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iPhone/iPod Touch向けゲーム&コミュニティ「MiniNation」開始!
モバゲーが海外進出―DeNAが明かすスマートフォン戦略
日本で独自の発展を続ける携帯ソーシャルゲームが、いよいよ世界に飛び出す。5月10日、海外のiPhoneプラットフォーム向けにゲームとコミュニティを展開することを発表したDeNA。「モバゲータウン」のノウハウはどこまで世界を驚かせるのか。それを支えるエンジニア人材とは──。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:10.05.14
【Part1】DeNAの国際戦略が鮮明に。オープンなスマートフォン市場に挑戦
iPhone/iPod touch向けにソーシャルゲームとアバター・コミュニティを展開

 国内で1800万人以上の会員を有する携帯サイト「モバゲータウン」を展開するディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は、5月10日、同社の子会社ミニネーションが、アップル社が提供する国外の iPhone /iPod touch 向けに、「モバゲータウン」のゲームアプリと「モバゲータウン」をベースにしたコミュニティ機能「MiniNation(ミニネーション)」の提供を開始したと発表した。

 日本のゲーム産業が海外に進出する例は、90年代の任天堂「ゲームボーイ」をはじめとして、その後の「ニンテンドーDS」「プレイステーション・ポータブル」など成功例は数多い。ゲームソフトから生まれた「ポケモン」などのキャラクターが一人歩きし、海外でも人気を博している例も少なくない。いまやゲーム、アニメなど日本のコンテンツ産業は、国際競争力を期待される重要産業でもあるのだ。今回のDeNAの海外進出は、全体にはそうした流れの一環とも言えるが、携帯電話で遊ぶゲームとなると、また特殊な事情がある。

「ガラパゴス携帯」などと揶揄されるように、日本の携帯電話は通信方式からサービス展開に至るまで、独自性が強いことはよく知られている。携帯電話の高機能化が進む中で、海外の高機能携帯電話の多くは「スマートフォン」として基本的にはオープンプラットフォームを採用するようになったのに対して、日本では、iアプリなど、独自拡張を加えたJavaアプリケーションがまだ多くの端末で標準採用されている。プラットフォームの独自性は、海外からの参入を阻む障壁であると同時に、海外展開の足かせともなってきた。

 国内の携帯サービス事業や携帯ソーシャルアプリ事業はそうした障壁に守られた“城内”で独自の発展を遂げ、それなりの栄華を誇ってきたが、次の市場を考えたとき、国内市場のみに固執するのはけっして合理的な選択とは言えない。すでに飽和状態といわれる国内携帯電話にこだわるより、将来は世界で10億台に達すると予測されるスマートフォン市場に視点を移動するほうが、懸命な選択であるのは言うまでもない。

 とりわけ、2008年にiPhoneが日本で発売されてからは、これからのスマートフォンのグローバル基準がどういうものであるか、国内ユーザーの認知も広がった。1万をゆうに超える iPhoneアプリを好みに応じて簡単に取捨選択できる自由と、タッチパネルとグラフィックスを巧みに利用した操作性にひとたび馴れると、なかなかガラパゴス携帯には戻れない。

「MiniNation」サービス画面
新しいユーザー・エクスペリエンスが世界中に広がる

 こうしたユーザー体験は、GoogleのAndroid OSを搭載したAndroid携帯が国内でも発売されるようになった2010年にはさらに深まりつつある。スマートフォンではないが、5月中にはアップルの「iPad」が国内発売される。ノートPCでも携帯でも、iPhoneでもない未知のユーザー・エクスペリエンスが広がろうとしている。

 いまユーザーの関心がオープンなスマートフォンや、さらにそれを越えるデバイスへ向いているのであれば、携帯ゲームの事業者の関心もまたそこに向かわないはずはない。実は、DeNAのライバルと目されるモバイル・プラットフォーム事業者や、それらにソーシャルゲームを提供する開発会社の間では、昨年からiPhone、Android対応の準備が着々と進み、その要員としてのエンジニア募集も積極的に行われていた。

 それらの動きに先駆けていちはやく海外事業展開を発表したのは、DeNAの、国内モバイル・プラットフォーム第一人者としての自負があったからだろう。果たして、海外スマートフォンへの対応がエンジニアの仕事をどう変えるのか。DeNA執行役員で、新会社ミニネーションの代表取締役に就任した畑村匡章氏に直撃してみた。

【Part2】日本人のモノづくり遺伝子を受け継ぎ、世界を驚かせてやろうじゃないか!
(株)ディー・エヌ・エー 執行役員、(株)ミニネーション 代表取締役 畑村匡章氏

2004年1月DeNA入社。「モバゲータウン」立ち上げの中核となり、2006年より「モバゲータウン」の企画から運営まで全てをプロデュース。「モバゲータウン」の仕掛け人として、日本アドバタイザーズ協会のWeb広告研究会が主催する「第5回Webクリエーションアウォード」にて「Web人大賞」を受賞するなど、日本を代表するWebプロデューサーの一人。現在はDeNAの100%子会社である株式会社ミニネーションの代表取締役を務める。

