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最新! 8つのエンジニア職種から採用動向がわかる!職種別 採用天気予報 [10年7〜9月期]
日本の景気は上向きつつあるようだが、エンジニアの雇用状況は改善されつつあるのだろうか。エンジニアの転職市場について、技術系職種を大きく8つに分け、3カ月間の短期予想を載せた。各分野のベテランアドバイザーたちが、この夏の求人動向を予報する。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/高橋マサシ)
全体動向 景気回復の風がようやく吹き出した転職市場。チャンスを拾おう!
 この6月に政府が発表した2009年度版の「ものづくり白書」によれば、昨年2月に底を打ち、そこから反転に転じた製造業の生産は、自動車などの輸送機械がリードしたという。しかし、生産は伸びたが、売上数量の伸び悩みが収益回復の足を引っ張り、設備投資の改善に結びついていないのは問題だ。
 企業の設備投資は、2010年1〜3月期の法人企業統計でも7四半期連続で下降線をたどってきており、今後どこまで改善されるかが注目だ。

 ただ、この1年で業績を急回復した企業は多い。求人面では厳しい1年だった半導体業界でさえ、製造装置メーカーや材料メーカーからは工場の稼働率の改善や経常利益の急拡大が伝えられる。同様にこの数年はぴたりと求人の止まっていた大手化学メーカーも、今は生産増に追われているという。
 いずれも内需回復というよりは、グローバルな需要が回復の主たる要因。国内だけ見ていてはわからないグローバル市場の動きが、これからの本格的な景気上昇局面を左右することは間違いないだろう。
 こうした企業の動きは、転職市場の活性化にも好影響を与えているようだ。総務省の労働力調査によると、全職種にわたる転職希望者は2月時点で611万人と、3カ月連続で前年同月を上回った。リクルートエージェントによると、3月末の中途採用の成約件数は、昨年10月末と比べて8割増えている。

 5月の連休以降も、IT系コンサルティングファームや大手化学メーカーなどから大量の求人が出てきている。エンジニア中途採用市場には景気回復を実感させる賑わいが、緩やかながらも戻りつつある。もちろん、失業率自体は5%前後で高止まりしており、本格的な雇用回復を言うのはまだ早い。業界や職種によって、雇用反転の道のりは依然まだら模様というべきだ。
 この動きが、夏場から秋にかけてもプラス方向で持続するかは、もちろん予断は許さない。輸出の面から見た景気回復は、中国を中心とするアジア市場は手堅いとはいうものの、欧州の信用不安など懸念材料も多い。不況期から脱した直後の常ではあるが、企業もまた採用基準をそう簡単には緩めない。
 専門技術の深化はもちろんのこと、自分の技術領域を広げる努力や、英語力を含むコミュニケーションスキルの向上、マネジメント経験の積み重ねなど、自分の"売り物"に磨きをかけながら、これからの転職市場に臨みたいものだ。
ページ内の各技術分野へリンクします。
業界別求人人数の推移と今後の予測
 ※2009年4月の「IT通信・インターネット業界」の求人人数を0値として、職種ごとの求人数の推移をグラフ化した。
 ※リクルートエージェントのデータ(2010年5月まで)を基にTech総研編集部が作成。
制御系SE
曇りときどき雨
天気は西から晴れてくる──自動車サプライヤーが気を吐く
狙われるのはこんな人 画像制御、自動車電気制御、携帯端末開発、モーター制御など
 エレクトロニクス系求人に比べると、制御系エンジニアの求人はあまり増えていません。自動車や家電のセットメーカーは、景気回復過程にあっても正社員を増やさず、外注を増やすという戦略。そのため、受託開発企業の求人は増加しているのですが、発注元のメーカーからの求人は伸びていません。ただ、一部の自動車部品のサプライヤーからの求人は依然続いています。
 サプライヤーでも求人意欲が強いのは、セットメーカーへの提案力を高める中で事業領域を拡大した企業。こうしたサプライヤーは海外メーカーへの供給力も高いので、内需の落ち込みにあまり左右されず、業績も好調です。また、久しく採用を控えてきたサプライヤーに求人復活の兆しもあります。「セットより部品」が狙い目というのはこれからも続きそうです。
 こうした動向がサプライヤー全般や完成車メーカーに波及することを期待していたのですが、それは叶いませんでした。この傾向は夏場も同様だと思います。

