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最新! 8つのエンジニア職種から採用動向がわかる!職種別 採用天気予報 [10年10〜12月期]
日本の景気はまだまだ不透明。その中でエンジニアの雇用状況は改善されつつあるのだろうか。エンジニアの転職市場について、技術系職種を大きく8つに分け、3カ月間の短期予想を載せた。各分野のベテランアドバイザーたちが、この秋・冬の求人動向を予報する。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/高橋マサシ)
全体動向 回復基調にあるエンジニア転職市場。先行きの不透明感ゆえに早い動きを
 リーマンショックを克服し、ゆっくりではあるものの回復してきた日本経済。ただ、8月以降の円の対ドル・対ユーロ相場の上昇や、株価の低迷で、秋以降の景気は不透明になってきた。円高の打撃を真っ先に被るのは輸出型企業。エコカー補助金も終わり、景気のいっそうの下ぶれも懸念される。今後の米国、中国経済の動向も含め、注視が必要だ。
 とはいえ、エンジニアの中途採用は全体的には回復基調にある。機械、電子・電気、制御関連では自動車サプライヤーや半導体製造装置大手の動きがマーケットをリードする。これまでは主に国内メーカーへの部品・装置の供給という事業構造だったが、この10年で大きくビジネスモデルを転換。内需よりは外需拡大を押し進める企業戦略があり、そのグローバルな立ち位置が企業としての強みになっている。

 アプリケーション、ネットワーク系では、ソーシャルゲームなどのSAP(ソーシャル・アプリケーション・プロバイダ)業界の動きが派手だ。大手はいずれもSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)から出発しているが、昨年から急速にソーシャルゲームに主軸を移し、収益拡大につなげた。
 さらに開発力を強めるための「転職準備金」など、従来にないエンジニア獲得のためのプロモーション活動も進めている。この業界でも、スマートフォンを含むマルチデバイス戦略や海外事業戦略が話題。国内市場のシェアアップではなく、グローバルでのプレゼンス確立というのが、彼らに共通する課題だ。

 その意味では専門職種を問わず、これからのエンジニアの転職キーワードになるのは「英語力」。社内公用語を英語に切り替える会社も出てきており、「技術は得意だが、語学は苦手」という言い訳が通用しない時代になっている。
 韓国、中国、台湾の大手企業では経営幹部はもとより、技術系の管理職はみな英語が達者だ。米国への留学経験を持つエンジニアも多い。語学ができればすべてよしとはならないものの、グローバル展開を見すえたビジネスの現場で、彼らと対等に勝負するためにも、英語力は常識となりつつある。
 秋から冬にかけての景気動向が不透明度を増す今、転職情報の収集や具体的な行動は早めにというのが、転職アドバイザーに共通する意見。猛暑の疲れを吹き飛ばし、秋の転職戦線に元気よく臨みたい。
ページ内の各技術分野へリンクします。
業界別求人人数の推移と今後の予測
 ※2009年7月の「IT通信・インターネット業界」の求人人数を0値として、職種ごとの求人数の推移をグラフ化した。
 ※リクルートエージェントのデータ(2010年8月まで)を基にTech総研編集部が作成。
制御系SE
曇りときどき雨
自動車サプライヤーが依然好調、スマートフォンの普及から求人も
狙われるのはこんな人 EVやテレマティクス関連、モバイル端末などの開発経験者
 大手自動車サプライヤーでの電気自動車関連、カーナビ、テレマティクス関連の制御ソフトウェアで求人が回復しています。サプライヤー本体だけでなく、関連するソフトウェア開発会社、人材派遣会社の求人も好調です。これまでの採用抑制で人材枯渇感が強まっていることと、自動車に安全、安心、快適を求めるニーズが高まっていることから、制御ソフト開発者を補強したいという動きがあるようです。

 携帯電話はキャリアやメーカー側の求人は相変わらず弱いのですが、ソフトハウスでは増えています。背景にあるのはスマートフォンで、それに関連したソフト開発案件の増加が挙げられます。
 これまで国内携帯電話向けに、C言語やC++を使ってプラットフォーム周りの開発に従事していた人、中でもリーダーやサブリーダーの経験者に人気が高まっています。2012年にはスマートフォンと、iPadやネットブックなどのMID(モバイルインターネット端末)が、端末市場全体の約40%を占めるという予測もあります。携帯電話に関しては、制御ソフトエンジニアの「スマートフォンシフト」が進んでいます。

