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アメーバピグ米国進出、インドIT企業の日本上陸…

加速するIT業界の国際化−
最前線のエンジニアの苦悩と挑戦

2010年に入ってから大手IT・Webサービス企業が次々と海外進出を展開。一方、世界の大手Webサービス企業も続々、日本への本格進出を果たしている。今回、両者それぞれの開発最前線で活躍するエンジニアへの取材を通して、世界を舞台に戦うITエンジニアの仕事の苦悩や醍醐味について探ってみたい。

総研スタッフ/山田モーキン 作成日:10.09.29

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株式会社サイバーエージェント<br />
新規開発局 局長 兼<br />
アメーバ事業本部 ゼネラルマネージャー<br />
(サービス企画・開発部門)<br />
長瀬 慶重氏

株式会社サイバーエージェント
新規開発局 局長 兼
アメーバ事業本部 ゼネラルマネージャー
(サービス企画・開発部門)
長瀬 慶重氏

サイバーエージェント入社後「Ameba」をはじめ、サイバーエージェントの新規サービスの開発を担当。エンジニアが働く組織の環境創りなども行っている。

株式会社サイバーエージェント<br />
新規開発局 ソフトウェアエンジニア<br />
名村 卓氏

株式会社サイバーエージェント
新規開発局 ソフトウェアエンジニア
名村 卓氏

SIerのエンジニアを経て、サイバーエージェントにソフトウェアエンジニアとして入社。海外向けサービス「Ameba-Pico」の開発プロジェクトに携わる。

株式会社インフラレボ<br />
代表取締役<br />
神藤 貴陪氏

株式会社インフラレボ
代表取締役
神藤 貴陪氏

インドのIT企業が開発した金融機関向け業務システムを、日本にローカライズして導入サポートする事業を展開。

日本から世界へ 
「アメーバピグ」の海外向けサービス「Ameba-Pico」の開発事例

今年3月にリリースした「Ameba-Pico」すでに会員200万人を突破


(サイバーエージェント 長瀬氏)
「Ameba」は今年7月、会員数が1000万人を突破しましたが、その大きな原動力の一つになったのが、2009年2月に「Ameba」に実装された、アバターを使ったコミュニケーションサービス「アメーバピグ」。

今年3月には、海外向けサービスとして「Ameba-Pico」をリリースし、現在までに会員数が200万人を突破し順調に増加しています。以前からアメリカのシリコンバレーに支社もありますが、今回はいきなり海外でゼロから開発するよりも、まず国内で事業を軌道に乗せた上で、世界に通用するサービスを創り続けていく方針をとりました。
「アメーバピグ」が大きくなっていく内に、海外展開する上でアメリカのラスベガスに実際に行き、カジノの面白さを実体験した上でカジノゲームを進めたりするなど、ゲーム自体の面白さを追及しながら、新たにFacebook向けに「Ameba-Pico」を開発・リリースするに至りました。

Webで世界とつながっている今、一通りの情報や技術は日本でも十分キャッチアップできます。海外に拠点を作った理由は、実際にアメリカのユーザーやエンジニアと直接会ってコミュニケーションを交わし、カルチャーを肌で感じるため。例えば日本のアルゴリズム研究は海外の論文をベースにしているケースもある。最先端の情報を肌で感じ学ぶため、米学会のカンファレンスに当社エンジニアが参加する意義は非常に大きいです。今後、ますます海外事業の成功が重要になってくる中で、共に新しいことにチャレンジしていく姿勢が、エンジニアには求められると考えています。

クラウドの積極活用で、海外展開の問題をクリア


(サイバーエージェント 名村氏)
「Ameba-Pico」のリリース先に考えたのは、世界的なSNS「Facebook」のプラットフォーム。ユーザー数が全世界で約5億人という巨大市場でこそ、海外進出の意義があると考えました。
しかし実際に海外展開する上で、技術的な問題点が明らかになってきました。そのひとつは、国内データセンターではネットワークの遅延が大きいことや、データセンターの設置場所の安全性や現地エンジニアの採用など、ネットワークのインフラに関する部分。そこでクラウドコンピューティングの積極活用によって、問題をクリアしていこうと考えました。
選択肢として、「Amazon EC2」や「Rackspace」「Google App Engine」などがありましたが、今回は「Amazon EC2」を採用しました。OSが自由に選択でき、「Ameba Pico」の独自システムを容易に稼働できるところや、コストの安さ、大量ハード増設が瞬時にできること、世界各地のデータセンターを利用できることなどが理由でした。もちろん、「Amazon EC2」ならではのサービスダウンやデータロスト、インスタンスのCPU特性などもありますが、そこはアプリケーション設計で吸収できるよう対応しました。
サービスで利用する技術を決めるときは、メリットとデメリットを踏まえ、技術の自己満足にならないように、サービスの持つ可能性を最大限に引き出すことを最も大事な要因としています。世の中にない技術であれば、自分たちで創ることも積極的に行っています。