 パチンコなど遊戯機器、医療機器分野の求人もありますが、少数であったり、経験者に限るという制限があったりで、強いトレンドになってはいません。省エネ技術などの話題の分野であっても、特に求人の動きはありません。
 全体には4〜6月期に比べて、7〜9月期は微増というのが私の判断。地域別に見ると、関東圏よりは関西圏での求人が強くなる傾向を感じています。「天気は西からよくなってくる」という感じでしょうか。ですので、関東圏のエンジニアがIターンやUターンで関西へという道は十分に開けていると思います。
 新商品のリリースが続く携帯端末においては、メーカーや請負い企業の求人があります。開発環境や開発言語の経験者を特定した求人が多いのですが、徐々に増えています。

 こうした厳しい状況下でも転職できる人というのは、単に従来製品をカスタマイズするという仕事ではなく、ゼロから「しっかりとした開発」ができる力を持っている人。例えば、学生時代や若い時期にきっちりと技術の基礎を学び、製品開発に実践できている技術者は市場から評価されます。
 または、意識してプロジェクトマネジメント能力を積んできた、海外オフショア開発のコントロールを手がけたなどの経験も評価されます。
制御系SEの求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
畠田 仁氏
畠田 仁氏
アプリ系SE
晴れときどき曇り
ネット系企業の好調が続く。SIからWeb系へのシフトが起こるか
狙われるのはこんな人 Linux、Perl、Java、PHP、データベースなどに加えて企画立案能力
 Eコマース、SNS、ポータルサイト、ネット広告、あるいはソーシャルアプリ事業などを展開する、ネット系企業の好調が続いています。採用局面では、ウォーターフォール型ではなく、仕様の変更に柔軟に対応するアジャイル開発に慣れている人が有利。コーディング能力だけでなく、サービスを企画・立案する能力が求められています。
 技術スキルは、Linux、Perl、Java、PHP、データベース、Webテクノロジーが基本。その点では各社とも同じ層を求めていて、バッティングする可能性があるのですが、企業のカラーが異なるので、最終面接などで社風と合う人材かの見極めを図っているようです。

 面接に当たっては会社の事業内容を把握し、さらに今後のサービスとテクノロジーの将来展望を語れるくらいでなくてはいけません。「自分の技術力を生かした、新しい事業を提案したい」などの話をして、意気込みを感じてもらうことが大切です。
 とはいえ、そういったWeb系エンジニアはまだ限られています。そこでネット系企業が狙うのは、一般的なSI企業で働く基幹系SEなどになります。例えば、業務としてWebアプリ開発の経験がなくても、自宅にサーバーを置いて、PHPなどを使ってサイトを開発した実績のある人です。
 逆にこうした経験は、応募側のひとつのセールスポイントになるでしょう。経験の有無よりもそのポテンシャルに期待するとして、優秀な第二新卒層に触手を伸ばす動きもあります。

 SI業界の中には好調な企業もありますが、全般的には低調気味。そのため、エンジニアのSIからネット系へのシフトが、今後は強くなるのではないかと見ています。
 当のSI企業の求人では、SI子会社の一部で採用の動きがありますが、まだピンポイント。全体には前期に比べて微増に止まっています。製造業などの景気回復が伝えられていますが、SI業界のエンジニア求人がリーマンショックの前に戻るかというと、悲観的にならざるを得ません。
 よい材料としては、金融機関の社内SEの求人が増えていること。大手コンサルティングファームでもIFRS(国際財務報告基準)関連で、ITコンサルタントの募集を強めるところが出てきています。
アプリ系SEの求人情報 リクルートエージェント
ITマーケット
グループマネジャー
江川理絵氏
江川理絵氏
コンサルタント
晴れ
3けた求人のファームも。条件緩和でコンサル未経験者も採用へ
狙われるのはこんな人 メールでの英語力、企業会計やSCMの知識、ERPの経験
 年初から右肩上がりに上昇してきたコンサルタント求人は、5月連休明けからさらに動きが活発になってきています。IT系コンサルティングファームの中には、数年ぶりに100人以上の人材募集を開始した企業もあります。募集対象は第二新卒から中堅コンサルタントまでと幅広く、若年層についてのコンサルタント経験は「不問、あればなお可」。ここまで採用条件が緩和されるのは久しぶりで、コンサルタントブームだった4〜5年前を彷彿とさせます。
 ただ、これらの動きはIT系ファームに限られたもので、戦略系や会計系ファームの出足はまだ鈍いという印象です。

