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最新! 8つのエンジニア職種から採用動向がわかる!職種別 採用天気予報 [12年4〜6月期]
4月からの新年度、エンジニア転職市場はどう動くのか。どこに強みを出せば転職に有利に働くのか。技術系職種を大きく8つに分け、3カ月間の短期予想を載せた。各分野のベテランアドバイザーたちが、春からの求人動向を予報する。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ)
企業の業績悪化が転職市場にじわりと影響、堅調分野を見極めよう
 歴史的な円高が日本を襲って数カ月。欧州の経済危機は打開策を打ち出せないままで、中国は先ごろ経済成長率目標を引き下げた。こうした影響が企業体力を徐々に奪っていったのか、国内では特に製造業に業績悪化が目立つようになり、景気は足踏み状態から下降に向かうと予測するアナリストも少なくない。
 こうした動きはエンジニアの中途採用市場にも影響を与え始めた。2011年初頭から総じて右肩上がりで求人数が伸び、3月の東日本大震災の時期は落ち込んだものの、その後は再び上昇に転じていた。しかし、夏場を過ぎてそのスピードが徐々にダウン。そしてその後、大きく2つの分野において明暗が分かれるようになってきた。

 求人が堅調に推移、あるいは増加が見込まれるのは、ソーシャルネットワーク業界に牽引されるIT系エンジニアだ。下記にあるアプリ系、ネットワーク系、コンサルタント系などの職種で、いわゆる「ハイパーエンジニア」の争奪戦が激化する一方、しっかりと実務を積んできた人にもチャンスが広がっている。
 一方、全般的に求人に勢いがないのがメーカー系エンジニアだ。ただし、業界や業種でかなりの差があることが特徴となっている。例えば、求人を引っ張るのは好景気が続く自動車サプライヤーであり、半導体製造装置メーカーも堅調だ。機械・メカトロ系の設計職は売り手市場で採用基準が下がりつつあるというし、電気・電子系ではパワエレ系に求人ニーズが強い。

 大切なのは、情報を集めて伸びしろのある業界、業種、企業などを見極めること。そして、そこで自分の腕がどう生かせるかを考える。当たり前のことかもしれないが、求人の「まだら模様」が続く現在では特に重要となる。これはIT系エンジニアにも言えることだ。
 リクルートエージェントのキャリアアドバイザーの中には、4月以降の求人の減速を危惧する声もある。「いますぐ転職」を考えない人ならしばらく様子を見るのも手だが、少しでも転職意向があるエンジニアなら、春からの求人・採用情報は要チェックだ。
ページ内の各技術分野へリンクします。
制御系SE 晴れ/曇り
電気・電子系 晴れ/曇り
アプリ系SE 晴れ
機会・メカトロ系 晴れ/曇り
コンサルタント 晴れ
半導体系 曇り
ネットワーク 曇り
科学・材料系 曇り
業界別求人人数の推移と今後の予測
 ※2011年1月の「IT通信・インターネット業界」の求人人数を0値として、職種ごとの求人数の推移をグラフ化した。
 ※リクルートエージェントのデータ(2012年2月まで)を基にTech総研編集部が作成。
制御系SE
晴れ/曇り
自動車サプライヤーと特定派遣会社が牽引、自分の「強み」で勝負
狙われるのはこんな人 モーター、電装品、電力、通信、画像処理関連のソフト開発経験
 求人が堅調に伸びているのが自動車サプライヤーと特定派遣会社です。自動車サプライヤーでは1次請けなど上流になるほどより高いスキルや経験が求められますが、上流工程の経験が必須というわけではありません。大切になるのは何らかの「強み」です。
 人気があるのは、モーターやハイブリッドカーの電装品の制御ソフト開発経験。ただ、こうした人材はほとんど転職市場にはいません。ほかには、動きを制御するモーションコントロール系、電力、通信、画像処理などの経験者もニーズが強いです。
 専業のソフトハウスから自動車サプライヤーへの転職も十分に可能でしょう。例えば、産業機械などの開発経験があれば、かなりの好印象を持たれると思います。