今回の「Ameba-Pico」の開発に関わって改めて思ったことは、国内外問わずサービスを創るということが、実現可能性よりもまず先に「多くのユーザーが面白いと思ってくれるサービスを創る」という視点で考えることの重要性でした。使い手の思いや感情を意識しながら、とにかく創りながら動かす姿勢が重要。そして最後まで仕様変更や機能追加を続けてブラッシュアップしていくことが、海外でも広く受け入れられるサービスを生み出すことにつながると信じています。

世界から日本へ 
インドIT企業の金融機関向けシステムの日本導入事例

世界第2位のIT市場・日本導入に立ち塞がる3つの課題


(インフレラボ 神藤氏)
私はここ数年、インドのIT企業が開発した金融機関向けのシステム、例えばFX為替システムや ネット上でのカードの不正利用を防止するシステムなどを、日本の金融機関向けにローカライズ・カスタマイズを施した上で、導入するサポートを行っています。ご存知の通りIT大国としての地位を確立しているインドは、欧米IT企業がこぞって研究開発拠点を置いたことで、今や世界最先端の技術が集結する国となっています。そのインドIT企業のソフトウェア開発において、納入先の6割がアメリカ、2〜3割がヨーロッパに比べ、日本はわずか1%。しかし世界で2番目に大きなIT市場を有する日本は、インドにとって何としても攻略したい魅力のある市場であるため、私のところにはあらゆるインドIT企業から、日本進出への相談が持ちかけられる状況です。

そこで私の役割は、
ステップ1 デモ環境を作って、日本でテスト&マーケティング
ステップ2 実際にトライアル運用
ステップ3 本格的にローカライズ〜導入
という3段階で、日本導入を目指すわけですが、そこに立ちはだかる3つの課題があります。

第一に「2バイト」の問題。英語圏の1バイトに対して日本語の2バイト表示になるため、情報量が長くなり、例えば日本の住所入力時、システムにすべて入りきらないこともあります。最近はマルチランゲージ対応のシステムやDB上考慮された製品も多いため、昔ほどの大きな問題とはなりませんが、レイアウト変更などやはり日本の環境に合わせてカスタマイズする必要があります。

第二に「フィットギャップ分析」。基本的に欧米の場合、導入するパッケージやシステムに合わせて業務スタイルを構築するのに対し、日本の場合はクライアントの業務スタイルや内容に合わせてパッケージやシステムを変えていくという特徴があります。そこで重要になるのが、導入するシステムが日本の市場にマッチするかしないかをジャッジする「フィットギャップ分析」の作業。マッチしない機能があればカスタマイズをしたり、クライアントに業務を見直してもらう提案をしていくことになります。

第三に「プロジェクトマネジメントのスタイルや考え方の違い」。例えば日本の場合、遅延の理由はともかく、納期を守るために徹夜してでもやり遂げようとしますよね。それに対しインドは遅延の理由がクライアントにあれば、正当にプロジェクトの延長を主張してきます。また日本ではプロジェクトの最中、頻繁に仕様変更があり、それを繰り返すことでシステムの完成度を高めていきますが、インドを含めた欧米ではドキュメントに沿って忠実にプロジェクトを進めていくやり方、という違いがあります。こうした違いをよく理解した上で、導入を進めていく必要があるのです。

インドの最先端技術と、日本の高品質・プロマネ力を融合する力が必要


3つの課題をクリアすることで初めて、日本に導入できるのですがこれまでの日本市場は、閉鎖的な環境であったこともあり、大きな動きに結び付きませんでした。しかし昨今のグローバル化の流れは今後ますます加速していく中で、閉鎖的な環境を変えていく必要があります。
グローバル化するIT市場で活躍していくために必要なのは、日本のやり方に固執するのではなく、相手国のシステム開発に対する考え方であったり、マネジメントの進め方などを理解することからスタートさせること。その上で日本の考え方やマネジメントスタイルをうまく融合させることです。

インドには、日本にない世界最先端のIT技術がまだ数多くあります。一方、日本には世界で類を見ない高品質なシステムを生み出すマネジメントノウハウがあります。両者のメリットを結び付けてさらに高い付加価値を持ったシステムを作ることができれば、エンジニアにとってきっと大きなやりがいと活躍の可能性を得られるはずです。

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