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ソーシャル系、スマートフォン向け開発で採用ニーズ沸騰中! モテモテLAMP経験者 獲得競争の実態と仕事の魅力
中途採用市場におけるLAMP経験者の採用ニーズが依然、高水準で推移している。オープンソース全盛時代を迎え、ますますLAMP経験者の活躍フィールドが広がっているようだ。そこで今回、LAMPによる開発ニーズ&最新採用事情について探ってみたい。
(総研スタッフ/山田モーキン)作成日:10.11.08
はじめに LAMPとは
LAMP(ランプ)とは、OSである「Linux」、Webサーバの「Apache HTTP Server」、データベースの「MySQL」、スクリプト言語の「Perl」「PHP」「Python」を総称した頭文字からなる造語であり、オープンソースソフトウェア(以下OSS)に属する。
1998年、ドイツのコンピュータ雑誌「C't」にてM. Kunzeが提唱したのが始まりと言われている。
PART1 LAMP開発ニーズは今、どうなっている?
この10年でBtoC向けのWeb企業の台頭やWebサービスの急速な普及によって、OSSによるシステム・アプリ開発が主流となりつつある。中でも数年前からとりわけ注目を集めているのが、LAMPスタックを用いた設計&開発スタイル。
そこでまず、LAMPによる日本における開発ニーズのこれまでの経緯や最新動向、そして今後の展望も含めて、2004年にいち早くLAMPの可能性に目をつけ、LAMP開発ソリューションやコンサルティング事業をスタートさせたスマートスタイル野津社長に、詳しく伺った。
野津和也氏
株式会社スマートスタイル
代表取締役社長

野津和也氏
不況の影響からBtoCに加え、業務系BtoB分野にも拡大中
「2004年当時、OSSは日本でも徐々に普及しだしてきましたが、まだビジネス領域における普及は進んでいませんでした。しかし“エンタープライズOSS”として、ビジネス領域で積極的に活用すれば、低コスト・高速・安定したシステム開発・運用ができるメリットを最大限生かせると考えていたので、LAMPによるソリューション・コンサルティング事業をスタートさせました」と、LAMP事業立ち上げのいきさつを語る野津氏。

しかしOSSにはLAMP以外にも選択肢がある中、なぜLAMPにこだわったのか?
「まずフリーウェアで可用性に優れたLinuxベースというのが大前提であったこと。さらに当時、他国に比べ圧倒的に普及が遅れていたMySQLに関して、ようやく日本でも年々利用者が倍増していく流れになっていたことも、LAMPを選択した理由です」
その後、BtoCのWebサービスが急速に普及していくのと比例して、LAMPによるシステム開発ニーズが急激に増えていくことになる。
「BtoCのWebサービスの場合、大規模なものになると数十万人〜数百万人のユーザーに対応しなければならないため、パフォーマンス、セキュリティ、アジャイル開発などの非機能要件に対する要求が高まり、従来のSI企業では対応しきれないのです。当社が担当した案件でも、LAMPを導入後、運用コストを従来の1/10、逆にパフォーマンスを10倍に引き上げたケースも多々あります。特にパフォーマンスを左右するのがデータベースのMySQL関する経験と知識になり、LAMPを高速、安定化するためにMySQLの技術力が重要であると判断しました」

LAMPロゴ
野津氏が考案したこのLAMPロゴデザインは現在、さまざまな分野で使用されている
LAMPならではのメリットを生かして、BtoC向けの大規模Webサイトの構築・運用を中心にこの数年で急速に普及が進んできた中で、最近の特徴として業務系のBtoB向け案件にもすそ野が拡大しているという。
「2年前の世界的な経済危機が引き金となり、システム開発・運用コストをできる限り抑えたいと考える企業が増えました。特に国内外にも数多くの拠点を持つグローバル企業では、システムコストも非常に高額になります。そこでローコストで安定したLAMPスタックでの運用に関心を持つ企業が増えているのが、現在の大きな動きです」
OSS+クラウドにパラダイムシフトしていく
今後も引き続き、LAMP開発のニーズは広がっていくと語る野津氏だが、「第3のパラダイムシフト」が起こるという。
「これまでのホストコンピューティングからオープンシステムへの最初のパラダイムシフトが生じ、OSSを用いた第2のパラダイムシフトとして、LAMPの開発スタイルが広く普及しました。そして今後、OSSにクラウドという新たな要素が加わることで、さらに低コスト・高速・安定を目指すパラダイムシフトが起こる動きが始まっています。その中で特に注目しているのが、MySQLにRubyを組み合わせた開発、つまり“LAMR”の開発スタイルが急速に普及していくと思われます」