 他にも製造装置、医療機器、計測機器などのメーカーからの求人も続いており、今後もこのまま推移すると思われます。通信業界においては、LTE(Long Term Evolution:次世代高速無線通信)関連で基地局の制御ソフト更新といった、新たな需要が増えてくるのではないかと予想しています。
 企業の設備投資意欲の強まりは、足元のエンジニア求人の増加からもうかがえます。ところが、弊社など転職エージェントへの登録者があまり増えていないのは気になるところ。仕事が多忙で、転職を前向きに考える余裕がないのかもしれませんが、忙しさに負けず、日常的な情報収集は継続してほしいと思います。
制御系SEの求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
畠田 仁氏
畠田 仁氏
アプリ系SE
晴れ
ソーシャル・テクノロジーがキーワード、朗報は中堅SI企業の採用復活
狙われるのはこんな人 アジャイル開発の経験、サーバーの構築経験、Javaの知識
 SNSやソーシャルゲームなど、いわゆるソーシャル・テクノロジーを生かしたネット系企業の急成長が話題です。これは確実にエンジニア採用の高まりにつながっています。
 こうした求人戦略に鋭く反応しているのは、今のところ競合他社やSAP(ソーシャル・アプリケーション・プロバイダ)業界のエンジニアです。ただ、ネット系企業が期待しているのは、豊富な人材がいるSI業界。ソーシャルアプリの開発と、高トラフィック、高負荷に耐えるサーバーの構築・保守の両面でエンジニアを求めています。

 SI企業からネット系企業への転職に話を絞ると、頭と手を同時に動かせるというのがひとつのポイント。アプリの企画やサーバー構成を考えながら、自分でもコーディングやチューニング作業ができる人という意味です。また、アプリ開発ができ、同時にインフラの知識も身に付けているような人は重宝されますね。
 とはいえ、これがなかなか難しい。SI企業での経験が長くなると、マネジメントや外注管理業務に特化して、現場の技術からは離れてしまうという人が多い。そうすると、ネット系企業のスピードにはついていけないかもしれません。
 一方で、独立系の中堅企業を中心にSI企業に求人の動きが出てきました。SI業界全般で業績が復調しているわけではないのですが、これまで採用抑制が長く続いていたので、そろそろ人材の手当が必要という判断があるようです。
 中堅企業は大手に比べると不況期を耐え抜く資金力は不足していますが、今採用しなければこれからの売上も立たないという、切羽詰まった判断があるのではないかと見ています。中でもWebシステムに強い、生損保や信販など金融系システムに強いなど、特色を持った企業の採用戦線への復帰が目立ちます。

 リーマンショック以降、途絶えていたSI企業求人に復調の兆しが見えるのは大きな転機ですので、天気予報はワンランクアップの「晴れ」にしました。ただひとつ注意してほしいのは、2年前とは求める技術に違いがあることです。
 かつては「.NET」フレームワークでの開発経験は主要な採用条件のひとつでしたが、最近は減少傾向にあります。アプリ系エンジニアの必須技術でいえば、「Java」が圧倒的です。これに加えてオープンソースの知識も重要。時代とニーズの変化への、継続的なキャッチアップが不可欠になっています。
アプリ系SEの求人情報 リクルートエージェント
ITマーケット
グループマネジャー
江川理絵氏
江川理絵氏
コンサルタント
晴れ
金融系ニーズ、IFARS対応、企業合併などを背景に受注案件が増加
狙われるのはこんな人 証券や生損保、国際会計基準の知識、システム基盤の構築経験
 コンサルタント求人の上昇局面は今なお続いています。書類選考の通過率は明らかに高まっており、若手のポテンシャル採用も含めて、企業の採用意欲は旺盛です。今年上半期以上に、コンサルティングファームの案件受注見込みがはっきりしてきたため、エンジニアやコンサルタントの採用基準がより明確になっています。
 特に目立つのは、証券会社のフロント業務の改善や保険会社のCRM構築など、金融業界からのコンサルティング案件に対応するための募集です。証券会社では株式から債券に販売の主軸を移す傾向が強まっており、そのためのシステム更新のニーズが生まれています。生損保業界では保険代理店を巻き込んで、Webを活用した統合的な顧客情報システムを構築するというニーズがあります。こうしたニーズに即戦力で対応するため、金融業界担当の経験のあるITエンジニアやコンサルタントを採用するわけです。

