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会員数1600万人突破!SNSプラットフォームで「世界を制覇」
モバゲーオープン化で反撃開始!DeNA採用強化の舞台裏
「怪盗ロワイヤル」や「ホシツク」などソーシャルゲームの人気コンテンツ、「モバゲータウン」のオープン化など、ソーシャルエンターテインメントプラットフォーマーとしての存在感を見せ始めたディー・エヌ・エー(DeNA)。同社は現在、世界展開を視野に入れた、エンジニアの積極採用を進めている。
(取材・文/高橋マサシ 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己) 作成日:10.02.17
Part1 事業戦略
モバゲータウンで市場を拡大させ、今後は世界を取りにいく

DeNAで大ヒットゲームが生まれた影には「エンジニアの起用」があり、マーケットの拡大を狙ってオープン化を決断していた。こうした戦略を次々と成功させてきた同社の次の狙いは、ソーシャルエンターテインメントプラットフォーマーとしての世界制覇である。

取締役ポータル事業本部長兼COO 守安 功氏
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学修了後に、日本オラクル株式会社に入社。SEとERPの導入コンサルタントに携わる。1999年にディー・エヌ・エーに入社。ビッダーズの開発を担当し、その後はマーケットや企画などの業務に従事する。2004年にモバイル事業部長として「モバオク」の事業責任者となる。2006年取締役に就任。2007年から現職。

自社開発とオープン化でマーケットを拡大

 SNSのソーシャルアプリ、特にソーシャルゲームが大流行となっている。ユーザー数も市場規模も急激な伸びを見せる中、DeNAは昨年10月、モバゲータウンに「怪盗ロワイヤル」と「ホシツク」などをリリース。いずれも大ヒットとなり、今年1月の月間PVは450億以上、会員数は1600万人を突破した。ビジネスへの影響も多大で、10〜12月の同社の四半期決算は、売上高と営業利益がともに四半期ベースで過去最高額となった。

 DeNAの躍進はアプリ開発だけではない。11月にはモバゲータウンのAPIを公開し、他社開発のゲームソフトが参入できるようにした。これが「SNSのオープン化」に拍車をかけ、その影響は業界全体を巻き込み始めている。また、自社アプリを他社のプラットフォームに投入するという、思い切った戦略にも出る。これらの背景について、モバゲータウンのビジネスオーナー(事業責任者)兼COOの守安功氏はこう語る。
「米国や中国では2年ほど前からFaceBookなどでソーシャルアプリが盛り上がり、日本でも1年ほど前からユーザーが増え始めて、これは『とんでもなく成長する』と予感しました。ただ、海外がPCを主体としているのに対して、日本では携帯電話向けが主流になるかなと。なぜなら、ソーシャルアプリとは何時間も熱中するオンラインゲームとは違って、機能がシンプルで短時間に楽しめるゲームが向いているからです。弊社のモバゲータウンはモバイル向けのSNSですし、もともとカジュアルなスタイルでゲームとの親和性も高い。『いける』と感じて、昨年の5月ごろからゲーム開発に動き出しました。弊社の技術力であれば内製でつくれるだろうと思いました」

「モバゲータウン」トップページ
「モバゲータウン」トップページ
「怪盗ロワイヤル」マイページ
「怪盗ロワイヤル」マイページ
「ホシツク」マイページ
「ホシツク」マイページ

 ただ実際に始めると、20〜30タイトルを同時に出すのが難しいとわかった。開発自体は進められても、リリース後の運用や機能チューニングなどの更新作業が膨大となるからだ。一方、ソーシャルアプリのユーザー層は幅広く、好みのジャンルも分かれるため、多種多様なコンテンツが求められる。エンタメ系が好まれることから、ゲームの寿命は短くなるという読みもあった。

 そこで、多彩なタイトルを次々と提供する手法として、プラットフォームを持たない開発ベンダーの受け入れを決断する。そのためのAPI公開の準備を、アプリ開発と同時に進めていった。ただ、プラットフォーマーに徹するmixiなどとは異なり、自社アプリも提供するモバゲータウンのオープン化は、他社とユーザーを取り合うことになる。あえて商売がたきにプラットフォームを開放した狙いはどこにあるのか。
「たしかに他社さんのゲームと競合することもあるでしょう。しかしそれは短期的な視点での考え方です。ゲームタイトルが少ない固定されたマーケットでお客さんを奪い合うより、ユーザーさんにとって面白いコンテンツがたくさん出てきて、マーケットが拡大したほうがよりよいと考えました。実際に急成長していますから、オープン化の判断は正しかったと思います」