 特定派遣会社の求人は絶好調です。特定派遣会社に転職するメリットは、エンジニアを多く必要としている分野、すなわち潮流の先端領域で仕事ができること。スキルアップが望めますし、給与や待遇が一般的な中小企業を上回るケースも珍しくありません。経営体質がしっかりしている企業が多くあります。
 決め手となるのは、何かの分野でしっかりと経験を積んできたこと、前向きな姿勢、顧客がメーカーですから勤務地にこだわらない覚悟です。ただ、特定派遣会社は人材があってこそのビジネスですから、社員を大切にする風土があります。勤務地については、ある程度の要望は考慮してくれると思います。
 ソフトハウスからの求人も増加しています。こちらはむしろ自動車関連の仕事が少ないのですが、勤務地にこだわるのであれば、メーカーや特定派遣会社よりも候補になると思います。また、完成車メーカーからのニーズはほとんどなく、常に一定数の求人があるのがパチンコなどの遊戯機器メーカーです。

 全体的に言えるのは、制御ソフトエンジニアにチャンスが広がっていること。上記のように求人が増加している一方で、転職希望者が減少しているからです。エンジニアとしての仕事が忙しくなり、冬のボーナスで一定額が支給されたことで、転職意向が弱まったのかもしれません。
 4月以降はこの状態が横ばいで続くか、自動車、製造装置、産業機械などのメーカーの業績が上向けば、求人もいま以上に増えると期待しています。
制御系SEの求人情報 リクルートエージェント
エージェントサービス第一事業部
首都圏一部
EMCCAグループ
キャリアアドバイザー
畑中澄夫氏
畑中澄夫氏
アプリ系SE
晴れ
ソーシャル系ゲーム開発会社の採用意欲旺盛、中小SI企業も好調
狙われるのはこんな人 Linux、UNIX、Java、PHP、Ruby、Objective-Cなどでの開発経験
 アプリ系エンジニアの求人の中核はSAP(ソーシャル・アプリケーション・プロバイダー)業界です。求人は増加を続けており、今後も1〜2年はこの傾向が続くと思われます。
 求人企業は大手のプラットフォーマーと、そのプラットフォームにコンテンツを提供するコンテンツプロバイダーに分かれますが、前者は採用基準がかなり高く、なかなか合致する人は見つかりません。後者はゲーム開発会社が中心で、前者ほど基準は厳しくありません。
 なぜなら、こうしたゲームプロバイダーには、業績が拡大中で人材を増強したい企業がある一方で、優秀な人材を厳選採用して上を目指す企業もあり、幅広い採用方針でエンジニアを欲しているからです。最近ではゲーム会社がソーシャルの分野に参入してきたため、その状態に拍車がかかり、人材の取り合いが起こっています。

 ゲーム開発というと独創的な発想力が重視されると思われがちですが、構想、開発、リリース、運用、修正……をアジャイルで忍耐強く続けられる実直さが重視されます。
 求められるスキルはLinux、UNIX、Java、PHP、Ruby、Objective-Cなどです。SI企業などに勤めてこうした開発環境がなくても、独学で勉強していたり、自宅にサーバーを構築するなどの経験があれば、応募は十分に可能でしょう。
 DBやネットワークなどの周辺知識があればいっそうの強みになります。ほかの部門との連携がスムースにできますし、障害対応や業務改善にも役立つからです。

 2次、3次請けの中小SI企業、ソフトハウスからの求人も引き続き増加しています。大手SI企業からの求人は少ないので、開発をアウトソースする傾向があるのかもしれません。増えてきたのは金融系の案件で、銀行、保険、証券などからまんべんなくあります。発注元の金融機関に常駐する形になるでしょう。
 社内SEも前回と同じく堅調で、「求人が出ては充足」が繰り返されています。そのため、社内SEへの応募はスピードが命。求人枠は1社で1名が多いため、情報を集めて求人を見つけたら、すぐに応募することが大切です。
 大手外資系ベンダーは、4月以降はITコンサルタントを積極採用し、夏くらいからPMとSEの採用を始めると思います。一定レベルの技術や経験が求められるのに加えて、ある程度の英語力は必要になります。一方、大手国内系ベンダーは4月以降の採用計画が見えません。また、EC、ポータルサイト系は引き続き横ばいです。
 4月以降もSAPがアプリ系の求人を牽引し、求人数は横ばいか微増になると思います。
アプリ系SEの求人情報 リクルートエージェント
エージェントサービス第一事業部
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キャリアアドバイザー
高山淳子氏
高山淳子氏
コンサルタント
晴れ
金融業界向けのニーズ急増、ITコンサルタントへの転身も
狙われるのはこんな人 金融業務の実務経験者、金融機関向け顧客リレーションのある人
 2012年に入ってから、会計系やIT系などの外資系ファームを中心に、金融業界向けコンサルタントのニーズが急増しています。コンサルティングの対象は銀行を中心に証券、保険、カードなど、金融機関全般に及びます。
 この動きの背景には次のような要素があります。コンサルティングファームにとってこれまでの金融分野は、決算早期化や事務の効率化などのBPR(Business Process Reengineering)で部分的にはかかわっていたものの、未開拓な部分が大きく、成長が見込める白地であること。
 また、これまであまりコンサルタントに頼ってこなかった金融機関側も、先の震災による危機管理対策(BCP)の強化や、貸付先がM&A後のシナジーを発揮して収益を生み出すためのサポート、新しい収益モデルの企画立案などの場面で、コンサルタントの助けを借りたいニーズが高まっていることなどです。