 加えて年初からの動きですが、国際会計基準(IFARS)対応のための採用も止まりません。コンサルティングファームや監査法人はもとより、対応の当事者である事業会社からも求人が続いています。
 さらに、最近ますます増えている企業合併に伴うシステム基盤統合の動きが、求人に拍車を掛けています。例えば、システム統合後のグランドデザインを描くために、調査や分析を依頼するなどの例があります。この仕事は、必ずしもベテランのコンサルタントが対応しなくても、データベース、サーバー、Webアプリケーションのフレームワークなど、何らかのシステム基盤の構築経験がある人であれば可能。そのため、「コンサルタントの経験がなくても、論理的な思考ができ、しっかりとアウトプットができる方であれば大丈夫」という声はよく聞きます。

 この業界の求人攻勢は10〜12月期も継続するでしょう。これまでは、「日々の仕事が忙しいうえ、成果主義の徹底で長く働くことは難しい」という不安が、応募者にあったことは事実でしょう。しかし、ワークライフバランスの改善に取り組むファームや、より長期的な顧客との関係構築を進めるために、社員の定着を促す施策を強化する企業が増えています。「コンサルタントは毎晩タクシー帰り」というのはもう昔の話です。
 採用意欲が高いのはIT系ファームですが、SI企業のコンサルタント業務強化も再び本格化してくると見ています。コンサルタント志向のエンジニアにとっては転職好機の時期が続きます。
コンサルタントの求人情報 リクルートエージェント
プロフェッショナルサービス事業
第二マーケット
コンサルタント
垣見大介氏
垣見大介氏
ネットワーク
曇り
仮想化やクラウドでSI企業の一部が求人復活、サーバー需要も衰えず
狙われるのはこんな人 Linuxを核にサーバーOS、アプリやDB、仮想化ソフトの知識
 4〜6月期のネットワークエンジニアの求人は、前期比で約1.2倍の伸びでした。偏った傾向はなく、SI企業、ネット系企業、社内SEなどから幅広く求人が出てきました。ネット系企業がひとり気を吐いていたところに、SI企業の求人が復活して、採用数を押し上げているとも言えるでしょう。
 採用の中心はサーバーエンジニア。ニーズ増加の背景にあるのが、VMWare、Hyper-V、Citrixなどのソフトを軸にした仮想化技術の隆盛です。さらに、クラウドサービスの導入事例が増えていることがあります。大手ソフトベンダーや大手SI企業が仮想化でビジネスチャンスをつかみ、さらにクラウドによるビジネスで受注を回復しつつある。それが2次請け以下のSI企業にも波及しているという構造です。

 データセンターからの求人も依然として好調です。どういう経験者を採用するかはそのデータセンターのビジネス戦略によって違いますが、共通して求められているキーテクノロジーはLinux。例えばLinuxとUNIX、LinuxとWindowsサーバーといった技術の掛け合わせができれば、さらに強みになると思います。
 ただ、専業のネットワークインテグレーターの求人が伸び悩んでいるのは懸念材料。もともと毎月何人もの求人が出るような業種ではありませんが、最近採用攻勢を強めているネット系企業、SAP(ソーシャル・アプリケーション・プロバイダ)業界と比べると、もう少し勢いを期待したいところです。

