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世界一奪取を目指し、開発体制を強化
東京エレクトロングループが技術者150名採用、開始!
この半年で急速に業績が好転してきた半導体業界、その半導体業界を支える半導体製造装置メーカーの東京エレクトロングループが150名規模でのエンジニア採用を開始する。常に業界をリードし続ける同社は、次に何を仕掛けようとしているのだろうか。
(取材・文/藤本健 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/中村泰介)作成日:10.03.17
採用背景
エレクトロニクス産業の発展を支える東京エレクトロングループが150名規模のエンジニア採用開始

 国内外を問わず、半導体メーカーの業績が回復してきているのに伴い、設備投資も積極的に行われるようになってきた。その設備の中枢となるのが、半導体製造装置であり、世界中の半導体メーカーに製造装置の提供しているのが東京エレクトロングループだ。

 本社である東京エレクトロンを中心に、東京エレクトロン宮城、東京エレクトロン東北、東京エレクトロン九州などのグループ各社が開発・製造する半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置は国内外で大きなシェアを持ち、DRAMやCPUからカスタムチップまで、世界中の半導体デバイスの製造を担っている。その東京エレクトロングループが、150名規模のエンジニアの採用を開始する。

 一言で半導体製造装置といっても、その製造工程は多岐にわたり工程ごとに利用する製造装置も異なってくる。まずは前処理を行った上で感光剤の塗布、露光、現像というフォトリソグラフィープロセスでの製造装置がある。そしてトランジスタの性能向上を図るために短時間で高温での熱処理を行うサーマルプロセスシステム(熱処理成膜装置)、さらに現像された酸化膜を食刻するエッチング装置、半導体製造過程におけるチリやほこりなどの不純物を洗浄する洗浄装置などがあり、東京エレクトロングループではこれらの大部分に取り組んでいる。

 その中で、緊急に大規模な採用を行いたいというのが、東京エレクトロン宮城が担当するエッチング装置の開発エンジニアだ。職種としては機械設計技術者、電気 電子回路開発設計者、制御系ソフトウェア開発技術者、プロセス開発技術者などであるが、実際どんな背景でどんなエンジニアを採用するのか、常務執行役員で開発本部・プロセス技術担当およびES事業担当・SPE開発部門担当の鄭基市氏(以下敬称略)に話を伺った。

[図版] 半導体製造の工程
東京エレクトロングループ開発トップが語る
「エッチング装置強化と、開発拠点の拡大で世界を狙う」
−−

東京エレクトロンで、大規模なエンジニアの中途採用を行うとのことですが、その背景について教えてください。

鄭

東京エレクトロングループ全体では2年前に過去最大の約9,000億円の売上を達成しました。2010年3月期は不況の影響から当時の半分以下の4,100億円(見込み)まで落ち込みましたが、世界景気の浮上が見込まれる2012年には過去最大の売り上げを上回る目標を掲げているのです。

一方、各半導体製造装置のワールドワイドでのシェアを見ると、分野によってかなりバラつきがあります。具体的には、東京エレクトロングループが開発しているレジスト塗布現像装置では80%以上のシェアを占めているのに対し、東京エレクトロン宮城が担当するプラズマエッチング装置のシェアは現在30%弱。すでに80%以上あるシェアを伸ばすのは至難の業ですが、エッチング装置であれば伸びしろも大きく、世界中で大きな成長が見込めます。まずはエッチング装置のシェアを大きく伸ばすことを目指し、オキサイドに加えて特にシリコンのエッチングも強化していきたいと考えています。

−−

実際、どのような戦略でエッチング装置のシェアを伸ばしていくのでしょうか?

鄭

エンジニアのリソースを増やし、より開発力を高め世界最高峰の技術を磨くことで、伸ばしていくというのが当社の考え方です。2年前、売上高が9,000億円のときも開発費として600億円を投じていましたが、通期予想で4,100億円に落ち込んだ今期でも500億円以上をかけて、開発に取り組んでいます。こうした開発体制は今後も変わらないほか、さらに、ここからは中途採用を積極化して体制を整えていきたいと考えております。

鄭基市氏
東京エレクトロン株式会社
常務執行役員 SPEプロセス開発本部長
東京エレクトロン宮城 株式会社
専務執行役員 工学博士
鄭基市氏
−−

エッチング装置のエンジニアには、どんな経験スキルを期待しているのでしょうか。

鄭

エッチングにはいくつかの要素技術があります。半導体のエッチングは真空装置の中にガスを流しこみ、RF電源を用いたプラズマを発生させて行うというものです。そのプロセスを追っていくエンジニアには半導体製造工程に関わる知識や経験とともに、理学的、化学的な知識が必要となってきます。もっとも、こうしたプロセスではプラズマが関わるとともに、ガスの流量やどんな濃度で送るのかなどによって、均一性などの結果は大きく異なり、簡単に答えの出る世界ではないのです。そのため、シミュレーションなどの手法も交えつつも、トライ&エラーや経験に基づく緻密な実験が必要な業務となっています。

電気 電子回路開発設計者においては、ボードの中の設計だけでなく、全体の回路も含めた装置の制御が求められるため、システム全体を理解する力が重要です。もちろんメカ部分が多い機材であるだけに、当然、機械設計技術者も大きな役割を果たすのですが、機械設計も制御設計と同様に全体を考える力を持ちつつ、個別の技術を深堀できる素養が求められます。