現在、すでにアメリカではRuby on Railsの普及と共に、LAMRによる開発が積極的に導入されている。オブジェクト指向とスクリプト言語の特徴を併せ持つRubyによって、OSSの強みに「開発効率のアップ」という新たなメリットが加わるという。特に現在、アジャイル開発が主流となりつつある中で、それに適応するポテンシャルを持つことが大きい。
これまで以上に開発ニーズの要求レベルが高くなる中で、LAMPやLAMRのような開発スタイルがより広く受け入れられる環境が築かれつつある。
野津和也氏
今後“LAMR(Ruby)”開発ニーズの波が、 日本にも来ると断言する野津氏
PART2 LAMP経験者の最新採用ニーズと傾向
ターゲットはSI業界出身エンジニア
近藤なつ美氏
株式会社リクルートエージェント
ITマーケット RA1グループ
リクルーティングアドバイザー

近藤なつ美氏
「3年前くらいからモバイルサービスやモバイルゲーム、SNS上でのソーシャルゲームサービスなどの増加に伴い、LAMP経験者の採用ニーズが高くなり、現在でも高い水準を維持しています。最近の傾向としては、大手よりも中小規模のWeb開発企業からのLAMPエンジニアの採用ニーズが特に高いですね」と現在のLAMP経験者の中途採用ニーズについて語るのは、リクルートエージェントの近藤氏。
その理由はまさに、OSSによって少人数かつ小規模投資でシステム開発できる環境が整ったことにある。さらにOSSの中でも、より安価でスピーディに開発できるLAMP環境をベースにするベンチャー企業の増加が、拍車をかけているようだ。ただし中小企業の場合、自社でエンジニアを育てる余裕はないので、あくまで“即戦力”としてLAMP経験が必須という条件がつくケースが多い。

このように高い採用ニーズがある一方、メインターゲットとなるWebオープン系LAMPエンジニアの採用市場における絶対数が不足している、という問題が近年露呈するようになってきた。そこで今、新たに注目を集めているのがSI業界。しかしそこにもいくつか、問題があると近藤氏は指摘する。
「SI業界とWeb業界では、大きな違いがいくつかあります。例えば開発スピード。仕様書を固めてスケジュール通りに進行していくSIerでの開発に対し、ドキュメントに頼らず、その場のアイデアを即実行に移し、数日後にはリリースするというようなケースも少なくないWebの世界では、全く仕事の流れが違います。またWebでBtoC向けサービスを開発する場合、一度ヒットすればリリース直後に数百万のユーザーを獲得することも。つまりサービス対象のスケール感も大きく違います」
独学でLAMPにチャレンジしている人の方が、高い評価を得るケースも
SIer出身者がWeb業界に移るには、さまざまなハードルがあることも事実。しかしWebサービスで、LAMPを駆使して仕事をする魅力も多々ある。
「自分のアイデアを形にしてすぐにリリースすることで、世の中の反響をリアルに実感できるのが、SIではなかなか得られない大きなやりがいです。その上、基本的には一人、もしくは数名という少人数で上流から下流まですべて担当しますから、モノづくりを実感できることも大きいと思います」と、その魅力を近藤氏は指摘する。

では実際のところ、どのようなLAMP経験者が求められているのだろうか?
「欲を言えば大規模BtoCサービスの開発経験や、フレームワークを用いた開発経験があればベスト。でも決して業務経験だけを評価するとは限りません。例えば趣味レベルでもいいので、自宅でLAMPによる簡単なアプリを開発しリリースしたなどの経験があれば、高く評価されるケースも多いのです。裏を返せばただ「やりたい」と言うだけではなく、実際に何らかのアクションを起こし、目に見える形にしなければ評価されないということでもあります」と近藤氏は語る。
元来Webの世界は、エンジニア自身が欲しいと思うサービスやアプリを自由に開発、次々とリリースしてきたことで急成長した経緯がある。つまり開発が好きで、Webやモバイルが持つ大きな可能性に魅力を感じたエンジニアが多いのだ。
だからこそ、独学で取り組むくらい「何か面白いサービスを創りたい」という意欲の高いエンジニアほど、高く評価される傾向があるのかもしれない。
まとめ 今こそLAMP経験を生かして、面白いサービスを生み出すチャンス
世界最大のSNS「Facebook」をはじめ、今年に入ってから海外の大手Webサービス企業が相次いで日本に進出。またスマートフォンの急速な普及も後押しとなり、より多くのユーザーに自分の開発したアプリやサービスを利用してもらえるチャンスが広がっている。
一方で今後LAMP経験者の増加によって、ライバルも必然的に増える。まだWeb業界内におけるLAMP経験者が少なく市場が急拡大している今が、LAMP経験を生かして、まだ世に出ていないサービスを自分の手で生み出す絶好のタイミングなのだ。
もしLAMP経験があり面白いサービスやアイデアを持っているのであれば今こそ、Webの世界に飛び込んで自分の力を試してみてはどうだろうか。
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山田モ―キン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モ―キン(総研スタッフ)からのメッセージ
今回の取材で最も驚いたこと。それはLAMP経験のあるエンジニアの方が、その価値に気付いていない割合がことのほか多いという事実でした。今回の記事をきっかけに、少しでも多くの方にLAMPの価値を再認識し、今後のキャリアアップの参考にしていただければと思います。

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