大不況が何だ!逆境転職に成功したエンジニア奮闘記 |
|
未完成レジュメ登録から |
|
不況下転職に成功したエンジニアたちを紹介していく連載企画。今回、不況が原因で希望する案件に携われなくなったことで転職を決意、その後転職サイトへの登録からわずか1カ月で希望先企業への内定を決めたケースを紹介したい。 (総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:10.09.03
|
転職サイト登録後、1週間後にスカウトオファー&1カ月で内定獲得できた背景とは?
転職エンジニア
株式会社ティエム2
エンジニア S氏
Sさん(25歳)は大学卒業後、専攻していた分野とは全く異なるSEになるため、中堅のSIer企業に就職した。機械の仕組みやプログラミングに興味があったことがその理由。入社後、主にJavaを使ったプログラミング開発を担当し、当初は希望通りのキャリアスタートを切ったかに見えた。
しかし一昨年の秋に起こった「リーマンショック」により、状況が一変。目に見えて受注案件数が減少する中、Sさん自身の業務も担当プロジェクトの縮小・閉鎖が相次いだうえ、本来のSEとして業務ではない、インフラ周りの作業員的な雑務に回されることに。
そこで昨年5月、このまま留まっても将来はないと判断し、転職を決意。早速、転職サイトにレジュメを登録して転職活動をスタートさせた。今回が初めての転職でなおかつ不況による求人難、しかも未完成な状態でレジュメを登録したSさんだったが登録後、わずか1週間でスカウトオファーが届く。最終的に登録1カ月で意中の企業に入社することができたのだ。
短期間でのスピード転職に成功した要因は何か?早速本人に詳しく語ってもらおう。
不況の影響でSEとは程遠い業務に回され、転職を決意
大学では環境工学部に在籍し、農業関連分野について学んでいました。しかしもともと興味があったプログラミング関連の仕事に就きたくて、前職の中堅SIer企業に就職。当初はプログラマとしてJavaやPHP、SQLなどを使用した開発業務を担当後、要件定義や開発設計など徐々に領域を広げて、SEとして順調なキャリアアップをしていました。
しかし一昨年の秋に発生した「リーマンショック」によって、私を取り巻く状況が一変。受注案件数が目に見えて落ち込み、行き場を失った多くの社員が本社にとどまることに……。私自身も当初、3年間の長期プロジェクトにSEとして参加していた案件が、不況の影響によりわずか半年で打ち切りに。その後、インフラ整備の作業員として雑務業務を回されたのですが、ここも不況の影響で人員が削減されたうえ、予定より短い期間で終了することになったのです。
「もうここにとどまっていても、少なくとも当分の間は自分の求める業務を担当することはできない」そう確信しました。
SEとしてもっとキャリアアップしていかなければならないという焦りもあり、昨年5月末に転職を決意。早速、転職サイトにレジュメを登録して活動をスタートさせたのです。
「会社を作りたい!」強い思いをアピールして、意中の企業に転職
レジュメを登録してスカウトオファーを待ちつつ、求人募集を出していた企業の中から5、6社に応募しました。転職先に求めた条件としてはこれまでと同じ内容の仕事であること、待遇はできれば現職よりアップすること、そして最も重視したのが「人が育つ環境があること」。前職ではSEとしてではなく、作業員として雑に扱われる辛さを痛感した経験から、SEとしてキャリアアップできることを何より重視しました。
しかし不況で求人難が続くこのご時世、応募した企業はすべて書類選考で落とされてしまいましたが、その一方、登録してわずか1週間で一通のスカウトオファーが届いたのです。それが現在勤務しているティエム2からだったのですが、まだ職務経歴と希望する仕事内容くらいしか入力していない状況だったのでびっくりしました。
その後面談をしたのですが、話を聞いているうちに自分にぴったりの企業だと思えるようになったんです。小さな会社だけれど人を人としてしっかり見てくれること、そしてこれから強い組織を作り上げていくために、一緒に会社づくりをしてほしいと言われた時、まさに自分が本当にやりたいことができる環境がすべてここにはあると確信しました。
その後の面接では、Javaの経験やコミュニケーション能力、また人や会社を作り上げていきたいという思いを強くアピールした結果、内定をいただくことができました。
昨年9月に入社後、通信関連の大規模プロジェクトにSEとして担当する一方、今年の春に入社する新卒社員向けの研修プログラムを作成。実際にそのプログラムに沿う形で昨年12月〜3月までの4カ月間の研修を担当することで早速、希望していた人を育て、会社をつくる役割を担当することができました。今後も若いエンジニアが続々入社してくる予定なので、現場リーダーとして人材育成を通した会社づくりに貢献できたらと考えています。