 求められるのは、大きく2つのタイプの人材です。一方は事業戦略の立案などを行うコンサルタントで、金融業務の「知識」だけでなく業務の実務経験が求められます。そのため、金融業界出身者に限られます。
 もう一方が、システム全般に精通しているITコンサルタントです。危機管理対策ではデータのバックアップなどが不可欠ですし、M&A後のシステム統廃合などの場面では、これまで手掛けてきた業界・業務知識などが役立つと思います。ITコンサルタントだけでなく、SI企業のPMやアカウントマネジャーなども有力な候補になります。

 一部、海外とのやり取りが生じますが、英語力に関しては「あればベター」のレベルです。また経験豊富なベテランも、金融機関顧客とのリレーションを持っていればコンサルティングファームで活躍できる可能性があるため、コンサルタントになる大きなチャンスだと思います。
 こうした金融業界でのコンサルタントニーズの盛り上がりもあり、4月以降の求人はこのまま堅調に推移すると思います。
コンサルタントの求人情報 リクルートエージェント
プロフェッショナルサービス事業部一部
コンサルタント
垣見大介氏
垣見大介氏
ネットワーク
曇り
クラウド、仮想化、通信領域がキーワード、ビッグデータ系は今後か
狙われるのはこんな人 専門領域かインフラ全般の知識・経験、有資格者は有利
 いまの求人のキーワードは「クラウド」「仮想化」「通信領域」です。まず「クラウド」ですが、現在のクラウドサービスにはデータセンターだけでなくプロダクトベンダー、SIer、Nierなどが参入し、業界として成長期にあります。このために求人が全体的に増加しており、インフラエンジニアはもちろん、PaaSのITコンサルタントなどの求人も増えてきました。
 インフラエンジニアに求められるのは、ネットワーク、サーバー、ストレージ、DBのいずれかに特化したスキルがあるか、これらを総じて幅広く知っているかです。逆に、マネジメント経験や行政業務のみを続けてきて、実際の構築業務ができない人へのニーズは減少方向にあります。

 この4つの中ではサーバーエンジニアへの求人が多く、VMwareやCitrixといった「仮想化」の知識は高く評価されます。資格を持っていればなお有利ですが、情報処理系の公的資格よりも、VMware、Citrix、Cisco、Juniper、Oracle、Microsoft、RedHat(LPIC)などのベンダー資格を優先する傾向も出てきました。
 また、インフラエンジニアの技術力を示す指標として、以前は同時に扱うサーバーの台数など「規模感」がありましたが、仮想化により重要視されなくなってきました。いまは、VMWareのどのレベルまでわかるか、最新のバージョンに触れているかなど、プロダクト別の知識が重視されています。
 仕事で使っていない方であっても、自宅にLinuxサーバーを立てたり、プロダクトメーカーのHPで新しい仕様を読むなどして、独学で吸収することもできるでしょう。
 「通信領域」とは通信キャリア向けのインフラ提供会社からの求人です。最近でも何度か通信トラブルが起こっていますが、こうしたトラブル回避や品質強化のための採用で、規格に沿った通信ネットワークの構築が主な仕事になります。

