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進む機構のシンプル化、広がる電気・ソフトでの制御…

機械系エンジニア

今、機械系エンジニアに求められる
「+α」の技術力

機械、機構、筐体などを設計するメカ系エンジニアに逆風が吹いている。製品の機構をシンプルにして部品数を減らし、回路やソフトで制御するという流れが強まっているからだ。培ってきた「メカ屋」としてのスキルはどうなるのか。今後は電気やソフトなど「+α」のスキルが重みを増してくる。

(取材・文 総研スタッフ/高橋正志) 作成日:10.12.01

逆風が吹く機械系エンジニア、+αの技術スキルを身につけよう

機構のシンプル化や電気・ソフトの制御で求人が伸び悩み

メイテックネクスト

株式会社メイテックネクスト
CA統括マネージャー
河辺真典氏

機械系エンジニアの求人は厳しいですね。求人数自体は2009年に増えてきて、2010年は横ばいなのですが、電気・電子系や制御ソフト系に比べて数が少ないのです。

例えば、自動車業界では「モーターシフト」が顕著です。複雑な機構の塊だったエンジンをモーターにすれば部品点数は大幅に減り、複雑な機構は電子回路やソフトで制御します。このように、モーターなど電子アクチュエーターを用いたバイワイヤ技術により、加工工程の掛かるメカニカルな方法を用いず、むしろ機構をシンプルにして電気、ソフト、センサーなどで動きを制御する方向へ全体が向かっています。機構を複雑にしないことで軽量化でき、部品点数を減らしてコスト削減するなどもその理由です。
 
機械系職種で特に厳しいのは筐体設計です。好景気であればヒット製品が生まれ、類似・派生製品も多く出て、その都度新しい筐体が必要になりました。しかし、景気の冷え込みから現在では1製品に対するラインナップが減少したため、自社のエンジニアで現状を乗り切る方針を強めるメーカーが多く、特に家電メーカーでの筐体設計者の求人ニーズは依然として回復していません。
動力源がモーターへシフトしても、回転をタイヤに伝えるための機構設計は必要です。ただ、従来のように機械の要素が多くを占めるわけではないため、最適化に向け、より電気やソフトのエンジニアとの密なコミュニケーションが必要となります。機械、電気、制御ソフトを分業で開発して、それを組み合わせて製品化するという今までのような縦割り分業はなくなりつつあるため、機械系エンジニアは機械的な要素に加え、+αの知識が求められるようになってきています。

周辺技術を身につけて「制御システム」が描けるPMへ

モーター

求人ニーズが高まっているのは、「制御仕様の取りまとめ」や「システム設計」と呼ばれて上流を担える、プロジェクト全体を引っ張るエンジニアです。一般的なハードウェア開発では、機械、電気・電子、ソフトの各チームにPLがいて、その上位である制御仕様に開発内容、スケジュール、予算などを管理するPMがいます。ですが、電気やソフトがわかる機械設計者がいれば、彼にPMを任せてしまえばいい。こんな人材が求められています。

実際には、電気・電子系エンジニアがこうしたPMになるケースが多いです。電気がわかることは強みですし、モーターに代表されるように電気とソフトの割合が機械を凌駕しつつある時代だからです。
 言語である制御ソフトはまだなじみがあっても、機械系エンジニアにとって電気・電子は別世界でしょう。知識を吸収するのは大変だとは思います。ですが、仕様がイメージできたり、できる・できないの境目ががわかれば、全体の最適化設計ができるはずです。PMになれる可能性は十分にあります。
 
新製品のプロジェクトが立ち上がったら、できる限り電気やソフトのエンジニアと密に話をして、彼らの考えていることを理解して、製品目標に向かっていく。こうしたことを積み重ねることでスキルを高め、制御システムを取りまとめられるPMを目指すことはできると思います。機械系分野に固執して技術領域を広げる努力をしなければ、いつまでも全体の概念が見えないと思うのです。
PM候補の一番手はロボット開発エンジニアでしょう。産業用やヒューマノイド型などを問わず、全般的にロボット関連のプロジェクトは少人数で行うことが多く、仕事自体に電気・電子とソフトでの制御が含まれているからです。また、中小の産業機械メーカーなどで、機械設計をこなしながら回路やソフトを外注していたような方。「何でも屋」の機械系エンジニアは大手企業からの人気も高いです。

職人的エンジニアは求められても、やはり+αが必要

デジタルカメラ

 一方、機構の作り込みが製品を左右するような分野では、職人的なスキルにニーズがあります。例えばMFP(デジタル複合機)の紙送り機構設計者。薄い紙を一枚一枚適正かつ高速に安定させて送る技術です。