10億台規模の市場に打ってでない手はない

──今回、ミニネーションという子会社を設立して、海外のiPhone /iPod touch向けにソーシャルゲームを提供することになりました。その理由を端的に伺います。

畑村 

当社のモバゲータウンにおける「怪盗ロワイヤル」など、ソーシャルゲームが爆発的な人気を集めるようになったのは、昨年秋からです。ただ、この動きは世界的にあると見ていて、我々がモバゲータウンでつくりあげた、ゲームと一体化したコミュニティづくりは世界にも通用するという確信がありました。

一方で、モバイル・デバイスの世界をみると、iPhoneとiPodを合わせたプラットフォームはすでに世界で8500万台以上販売され、 iPhone 以外を含めれば、世界のスマートフォン市場は数年内に10億台に達するという予測もされています。国内携帯の普及台数がほぼ日本人口並みの1億2000万台としても、これ以上の伸びは期待できず、その差はあまりにも大きいと思います。

私たちが企業として成長するためには、海外の市場を獲得し、世界に通用するコンテンツを提供しなければならないのは必至です。モバゲータウンで培ったサービスのノウハウ、人気ゲームの資産、そしてゼロからこのプラットフォームを育ててきたエンジニアの力をもってすれば、十分闘えると思いました。

──ミニネーションのアプリやサービスは海外向け仕様で、日本のApp Storeではダウンロードできないんですね。

畑村 

日本のiPhoneマーケットは世界的にはまだ小さいので、最初は北米を中心とした海外市場を狙います。日本マーケットよりは世界マーケットに主眼を置く、ゲーム機の世界で任天堂さんがやっている戦略と似ていると思います。ゲームの世界は言葉がわからなくても楽しめるのが特徴。「スーパーマリオブラザーズ」なんてその典型ですね。動きが面白ければ、言語、文化を問わず世界中の人が楽しめる。

もちろん、そこに日本人としての丁寧、繊細なモノづくりの姿勢を持ち込むことは重要です。これまで自動車や家電メーカーが培ってきた日本のモノづくりの遺伝子は、我々にも受け継がれているはず。それを海外ユーザーも歓迎してくれると思います。

──とはいえ、日本の携帯と、グローバルなスマートフォンでは、開発にあたって勝手が違う部分も多いと思いますが。

畑村 

日本で携帯ゲームが発展してきたのは、3Gパケット定額割引が普及してきたことが大きい。パケ代を気にせずに、容量の大きなデータをやりとりしたり、小まめにゲームの進捗状況を確認できます。ただ、そういうパケット定額制は海外のスマートフォンでも整っていますから、環境としては変わらないと思います。

また、モバゲータウンの携帯ゲームは、AdobeのFlash Liteを使って国内3キャリア共通で動くように設計されています。こうしたキャリアを越えた共通規格で開発できるということは、携帯コンテンツが広がる重要な要件です。iPhoneやAndroid携帯でも、WebKitというオープンソースのブラウザ技術を使えば、JavaScriptでゲームが作れます。汎用技術を使った開発のしやすさという点でも、大きな障壁はないと思います。

海外での事業展開となると、サーバーのことが気になりますが、幸い、キャッシュサーバーは世界のどこからも使えますし、データベースとのやりとりについてもトラフィックが増えれば海外サーバーを増設するだけ。今は、クラウドサービスが自在に使えるようになったので、トラフィックの増減に応じて、それらを活用するようになるでしょう。この点も、海外でやるから難しいということはあまりないんですよ。

モバゲー流のアバター・コミュニティがどこまで通用するか楽しみ

──iPhone ベースではどのような事業展開を考えていますか。

畑村 

まずはアップルのマーケット、App Storeに当社が自社開発したソーシャルゲームを提供します。「怪盗ロワイヤル」のiPhone版「Bandit Nation」を含む4タイトルを5月10日にリリースしました。これからもモバゲータウンのゲーム資産は活用していきますが、携帯とiPhoneではインターフェイスが違うので、独自のUIを使うことになります。モバゲーのときはできなかった、より面白い使い方ができるんじゃないかと思っています。

同時に、iPhoneのWebブラウザの機能を使って、Web上でゲームやコミュニケーションを楽しむ機能を加えます。ソーシャルゲームは、モバゲータウンでもそうですが、コミュニケーションとゲームは一体のものでなければならない。その両方をセットで提供するのが 「MiniNation」の役目であり、独自性ということになるかと思います。

──海外には既存のそうしたプラットフォームは存在しないんでしょうか。

畑村 

例えば我々も出資しているOpenFeintのようなプラットフォームはあります。ただ、モバゲータウンのようなアバター・コミュニティサービスではない。他にもアップルがiPhone OS 4.0で提唱するGameCenterや、マイクロソフトのXbox Live、さらにFacebookなどもありますが、いずれもモバゲータウンのようなアバターを中心としたコミュニティとは違います。我々のスタイルが受けるかどうかは、正直なところやってみないとわからないんですが、それは日本で始めたときも一緒でしたからね。我々がモバゲータウンを始めたときは、「こんなもの受けるわけがない」という声が強かったんですよ(笑)。