モバゲータウンオープン化の概要
【図】モバゲータウンオープン化の概要
ソーシャルエンターテインメントプラットフォーマーとしてのビジネス展開

 マネタイズ、すなわち事業収益の仕組みはゲーム専用仮想通貨「モバコイン」によるアイテム販売と広告収入。これはモバゲータウンにゲームを提供する他社も同じだ。ただ、DeNAはプラットフォーマーとして、他社から収益に応じた手数料を受け取る。すなわち市場規模の拡大は、プラットフォーマーとしても同社のビジネスに寄与することになるのだ。

 10月に初めてリリースした「怪盗ロワイヤル」と「ホシツク」などはどちらも圧倒的なユーザー数を獲得し、現在でも人気のゲームとなっている。同社内製のゲームは現在5タイトルで、1月末からのオープン化で他社提供のタイトルは100ほどに増加した。同社の四半期決算を知った各社は今後の市場規模拡大を確信し、ソーシャルアプリの開発に多くのリソースを注いでいるという。守安氏は「プラットフォーマーとしても、ゲームデベロッパーとしてもナンバーワンを目指す」と語る。

 mixiアプリに「怪盗ロワイヤル」などを投入した狙いもマーケット全体の広がりだ。
「ユーザーさんはコンテンツを楽しめればよく、プラットフォームはさほど気にしないものです。他社プラットフォームに弊社ゲームを提供することで、ユーザーさんに喜んでいただけると思いますし、利用していただければマーケットも成長します。それに、mixiさんはリアルな友人間のコミュニティ、「モバゲータウン」はアバターを介したニックネームでのやりとりでバーチャルなつながりとなるので、ユーザー層や使われ方もある程度異なっています。今後も積極的に、他社のプラットフォームに弊社内製のゲームを出していきます」

「エンジニア主体」に変えて大ヒットゲームが誕生

 同社のソーシャルアプリが成功した裏には、開発体制を大きく変える2つの要因があった。ひとつは企画提案のスタイルを変えたこと、もうひとつはエンジニアを主体的に動かすようにしたことだ。

 まず、企画会議をやめて、社員同士で自由にアイデアを出す手法にした。以前は定期的な企画会議があり、集まったメンバーはパワーポイントなどでデザインした企画書を用意し、目標とする数字やサービスの価値などをきちんと書き入れ、コピーを回して発表していた。しかし、ソーシャルアプリ市場の成長スピードにはとても追いつけないと感じ、社員が思いついたときにアイデアを話し合うスタイルに変えた。
「実際のアプリがないと内容はわかりませんから、『紙はいらん!まずモノだ』と思いました。そして、アプリ開発にリソースを投入するとともに、エンジニアに自分で考えて、主体的にゲームをつくってもらうようにしました。彼らはゲームの機能も画面も裏で動く技術も理解していますし、外部との技術的な調整もできるはず。こうした人材がサービスを考えたほうがよいと思ったのです」

 これらはシステム統括・稲村氏のパートで詳述するが、ソーシャルアプリを開発するのは企画者とエンジニアがひとりずつ。彼ら2人が企画をまとめ、形にして、リリースとその後の運用までを担当する。技術職が企画から入るケースはかなり珍しいが、運用やWebアプリの特徴であるリリース後の機能調整まで、全ての工程をひとりで任されることも非常にまれだ。この開発体制が同社の大きな特色であり、エンジニアの仕事の醍醐味ともなっている。社内変革は成功し、「怪盗ロワイヤル」などの大ヒットコンテンツを生んだ。

 ただ、思わぬ弊害も出てしまった。あまりに急激な事業の伸びで、エンジニアへの負荷が増大したのだ。同社には若い社員が多いこともあり、ゲームの企画は次々と出てくる。一方で、それをリアルなものにするのは、技術に詳しく実装ができるエンジニアが中心となる。案件が集中したことでエンジニアは開発作業に精一杯となり、企画者としての時間が削られてしまったのだ。これが今回の募集の背景でもある。

