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実録 求人魂!知られざるエンジニア採用の舞台裏 Vol.30

社長の全収入も!?
人への徹底投資でエンジニア愛を貫く

「エンジニアがモノとして扱われている悲惨な現状を根底から覆したい!」。そんな情熱を持って3年前に設立した、とあるITベンチャー企業に注目。“徹底的に人に投資する”という方針のもと、その具体的な取り組みについて紹介したい。

(総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:11.09.27

【今回の求人魂】 ITシステム開発+独自のマーケティング&ネットサービスで異彩を放つプロ集団


今回紹介企業
Fullon株式会社

3年前に設立されたFullon株式会社は、「IT+α」をキーワードにITシステム開発事業だけでなく、ネットサービスやマーケティング、またトレーディングサービスも含めて、トータルサポートでクライアントのビジネスを支援する少数精鋭のプロ集団。一方、「従業員満足度=顧客満足度」主義を打ち出し、エンジニアを含めた社員が常に高いモチベーションで業務に取り組めるようにするために、あらゆるサポートを徹底して実施していることも、同社の大きな特徴だ。その背景には、Fullon株式会社を立ち上げた社長の思いが込められている。
前職までSI企業の営業として活躍していた木下社長は、「現場で活躍するエンジニアが正当に評価されないばかりか、経営側は『エンジニア=コスト』としかみていないことに、何とも言えない悲しい気持ちになった」と、その当時を振り返る。
この状況が続けば、若い人たちがITの世界に入ってこなくなり、やがて業界自体が崩壊する。大きな危機感を抱いた木下氏は、「もう一度、若い人がITの世界に本気で入りたいと思えるような仕事ができる環境を作りたい!」と決意。それが会社の設立、そして先述した「従業員満足度=顧客満足度」につながっているのだ。

【求人背景】1年前からスタートさせた新事業が順調に拡大。今秋、初めての即戦力採用に踏み切る

もともとはいわゆるSIのように、各種Webサイトやシステム開発事業を請け負う事業からスタートさせたFullon。上流工程から参画し、フレームワークの提案や拡張、ソースジェネレーターまでも開発できる技術力、そして運用保守までフルサポートできる強みを武器に展開してきたが、1年前からは先ほど紹介した「IT+α」のα部分において、同社ならではの取り組みを実施しているという。

「いわゆる従来型のSI事業は、元請けからあらかじめ納期とコストが決まった状態で請け負うわけですが、その“受け身”の形態こそ、前職で経験した“エンジニア=コスト”という構図に陥る要因だったわけです。その点、当社は高い技術力を武器にその構図から脱却しつつありましたが、その一方で将来性を考慮した時、今後飛躍的に売上&収益アップを図れる余地が限られてくると判断。そこで“+α”の部分を生み出す新たな事業に注力することになったのです」と、新事業取り組みへの経緯について木下氏は語る。
そしてこの後紹介するその新事業が、わずか1年で順調に拡大してきたことで今回、同社として初めて本格的な中途採用に踏み切ったのだ。


Fullon株式会社
代表取締役社長 CEO
木下賢司氏

【求人魂1】10倍の売り上げ達成!? 顧客への先行投資ビジネスで、従来型SI事業スタイルからの脱却



社員とは積極的にコミュニケーションを図りながら、常にエンジニアの仕事満足度を高める努力を行っている

Fullonが1年前から取り組む新事業、それはネットサービス&マーケティング事業で、その一例がECサイトの企画〜構築〜運用だ。事業そのものはそれほど新しいわけではないが、その中身を探ると、同社ならではの特徴が見えてくる。
「当社のクライアントの多くは中小企業で、ECサイトを立ち上げたくても予算がないケースがほとんど。しかしクライアントの商品を見ると“日本でここしか取り扱っていない”“ブランド力がある”“価格は高くても、それ以上の付加価値がある”であるケースも。これは当社としても何とかクライアントの力になって、こんなにいい商品を世の中に発信したい!と思い、最初のシステム構築に関してはデザインやサーバー設置などを除いてすべて無償で作り、商品が売れる仕組みまで提案し店舗運営も行う。そして商品が売れたら、そこで回収するというビジネスを展開しました(※ECレベニューシェアサービス)」
つまりクライアントへの先行投資ビジネスを仕掛けることが、同社の特徴というわけだ。しかし資金力に限りがあるベンチャー企業の同社にとって、先行投資のリスクは決して小さくないはずだ。にもかかわらず、なぜ積極的に展開するのか?