あるいはAT(自動変速機)の機構設計者。ハイブリッド車でエンジンとモーターを最適化させるATの機構設計は特殊なもので、まさに職人技が必要です。デジタルカメラの鏡筒の駆動部分、光学部分などの精密設計も同様です。
 
まとめると、高速、安定、精密、コンパクトなどがキーワードになります。そのためか白物家電や、医療機器など機械部分の大幅な変更があまりない業界での求人はほとんどありません。産業機器では機構設計のニーズもありますが、同様に制御システム設計でのニーズのほうが強いです。
日本の機械技術や制御技術は、既存の領域では韓国や中国に押されています。技術力で先行するためには、機械、電気・電子、ソフトを総合的に駆使した新たな制御システムを生み出し続けなければならない。こんな見方もできます。
先のMFPやATなどの募集であっても、そのほとんどに「電気・電子や制御ソフトがわかればなお可」と入っています。苦労するとは思いますが、こうした+αの技術力を習得して、より上位の仕事を目指してほしいと思います。

+αの技術力で転職した産業装置メーカーの機械系エンジニア

設計とPLCに精通した機械系エンジニアが転職成功

リクルートエージェント

株式会社リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
竹内賢一氏

私が担当した機械系エンジニアの方に、PLCの技術が評価されて転職された方がいます。中堅の産業装置メーカーでインク制御装置の機械設計をしていた、20代後半の男性です。これまでの仕事は機械設計と制御ソフトがほぼ同じ期間で、しかも設計から客先へ出向いての機械の設置、条件の設定、その後のメンテナンスやトラブル対応までひとりで担当されていました。

ご自身の向き不向きにかかわらず業務全般に携わり、ご苦労も多かったと思いますが、設計からメンテナンスまでを知り、工程管理や顧客折衝までしてきたご経験は、転職市場で高い評価を受けます。こうした方の「出現率」は極めて低いのです。
 
特に評価されたのはPLCのスキルです。PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)はいわゆるシーケンサーで、その制御ソフトがわかる機械系エンジニアはあまりいません。規模の小さな会社でも機械、電気、ソフトの3体制で製品開発を行うのが普通ですし、会社で率先して機械設計者にPLCを学ばせているわけでもなさそうでしたから、この方のソフトのスキルはある意味偶然なのだと思います。しかし、結果的にこれがよかった。

産業装置メーカーと半導体製造装置メーカー、共通項は「駆動部分」

メカ

この方の転職理由は、残業が多くて自分の時間が全く持てず、労働環境を改善したいというものでした。そのため転職先としてまず考えたのは、残業が少なく、安定して働ける企業であること。部品ではなく装置の開発業務であること。機械設計と制御ソフトの両方の経験と、仕様からメンテナンスまでを担当した実績が活かせる場であることです。

 
大手企業では業務が細分化されますから中小企業に絞り、同業界以外というご本人の希望に沿って、何社かご紹介しました。その中で入社が決まったのが、中小の半導体製造装置メーカーです。半導体製造装置は半導体の製造工程により種類が分かれますが、ここは後工程の装置開発メーカーです。いわゆる異業種転職になりますが、「装置の駆動部分の設計」という共通点があり、PCLのスキルが使えることが評価されて、入社に至ったのです。

電気・電子や制御ソフトに加えて、生産工程での+αもあり

産業用

この方はPLCの経験が転職成功のカギとなったわけですが、+αのスキルは業務レベルでなくても構いません。例えば、関わるプロジェクトの電気・電子分野や制御ソフトの仕様が決められたり、指示が出せるなどで評価はグンと上がります。その理由は、製品開発の即戦力になるというだけでなく、将来的にPMになった場合に、電気や制御ソフトのメンバーの面倒を見てもらいたいからです。

また、+αは電気やソフトに限らず、生産の手順書や製造工程の指示ができるような技術力もあります。製造現場を知り、その工程を意識して設計に反映させられることができるからです。こうした幅広い経験を持つエンジニアは中小企業のメーカーに多く、こうした経験を募集するのも中小企業のメーカーが多いです。
 
例えば、産業用の実験装置メーカーにいた機械設計エンジニアの方。仕様検討から設計、最終的な納品まで幅広く担当していたのですが、中堅の自動車部品サプライヤーに転職しました。生産技術での設備設計職です。製品自体は違っても、開発内容の親和性が高いことはよくあります。電気・電子、制御ソフトなどの横展開に加えて、開発から生産までの縦展開での+αもあるということです。

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