電気・電子系の注目７分野
　　　　　　−求めるエンジニアとは？

電気・電子系エンジニアの求人は、リーマンショック以降で最も盛り上がっています。弊社の求人倍率で関東地区が1.6倍、関西地区が3.2倍、東海地区が5.8倍と、東海地区が圧倒的に多いですね。企業は自動車メーカーと大手サプライヤーが中心です。
案件別で最も多いのがモーター。強電・弱電、アナログ・デジタル、異業界を問わずに幅広く人材が求められています。モーター設計者、モーターを利用した製品の回路設計者はもちろん、何らかモーターに関連した設計経験があれば応募は可能です。
その用途はEV（電気自動車）、産業用ロボット、自動車、医療機器、エアコンなどさまざま。韓国や中国の大手メーカーからは、洗濯機など白物家電向けの求人もあります。省エネや省電力化のためにも、各社は高効率のモーター開発を進めているのでしょう。

回路設計者をアナログとデジタルで分ければ、求人数は前者が4割、後者が6割といった割合です。ただ、アナログ系の求人が増えており、デジタルの設計者よりも採用に積極的な企業が目立ちます。アナログ回路を使った製品や機器の増加だけでなく、アナログからデジタルに移行した人が多いこと、アナログの設計者はすぐに育たないことなどから、アナログに大きな「波」が来ているのだと思います。
アナログ回路設計者のニーズは先のモーターに加えてEV、産業機器、インバーターなどのパワー半導体などです。省電力で高いパワーを出力するパワー半導体は、エアコンから電力送電網までの電源周りに広く利用されており、今後の成長が見込まれています。
一方、デジタル回路設計者を求めているのは、装置メーカーや受託開発会社になります。後者は大手企業の関連会社や独立メーカーなどですが、技術者派遣会社でも募集が増えてきました。デジタル回路の開発はアウトソースする傾向が強まっているのかもしれません。総合的に見れば、アナログにシフトしたほうがチャンスが広がると思います。

また、EV向けの求人が増加しています。EV用のモーターに加えて、モーター用のインバーターやコンバーターなど電源ユニット設計者も求められています。自動車メーカーが「シャシに載せたら動く」状態を望んでいるのと、モーターと電源ユニットをセットで開発したほうが利益率が高いというサプライヤーの事情もあるでしょう。モーターの求人は自動車メーカーや専業メーカー、電源ユニットでは自動車部品サプライヤーや総合家電メーカーも含まれます。
ほかに、EV用ではリチウムイオン電池で重要となる特性のばらつきを適正にコントロールする、制御回路を組み込んだ充放電回路設計者や、電池・制御ユニット・モーターを堅牢につなぐワイヤーハーネスの設計者の求人が、自動車メーカーやサプライヤーから出ています。
社会インフラではスマートグリッド。中心は電源制御エンジニアと通信エンジニアで、エネルギーの統合制御を行う人材です。求人企業はこうした大規模な事業に取り組む総合電機メーカーが主体となります。ほかのエネルギー系では火力発電や原子力発電などの発電プラントがあり、内容はプラント内のコンプレッサーやバルブを動かす電気制御や、分散制御システムを統合制御する計装制御エンジニアなどです。