エンジニア募集で共通するのは「自分で考える人」

「ベースとなるスキルはPerlかLiunx、UNIXでの一定のプログラミング力。例えば、今はメンバー100人をまとめるプロマネで、昔はバリバリコードを書いていた人が、現場に復帰したいのなら大歓迎です。ただ、開発者ばかりが集まって好き勝手をすると、『無法地帯』になってしまう(笑)。彼らを指揮したり、人材配置を考えるなど、マネージメントできる人材も募集します」
 1月のモバゲータウンのPVは450億以上、1日平均で15億という数は「世界に例がないトラフィック」(守安氏)だ。このネットワークレイヤーのボトルネックを探したり、DBのスケールアップへの対応策を考えるなどの、サーバーエンジニアも募集する。また今後は、R&D的な人材の強化も予定。例えば、iPhoneなどのスマートフォンや次世代の高速無線通信規格であるLTEでの、新しいサービスを考えるような研究開発者だ。ここでは通信レイヤーやデバイスなど、特定の技術や分野に知見を持つような人が望まれる。

 そして、どの職種でも共通されるのが「自分で考える人」だ。言われた業務をこなすだけでなく、例えば世の中の潮流を見て自分なりにマーケットをリサーチしたり、他社のアプリを使って強みや弱みを考えたり、自発的な行動ができるようなエンジニアである。守安氏は同社で働くエンジニアの仕事の魅力を「ダイナミズム」と表現する。
「自分で携わった作品、ソーシャルアプリなら全工程を担当したコンテンツの、ユーザーの反応がダイレクトに感じられます。売れなかったモノやサービスを作ったエンジニアで、言い訳をする人がいますよね。『マーケティングが悪かった』とか『広告が下手だった』とか(笑)。弊社のサービスではそんなことは言えません。こんな『自分の能力次第』な環境はほとんどないと思いますし、だから楽しいんです」

日本発のソーシャルエンターテインメントで「世界を制覇する」

 ディー・エヌ・エーでは今後、ソーシャルアプリでは四半期に数本のペースで、定期的にコンテンツを発表していく計画だ。また、オープン化をより一層進めるために、APIを他社が使いやすい仕様に変えていく予定もある。そして、世界市場を狙う。
「米国や中国ではSNSやソーシャルアプリはPCベースですが、スマートフォンなどの一般化に伴い、2〜3年もかからずにモバイルへのシフトが始まると思います。モバイルに高い技術力を持つ日本で、SNSのプラットフォームを持つ弊社にとっては好機です。SNSをけん引してきたという自負もあります。

 日本の製造メーカーは以前から海外に出て成功していますが、IT系やネット系企業の成功例はないに等しい。ならば弊社がその第一号になりたいですし、人口減が始まった国内市場は今後の縮小も考えられるので、海外市場への参入は必須とも言えます。『世界を制覇してやる』くらいの気持ちです」
 世界戦略を明確に打ち出したSNSプラットフォーマーは同社だけだろう。そのためのエンジニア募集でもある。守安氏は「いけると思った事業にはどんどん人を投入していく」と語る。

パートナーサポートプログラム
【図】パートナーサポートプログラム
Part2 技術戦略
事業を伸ばすのは自分で考えて吸収できるエンジニア

DeNAのサービスには優秀なエンジニアが欠かせない。しかし彼らは、一般的なエンジニアが同社で成長した姿でもある。独自の開発スタイルとキャリアパス、求められているエンジニア像を見ていこう。

システム統括本部本部長 稲村 直穂子氏
大学数学科卒業後に電機メーカーに入社。ソフトウェア研究開発部門でUNIXやオブジェクト指向開発の調査・研究に携わる。その後オープン系SI企業に転職し、SEとしてシステム開発に従事する。2000年にディー・エヌ・エーに転職。ビッダーズのカスタマーサポート部門の立ち上げに参加し、2004年からのモバイル事業を担当。カスタマーサポートとエンジニアを兼務し、2009年から現職。

「ソースコードを捨てられる」エンジニアが誇り

 DeNAの開発は全てが内製。しかも、エンジニアが企画、設計、開発、検証、リリース、運用、その後の機能チューングまでを担当する。スタッフ数名のベンチャーならわかるが、連結で社員が約640人いる企業では極めて出色だ。モバゲータウンであれば1カ月のPVが450億以上、ユーザー数1600万人以上。この巨大な空間にエンジニアは、全工程に携わった自分のアイデアと技術をぶつけられる。守安氏のパートでも紹介したが、その過程はシンプルかつ自由度の高いものだ。システム統括本部本部長の稲村直穂子氏はこう語る。
「ソーシャルアプリの開発は企画者とエンジニアの2人でスタートします。仕事中に社員同士でアイデアを話し合うのは日常茶飯事で、こうした会話から企画者とエンジニアがそろったら動き出します」

