデザインは自社のSEには難しく、また業務内容を整理し、効率化できる仕組みを考え、かつ英語も堪能な人材はなかなか社内にいないため、コンサルタントの経験者を求めているのです。 こうした案件はコンサルティングファームに依頼しており、それは現在でも継続しているものの、従来が「全てを一任」の状態だったのに対して、それだけでは改革がうまくいかないため、社内にキーパーソンを置く必要を感じてきたようです。 求めているのはITコンサルタント経験者で、IT知識、コンサルタント能力、加えて英語力が条件になります。こうしたニーズは上半期いっぱい続くと思います。 プラットフォーマーやSAPからもコンサルタントの求人が出てきました。理由は2つあり、ひとつは新規事業を含めたサービス企画の立案。例えば、40代のファミリー層向けにはどんなコンテンツが訴求力を持つかといったような、企画ができるコンサルタントの募集です。もうひとつは業務改革。サービス開発に邁進して業績を上げ、組織が大きくなってきたため、社内制度の効率化やオペレーションの見直しなどを始めているようです。 ほかにも流通、小売、化粧品、アパレルなどでもコンサルタント経験者を求める求人が多くあります。例えば化粧品の対面販売からECへの販売チャネルの改革など、Webを使った販売が業界全体で拡大しているようです。 コンサルティングファームの採用意欲も相変わらず旺盛です。大手企業では若手のSEを、業務特化型の中小企業では即戦力を求める構図は以前と同じです。特に金融系のニーズが続いており、ネットバンキングやネット証券など、Webサービス分野でニーズが強まっています。 全体的に求人数は前回と同じで、7月以降もこの状態が続くと思います。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 プロフェッショナルサービス一部 1グループ コンサルタント 垣見大介氏
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求人数は横ばいで、おおよその状況も前回と似ていますが、社内SEの求人が増えています。ネットワーク、サーバー、OSを問わず幅広い経験があり、社内のシステム周りを見られる人。求人企業は事業会社、ネットビジネス系の企業、サプライヤーなど多岐にわたっています。また、流通系ではクラウド化で運用コストを減らすため、社内に専用のネットワークエンジニアを置きたいという企業もあります。 こうした募集は1〜2人が多いので、求人を見つけたら早めに動いてください。 通信業界からの求人も増加中で、今後も拡大するのではないかと見ています。通信キャリアが通信状態を向上させるためのエンジニアを募集しており、これが下請け企業にも影響して、求人数が広がっています。通信業界で全般的に見られる職種はネットワークエンジニアです。 一方、サーバーエンジニアを求めているのは大手のプラットフォーマーを含めたSAP業界。インフラを強化するための求人ですが、アプリ系SEと異なり採用人数は少なめです。また、ネットワークやサーバーだけでなくデータベースにも理解があるなど採用基準がかなり高いので、なかなか採用には至っていません。 求めるエンジニアの経験やスキルは企業によりさまざまです。保守の経験しかなくても、VMware、Citrix、Cisco、Juniper、Oracle、Microsoft、RedHat(LPIC)などの資格があれば自社で育てるという企業もあります。また、スイッチの設定ができる、自宅でサーバーを構築しているなどの個人的な経験を評価する企業もあります。 キーワードとなるのはやはり仮想化。運用や保守の求人でも仮想化の知識を求める企業が多くありますので、VMwareやCitrixなどの知識は評価されます。 一方、ビックデータ系の求人は前回と同じくまだ見かけません。データベースに習熟したネットワークエンジニアが少ないこと、統計学を用いたデータマイニングという特殊分野であることなど、絶対数の少なさもその理由でしょう。 最近はインフラを含めたネットワークエンジニアの仕事が増えて、個人も企業も忙しくなっているようです。このため、面接に行けなくなったエンジニアや、面接の再設定をする企業が増え、なかなか面接が実施できなくなっています。 こうした状況から、転職活動は早めの行動を心がけて動くことが、より重要になります。何とか時間をやりくりして、早めに面接の機会を設けるなどで、道を拓いてください。 4月から期が変わり、本年度から新たに増えた求人もあります。7月以降も求人は下がることはなく、悪くても横ばいになると考えます。少しずつ増えることを期待して、天気マークをひとつ上げました。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 キャリアプロモーション一部 技術系CA1グループ キャリアアドバイザー 高山淳子氏
