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2年で100の新規事業開発のために、いま必要なエンジニアとは
“個性派”も歓迎!サイバーエージェントが求める人材像
サイバーエージェントは、この秋から新たにスタートした「ネットビジネス総合事業本部」でこれから100の新事業を展開する。その技術基盤を固めるため、経験は浅くても、潜在力がある人大歓迎、多様性のある人材を求めているという。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:11.12.13
売上1000億円の大台に乗るも、まだまだ貪欲に求めるこれからのビジネス
佐藤 真人氏
株式会社サイバーエージェント
執行役員
ネットビジネス総合事業本部
インキュベーション室 室長

佐藤 真人氏

 2011年10月1日、サイバーエージェントはインターネット総合サービス企業として、大きな組織改編を行った。メディア、広告代理、テクノロジー、サービスなど、ネット広告に関するあらゆるサービスを展開する「ネットビジネス総合事業本部」を立ち上げたのだ。事業部のミッションには「Ameba」を立ち上げた技術力と運用力を生かし、これに匹敵する新しい有力メディアを創りだす」事を掲げている。

 以前、Tech総研のインタビューで、藤田晋社長は、このネットビジネス総合事業本部から「2年間で100の新規事業を生み出す」と、答えている。現在、サイバーエージェントは売上高1,195億円、営業利益143億円という企業規模になったが、さらなる会社の拡大のため、貪欲にビジネスの種をまいている最中だ。新規事業を生み出すには、サービスのアイデアそのものに加え、それをプラットフォームとして、システムとして、あるいはサービス基盤のインフラとして実現するための技術力、組織力が不可欠になる。技術者を競争力の源泉と位置づける同社では、2年間で100の新規事業を生み出すために新たにエンジニア採用を拡大する。その陣頭指揮を執るのが、中途入社で「Ameba」のシステム基盤を立て直し、オープンソースの大胆な活用で同社を業界トップに匹敵するレベルまで引き上げた人物として知られる佐藤真人・最高技術責任者(CTO)だ。

ネットビジネス総合事業本部では、エンジニア・クリエイターが属するインキュベーション室を統括する佐藤氏。「まだ話せないことが多い」というが、現段階での新規事業のイメージと、そこで求められるエンジニア像を語ってもらった。

佐藤CTOを直撃インタビュー スマートフォンが開いた新しい市場に、これまでなかったサービスを投入

──どういうユーザー層を対象に新規事業を構想されていますか。

「Ameba」を超えるようなヒットサービスを生み出したいというのが、「ネットビジネス総合事業本部」の狙いです。最初から市場を限定せず、PC向けの新規サービス、あるいは既存サービスの改善も含んでいます。とはいえ、今の流れではフィーチャーフォン(ガラケー)だけに特化したサービスというよりは、スマートフォン向けサービスが中心になることはたしかでしょう。

 スマートフォン市場は急速に伸びています。実はPCよりもインターネット接続設定は簡単なので、PCに慣れ親しんでいない人にもアプローチできるようなサービスも考えています。スマートフォンの普及で、インターネットアクセスへの敷居が低くなりました。年齢も上下に幅広く拡大しています。PCヘビーユーザー層だけではなく、幅広いインターネットサービスが求められていると思います。

──具体的にはどのようなサービスを?

 ジャンルは限定せず、幅広いサービス開発を考えています。例えば、ゲーム要素の強いサービスもありますし、20〜30代女性向けのコミュニティ、ビジネスパーソン向けのサービスなども考えています。また、PCでは広く使われているのに、スマートフォンではまだそんなに展開されていないサービスも視野に入れています。

 スマートフォン向けのサービスでは、「ボタンではなく画面タッチ」という、スマートフォンのUIを中心に考える必要があります。このジャンルで新しいサービスを創造するのは面白いと思っています。まあ、話せるのはこれぐらいですね(笑)。

──「Ameba」は女性ユーザーが多いと聞きますが、逆に男性向けのサービスなどは考えていますか?

 それはあると思いますね。男性向けのコンテンツの充実というのは課題として認識しています。「Ameba」内でも今後男性向けのコンテンツの拡充に取り組んでいますし、新規事業の中から生まれるかもしれない。このあたりの詳細を発表できるのは、来年2月ぐらいなんですよ。もう少しお待ちください。

大規模システム開発。「Ameba」とはまた別のやり方がある

──新規事業開発のためには大規模なシステム構築が必要ですが、「Ameba」とは違うシステムになるそうですね。エンジニアにはどんなスキルを求めますか。

 PHP、Perl、Ruby、Python等のオープン系言語、さらにMySQLまたはPostgreSQLの経験や大規模データ処理の経験がある方は尚いいです。BtoCのインターネットサービスに興味のある人も向いていますね。「Ameba」はJavaメインで開発してきましたが、これから立ち上げる新サービスでは特定の言語に依存せずに開発するつもりです。

