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米国で大人気の「Chuzzle」、懐かしの「テトリス」、恋愛ゲーム「ミクカレ。」……株式会社ジー・モードが提供するmixiアプリモバイル「Gモード みんなのミクゲー」は現在28タイトル、累計登録数は約750万人にも上る。この成功の裏には、エンジニアたちのドタバタがあった。 | |||||
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GモードがOpenSocial事業を始めたのは2年ほど前。実質的にOpenSocialでゲーム開発を始めたのは、昨年10月のmixiアプリモバイル版公開に合わせた、8月からだ。同社に数多くあるゲームの資産を生かして、新サービス「Gモード みんなのミクゲー」を10月27日に発表、テトリスをはじめとした12タイトルのミニゲームがリリースされた。これらのゲームに共通するシステムの基幹設計と開発を担当したのが、新規事業開発室の小沢徹也氏だ。 最初に発表したミニゲームは、そのほとんどがユーザー同士でスコアを競うようなタイプ。よりコミュニケーション型のゲームを投入したいと、10月から社内で企画を進めていたのが「ミクカレ。」だ。小沢氏が設計、プログラマが開発の2人体制だったが、激増するアクセス数への対応で社内は「お祭り状態」。しかし、全員が「ほかは遅らせても『ミクカレ。』は納期を死守!」という意気込みだった。なぜなら、同社ではミニゲームの登録ユーザーを、「ミクカレ。」などのアイテム課金型コンテンツに誘導するというのがビジネスモデルだったからだ。 結局「ミクカレ。」の開発は12月に入ってスタートし、リリースは何と12月22日。3週間で完成させたこの恋愛ゲームは、リリース後1週間で登録数が約10万人、2週間で約15万人と増加し、現在は約20万人超というヒットタイトルになった。 「マイミクと擬似恋愛して、最終的にお目当ての彼氏を振り向かせるゲームです。だから『マイミク以上恋人未満』がキャッチで、プレゼントを渡したり、ハートを集めてつっついたり、見つめたりができます。『ミクカレ。』をしていない人にもトライしてほしくて、『うわさを流す』機能も入れました。『ミクカレ。』でつながった人たちが実際に会って、『最近はどう?』などの話が弾んだらうれしいですね。まだまだ開発は継続中ですが」 |
一方、「Gモード みんなのミクゲー」の人気ぶりに、とうとうインフラが追い付かなくなる。一時的に「追加停止状態」になるタイトルも現れ、同社ではソーシャルアプリ開発に本腰を入れると同時に、自社での新規インフラ構築に動き出す。インフラのすべてを自社でコントロールしたいと考えたのだ。 ユーザーの声を反映させたリリース後の機能チューニングも、ソーシャルアプリに携わるエンジニアの重要な仕事だ。「ミクカレ。」でもシナリオモードの「おでかけ」機能や、バレンタインなどの「イベント」といった、細かい改修がいくつも追加されている。その変化は「初期の状態が思い出せないくらい」(小沢氏)。 |
ひと口にソーシャルゲームといっても「出自」が分かれる。オリジナル開発、既存のゲームのソーシャル化、海外ゲームのパブリッシュ(ローカライズ)などだ。Facebookのアプリとして世界に大人気の「Happy Aquarium」の日本語版を手掛けたのが株式会社ドリコム。昨年12月にリリースされて日本での人気も上昇している。 | |||||
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昨年8月、mixiアプリPC版のオープンと同時に、ドリコムは5つのソーシャルアプリをリリースした。そのひとつが現在では登録数約250万人と根強い人気を誇る、「通信制脳力大学−漢字テスト」だ。 「ソーシャル化で最も気を使うのはゲームバランスです。ひとりで進めるゲームに、ユーザー間で行き来させることでゲームが進む要素を追加しますが、短期間でクリアできてしまっても楽しんでもらえませんし、冗長になって飽きさせてもいけません。自分たちで動かさないとわからない部分も多く、『3歩進んで2歩下がる』という試行錯誤の連続です。また、ソーシャルアプリはSNSに来た『ついで』に遊ぶもので、ユーザーにとって本来の目的ではないと思います。その中で遊んでもらうため、1回の滞在時間は5分程度とみて開発します」 ドリコムには企画側のディレクターが約5人、開発側のエンジニアが約10人いるが、黒田氏は全体をまとめる統括部長的な立場にあり、「開発のスタイルやリズムをつくるのが仕事」と語る。SI企業のSE、大手ポータルサイトのインフラ部部長、オンラインゲーム会社の社長などを経て、昨年9月に入社した。ソーシャルゲームの流れはインターネットの世界における、数年に一度の大きな波であると考えている。 「集まるトラフィックが非常に大きいので、そこでのマネタイズはもちろん、ほかの自社コンテンツにつなげること、またトラフィックを生かした広告商材をつくっていくことがポイントです。仮に登録数300万人のタイトルが4本出せれば合計で1200万人。これはmixiの月間ログインユーザーとほぼ同数ですから、大きな可能性があると思います」 |
ドリコムが昨年12月22日にリリースした「ハッピーアクアリウム」(ハピアク)は、水槽で魚を育てる箱庭的なゲーム。熱帯魚の世話をするとポイントやコインが貯まり、新しい魚や水槽に置くアイテムが増やせる。友人間で世話をし合うことが大きなポイントだ。 そして、これまで積み重ねてきた資産を生かして、今度はFacebookに自社ゲームを「上陸」させる計画もあるという。 |
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