さらに、電子回路やメカ部分を制御するソフトウェア開発技術者も重要です。いわゆる組み込みソフトウェアですが、開発ツールは当社で内製した独自の開発ツールを使っています。そのため、これまでの経験、知識をそのまま使うというわけにはいかないと思いますが、CやC++を使った制御系のプログラム開発経験があれば、キャッチアップすることは可能だと思います。

−−

どの職種もかなり特殊であるだけに、同業界での経験者は少ないように思います。

鄭

例えばプロセス開発であれば、半導体メーカーのエンジニアは大歓迎です。実は私自身も以前はデバイスメーカーにおりました。昔はプロセス部分についてデバイスメーカーと半導体製造装置メーカーの双方で取り組んでいましたが、その後分業が進み、現在ではプロセスは装置メーカーが提案するようになっています。どんなガスをどのような圧力・流量で送り出すかなど、プロセスのレシピを始めに開発し提案するのは多くの場合、装置メーカーの役割となっています。性能、歩留まりが高く、かつ生産性の良いプロセスを行うためには、装置の特性とプロセスを最大限にマッチングさせて開発する必要があり装置メーカーだからできる部分が多くなっているのです。

一方、電気・電子回路設計、機械設計、ソフトウェア設計となった場合は、まったく異なる業界であっても、そのスキルが活かせるだろうと考えております。実際、当社にいる中途入社のエンジニアもさまざまな業界から来ています。例えば電気系では携帯電話機メーカーや家電メーカーから、メカ系では自動車関連メーカー、そしてソフトウェア開発では、やはり情報家電メーカーなど、異業界出身のエンジニアも多く参加しています。

−−

その4職種の中で、特に採用ニーズの高い職種は何でしょうか?

鄭

プロセス開発、機械設計、電気回路設計、ソフトウェアのいずれのエンジニアも社内で逼迫した状況にありますが、とくにプロセスエンジニアを強化したいと考えています。プロセスエンジニアの場合、お客様との接点が大きく、お客様の近くでプロセス開発を行っています。

当社のお客様は大きく分けて、日本国内、韓国、台湾、米国の4地域があり、それぞれおよそ20%前後となっています。海外の比率は年々伸びてきており、今後さらに増えていくでしょう。そのため海外に駐在して半導体メーカーとともにプロセス開発に取り組んでいるエンジニアも数十名の単位でいるほか、短期の出張で海外に出るケースも頻繁です。

東京エレクトロングループではシリコンのエッチング強化を図っておりますが、これまで国内のみ展開していたものを昨年から世界展開を始めました。それに伴い、現地の開発拠点作りや開発拠点の強化も進めているところです。そのため、海外での仕事が急速に増えているので、国際的な仕事をしたいと思っている人にはうってつけかもしれませんよ。

−−

半導体製造装置の開発においても、技術の進化は早いのでしょうか?

鄭

ご存知のとおり、半導体製造プロセスは130nmから90nm、65nm、45nmさらには28nm、22nmとどんどん微細化が進んでいます。またウェーハのサイズもどんどん大きくなり、現在は300mmとなっており、およそ1年半ごとに、製造プロセスが世代交代し、そこで使われる技術も大きく変わってきます。当然、製造装置もそのプロセスの世代交代に合わせた開発、また改善・改良を行っています。もちろん人によって異なりますが、こうした技術進化とともに3〜5年程度で新たな技術を身につけていくことが求められます。また必要に応じて、また本人の目指す技術志向に合わせた異動もしやすいので、技術を深掘りすると同時に幅広い知識を身につけていくことにも可能です。

−−

それだけ世代交代が早いとなると、装置を導入しても数年でリプレースしていかなくてはならないのでは?

鄭

半導体メーカーにおいて1つの工場が建つと、それに合わせて半導体製造装置を導入するわけですが、一般的には導入した製造装置を長期にわたって使っていくことになります。世代を超えて使っていくには一度導入した装置に対して改造したり、大幅なアップグレードを行い、新しい技術に対応できることが必要となります。現場にいるフィールドエンジニアがアップグレードを行うケースもありますが、場合によっては開発側で取り組むこともあり、これも重要な業務となっています。

−−

現在、山梨県にあるエッチング装置の開発拠点が、来年東北に移る予定だと伺いました。

鄭

そのとおりです。エッチング装置の強化に伴い、新たに建設中の宮城県の新工場に集約します。来年春以降に新工場の稼動が予定されているので、今後すぐに入社していただいた場合、当初は山梨で、その後、宮城へ移ることになります。

−−

最後に、東京エレクトロングループに転職することの一番のメリットについて教えてください。

鄭

東京エレクトロンが携わっているのは世界最先端の技術開発であり、世の中で誰もやったことのないことに取り組んでいるのです。こうして生み出した技術が世界中の半導体メーカーの製造を担っており、次世代のメモリーやロジックデバイスの製造のカギを握っているのです。それこそがエンジニアにとっての大きな醍醐味であり、責任感を感じる部分です。ぜひ、われわれといっしょに世界最先端の技術を作っていきましょう。

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