 一方、ソーシャル系プラットフォーマーからの求人はかなりあるのですが、採用の難易度が非常に高く、内定を得るのが非常に難しい状況です。いまではインフラ環境をゼロから構築する必要はほとんどありませんが、その「ゼロから立ち上げられる」に加えて、アプリケーションやDBもわかるというスーパーエンジニアが対象だからです。この領域において、ネットワークエンジニアのニーズは非常に少ないです。
 ビッグデータ系の求人はまだ出ていません。事業会社での実績が少ないせいだと思いますので、ビッグデータを扱う企業が一般化すれば、DWHやBIといったDBのスペシャリストのエンジニア求人が出るのではと期待しています。
 インフラエンジニアはアプリ系エンジニアのような、スキルを高めて実績を積み、「ジャンプアップ」をしていくような職種ではなく、運用、構築、設計と着実に手に職を付け、じっくりとキャリアを積み上げていく仕事だと思います。地道に堅実なキャリアを描きたい人には向いています。
 1〜2月は昨年後半と同じような状態でしたが、4〜6月期も現状維持になると思います。
ネットワークの求人情報 リクルートエージェント
エージェントサービス第一事業部
首都圏一部
ITCAグループ
キャリアアドバイザー
福森嘉奈美氏
福森嘉奈美氏
電気・電子系
晴れ/くもり
自動車サプライヤーでパワエレ系のニーズ、特定派遣が狙い目か
狙われるのはこんな人 パワエレ、LED、太陽電池、フィールドエンジニアなどの知識・経験
 電気系エンジニア求人を牽引しているのは自動車業界、特に自動車サプライヤーからのパワーエレクトロニクス系エンジニアのニーズです。完成車メーカーからも同様の求人がありますが、限定的です。パワエレ系の電気エンジニアは転職市場に決して多くないので、経験者にはチャンスだと思います。
 もうひとつの牽引役は特定派遣会社で、前回より求人が増加しています。ですが、電気系エンジニアをなかなか採用できていません。そのため、本来であれば何らかの設計や開発の経験者を応募条件にするところ、電気の知識やバックボーンがあれば未経験でも可とする企業が少なくありません。

 一方、業績の悪化などから家電分野からの求人はほとんどありません。大手家電メーカーだけでなく部品メーカーも同様です。ただ、「悪い材料を出し尽くした」という一服感があり、総じて株価も上がってきましたから、今後は中途採用が上向くことを期待しています。
 家電の分野では、少ないながらもLEDと太陽電池で求人があります。職種は回路設計やアプリケーション・エンジニアで、総数では太陽電池のほうが目立ちます。ただ、どちらも経験者採用ですから狭き門と言えます。
 機械系メーカーで強いのは半導体製造装置メーカー、それとFAや産業用ロボットの電気制御に求人があります。
 職種別ではフィールドエンジニアとアプリケーション・エンジニアは前回より増えています。計装機器や医療機器など広範な業界で募集しており、「顧客のニーズに丁寧に対応する」というニーズが増えてきたのだと思います。

 全体的に言えるのは、「我慢の限界」とする企業がポツポツと現れてきたことです。人材が不足しているがコストの問題から中途採用ができない。しかし、このままでは仕事が回らないし、将来に布石が打てない。こうした状態が限界に来ているという意味です。
 現在の分析では4月以降もこの状態が続くと思いますが、上記のような動きが中途採用の拡大につながることを期待しています。
電気・電子系の求人情報 リクルートエージェント
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キャリアアドバイザー
南 浩司氏
南 浩司氏
機械・メカトロ系
晴れ/くもり
自動車部品、建設機械、半導体製造装置で求人ニーズが続く
狙われるのはこんな人 駆動部の設計経験、企業によっては「CADの経験」で応募可能
 東海、近畿、関東の自動車サプライヤーが好調です。肌感覚ですが、機械・メカトロ系求人の4割ほどを占めると思います。採用してもまだ足りないという状態が長く続いています。受注増に加えて、リーマンショック後に採用を控えていた人材不足が重なったのでしょう。
 受注増のほとんどは完成車メーカーからのものですが、その完成車メーカーのエンジニア求人は活発ではありません。その理由には、完成車メーカーは設計から生産までを海外に移転しているのに比べて、サプライヤーは生産は海外でも開発部門は国内に残していることが大きな要因だと思います。実際、求人が多いのは開発職です。

 建設機械メーカーからのニーズも根強いですね。震災復興の本格化もあるでしょうが、それよりも海外での資源開発やインフラ設備などのニーズが強いのでしょう。
 油圧機器やタービンの設計職を中心に、重工業メーカーやプラントメーカーからの求人もありますが、一段落した感じです。同じように、半導体製造装置メーカーの求人も、以前の好調な時期に比べれば減少しています。ただ、半導体製造装置メーカーでは設計職に加えて、アプリケーション・エンジニアやフィールドエンジニアなど幅広い職種が求められています。
 機械・メカトロ系は登録者がさほど多くないので、転職希望者にとってはチャンスとなっています。例えば、1次請けの自動車サプライヤーでも、「CADができる人であれば会ってみたい」と面接を希望する企業があります。

