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ボリビア、中国、フランス……なぜ、彼らは国境を超えたのか──
今サイバーエージェントに集結する、外国人技術者たち
サイバーエージェントは、言語にも、性別にも、そして国籍にも捕らわれないグローバルな技術者集団を創るべく、外国籍エンジニアの採用を強化している。マルチリンガルなグローバルキャリアを持つエンジニアたちは、なぜサイバーエージェントで働こうと思ったのか──。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:12.02.03
Bussy Jean-Daniel(ブッシー・ジャン・ダニエル)氏
仏領マルティニーク島出身。パリのSUPINFO在学中に、中国でUNIXの指導経験を積む。フリーランスのエンジニアとして30以上のサイトを立ち上げ、運営してきた。2011年1月来日。12月、サイバーエージェントへ。
姜 兵(キョウ・ヘイ)氏
中国・大連出身。千葉大学大学院修了。日本のソフト会社を経て、2011年12月サイバーエージェントへ。
Rivera Ernesto(リベラ・エルネスト)氏
ボリビア出身。ジュネーブ大学、東京工業大学大学院を経て、2011年12月サイバーエージェントへ。ボリビアのWeb会社での勤務経験あり。
グローバルな経歴と、高度な専門技術を持つ3名のエンジニア

 まずは、それぞれ国際色豊かなプロフィールの3人を紹介しよう。一人目は、カリブ海に浮かぶフランスの海外県マルティニーク島出身で、パリにあるコンピュータ・サイエンスの「SUPINFO」に学んだブッシー・ジャン・ダニエル氏(27歳)。

「SUPINFO」はフランス国内に25のキャンパスを持ち、さらに海外にも12のキャンパスを持つインターナショナルな高等情報教育機関。ブッシー氏は同大のリナックス・テクノロジー・アンバサダー(リナックス技術大使)という資格を持ち、中国の大学で教えていた経験もある。卒業後は北京、上海、青島、深センなどでフリーランスの立場でWebサイト構築の仕事に携わった。母国語のフランス語のほか、英語、中国語も堪能。日本にやって来たのは、2011年1月のことだが、今は日常会話に不足はない。

 2人目は、南米ボリビア出身のリベラ・エルネスト氏(30歳)。スイスのジュネーブ大学に留学し、ボリビア帰国後はWebサイト構築の仕事に携わっていた。その後来日し、東京工業大大学院で教育工学を専攻。大学では、教育用のiPadソフト開発を経験。フランス語・ドイツ語・英語・スペイン語・日本語の5国語を使いこなしている。

 3人目の姜兵氏(34歳)は、中国・大連生まれ。2000年に来日し千葉大学大学院へ。専攻は建築学だったが、研究室で外国人のための日本語学習ソフトを開発したことがきっかけで、IT業界に関心をもつようになった。日本でC言語やLinuxの組込みソフトの会社や、iPhone、Androidのソフト開発企業に勤めた経験がある。

 少し込み入った日本語の質問は、リベラ氏がフランス語でブッシー氏に通訳し、ブッシー氏と姜氏は中国語でも意思疎通が出来る。国境や大陸をまたいだ、グローバルな経歴と、高度な専門技術を持つ3名の外国籍エンジニアたち。その3名は、なぜサイバーエージェントを選んだのだろうか。

「眠らない街の“止まらない”勢いを持つ会社」──それがサイバーエージェントの魅力

 リベラ氏はボリビア時代、Webサイト構築の会社で2年間に渡り、PHPやMySQLを使ったWebサイトの企画開発、Webインターフェイスの改善などを担当。東工大では教育工学の研究の一環としてiPadソフトを開発していた。日本の企業に就職しようと思ったのは、IT先進国で働く事で自身のスキルを高めたかったから。将来はボリビアで会社を興そうと考えているが、その参考にするためにも、IT先進国日本の企業実態を知りたかったということもある。

 サイバーエージェントを選んだのは、大学院でiOSの可能性を感じ、仕事もそれを使える環境を求めていたから。「いろんな会社に応募したが、iOSでの開発の将来性は、サイバーエージェントが一番だと思った」という。面接での印象も重要なポイント。じっくり自分の話を聞いてくれた。外国人をもの珍しさではなく、貴重な戦力として遇してくれるという印象があったという。現在は、iOSのネイティブアプリの開発を担当している。