 IT系ファームの求人内容で目立つのは英語力。システム開発におけるオフショア開発が拡大していることが背景にあり、中国やインドなどの協力会社と、英語でコミュニケーションを取る必要があるからです。
 また、日本企業の海外進出プロジェクトがファームの主要な案件になっていることも、エンジニアに語学スキルを求める理由になっています。海外プロジェクトでは、海外の社員や現地のシステム会社とコンタクトを取りながら、開発を進めなくてはなりません。もちろん、ネイティブのように話せなくもいい。求められているのは、メールの読み書きが英語で問題なくできるレベルです。
「これまでエンジニアは英語が苦手」という通念があったと思いますが、最近は違います。当社の登録者の中にも英語ができる人、英語の習得に努力している人が増えています。これからの仕事のパートナーは国内ではなく、海外にいるという認識が高まっているのだと思います。

 語学力に加えて企業会計やSCMの知識、さらにSAPやOracleなどERPの設計経験があると、非常に強みになるでしょう。CRM、顧客管理、人事・給与系はいまやクラウド化してSaaSでできる時代なのであまり評価されませんが、会計やSCMについてはパッケージを活用しながら、一社一様に構築する必要があるからです。
 こうした業界の動きに連動するように、求職者の数も急増しています。当社の登録者だけを見ても、5月は前月に比べて1.5倍近くの伸びを示しました。
 今訪れているコンサルタント求人の波を、チャンスにすることが大切です。登録者が内定に至る経緯を見ていると、技術力以上に重視されるのは顧客の悩みを解決するサービスマインドや提案能力。「自分がつくりたいものをつくりたい」という独りよがりのモノづくり志向は、あまり評価されません。
コンサルタントの求人情報 リクルートエージェント
プロフェッショナルサービス事業
第二マーケット
1グループ
コンサルタント
垣見大介氏
垣見大介氏
ネットワーク
曇り
「仮想化技術」がサーバー系求人のホットなキーワードに
狙われるのはこんな人 仮想化ソフト、サーバーOS、Webアプリ、DBの知識・経験
 サーバーを仮想化して運用するデータセンターや企業が増えています。米国の調査機関の調べですと、世界のサーバー仮想化ソフト市場の規模は、2015年には56億ドルに達するとか。仮想化技術は、ユーザー企業のコスト削減や事業継続などのニーズに応え得るもので、今後はエンタープライズ・コンピューティングの必須=デフォルト技術になろうとしています。
 それを反映して「仮想化技術」をキーワードにした求人が目立つようになりました。今のところデータセンターやホスティング企業からの求人がメインですが、仮想化製品を扱うプロダクト商社、SI企業、ネットワーク・インテグレーターからも求人があります。

 仮想化技術は幅広いのですが、求人票によく書かれるのは、VMWare、Hyper-V、Citrixなど仮想化ソフトの知識と実装経験。例えば、Windows Serverなどマイクロソフト製品と仮想化技術を組み合わせたソリューションを売り出したいインテグレーターから、自社のソリューション力を高めるために、仮想化の経験を持つエンジニアが欲しいなどの案件です。
 この数年にわたって中途採用をストップしていた大手コンピュータメーカーから、仮想化を切り口にした求人が新たに出てくるなど、仮想化は一種のブームのようにもなっています。少なくとも今年中盤の、ネットワークエンジニア求人をリードしていくキーワードであるのは確かでしょう。

 一方で、ECサイトやソーシャルアプリ、オンラインゲーム事業を展開するネット系企業の、サーバーエンジニア需要も堅調です。これらの企業ではサーバーOSの知識に加えて、Webアプリやデータベースなどの知識を求める傾向が強くなりました。単に「Linuxサーバーの構築経験」ではなく「MySQLもわかる人」など、求める知識・経験の幅が広がっているのが特徴です。
 細かい専門性にとどまるのではなく、それに加えるプラスアルファが重要。さらに個々の要素技術を組み合わせ、全体を統括する視野が必要ということでしょう。長い目で見れば、サーバー技術に特化していたネットワークエンジニアが、自分のスキルセットを広げるチャンスともいえます。インテグレーターからネット系へという流れはこれからも続くと思います。
ネットワークの求人情報 リクルートエージェント
ITマーケット
キャリアアドバイザー
森 琢郎氏
森 琢郎氏
電気・電子系
曇り
自動車サプライヤーや外資系メーカーが好調。夏季の求人に期待
狙われるのはこんな人 回路設計、シーケンサー、PLCの経験者、フィールドエンジニア
 電気・電子系の求人は5月の段階で、弱含みで推移といったところ。一人気を吐いているのは、東海地区の自動車部品サプライヤーです。とりわけモーター、ECU、インバーター、パワーエレクトロニクス関連の採用意欲はかなり高いものがあります。
 そのほかでは、欧州やアジア系の外資系装置メーカーや電子デバイスメーカー、医療機器メーカーに動きがあります。外資系に転職する可能性が高い人は、やはり英語力に自信のあるエンジニア。当社でいうところの「中級レベル」──メールや会話など社内コミュニケーションに困らない英語力があれば、かなり優位になります。