 企業としてはまず「駆動部や内装などの箇所を特定した設計経験」を求め、採用が難しければ「自動車業界での設計経験」、次に「CATIA V5」などソフトの指定や「3次元CADの経験」となり、それが現在では「CADの経験」までハードルが下がってきたわけです。
 英語力においても、以前はTOEIC500点以上を求める企業が多かったのですが、いまでは「英語力があればプラス評価」に変わりつつあります。
 機械・メカトロ系の求人数は一昨年の3月から震災の時期を除いて増え続け、昨年の夏ごろから横ばいが続いています。全体的なボリュームは4月以降、横ばいか少し下がってくるかもしれません。
 ただ、世界的な景気で言えば、アメリカと中国にまだ勢いがあり、欧州も自動車など工業は気を吐いている。これらを下地に世界経済が成長すれば、今後求人が増加していく可能性は十分にあると考えています。
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竹内賢一氏
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半導体系
曇り
半導体製造装置メーカーは元気だが、今後は厳しい状態が続くか
狙われるのはこんな人 半導体製造装置の開発・プロセス、外資や商社でのFAE経験
 半導体メーカーからは開発職の求人が、少ないながらも東海と九州から出ています。また、完成車メーカーや総合電機メーカーの半導体部門から、こちらも少ないですが継続してあります。また、日本の半導体メーカー同士の業務統合検討が報じられましたが、こうした再編の影響はまだ求人に出てきていません。
 全体的に、まだまだ厳しい状態が続いていると感じています。

 採用意欲の旺盛なのが半導体製造装置メーカーです。企業の顔ぶれは前回とほぼ変わっていませんが、求人数が増しているようです。ここでは電気系エンジニアが対象ですが、担当製品ごとに装置設計を募集するなど意欲が高まっています。
 そして、必ずしも半導体製造装置での経験がなくてもよく、回路がわかれば応募は十分に可能です。私が担当したケースでは、カーナビ向けの回路設計者が高評価を受けていました。画像処理という点で共通点があるのかもしれません。
 また、FAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)の求人はあります。外資系の半導体メーカーや国内の半導体商社からのものです。求人が多い職種は装置の電気系で、FAEは全体の3割程度でしょうか。

 4月以降の半導体分野は、さほど求人の伸びは期待できないと思います。おそらく電気・電子系よりも厳しい状況になるでしょう。
 半導体メーカーの再編が加速すれば中途採用はさらに難しくなると思います。ただ、そのときどきで、勢いのある製品(例:フラッシュメモリ)を扱っているメーカーの求人が一部あるという状況は継続すると思います。今後の動向に注意が必要です。
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化学・材料系
曇り
リチウムイオン電池は素材開発から製品開発に求人がシフト
狙われるのはこんな人 フィルム、コンデンサ、接着剤などの研究開発職、製品開発職
 化学・材料系の分野でも新興国が追い上げていますが、まだまだ日本の技術力はハイレベルです。前回もお話ししましたが、フィルム、コンデンサ、接着剤、粘着剤などの研究開発職やプロセスエンジニア、特に開発職が多くなっています。求人企業は大手から中小までの化学メーカーが中心です。

 リチウムイオン電池などの開発職では少し変化が出てきました。正極材、負極材、電解液といった素材の研究開発が減り、電池そのものの製品開発の求人が増えています。求人企業は完成車メーカー、電池メーカー、車載用部品メーカーなどです。
 電池という製品を目標の性能に高めていく仕事ですので、各部品、素材は購入品であり、自分で手を動かすというよりも、素材メーカーに要望を伝えて電池を開発する仕事です。そのため、素材自体の開発に取り組みたい人には不向きかもしれません。
 太陽電池が普及する過程でも、最初は化学メーカーなどでの素材開発に求人が出て、その後のエンジニアニーズは開発メーカーに移りました。リチウムイオン電池も同様で、業界全体が安定してきたのかもしれません。

 前回お伝えした化学分析の求人は健在です。化学メーカーに加えて自動車サプライヤーなどからですが、昔は全くなかったもの。自動車用素材の組成研究や、輸入した部材の品質管理が目的ですが、使用する分析機器が同じであれば、食品業界など異業種からでも十分に転職の可能性はあると思います。
 外資系企業からの求人はトーンダウンしています。国内に開発拠点があれば開発職での募集もありますが、中心はアプリケーション・エンジニアやセールスエンジニアになりました。
 以前は液晶、プラズマ、有機ELなどパネル関連の求人が多かったのですが、ほとんど聞かなくなりました。エレクトロニクス製品が不況になると材料系のエンジニア求人も減ると、いまさらながらに感じています。4月以降は変わらず現状が続くと思います。
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