 ブッシー氏は中国滞在中に、自身で30サービス程の立ち上げを行い、「P1.CN」というソーシャル・ネットワーク企業のスタートアップに参加した経験もある。その頃からたびたび日本を訪れていた中で日本への興味が高まり、そのまま引越しを決意。中でも渋谷は印象的な街だと言う。
「初めて日本に来たとき、渋谷のスクランブル交差点を見に行きました。こんなにアクティブな街は世界にない。『眠らない街東京』に魅かれ、日本へ引越しする事にしました(笑)」

 その渋谷の真ん中に拠点を据え、日本のネット市場をリードするサイバーエージェントへの入社は、自然の流れだったのかもしれない。
「サイバーエージェントを知ったきっかけは、友達のエンジニアに『Ameba』のことを聞いて、興味を持ったからです。面接で分かったのですが、サイバーエージェントは世界に開かれたベンチャーマインドを持つ会社。その“止まらない”勢いに魅かれました」
 「眠らない街の“止まらない”勢いを持つ会社」──確かにその通りかもしれない。

 クラウドを活用したUNIXシステムの構築が、ブッシー氏の最も得意とする技術。サイバーエージェントにはまだUNIXの専門技術者は少ないため、ブッシー氏への期待は大きい。

 姜氏の場合は、日本企業での就業経験があるため、もう少し客観的にサイバーエージェントを見ていた。
「日本にもたくさんの世界的企業がありますが、すでに出来上がった会社に入ることはそんなにすごいことではない。これから成長する企業に入って、一緒に作っていくことにこそ達成感があると思います。何かで読んだ、藤田晋社長の言葉にもそう書いてあったのですが、その言葉がとても印象に残っています」

 次世代の世界企業になるという藤田社長の言葉に、姜氏は共感したという。スマートフォン向けアプリの開発からスタートし、今は「Ameba」を超える新規事業を創出することを自分の任務としている。

国際経験を生かして、海外人材採用のサポートも

 技術開発やエンジニアの技術習得スピードに定評のあるサイバーエージェント。3人を取材したのは、まだ入社2週間目の時点だったが、「その短い間にも知らない技術に触れるなど、勉強になるシーンがたくさんあった」と姜氏は言う。そのスピード感は心地よいぐらいだ。

 あるとき、ブッシー氏が、「サイバーエージェントはいいなあ」と日本語で独り言を呟くのを、後ろを通りがかった姜氏は偶然耳にしたという。
「実際に、サイバーエージェントのさまざまなサービスに触れてみて、よくできているなと思いました。サービスに触れているうちに、クラウドを使った新しいプロジェクトのプランがどんどん頭に浮かんできました。サイバーエージェントは、自分たちで色々開発できる環境だから、思い浮かんだプランも、形にする事が出来る。だから、思わずそう呟いちゃったんだと思います。今は東京に開発拠点があるけど、クラウドを活用すればいつでもどこでも開発できます。そうなれば僕らの国際経験はもっと活かせると思うんです」(ブッシー氏)

「もともと新しい技術、新しい文化、新しい言葉を学ぶことが大好き」というリベラ氏も、サイバーエージェントの今後の国際展開に期待を寄せる。
「ボリビアにも『Ameba』みたいなサービスがあるといいなと思います。ただボリビアは人口が少ないから、今はアジアでの展開に興味があります。もちろんチャンスがあれば、どこの国でも行きたいと思います」

 姜氏も、自分の技術力に加えて、日本語、中国語、英語のマルチリンガルという語学力が武器になると考えている。
「2月には中国・台湾での採用活動を行うのですが、そのサポートもさせてもらう予定になっています」
 国際的な人材採用活動は、企業のグローバル発展には欠かせない要素。そこに貢献できるのなら本望だと考えている。

グローバル・エンジニアを積極採用

 サイバーエージェントは、今後も、外国籍エンジニアの採用を強化していくという。姜氏のコメントにもあったように、アジア圏を中心とした海外でも会社説明会を予定しており、「日本語ができない」外国籍エンジニアも積極的に採用していく。

「『日本語ができない』という制約はありますが、それは学習によって取り除くことができる。言語はコミュニケーションの基礎という重要性はありますが、PHPを知らないからそれを勉強するというのとあまり変わらないと考えています」
以前取材した、サイバーエージェント・最高技術責任者の佐藤真人CTOは、こう語る。

 マルチリンガルなグローバルキャリアを持つ外国人エンジニアたちを世界中から集めて、これからのサイバーエージェントはどのような国際展開を見せるのだろうか。彼らの異文化の垣根を超える力は、これからの日本人技術者も大いに見習いたいところだ。

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