「MiniNation」は、5/12よりFacebookコミュニティへのゲーム提供を開始しました。今後はAndroid携帯への提供も検討していきます。さらに、「MiniNation」 独自のプラットフォーム展開も考えられます。

3年で国内売上の数倍を目標に。本質を見極めるエンジニアは世界で勝負できる

──今回の参入を皮切りに、今後のDeNAの海外事業を全体としてどう発展させていきたいと考えていますか。

畑村 

世界市場の大きさを考えると、国内モバゲータウンの売上の数倍を海外で上げていくということにならなければおかしいと思います。しかもそれをスピーディーに。当社はまったくゲームのことを知らずにモバゲータウンをスタートさせたのですが、それを4年かけて現在の規模にしてきました。そのなかで得てきたノウハウがあります。だから、それを活かして海外ではもっと早く、「数倍」の規模にしたいし、できるはずだと考えています。

海外進出では文化の違いということがよく言われます。文化の違いがあるから受け入れられない、だから海外仕様に合わせるんだと。ただ、ユニクロさんも、デザインや店舗の運営を欧米流に合わせようとして、最初は商品が売れなかったという話を聞いたことがあります。海外の人が期待していたのは、海外製品のモノマネではなく、日本人独特のセンスやデザイン感覚だったんですよね。国際化だから外国人に合わせようというのではなく、日本人がつくるものがどれだけ受け入れられるかというところで、我々は勝負をしたい。

いや、もっと言えば、日本人がどうこうというより、DeNAという会社のブランドやアイデンティティで勝負をしたいということ。それを実現するために、海外に拠点をつくり、海外の人を雇わなければならないとしたら、そうすることもあるでしょう。つねに最適な戦略をとっていくつもりです。

──海外事業展開を支えるエンジニア人材については。

畑村 

英語はできたほうがベターでしょうね。英会話というよりも情報をスピーディーに得るための読解力が重要です。同時に、Perl、Objective-C、CSS、JavaScriptなどプログラム開発のテクニカルスキルも欠かせません。

ただ、それ以上に我々が重視するのは、「本質は何か」を見極める力。例えば「怪盗ロワイヤル」はなぜ日本人に受けるのかということを考え抜く力です。マーティング能力といってもよいかもしれません。幸いにも当社のエンジニアには仮説検証能力が備わっている。仮説を立て、ゲームのパラメーターをいじって、その結果をデータで見る。それを分析して、どういうパラメーターの違いがユーザーに受けているかを実証する。それができれば、海外ユーザーの志向性を読み取った上での、ゲーム開発が可能になります。

海外の優れたデベロッパーには社員全員がコードを書けて、マーケティングセンスも持ち合わせている、というところもあります。DeNAもそうならなければ、世界で勝てない。そこを強化してくれるエンジニアであれば大歓迎ですね。世界のモバイルゲーム開発者たちは、実は日本のゲーム開発者に対して一定のリスペクトをもっているんです。あれだけのリソースが限られた携帯電話で、こんなこともできちゃうという驚き。その力量を、今度は違うプラットフォーム上で、本格的に世界に示してやろうじゃないか。そんな気概に溢れる人がいま欲しいですね。

DeNAが海外で展開する「MiniNation」とは──

 「MiniNation」はモバゲータウンのシステムやノウハウをふんだんに盛りこんだ、海外向けモバイルゲームとコミュニティ機能の総称。同時に、海外展開を担う新会社の社名でもある。モバゲータウンと同様にアバターを活用したコミュニティ機能があり、ユーザーは「MiniNation」を搭載したゲームアプリをアップルのApp Storeからダウンロードし、基本無料で利用することができる。一人のユーザーがゲームを楽しむだけでなく、ミニメール、掲示板、サークルなどを通してユーザー同士のコミュニティの利用が可能だ。

 DeNAがiPhone /iPod touch用に提供する「MiniNation」ゲームの第一弾は、同社が自社制作し国内で爆発的な人気をもつソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」を移植した「Bandit Nation」のほか、カジュアルゲームアプリ「Mini BalloonHunt」「Mini NumberPlace」「Mini Solitaire」の計4タイトル。また、上記機能に加え、「MiniNation」の専用仮想通貨を発行する。ただしこれらのアプリは現状日本の App Store からはダウンロードできない。

 さらに「MiniNation」では、DeNAが資本業務提携しているAurora Feint Inc.(本社:米国カリフォルニア州)の提供する「OpenFeint」とIDを連携できる仕組みも導入した。DeNAでは、「OpenFeint」の持つ卓越したソーシャルコミュニティ機能とモバゲータウンで培ったコミュニティ運営ノウハウやマネタイゼーションのノウハウを融合させることで、世界中のユーザーに対して魅力的なソーシャルゲームとアバター・コミュニティサービスを提供するとしている。

(同社プレスリリースより)

プレスリリース画面
「Bandit Nation」サービス画面
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