 例年、4〜6月は企業の人事担当者が新卒者の対応に追われて忙しく、中途採用のプロジェクトの動きは鈍いもの。エレクトロニクス業界の景気回復はまだまだ製品や職種にバラツキはあるものの、最悪期は脱しているので、7〜9月は緩やかに求人が増えるのではないかと期待しています。
 ただこれからは、設計職よりはフィールドエンジニアの求人が多くなると思います。顧客からの引き合いが増え、受注獲得の局面で人材を強化したいという企業の意向が現れています。
 問題なのは、設計職に比べるとフィールドエンジニアの人気が低いこと。「仕事が忙しく、定時外や休日にも顧客から呼び出されるのが嫌だ」という声も多く聞きます。とはいえ、最近は各企業とも時間外の仕事をできるだけ少なくするよう努力はしていて、その点を求人のPRポイントに挙げる企業もあるほどです。先入観を持つことなく、じっくりと説明を聞いてもよいと思います。

 前回も触れました、電気設備関連のPLCやシーケンス制御技術、電験3種の資格を持つ人の求人は依然として続いています。企業としては喉から手が出るほど欲しいが、市場にそうしたスキルや資格をもつ人は圧倒的に少ない。当分は売り手市場が続くでしょう。
 前の期は「曇りときどき雨」という景況判断でしたが、夏場に向けた採用の動きの手応えは感じているので、一段階改善して「曇り」にしておきたいと思います。
電気・電子系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
関野光剛氏
関野光剛氏
機械・メカトロ系
曇り
自動車サプライヤーが強い求人意欲、遊戯機器や医療機器も好調
狙われるのはこんな人 モーターなどの自動車部品設計者、遊戯・医療機器の設計経験
 大手自動車部品サプライヤーからの求人意欲は依然として強いまま。モーター関連の需要が求人を牽引し、これにハーネス、ブレーキシステムなどが続いています。単に電気自動車の駆動部というだけでなく、エンジン車のシートやパワステなどの電装品を動かすためにもモーターは不可欠。電装品の高性能化・小型化・省力化は車づくりの重要なキーテクノロジーです。
 従って求人内容もモーターそのものの開発に加え、それらを使った機構設計のニーズも高まっています。

 サプライヤーからは1社あたり2けた規模での求人が続いており、異業種からの採用にも前向きです。この業界は、これまでは増産要求に対しては派遣労働者の増員で対応していました。しかし、その構造のままではなかなか高度な技術が内部に蓄積されないことや派遣法の動向などから、将来的な技術の蓄積という視点で、正社員の中途採用を強めているわけです。
 ただ、国内完成車メーカーとの取引だけに頼っていたのでは、先の展望が開けないのも事実。サプライヤーが国を問わず、海外メーカーとの提携を強める動きもあり、そうした世界戦略で優位に立つ企業は、これからもコンスタントに求人を出してくるものと思われます。
 一方、半導体製造装置の開発、フィールドエンジニア関連のニーズもますます活発になっています。装置開発ではやはり経験者を求める傾向が強く、求人の基準自体は下がっていません。また、タービンや発電機など重電系企業からの求人は昨年から引き続いていますが、人数で増加の気配はなく横ばい状態。これは建設機械も同様です。

 職種別で見ると、設計やフィールドエンジニアの需要が、生産技術や品質管理などを上回っているのが最近の傾向です。新製品の需要が活発になっている傾向を表しているかもしれません。
 遊戯機器や医療機器など、特殊機器の設計開発求人も続いています。医療機器では大手医療機器メーカーが採用を本格化させています。医療機器の経験者であればぴったりですが、ほかの分野で駆動部を含む機械や装置の設計に従事していた人であれば、十分に採用のチャンスはあると思います。
機械・メカトロ系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
CAグループ
キャリアアドバイザー
竹内賢一氏
竹内賢一氏
半導体系
雨
回復の兆しを感じる半導体業界。プロセスエンジニアにチャンス
狙われるのはこんな人