 また、今回は超エキスパートな人材に限定した採用でなく、幅広く募集したいと思っています。当社はすでに未経験者の方に向け、「エンジニアアカデミー」としてスマートフォンアプリ開発などのスキル向上を図る無料講座を開いていますが、今回の採用に伴って今後開きたいと思います。「エンジニアアカデミー」に参加してみようと思う方や、そこで技術力を伸ばすことができる人も、採用対象となります。

──「Ameba」のシステムを大幅に革新した経験のある佐藤さんですが、「Ameba」での経験は新規事業ではどう生かしますか。

「Ameba」開発で培った成功の仕組みやノウハウは、もちろん生かしていきたいと思っています。特にセキュリティ対策やユーザー対応のシステム化ですね。ユーザー情報をどのように保存するのか、スパムメールや不正ユーザーにどう対応するのか。「Ameba」では事案が発生するたびに、一つひとつ対応に追われてきました。新しくやるのなら、より完成度の高いセキュリティ対策を初めから実装したい。

 他にも「Ameba」でやろうとしてできなかったことも生かしていきたいです。例えば、「Ameba」では使っていない外部クラウドサービスの活用や、日本ではあまり使われていないフレームワークの導入など。全く新しいサービスの開発ですから、そのあたりのチャレンジは、私が率先してどんどんやっていきたいと思います。「新しい技術にチャレンジしないのは悪である」「自由な代わりに自己責任」というのがサイバーエージェントのエンジニアリンググループのモットーですが、これは新規事業でも当然貫かれます。

──100のサービスを生み出すとなると、必要なエンジニアの数もハンパじゃないですね。

 現状では、新サービスの開発を担当するエンジニア・クリエイターの所属するインキュベーション室人数は拡大中なものの、まだ新たな人材の採用が必要です。国内はもちろん、アジア圏を中心とした海外でも会社説明会を予定しています。

 2カ月前に北京の精華大学で新卒採用のセミナーをやりましたが、今後は中途採用でも、中国や台湾で「日本で働きませんか」という採用プロモーション活動を進めようとしています。これはオフショア開発ではなく、国内での勤務です。

 今後、日本で働きたいエンジニアは国籍関係なく集めたい。「日本語ができない」という制約はありますが、それは学習によって取り除くことができる。言語はコミュニケーションの基礎という重要性はありますが、PHPを知らないからそれを勉強するというのとあまり変わらないと考えています。

 また、女性エンジニアも積極的に採用していきます。女性は、結婚や出産・育児などのライフイベントに合わせた働き方が必要になるため、「LE・LIFE」というプロジェクトを発足させ、技術スキルや生産性向上を図る制度や組織、環境づくりを行っていく予定です。女性エンジニアリーダーも10人以上の採用を目指しています。

 エンジニアの国籍にも使用言語にもとらわれない、女性リーダーもいるというような、オープンな組織をつくっていきます。将来的には、これまで「Ameba」など既存サービス開発を担ってきたエンジニア部隊と合体して、サイバーエージェントの全事業を支えるエンジニア集団にしていきたいと思っています。

ベンチャーマインド再び!一つの色に染まらない“個性派”がもっと来て欲しい

 佐藤氏は、これから求めるポテンシャル層という定義の中に、「ユーザー視点でものを考えられること」「技術を追求する飽くなき探求心」と共に、「新しいものにチャレンジする志向性」を加えている。
「これだけの規模で新規事業を始めようというのは、サイバーエージェントの事業計画でもまれなこと。めったにないチャンスだと思います。「Ameba」が伸びているからやってみたいというより、未だ存在しない新しい事業をやれるし、こっちのほうが面白そうだからやる、というスタンスがいいですね。未だベンチャー気質を失わないサイバーエージェントだが、売上高1000億円超の上場企業として、それなりに組織もしっかりしてきた。しかし少しでも守りの姿勢に入ると、つまらなくなる。人材のタイプも一つの色に染まってしまう。それを打破するのです」と、佐藤氏は言う。
「いい意味での“変人”ももっと増やしたいですね」
 サイバーエージェントは個性派揃いだが、それを上回る変人──どんな人たちがやってくるのだろう。大いに楽しみだ。

株式会社サイバーエージェント 執行役員 ネットビジネス総合事業本部 インキュベーション室 室長佐藤 真人氏
大手IT系出版社の技術部門でコンテンツ管理、大手ブロードバンド配信会社で大規模インフラの構築、大手インターネットメディア会社でBtoCサイトのリニューアルなどに携わり、2006年にシステムアーキテクトとしてサイバーエージェントに転職。現在、シリコンバレーに席を置きながら、新規開発局エンジニアグループのシステムアーキテクトとして、システムインフラの構築戦略の推進、メンバーのマネジメントに携わっている。
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