結果的に今回、転職サイトにレジュメを登録してから1カ月で意中の企業に転職できたのは、幸運な面もあったと思います。その一方、例え未完成でも明確な自己アピールをしていれば、意中の企業に巡り合うチャンスは少なからずあるはず。それだけは自信を持って言えますね。
Sさん採用企業:株式会社ティエム2の採用戦略
株式会社ティエム2
代表取締役 中野目清氏
ティエム2は一昨年に立ちあげたばかりの独立系のソフトウェア会社で、Web系のアプリ開発や基幹系のシステム開発を中心とした受託開発をメイン事業として展開しています。
不況下で業界全体が厳しい状況にある中で、当社は主要顧客でもあるソフトウェア情報開発株式会社(SKIグループ)との深いつながりをバックに、積極的に新領域への開拓を推進している最中。エンジニアの中途採用に関しても昨年度は25名、今期は上期で10名の採用を予定している等、積極的に展開しているところです。
当社が求めているエンジニアは、SEとして要件定義から開発、実装、テスト、運用保守など実務の経験があり、即戦力となって現場の第一線で活躍できること。それに加えて特に重視しているのが「会社作りに対する意欲」。当社のようにこれから会社を築き、顧客から信頼される強い組織を作り上げていくためには、「自分がティエム2をつくるんだ!」という強い意志を持っている方を必要としています。
今回紹介したSさんのように、入社後すぐに新入社員向けの研修プログラムの作成等に積極的にかかわることで、将来のリーダー育成に励む姿勢は高く評価していますし、Sさんと同じような思いや目標を抱いている方にはぜひ、仲間になってもらいたいですね。
【転職活動のカギ】未完成でもいいからとりあえず転職サイトに登録することが、転職チャンスを高める
今回紹介したSさんのように、不況が原因で自分の希望する案件に関わるチャンスがなくなり、現状に対する不満や将来に対する不安を抱くエンジニアは少なくない。そこで現状打開の手段として転職活動を始めるケースも多いと思われるが、「活動する時間がない」「希望する企業になかなか巡り合うチャンスがない」など転職には常に困難な状況に陥ることも。
Sさんの場合も同じような課題を抱えていたが転職サイトへの登録をきっかけに、予想に反してわずか1カ月で意中の企業からスピード内定を獲得できた。要因は「とりあえず未完成でもレジュメを登録したこと」が大きい。これまでの職務経歴や自己PRなど、レジュメ登録は手間のかかる作業であるため、ついつい登録に及び腰になってしまう人も多いが、最初の段階でパーフェクトなレジュメを作ろうとせず、徐々にブラッシュアップさせていく意識で気軽に登録することが、その後の転職チャンスを高めることにもつながる。買わなければ当たらない宝くじと同様、登録しなければスカウトオファーを受けるチャンスもない。登録する最初の一歩を踏み出すことの重要性を今回、再認識できたといえる。
このレポートの連載バックナンバー
逆境転職に成功したエンジニア奮闘記
世界的な経済危機、求人数の激減…そんな逆境下でも転職に成功したエンジニアがいた!理想と現実のはざまで「働く」を探し求めたエンジニア一人ひとりの闘いの軌跡です。
このレポートを読んだあなたにオススメします
逆境転職に成功したエンジニア奮闘記
BtoBからBtoCへ!未経験ハンデを「応用力」でカバー
不況下転職に成功したエンジニアたちを紹介していく連載企画。BtoCのWebサービス開発への思いを強く持ったエンジニアが、Webア…
逆境転職に成功したエンジニア奮闘記
1年の休職ハンデを負った活動も、1カ月で内定獲得!
不況下転職に成功したエンジニアたちを紹介していく連載企画。今回は前職を退職後、家庭の事情で1年間のキャリアブランクを経て転職活動…
逆境転職に成功したエンジニア奮闘記
34歳SE、客先派遣経験を生かしスピード内定!
不況下転職に成功したエンジニアたちを紹介していく連載企画。今回は13年間、客先常駐派遣でキャリアを積んできたエンジニアが昨年12…
逆境転職に成功したエンジニア奮闘記
46歳サポートエンジニア一度の面接で内定獲得までの道
不況下転職に成功したエンジニアたちを紹介していく連載企画。今回は46歳にして初めて、転職を決意したサポートエンジニアが半年の活動…
逆境転職に成功したエンジニア奮闘記
基幹システムがやりたい!未経験からのERP転職成功記
不況下転職に成功したエンジニアたちを紹介していく連載企画。基幹システムがやりたいという思いを強く抱きつつ、全くの未経験であった…
スキルや経験はよさそうなのに…(涙)
人事が激白!悩んだ挙句、オファーを出さなかった理由
オファーが来る人、来ない人の差って何だろう?過去にスカウトを利用したことがある企業の採用担当者55人の声をもとに、「惜しいレジュメ」の特徴を…
あなたのメッセージがTech総研に載るかも