モバゲータウン会員数の推移 モバゲータウン月間ページビューの推移

 ただ、似た企画が同時に走っても仕方がないので、ビジネスオーナーである守安氏やリーダー格のメンバーがポイントごとに入って調整している。共有されるのは大きな目標としての売上、UU数、サービス内容などざっくりとしたもので、ここから開発が本格化する。企画者とエンジニアという立場ではあるが分業体制ではなく、エンジニアもゲームの内容、デザイン、UI、タイトルやネームなどに積極的にかかわるという。例えば、「明日までに企画名を100個考えてこような」などの会話が普通にされているとか。

 最初は画面遷移などの絵コンテを描くのが通常のパターン。そして話し合いがある程度まとまると、「とりあえずつくってみる」。ここで使われるのは同社取締役の川崎修平氏が開発した「MobaSiF」(モバシフ)だ。携帯電話向けWebアプリ開発のフレームワークで、オープンソース化されている。「ViewとModelの大枠をベースにして、ささっとつくれる」という。

 こうして出来上がった実物を見て、触り、議論を重ね、修正を加える。もちろん細かな作り込みなどの作業はあるが、大まかにはこの工程を3〜4回繰り返すアジャイル開発だ。この過程ではそれまでのソースコードを捨てて、一から開発を始めることも少なくないという。かなり勇気のいることだが、稲村氏はこう見る。
「完成途中のソースコードを捨てられるようなエンジニアがいることは、弊社の誇りでもあります。つくったものを破棄できるのは、すぐにインプリメンテーションできる技術スキルがあると同時に、次のアイデアや計画が見えている証拠だからです。結果としてソースコードはきれいになりますし、コーディングスキルも上がります」

大切なのは「ユーザーに合わせて何をすべきか」

 完成したアプリが「社内α版」となり、「β版」ができるとユーザーに体験してもらったり、グループインタビューを行ったり、一方では社内で意見を求めるなどして、これらをフィードバックしたものがリリースされる。このころにはエンジニアがひとりから2人になることもあるという。

 パッケージ型のゲームソフトであれば、ここでエンジニアの手が離れるところだが、Webアプリの場合は終わらない。特にソーシャルアプリは機能がシンプルなので、ユーザーのパワーに負けないように、リリース後の「適合作業」が非常に重要になるという。
「弊社のエンジニアは皆、『モノが動き出したら勝負だ』と言います。高品質なアプリやサービスを完成させるのは確かに大切ですが、リリース後に予想していなかった『詰まり』や『盛り上がり』が出てくるからです。グループインタビューやテストを何度重ねても、多くのユーザーさんが実際に使って初めてわかることが多くあります。そのデータを取って分析し、機能を絞ったり、追加をしていくのです」

 ここで強みを発揮するのが、モバゲータウンという巨大なソーシャルエンターテインメントプラットフォームを持っていることだ。日々の膨大なトラフィックを安定的に運営している技術と実績は、ゲームメーカーなどほかの開発ベンダーに比べた高い優位性になる。「トラフィックを自社で管理する大変さ」を、社員は痛いほどわかっているからだ。その中で数々の事業やサービスを立ち上げて黒字化してきた経験は同社に根付いており、エンジニアもユーザーに合わせて何をすべきかを理解しているという。

 運用や機能チューニングの段階になるとエンジニアがもうひとり増え、3人になることもあるという。それでもわずか3人だ。「怪盗ロワイヤル」はまさにこのような形で完成し、成長を続けている。開発期間は約3カ月だったという。

採用のカギは「カオス耐性」での成長ポテンシャル

 このように企画から機能チューングまでを自ら行うエンジニア。ある意味では過酷であるが、自分の全てを出せる環境に醍醐味を感じるエンジニアもいるはずだ。ただ、一般的な開発業務ではフェーズ単位の専門性を求められるため、上流から下流までを経験できるエンジニアはまれ。SI企業でのシステム開発業務を想像すればわかる。また、ゲームに限らず何らかのアイデアを出したいと思っても、その機会はなかなか巡ってこないもの。こちらは受託開発のソフトハウスが一例になる。

