モノづくりエンジニアの魂が、現場を熱くする <後編> |
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東芝、IHI、旭硝子★
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世界初の「裸眼3Dディスプレー」を開発した、研究者のアイディア
――株式会社東芝
世界が度肝を抜いた「裸眼で3D」のイノベーション
研究開発センター |
「3D元年」と言われた2010年のCEATEC。展示ブースの前にできた120分待ちの行列。ディスプレーを見る来場者の「判定」に、距離を置きながら恐る恐る耳を傾ける女性がいた。 「ディスプレーはそのままに、ディスプレーに表示する『画像』を工夫するだけでいいのでは…」 |
娘への発表会で感無量の言葉、「ママ、頑張ったね!」
しかし、さらに高く険しい壁が待っていた。製品化だ。経営トップのGOサインが出て、5人で始まった研究チームは、事業部も横断する大きな組織へ。量産するためには、二律背反の信頼性と製造コストに折り合いをつけなければならない。製品の構造を立案し、問題を一つひとつ潰していく過程で、福島氏は研究所側のリーダーを任された。 「私が得たものは、賞だけではありません。それまでは研究開発を個人戦だと思っていた自分が、団体戦の喜びを味わえたことこそが、かけがえのない大きなものでした。今後はさらに商品力を上げたいですし、医療や教育の分野での可能性も追究したい」 |
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「現場の安全」にこだわり続ける、プロジェクトマネージャーの執念
――株式会社IHI
台湾、アルジェリア、「点」ではなく「線」を最適化する仕事の喜び
電力事業部 プロジェクト部 |
「おまえ、海外でやりたいんだろ?」。入社5年目、ついにチャンスが訪れた。「やりたいです!」。 台湾の建設現場で過ごすうちに、「安全」に対する意識も大きく変わった。工事に携わる作業員をいかに事故から守れるか。「現場で死者を一人も出さないことは、実は大変なことなんだ」という、海外で所長を務めた人からの言葉の意味がようやくわかったという。 |
いつも自分に問いかけるのは、「みんなハッピーだろうか?」
回を重ねていくうちに握手を求められることも多くなり、作業員同士が笑顔で声を掛け合うシーンも増えていく。しかし、ビジネスはそれほど甘くはない。引き渡しが遅れた場合の罰金条項には「1日7000万円」とあった。「あっという間に利益が飛ぶな」(渡邉氏)という金額だ。
アルジェリアは天然ガスの輸出で世界第2位の国。天然ガスを液化するプラントが休業することは、この国の経済が立ち往生することを意味する。あるとき、「工程は1日でも短縮してほしい」と苛立つクライアントと、会議の席上でと口論になった。
「ミスターワタナベ、実現できないプランを出してこないでくれ!」
感情的になった自分を後悔しながらも、渡邉氏は想いをぶちまけた。
「資源に恵まれたあなたの国は、大きな可能性を持つ国です。ただ、今は危機に瀕している。だから私たちは救いたい。それだけです」
この出来事がきっかけで「壁」は取り払われ、4缶の巨大なボイラは期限に滑り込むように引き渡された。入社17年目の渡邉氏はこう振り返る。
「プロジェクトの目的は、全員が幸せになることです。エネルギーを必要とする人々も、供給するクライアントも、作業員やその家族も、会社も私も、みんながハッピーになれないプロジェクトはやる価値がないとさえ思います」
自動車用ウインドーガラスの新工法で歴史を変えた、エンジニアの意地
――旭硝子株式会社
「先人の夢」、ローラー制御による自動車用ウインドーガラスの製造
京浜工場 |
1997年。タイでの工場建設プロジェクトから帰国した、京浜工場設備技術センター所長の尾形裕氏を、T部長が「手ぐすね引いて」待っていた。 自動車用ウインドーガラスは曲面でできている。その曲がりを精緻に出すため、当時は型でプレス成形していた。そのため製造品種が変われば、型変更の作業に丸一日を費やしていた。 |
試作ラインの「屍」を越えて、ガラス製造の歴史が変わった
自動車用ガラスは人命にも関わるため、その要求品質はすさまじく高い。新工法は、各ローラーをそれぞれ独立モーターで駆動させて品種ごとのRを自由に出しつつ、ガラスの要求品質をクリアしなくてはならない。 現実は想像を絶していた。試作ライン。止まるコントローラ。うなだれるメンバー。同じ光景が数えきれないほどくり返された。ローラーは増加し、その速度制御は精緻化し、必然的にコントローラは複雑になってゆく。 |
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