プロセスエンジニア、パワーデバイス、省エネ、FPGA

 半導体市況の回復が伝えられ、半導体製造装置メーカー各社の決算も好調でした。昨年は大規模リストラもあった半導体プロセスエンジニアですが、求人が戻ってくる気配を感じます。
 この数年の淘汰を経て生き残ったデバイスメーカーの現場は、繁忙状態が続いており、人材ニーズには切迫感が漂っていました。経営判断から人数を増やせずにいたわけですが、その我慢も限界というところなのでしょう。

 ただ、私たちが期待するほど大規模な動きがあるわけではありません。求人が出ても、その勤務地の多くは工場のある九州や東北になります。例えば関東圏に住んでいるエンジニアにとっては、住居移動を伴う転職には決意が必要。「どこへでも行きます」というスタンスでないと、転職はなかなか簡単ではないでしょう。
 デバイスメーカーだけでなく、フラッシュメモリ大手や製造装置メーカーでもプロセスエンジニアの求人意欲はあります。7〜9月期にそれが全開するとは断言できないのですが、確実に4〜6月期よりはよい状態になると思います。

 今、専門技術として市場の評価が高いのは、パワーエレクトロニクスや電源回りの省エネ技術。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)での設計経験も高く評価されます。
 かつてのようにASICを大量生産するということは少なくなり、試作用チップや小ロット製品など小回りの効く製品開発では、FPGAでの開発が一般的になっています。そこで論理設計できる人は、基板設計へ仕事の範囲を伸ばすことも容易です。VerilogやVHDLなどの言語やツールを駆使できることが条件になります。
 専門性を生かした転職は誰もが望むところですが、求人が決して多くない現状では、技術の転用性や応用範囲の幅広さが、転職を成功させる重要なポイントになります。例えば、回路設計と組込みの両方にわたる経験があれば、より汎用性が高く、変化対応力が求められる職場でも適応力が高いとみなされ、それだけ転職チャンスが広がるなどです。
半導体系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
関野光剛氏
関野光剛氏
化学・材料系
晴れときどき曇り
大手化学メーカーで求人復活。夏以降の勢いの増加に期待
狙われるのはこんな人 高機能性樹脂、メッキ、フィルム、電池、フィードエンジニアも
 この2〜3年の化学系求人は、「氷河期」と言われるほど中途採用が低迷していましたが、ここにきてようやく氷が解け出したという印象です。
 大手化学メーカーでは基礎研究分野には動きはないのですが、製品の技術開発──例えば、半導体に使用される高機能性樹脂、コネクタなどのメッキ、接着剤などで求人の勢いが増しています。加えて各種機能性フィルムも好調です。全体に工業製品の出荷量が増えてきていることの反映ではないかと思えます。
 企業当たりの採用数は10人程度。しかし、これまでほとんど動きがなかったことから比べると、「大量」の求人と呼べるものです。3月決算の好転を受け、景気の順調な回復や受注増大の見とおしに立ちながら、今後の国内競争やグローバル競争に勝ち抜くため、人材戦略でも攻めの姿勢に転じたのだと思います。研究開発系だけでなく、フィールドエンジニアの求人増にもそれはつながっています。

 世界経済はギリシャの信用不安やユーロ安などの不安要因がないわけではないですが、中国をはじめとした新興国の景気見通しは明るいようなので、この化学系求人の勢いは夏から秋にかけても続くのではないかと見ています。
 iPadやスマートフォンなど高機能ディスプレイをもつ通信機器が増えていますが、その材料技術にかけては、日本の化学メーカーは抜きん出た力を持っていると言われます。そうした要素が夏以降に加われば、さらに求人増に拍車をかけるのではないかと期待しています。
 ただ、企業も数合わせのための求人をするつもりはない。それぞれの企業が今後力を入れたい事業と、応募者の経験や専門知識が合致した場合だけ採用するという、厳選傾向は強まっています。

 一方、化学系エンジニアを求める非化学メーカーに目を転じると、例えば電気自動車関連の電池系の求人は続いています。しかし、それ以外の分野となると自動車、エレクトロニクス系企業の需要にさほど動きはありません。当面は化学業界内での人材流動化に注目したいところです。
 しばらくマーケットに動きがなかったことで、転職をあきらめかけている化学系エンジニアも多いと思いますが、情勢は変わりました。詳細な情報を集めて、キャリアアップの夢を実現してほしいと思います。
化学・材料系の求人情報 リクルートエージェント
EMCマーケット
CAグループ
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