 しかし、DeNAの転職者にはSI企業やソフトハウスの出身者のエンジニアが多く、メーカー出身者もいるという。稲村氏はプログラマでもプロマネでも自分の立場にこだわらず、「やりたいことはやれる」とポジティブに考えてもらっていいと語る。
「即戦力は求めますが、ポテンシャルを見て採用することも多々あります。そこでのキーワードは『成長力』です。中途で入社した方は先輩社員を真似ることから始めます。弊社では『カオス耐性』などと呼んでいますが、自分の状況を見極めて、何が足りないかを認めて、人に聞いて情報を吸収して、仕事を真似ていく。この基本能力があれば大丈夫です」

 どれだけ素直に先輩の話を聞けて、どれだけ伸びていけるかということ。新入社員も10年選手も同じ土俵にいることは変わらないので、自分から「どう動けるか」が問われてくるのだ。技術スキルでは、同社の主たる開発言語であるPerl、あるいはLinuxやUNIXでのWebアプリの開発経験。アプリはPC向けでも携帯電話向けでも構わない。スキルが高いに越したことはないが、技術をどうサービスへ転換していけるかの方がカギとなるだろう。

 もうひとつ重視されるのはコミュニケーション能力。100人規模のシステム開発においては、仕様書に沿った個々の業務遂行力が第一であり、密着した人間関係は生まれにくいのかもしれない。しかし同社では企画者とエンジニアが1対1で仕事を進めるため、サービスの目的を理解し、自分の欲することを相手に説明できる能力が必須となるのだ。

 同社に応募するエンジニアの志望動機には、「自社開発のサービスがある企業で働きたい」「エンジニアとしての幅を広げたい」「いつかは自分で新規事業を立ち上げたい」などが多いという。全ての工程ではなく特定の領域の仕事がしたい人、新しい経験を特に望まない人、自分の仕事に没頭したい人などは、「エンジニアの数だけビジネスが生まれる」(稲村氏)同社には向いていないだろう。

「事業化能力」があれば望めるキャリアパス

 同社のキャリアパスは、「サービスリード」「エキスパート」「マネージメント」「ビジネスリード」の4つに大きく分かれている。「サービスリード」は技術力を駆使してサービスを考え、それを発展させていくような人。「エキスパート」はインフラ系に多く、誰も経験したことのない事象に対して知恵を総動員して対応し、あるいは仮説を立てながら新しい技術を生み出すような人。「マネージメント」とは自分のタスク管理はもちろん、チームを指揮して組織力を高めたり、関連会社やパートナー企業との調整を行うマネージャー。「ビジネスリード」は守安氏のようなビジネスオーナーである事業のリーダーだ。企画立案力から経営能力までを問われるが、技術的な知識は強みになるため、エンジニア出身者も強く求められている。

 また、日本ではプログラマ、SE、リーダー、プロマネ……となるのがITエンジニアの一般的なステップアップとされているが、マネージメント職に就かずに開発を続けたいという人もいるはずだ。同社の4つのキャリアパスには上下がなく、サービスリードやエキスパートはまさに「腕の立つプログラマ」。実際にマネージメントをしないシニアエンジニアもおり、皆に頼りにされているとか。
「システム開発は人月単位で計上されることが多いですが、開発者の能力は100倍違う場合もあります。100倍できる人には100倍の環境を与えたいと思っています。ただ、どんなエンジニアであっても『事業化する能力』は要求されます」

 同業他社と比較した同社の特徴は多彩な事業展開であり、実はエンジニアにとってのメリットともなる。オークション&ショッピングサイトの「ビッダーズ」、ケータイオークションサイトの「モバオク」、女性のためのファッション通販サイト「モバコレ」、決済代行サービスの「ペイジェント」、アフェリエイトネットワークの「ポケットアフィリエイト」、航空券やツアーを扱う「スカイゲート」など、SNSやソーシャルアプリだけでなく、これらの幅広いシステムに触れられるのだ。希望すればアサインのチャンスもあり、実際にSNSやECサイトを希望して入社したエンジニアが、そこで言語、要素技術、サービス、事業などを経験して、別の部署に異動する場合もあるという。やはり成果を出すことで、当人の「やりたい」が認められやすくなるという。

「弊社のエンジニアが組む相手は皆、プロ意識を持っています。そして、誰もが自分を『最後の砦』と思っています。私たちは現状に甘んじませんし、常に『追われる立場』で物事を考えます。企業の規模は大きくなったかもしれませんが、ベンチャーマインドは設立当初と変わっていません」


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