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ライフエンジンを止めないために、2012年大阪に開発拠点を設置
ヤフー、関西から技術を発信するエンジニアを採用開始
大規模自然災害などに対応するため、全国に拠点を分散化する企業が増えている。日常生活に欠かせなくなったITインフラやWebサービスを支えるため、ヤフーもその決断をした。そして、2012年初頭の大阪開発拠点の稼働に向け、エンジニアの大募集が始まった。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/佐藤聡)作成日:11.10.12
ライフエンジンを止めないために、大阪開発拠点で同時開発
原永 宗一氏
ヤフー株式会社 R&D統括本部
フロントエンド開発2本部 本部長

原永 宗一氏

 3.11東日本大震災以降、IT業界では東京以外に開発拠点を設ける動きが出ている。大規模な自然災害が発生した際には、サーバーが停止したり、社員が出社できないなどの危機的事態は今後も予想される。それでも、ITインフラを担う企業には、サービスを止めてはならないという責務がある。BCP(business continuity plan/事業継続)的な観点からも、拠点の分散が真剣に考えられているのだ。

 各種のWebサービスを提供し、人々の「ライフエンジン」となることを目指す「Yahoo! JAPAN」も、3.11を受けて本格的な拠点分散の動きに取り組んでいる。東日本大震災発生直後に、開発拠点を新たに大阪に置くことにした。2012年1月までに、大阪市北区に開発拠点を新たに設置する。そして、開発体制を整えるために、新たに大阪勤務のエンジニアの募集を始める。

「大阪への開発拠点設置は震災前からの検討課題としてあったが、大震災の発生でその動きが加速化した」
 と言うのは、同社R&D統括本部フロントエンド開発2本部の、原永宗一本部長だ。
「大阪拠点の最終的なイメージは、東京での開発をすべてミラーとして行うことができるようにすること。だが、そこまでには時間がかかる。手始めに、フロントエンド開発の機能を大阪にも置くことにした」と、語る。

 同社のフロントエンド開発は、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」のあらゆるサービスについて、その技術(エンジニアリング)と制作(クリエイティブ)領域を担当する。技術担当者は、例えばコンテンツ、コミュニティ、コマース、スマートフォンなどの新たなサービスのプログラム開発を行うとともに、日常的な機能追加や保守を担当することになる。

 一言でいえば、既存のサービスの機能の改善だ。Webサービスは、リリースして終わりではなく、リリースした瞬間から、ユーザーの要望に応えて、改善・改修の繰り返しが始まる。その動きを継続することで、収益の維持・拡大が図れる。フロントエンドは、ヤフーの収益を支える屋台骨の一つと言えるのだ。このフロントエンド開発の中から最初はいくつかのプロジェクトを切り出し、東京と大阪で同時開発ができるようにする、というわけだ。また、将来的にバックエンドを受け持つ部隊や、サービスの新規開発チームも稼働する予定だ。

1日平均23億ページビュー、100以上のサービス──ヤフーで仕事をすることの意義

 その意味では、大阪開発拠点のエンジニアもまた、ヤフーのサービスの重要な一端を担うことになる。ヤフーで開発を担当することの意義を原永氏はこう説明する。
「ヤフーが提供するサービスの数は、100以上。例えばニュースやファッションなどのコンテンツサービス、グルメやショッピングなどの地域情報サービス、オークションなどのコマースサービス、また最近ではスマートフォン向けのサービスまで、実に幅広く、1日平均23億6500万のページビューがある。お客様(※ユーザー数)が圧倒的に多く、年齢層も幅広い。お客様は一つのポータル内で複数のサービスを利用し、滞留性が高いという特長がある。こうした国内最大規模のポータルを担うことの醍醐味と責任感は、ほかではなかなか得られないもの」

 例えば、ニュース一つとっても、近年はソーシャルメディアによって真っ先に伝わるが、情報ソースの信頼性という点では、「Yahoo!ニュース」に一日の長がある。
「ネット上でなんらかの噂に接したとき、それを『Yahoo!ニュース』が配信しているかどうかという観点で確認するお客様も少なくないと思う。しっかりとしたコンテンツ・プロバイダーとの関係があればこそ、その信頼感が保たれている」  と、原永氏は言う。

フロントエンドで苦手意識を持たない、汎用性の高いエンジニアに期待

 まずはフロントエンドのサービスのアップグレードやブラッシュアップから業務をスタートさせる大阪の開発チームだが、大阪を拠点とする以上、東京で決めたことだけをすればいいというものではない。東京に一極集中しがちな情報やサービスを、大阪発・関西発という新しい視点で刺激する役割も担っている。

「今ヤフーが力を入れているものの1つに、全国のローカルな情報の充実というものがある。大阪拠点には西日本の拠点として、それらをまとめる機能も期待したい。関西圏のお客様のニーズを拾い上げることで、新しいサービスが開発される可能性もあると思う」
 と、原永氏は期待する。