 ネット系企業のサーバーエンジニア需要では、サーバーOSの知識に加えてアプリケーションやデータベースなどの知識も求められます。細かい専門性に止まるのではなく、基礎技術に加えるプラスαの部分が重要になっていることは、改めて言うまでもありません。
 こうしたサーバーエンジニアの増加傾向が秋以降も続くかという点ですが、ネット系企業の好調は継続するとしても、その他の業界の動きは不透明というのが正直なところ。円高などで輸出型製造業の業績が落ち込むと、これがSI企業の事業にも影響を与えかねないという一抹の不安もあります。
ネットワークの求人情報 リクルートエージェント
ITマーケット
キャリアアドバイザー
森 琢郎氏
森 琢郎氏
電気・電子系
曇り
中部圏の自動車サプライヤー、関西圏の電子デバイス企業が市場をけん引
狙われるのはこんな人 FAEが中心、重電系企業からは設計職、英語力がカギに
 4〜6月期の採用実績は好調で、当社の決定実績も前の期に比べて約1.5倍に拡大しました。書類選考から面接まで進む率も伸びています。こうした状況を牽引しているのは、中部地区の完成車メーカーや自動車サプライヤー、関西系のデバイス・電子部品の企業群です。有機ELや電池はもちろんのこと、コネクタなどを開発する外資系の電子デバイス企業にも強い採用意欲が見られました。関東地区でも復調の兆しは見られますが、首都圏に限るとまだまだです。
 採用意欲の高まりは全国的とは言えないまでも、十分に手応えを感じており、この勢いは今後も継続するのではないかと期待しています。もちろん、円高やエコポイント制度の推移など、不安要因がないわけではありません。転職意向がある人は早めに動き出すことが必要でしょう。

 その一方で、当社への登録者数は横ばいです。人手不足感がある中で、エンジニアの仕事量は増大しているため、じっくりと転職準備が行えないからではと見ています。平日の面接設定が仕事の都合からなかなか難しく、リスケジューリングの依頼が増えたことからも、その多忙ぶりがうかがえます。
 そのため中部地区の企業のいくつかは、首都圏での面接を土日に行ったり、土日の採用セミナー開催に合わせて面接を開いたりと、できるだけ応募者の都合に合わせるように努力しています。

 職種として目立つのはフィールドエンジニアやアプリケーションエンジニアなど、顧客サイドにより近い立場のところです。設計職は、原子力発電需要を反映してか重電系企業では活発ですが、家電や弱電系はそうでもありません。
 企業が求めるエンジニア像について全体の傾向として言えるのは、「仕事が来るのを待つのではなく、仕事を取りに行くような積極的な姿勢」。そこがきちんと伝わるように、職務経歴書の書き方や面接での受け答えに工夫が必要です。
 英語力への関心が高まっていることも最近の傾向です。長い目で見れば、メーカーエンジニアにとっても英語が、「公用語」に近い位置づけになることは間違いありません。英語力不足を感じている応募者には「今日家に帰ったらすぐに勉強を始めてください」、英語を勉強しているという人には「TOEICテストへの申込みを今すぐしてください」と言っています。
電気・電子系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
関野光剛氏
関野光剛氏
機械・メカトロ系
曇り
自動車サプライヤーや半導体製造装置メーカーが堅調、海外展開が強み
狙われるのはこんな人 モーターなどの自動車部品や、半導体製造装置の設計技術
 自動車業界では完成車メーカーに若干の動きがありますが、本格的な展開とは言いがたいです。それに比べると、大手自動車サプライヤーからの求人意欲はきわめて高い水準で推移しています。モーター、ハーネス、ブレーキシステム、ギアなどの車載技術はもとより、生産技術や車両の材料開発といった全技術で求人が全開です。
 モーターは電気自動車の駆動部ということで注目されていますが、それだけでなく、エンジン車のシート、パワステなどの電装品を動かすためにも不可欠な基幹技術。従って求人内容も、モーターそのものの開発だけでなく、それを使った機構開発寄りのニーズも活発です。

 自動車サプライヤーがこれだけ強気なのは、国内向けというよりは、中国・欧米など海外メーカーとの取引を拡大したいという動きがあるため。中長期的な経営目標を視野に入れての中途採用です。逆に国内メーカーへの浸透を図る、外資系自動車サプライヤーからの求人も増えています。
 サプライヤーに牽引される形で機械・メカトロ系の求人数は、7月まで5カ月連続増の伸びを示しています。これは過去数年見られなかった現象。ただ、秋以降の景況を予測すると円高の昂進などの不安材料もあり、判断が難しいところです。転職を考えているならば、できるだけ早目の行動をお勧めします。