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電気系エンジニアの求人数は1月から減少しているのですが、その状況でも元気があるのは相変わらず自動車サプライヤーです。求人が復活した企業もあり、外資系企業からの求人も目に付き始めました。日本企業は開発系職種が多く、外資系企業ではアプリケーションエンジニアがほとんどです。 職種別では生産技術現場での求人もあります。産業機械メーカーや自動車サプライヤーなどが求めており、生産設備の電気制御ができる人やシーケンスプログラムが書ける人などです。また、重電系やプラント系メーカーからの求人も引き続きあり、ここではパワエレ回りのエンジニア求人が多いです。 また、少ないながらもぽつぽつと求人があるのが元気なベンチャー。白物家電で業績を伸ばしている家電メーカーが回路設計者を求めていたり、蓄電池メーカーが回路設計者や品質保証を募集しているなどです。 技術特化型企業からの求人もあります。特殊用途向けの通信機器メーカーや、医療機器メーカーに医療器具を納入する開発メーカーなどです。どれも採用人数は少ないのですが、こうした企業が出てきたことは朗報に違いありません。 近年では大手企業が大規模なリストラをしており、エンジニアもその対象になっています。装置メーカー等からは、そうした理由で転職市場に出てきたエンジニアをぜひ迎えたいとする声も少なくありません。 動きが少ないのが家電メーカーと完成車メーカー。家電は業績悪化が理由でしょうし、完成車メーカーはもともとプレイヤーが少ないからだと思います。 特定派遣会社からの求人は継続してあります。納期の短縮を図るため、あるいは自社にない技術を取り入れるため、必要な人材をアウトソースする企業が増えています。特定派遣会社で求める人材は幅広く、大学での電気系学部の知識や、設計ではなく評価の経験で採用する場合もあり、総じてチャンスが広がっています。 本年度の採用計画が本格化していないこともあり、7月以降はこのまま求人数が下がり続けるか不明です。ただ、現在の求人数は下降傾向にありますので、天気マークはひとつ下げて「曇り」にしました。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 キャリアプロモーション一部 技術系CA3グループ キャリアアドバイザー 南 浩司氏
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自動車業界はサプライヤーを中心に好調。ただし、東海圏の企業が目立ちます。2004〜2005年にはエンジニア募集がかなり伸びましたが、その時期と同じくらいの求人数があります。ただ、当時はCADが扱えれば採用もあり得ましたが、今では3年以上の設計経験が必要。製品や業界は違っても大丈夫です。 一方、関東圏で募集しているのは大手企業が少なく、産業用装置、製造装置、検査装置、医療機器など、B to B型でニッチトップといった技術特化型の中小企業が目立ちます。ただ、こうした企業には人が集まるので内定を得るのは予想以上に難しいですし、関東から出たくないと語る人が多いので、採用枠はますます厳しくなります。勤務地にこだわる気持ちはわかりますが、広く東海や関西まで視野を広げてはいかがでしょうか。 重工業系では複数のメーカーから求人があります。海外向けのタービンや発電機の開発エンジニアで十人規模の採用などもあり、今後の伸びも期待できそうです。すべての企業ではありませんが、自動車など異業種からの転職も可能です。 ユーザーに直結するコンシューマー製品ではないため、二の足を踏むエンジニアもいるのでしょうが、海外の同業他社に勝てる実績を持つ企業が多くあります。また、設備投資が巨額となるので新興国などの参入ハードルが高い、給与や待遇も安定的といったメリットもあります。十分に考える価値があると思います。 もうひとつ伸びているのは特定派遣会社です。大手企業が特定派遣会社に発注する人数が増えた分だけ、こうした企業の正社員募集が減っている感もあります。特定派遣会社には「社内の研修で一人前に育てる」という企業が多く、ある程度のCADの経験があれば採用されるケースもあります。 家電関連の求人はないと言ってよい状態です。逆にこれからはリストラなどで転職市場に出てくる人が増えると思いますが、私は特定派遣会社を「技術力を磨く」という観点で見逃せないと思っています。以前とは産業構造が変化しているため、汎用性が薄れた技術を生かせる企業を探すのは難しい。ならば、特定派遣会社で先端的なさまざまな業界を経験して、足腰を時代に合わせてはどうでしょうか。 さまざまな状況の変化で、現在では派遣社員が担当する技術領域は以前と異なり、より高度なものとなっています。先端分野の担い手としての活躍も目立ちます。こうした現状を理解し、企業研究を重ねてください。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 キャリアプロモーション一部 技術系CA2グループ キャリアアドバイザー 山田乃理子氏