「確かにリスクはありますが、私にはこのビジネスが必ず成功につながるという確信がありました。いい商品をITの力でプロモーションしていけば、必ず売れると。その結果、あるECサイトの構築では、最初の半年で600万円ほどコストがかかりましたが、順調に商品が世間に認知され売れるようになっています。1年ですでに初期投資分は回収し、さらに今後は特にこちらがコストをかけなくても自動的に収益が上がる体制になるため、例に出したECサイトでは5年後、数千万円の売上を見込んでいます(※2年目以降は人的コストがぐっと落ち、かつ手数料収益がストックしていく収益モデル)」
さらに木下氏は「従来の受託型システム開発案件は、開発が終わればそこでビジネスは途絶えてしまう。しかしこのECサイト構築事業は開発後の売上アップでサーバの増強やシステムの再構築、また別の業務システム等々で新たなシステム開発案件を受注し、さらに事業を拡大できます。そしてきらりと光る多くの中小企業の成長を、直接サポートできるやりがいをエンジニア自身が実感できるので、報酬も含めて、高いモチベーションで業務に取り組むことができるのも、大きなメリットと言えるでしょう」と、数々の相乗効果が期待できると力説する。

【求人魂2】毎年例外なく全社員ベースアップ!社員への先行投資も一切惜しまず積極的に実施


ベンチャーだからこそ、厳しい中でも和気あいあいと今後の夢や目標を語り合える環境が、Fullonにはある

エンジニアにとって、仕事の内容以外にもう一つ気になるポイント、それは報酬やサポート体制だ。とかくITベンチャー企業の場合、その点に不安を覚えるエンジニアも少なくないだろう。
しかしFullonでは毎年、例外なく全社員の報酬をベースアップしている。その理由として、「少なくとも報酬面で大企業には負けたくない」という強い気持ちを木下氏が持っているからだ。
「特に若いエンジニアの場合、大企業やフリーランスの方が収入がいいと考える人も多くいます。しかしこの業界、年齢を重ねると高いレベルの技術力かマネジメント力がなければ逆に収入は下がり、ある一定の年齢を超えるとプロジェクトへのアサインすら難しくなる。それは決して健全ではないと思うんです。その点、当社は成果の内容にもよりますが、少なくとも全社員のベースアップは毎年、必ず実施することで当社の社員として長く活躍してほしいことを、なるべく形として表していくつもりです」

また報酬以外でも、何かやりたい事業があれば全社員の前でプレゼンしてもらいつつ、GOサインが出れば予算をつけたり、最新のPC・スマートフォン・タブレット端末・通信環境・最新開発ツールなど必要だと思うものはすべて会社が負担するという。またビジネススキルアップ研修のみならず、技術系研修への積極的参加を促す仕組み作りを通して、会社がエンジニアをサポートしている。
「とにかく顧客でも社員でも、“人”に対しての投資は一切惜しまず投入することが私の信条。ビジネスを成功させる最終的なカギを握るのは、いつの時代も人なんです。それに先行投資することで当然人件費がアップするので、経営者としては非常に大きなプレッシャーになりますが、そのプレッシャーが常にビジネス成功への高いモチベーション維持に役立っているということも、先行投資を続ける大きな理由です」

【今後の展望】今期20名の中途採用を予定。案件ありきではなく“人ありき”で貪欲に採用していく


「今期はエンジニア採用に全力で投資します!」と採用に対する思いを熱く語る木下氏

今期20名程度の即戦力のエンジニア採用を予定している同社では、2つのポイントを重視しているという。
ひとつが「上流工程の経験がある」こと。日々、技術に対する向上心を持ちながらも、PMやPLとしてクライアントと交渉できる方であれば、何人でも採用したいという。
そしてもうひとつが「人を育てることが好き」であること。どんなに技術力が高くても、部下を育成できなければ、Fullonの理念でもある「人に投資する」という考え方にそぐわないし、また活躍も期待できない。人を育てることで、自分もキャリアアップできる。そうした考え方を技術力以上に重視しているのだ。
「昨年は営業職採用に投資しましたが、今期はエンジニア採用に全力で投資します。その上で私の思いとしては、案件があるから人を採用するのではなく、『あなたが欲しい!』と心底思った人は、絶対に採用するつもり。もしその時に案件がなかったとしても、その時は私の収入を採用した方の給料にしてもいいくらい、真剣にそう考えています」

木下氏がここまで熱心にエンジニア採用に注力する根底には、先述した「エンジニアが正当に評価され、生き生きと仕事をしてほしい」という“エンジニア愛”とでもいうべき思いがある。
その思いを確かめたければぜひ、直接木下氏に会って話し合ってほしい。もしかしたらあなたが求め続けていた理想の場所が、そこにあるのかもしれない。

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