 他の職種でも触れられることだと思いますが、機械・メカトロ系職種においても、書類選考の通過率や内定実績が高まっています。企業の求人意欲は強いのですが、逆に登録者は増えていない。ある意味では転職チャンスといえるかもしれません。
 半導体製造装置メーカーでは設計技術者やFAEの求人が伸びています。とはいえ、装置開発では経験者を求める傾向が強く、採用条件は高止まりです。また、これはすべての業界に言えることですが、確かな技術力に加えてTOEICで600点以上の英語力があると、転職時の強みになると思います。
機械・メカトロ系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
竹内賢一氏
竹内賢一氏
半導体系
雨
半導体製造装置は活発だが、国内デバイスメーカーの苦境は続く
狙われるのはこんな人

FAE、プロセス、装置のフィールドエンジニア、設計職は限定的

 動きが見られるのは、外資系半導体メーカーのFAE、国内半導体製造装置メーカーのプロセスエンジニアやFAE、半導体商社のFAEなどです。その一方で、ある大手が3月期決算で1000億円以上の営業赤字を出して、黒字転換のために大幅なリストラを発表するなど、国内デバイスメーカーの苦境はしばらく続きそうです。
 フラッシュメモリやDRAMの販売が世界的に好調なことから、国内半導体メーカーが採用を再開する動きはありますが、それは一部にとどまっています。総じて、業種や資本によってまだら模様の天気が続いているという状況です。

 募集職種として目立つのは、FAE、プロセス、装置のフィールドエンジニアの3つ。設計開発の採用は止まったままです。半導体エンジニアは、設計で生きてきた人は転職でも設計を志向するという傾向が強いのですが、こうした状況が続く限りは、例えば設計からFAEへのキャリアチェンジも検討する必要が出てくるでしょう。
 パワーエレクトロニクス、電源IC、アナログ設計などを手がける企業からの求人は以前から続いています。FPGAでの設計経験を求める企業も増えています。しかし、これらのジャンルは市場における経験者の絶対数が限られ、転職候補者も少ないというジレンマがあります。「単にハードウェアの設計だけでなく、できればソフト開発もお願いしたい」と企業のニーズも高度化しているので、ますます採用が限られてしまうという状況があります。

 専門性を売りにすることは基本ですが、それに加えて技術の転用性、応用範囲の広さをアピールすることが、これからの転職を成功させる上では必須要件となるでしょう。半導体製造装置メーカーの堅調は今後も続くと思いますが、国内の大手デバイスメーカーの採用が回復しない限り、採用天気予報としては「雨」の判断を保持せざるをえません。
半導体系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
関野光剛氏
関野光剛氏
化学・材料系
晴れときどき曇り
氷が融けだした化学・材料系求人では、異業種からの参入も目立つ
狙われるのはこんな人 電池・エネルギー関連を中心とした、各部品の材料開発者
 化学・材料系は求人数、登録者数ともに増加傾向にあります。企業の採用意欲の強まりを感じたエンジニアが積極的に動き出しています。とりわけ注目は電池とエネルギー関連です。
 より詳しくいえば、電子材料、コンデンサのプロセス開発を含む電池関連、さらに高機能性樹脂、封止材料、接着剤、ディスプレイ、インクやトナー開発など、幅広い分野で研究開発系の求人が増えています。

 研究開発といっても基礎研究ステージの求人は少なく、メインは応用研究です。ただこれまでは、研究開発系の求人が全体的に低調であったので、現在の動きは担当者としては非常に喜ばしいことです。前回も述べましたが、企業が景気の順調な回復や受注増大の見通しに立ちながら、今後の国内・グローバル競争に勝ち抜くため、人材戦略でも攻めの姿勢に転じたということの現れと言えるからです。
 求人の主軸になっているのは化学材料メーカーで、ほとんどが化学業界内での転職。ただ、自動車サプライヤーなど異業種からの求人も増えています。業界を超えた転職が十分可能な状況です。

 ひとつ懸念しているのは、2〜3年前に話題になった「ポストドクター」の民間企業への就職。一時はポスドクに狙いを絞った求人もあったのですが、今はほとんど見られません。化学分野は専門特化が進んでおり、自分の専門を超えた就職・転職が難しいのは事実。それ以上に、志向性などで採用企業と人材の間でボタンの掛け違いが起こっているのが原因ではないかと思います。
 例えば、グローバルな志向が強い人ですと、「会社の研究室に海外専門誌がなかった」ということに衝撃を受け、退職を考えてしまう例もあります。今後の課題ではありますが、こうした事実も知識として知っておいたほうがよいでしょう。
化学・材料系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
竹内賢一氏
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