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前回と比べて新しい動きは少ないのですが、半導体系エンジニアの求人数は減少しています。もともとメモリメーカーはプレイヤーが少ないのですが、会社更生法の適用やリストラを行う企業があり、求人する企業も減少しています。 とはいえ、一部に開発エンジニアを募集している大手メモリメーカーやFAEを募集する外資系メモリメーカーの求人があります。そのほかでは、継続して採用があるのがパチンコなどのアミューズメント機器メーカーのLSI開発、ベンチャー企業では特定用途向け半導体のFPGAの求人があります。 私が現在登録者の方に勧めているのは、使う側の企業へのキャリアチェンジ。半導体メーカーでの開発職ではなく、半導体を使う事業会社の回路設計者になるなどです。 ただ、半導体一筋の開発者にはボードを作ったことのない人もおり、難易度の高いケースはあります。また、装置よりも携帯電話など、商材が小型機器のほうが採用されやすい傾向があります。こうしたさまざまな要素はありますが、一度考えてみる価値はあると思います。 こうした事情もあり、今は「応用が効く人」が求められていると思います。大学や大学院でしっかりと電気を学んで、半導体とボードをつなぐ回路や、半導体の電源部など、ある部分はしっかりと取り組んできた方です。 もちろん、無理にキャリアチェンジをする必要はありませんが、先のように半導体業界ではプレイヤー企業が少ない。現在の会社が将来も安心とは言えないでしょうし、リストラのリスクもありますので、転職の準備を始めるに越したことはありません。 7月以降はまだ不透明ですが、厳しい状況は続くと思いますので、天気マークはひとつ落としました。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 キャリアプロモーション一部 技術系CA3グループ キャリアアドバイザー 南 浩司氏
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化学系エンジニアの求人は減り続けています。採用基準も変化しつつあり、以前は「有機系」「無機系」など大枠での条件でしたが、製品名や材料名を記した狭い方向に進んでいます。 採用のこれまでの中心は大手を含めた化学メーカーでしたが、現在では特定派遣会社が伸びています。開発の中心は自社で行っても、評価や同一製品のスケールアップなどのアウトソースできる部分、自前でやらなくてもすむ部分の線引きを、化学メーカーが始めたからではないでしょうか。 事業会社の材料部門での求人も根強くありますが、1社で1〜2人の狭き門となっています。しかも、自動車メーカーや電機メーカーなどの先端分野で、経験がマッチしているなどの厳しい条件です。 先端系の材料開発、例えばリチウムイオン電池やEVを対象とした募集もあります。ただし、採用条件はハイレベル。電池は電極材などの素材開発から製品開発までを見られるような人材で、EVは大手企業が専業メーカーとして独立させた会社などで採用人数が限られています。 カーボンコンポジットのような複合材の求人もあるのですが、自動車の外装や炭素繊維などでもともとの人材が少ない。どれもかなりのピンポイント採用になっています。 また、外資系企業からの求人が減っています。これらの企業は日本向けのフィールドエンジニアを募集していましたが、こうした職種も全体的に減少しています。 化学系エンジニアは求人数が減っている一方で、登録者は増えています。そのため、他の技術系職種の有効求人倍率は1.3〜1.5倍なのに対して、化学系は1倍を割っています。 勤務地や給与などの条件がダウンしても構わないのなら同業界での転職もいいのですが、別の職種への転職を考えてもよいかもしれません。例えば、化学系のアプリケーションエンジニア、開発職なら特定派遣会社に転身するなどです。ほかには化学系の技術営業もありますが、現状ではかなり求人が少なくなっています。 こうした傾向は中長期的な流れだと思いますし、他業界の低迷が影響してより顕著になってきたようです。そこで7月以降の天気マークはランクをひとつ落としました。 |
リクルートエージェント カスタマーサービス統括部 キャリアプロモーション一部 技術系CA2グループ キャリアアドバイザー 花本直和氏
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