「大阪でのスタートアップをスムーズに進めるためには、新しいことへのチャレンジ精神と、従来の開発業務をきちんと継続するという実直性の両面の適性が必要になる。多種多様なサービスをお客様に提供する仕事なので、守備範囲が広い人がいい。例えばスポーツ好きだからといって、必ず「Yahoo!スポーツ」を担当するとは限らない。自分が詳しくは知らない領域でも苦手意識を持たず、汎用性を高めることができる人」
 と、原永氏はマインド的な意味での適性を挙げる。

 もちろん大阪での開発が軌道に乗れば、その中から、特定サービスに特化した技術を習得したスペシャリストが生まれる可能性は否定しない。例えば「Yahoo!ファイナンス」のサービス改善にあたって、株価分析のプログラムを独自に開発し、それをサービスに活かすというようなことも決して不可能ではないのだ。将来的には東京と大阪で、サービス開発に関して、よい意味での競争が始まることも考えられる。

デザイナーなど社内各部署とのコミュニケーションが不可欠

 フロンドエンド開発の技術的なポイントとして挙げられるのは、ユーザーインターフェイスの改善だ。ヤフーのフロントエンド開発部隊は、一目で「Yahoo! JAPAN」が提供しているサービスだと感じられる統一のとれたページ構成とナビゲーションを維持しながら、広告を含む新たな表現手法の開拓を行っている。主にこれらの作業を担うのはUIのスペシャリストやデザイナーなどの制作担当者だが、エンジニアには「アクセスデバイスの違いを踏まえ、彼らと緊密な連携を取りながら、改善点をシステムに実装していく役割がある」(原永氏)。当然、自らもWebデザイン、ナビゲーションなどに敏感である必要がある。

 また、Webサービスを支えるデータベースにアクセスし、そのデータ活用を技術的に考え、新たな付加価値を発見していくことも、フロントエンド開発部門のエンジニアの仕事の一つになる。こうした実務を担うために、求められるキャリアは「なんらかのWebサービスの実装経験」だ。「大規模なポータルサイトの経験者は言うまでもないことですが、例えば社内SEとして社内ポータルを開発していたような人でも、十分に活躍の可能性はあると思います」(原永氏)

 例えWebサービスそのものの開発経験がなくても、「何らかの形で、お客様に合わせたシステム開発を経験してきた人」であれば、採用面接のフィールドに上がれるという。その意味で、門戸は広く開かれているのである。

ヤフー株式会社 R&D統括本部 フロントエンド開発2本部  本部長 原永 宗一氏

1993年青山学院大学理工学部卒後、大手SIerを経て、98年エキサイト入社。エンジニアとしてポータルサイトのシステムを構築。アプリケーション開発部長、事業本部長、取締役兼CTO(最高技術責任者)を歴任。今年7月よりヤフーに転職し現在に至る。

コミュニケーション能力が高く、何でもチャレンジするマルチ・エンジニア歓迎

ヤフーで実際にエンジニアをまとめる立場にある北岡睦玄氏に、今回採用予定のエンジニアへの期待を聞いた。

 現在、「Yahoo! BB」「Yahoo!アバター」「Yahoo!保険」「スタークラブ」など10個ほどのサービス開発に携わっています。サービスごとに開発言語も利用しているデータベースもバラバラです。今でこそ開発言語についてはPHPが主ですが、古いサービスですとC++やPerl、Ruby等さまざまな言語で開発されていたりします。ですので、幅広く何でもチャレンジできる人、臨機応変な動きができる人がベストだと思います。

 またフロントエンドの開発は、社内の企画や制作、ヤフーのプラットフォームを担当する各部署等、さまざまな方々と密接に関わり合いながら開発を進めていくので、技術力と同じくらいコミュニケーション能力も必要となってきます。

 大阪拠点が稼働すれば、東京と大阪、離れた場所でコミュニケーションをとりながらの一緒に作業していくことになると思います。既に部門によっては国内拠点、場合によっては海外とのやりとりにおいて、テレビ会議やメール、メッセンジャー等を利用して仕事を行っていたりしますので、東京-大阪間の距離が開発の妨げとなるというような心配はあまりしていません。とはいえ、初期段階においては齟齬のないよう、今まで以上に密に連携を取りながら開発を行わなければならないと考えています。

北岡 睦玄氏
ヤフー株式会社 R&D統括本部
テクニカルリーダー

北岡 睦玄氏
ヤフー株式会社 R&D統括本部 テクニカルリーダー 北岡 睦玄氏

前職は客先常駐型のシステムエンジニア。2004年ヤフーへ転職。ヤフーのR&D本部でテクニカルリーダーを務める。

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