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今回調査したのは、取引先企業から引き抜きの誘いを受けたことがあるエンジニア100人。そのうち、実際に誘いを受けて転職したのが半分の50人、残りの半分は誘いを断り現在の職場に留まった人たちだ。 ちなみに誘いを受けた時点での年齢について聞いてみると、30歳が11%で最も多く、25歳〜35歳の間がボリュームゾーンとなっている。また同じく、誘いを受けた時点での年収についても聞いてみると、400〜500万円が21%で最も多く、300〜700万円の間で約72%と全体の3/4を占めた。 |
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最初に、取引先の企業からどんなきっかけで誘われるのか?代表的な声を紹介しよう。 ・取引先の担当者(同じプロジェクト担当チーフ)と夜、たまたま居酒屋で会って誘われた (32歳・システム開発Webオープン系) ・システム構築中の慰労会の席でクライアントの情報システム部長から簡単に説明を受け、プロジェクト完了後、本格的な引き抜きの話を受けた (25歳・社内SE) ・同一プロジェクトに参加していたほかのソフトハウス社員との立ち話中に (26歳・パッケージソフト開発) ・先方訪問時にそこの情報システム担当マネジャーから「どうですか?」と声をかけられた (33歳・通信インフラ設計) ・使用していたパッケージ会社より雑談レベルでの会話の後、その会社の営業部長から正式に電話で連絡がきた (32歳・パッケージソフト開発) 今回の調査結果で多かったのは、最初は仕事中や休憩中のちょっとした雑談レベルで誘われて「冗談でしょ?」といった感じで軽く聞き流した後、突然取引先の担当者から電話がかかってきて正式な引き抜きの話をされる、というパターン。 またもう一つのパターンとして、プロジェクト終了後の打ち上げの席で担当者が隣に座り、そっと耳打ちしながら囁く、というもの。 結果を見る限り、取引先からの引き抜きはかなりストレートかつ強気に誘う姿勢を取るケースが多いようだ。 |
続いては、そもそもなぜほかにもメンバーがいるにも関わらず、自分だけが誘われたのか? すなわち、自分のどんな点を高く評価したからこそ、引き抜こうとしているのかという点、浮かび上がったキーワードが「マネジメント力」と「技術力」だ。 |
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大小関わらずあらゆるプロジェクトに関して、外注メンバーも含めて統率し、スケジュール通りにカットオーバーさせるプロジェクトマネジメント能力。その能力に対する取引先からの高い評価が、引き抜きへと発展する大きな要因。今回の結果の中でもおよそ6割近い割合で、マネジメント力の評価が挙げられた。 またもう一方の大きな要因は、エンジニアならではの技術力の高さ。製品開発力や基盤構築力、またコンサルティング能力、企画力、開発スピード、製品評価・分析力といった各専門スキルに対する評価もとりわけ、高かった。 |
誘いを受けた時、じっくり話を聞いたうえで取引先の企業に転職することのメリットとデメリットを考える。誘いを受けた100人のエンジニアはそれぞれ、どんなメリット&デメリットを思い浮かべたのだろうか? |
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回答のおよそ8割近いエンジニアが挙げたメリットは、ずばり収入アップ。平均して2〜3割上がることに対する期待感は大きいようだ。その一方、自分が携わりたい案件にかかわるチャンスが限られる、といった自由度の制限をデメリットに挙げる割合も、全体の半分以上に及んだ。 収入アップを取るか、それとも仕事内容を取るか。エンジニアにとって大きな選択だ。 |
逆に、誘いを断って今の職場に居続けることを選択した場合、考えられるメリット&デメリットとは何だろうか? |
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驚くことに誘いを受ける場合に比べ、多くのエンジニアから今の職場に留まることのメリットについての意見が出なかった。逆にデメリットとして多くが「収入が上がる見込みがない」、さらには「倒産する可能性も……」といった将来に対する大きな不安や絶望感が、回答内容からにじみ出る結果となった。 |
これまで紹介してきた流れを受けて、誘いを受けて転職した50人と、誘いを断り留まったエンジニア50人、双方の決断の主な理由を紹介したい。 | ||||
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決断を下した後、それぞれの判断について振り返ってもらったところ、9割近いエンジニアが「決断は正しかった」と回答した。その理由を探ってみると…… | |||||
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最後にもし、取引先からの引き抜きの誘いを受けた場合のアドバイスとして、多くのエンジニアが口をそろえて話すのは、「とりあえず、話だけは必ず聞いてから決めること」と「誘いを受けて転職する場合、決して周りに転職先のことは言わない」ということ。 取引先から誘いを受けるということはある意味、今後のキャリアを考える上で絶好の機会。担当者から「自分のどんな点を評価しているのか」「もし転職したらどんなメリットやデメリットが想定されるのか」といった点についてじっくり聞いて考える一方、「もしこのまま今の企業にいることで、どんなキャリアを積んでいくのか」を再検討することで、転職するにしてもしないにしろ、きっとその後の人生にとって良い影響をもたらすことは、今回の調査結果からも明らかだと言える。 |
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