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グーグルエンジニア4人が語る「世界を変える私のイノベーション」 Vol.1
日本独自のGoogleロゴを描く 川島優志のイノベーション
Googleならではのイノベーションとは何か。4人のエンジニアやクリエイターが、主導したプロジェクトを題材に、それぞれの視点で語る特別連載。なぜ、Googleは次から次へと新しいイノベーションを起こせるのか。その理由を明らかにしていく。
(取材・文/中川隆太郎 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/佐藤聡)作成日:10.02.10
真っ直ぐな情熱や努力がGoogleのイノベーションを生む。
正しいと思うことを信じてやり続ける。それがGoogleの強み。

米国人以外で初めてGoogleのホリデーロゴを描いた川島優志氏。シニアウェブマスターとして日本独自のホリデーロゴを数多く生み出してきたが、川島氏の思うイノベーションは決して派手なものではない。

シニア ウェブマスター、アジアパシフィック マネージャー 川島 優志氏
小さい頃にプログラミングを学んだものの大学は文系学部に入学。そして、アメリカに渡るため中退。ロサンゼルスのデザインプロダクション等を経て、2007年8月Googleに入社。現在は、アジア太平洋地域のウェブマスターチームのリーダーを務める。

みんなが楽しめるホリデーロゴは自由な環境から生まれる。

 ここ数年、日本のGoogle検索サイトのロゴが頻繁に変わるようになった。世界共通のものだったり、日本独自のものだったりするが、それらはホリデーロゴと呼ばれ、記念日や偉人の誕生日等を祝うためにある。見て楽しめるアイデアやデザインにもイノベーションを感じるが、会社のロゴを変えること自体がイノベーションだと川島氏は言う。

「本来、会社のロゴに手を加えることは御法度です。それをGoogleでは頻繁に、時にはGoogleと読めないくらいまでいじったりします。私も2008年に初めてホリデーロゴを描いて以来、乗り物やアニメのキャラクター等を使った日本独自のホリデーロゴを手がけてきましたが、基本的に制約はありません。仕上げたものをチームにレビューして、メンバーの意見を参考にすることはあっても、米国本社のトップにジャッジを仰いだり、命令されたりといったことはないのです。重要なホリデーロゴの時でさえ、トップも意見を出し合うメンバーの一員という位置づけです」

 Googleならではの自由な環境があるからこそ、話題になるようなホリデーロゴも次々と生み出すことができるのだ。そして、それが小中学生を対象としたデザインコンテスト『Doodle 4 Google』の日本開催へとつながった。

応募作品6万8000点以上。日本の子供たちにも伝わったイノベーション。

「少し前まで、日本の子供たちはGoogleのことをあまり知らないんじゃないか。欧米を中心に行われていた『Doodle 4 Google』を日本で開催するのもまだ早い。そう思っていました。でも、中学2年生の女の子から1通の手紙が来たんです。内容は、自分で描いたGoogleのロゴを自分の誕生日にのせてほしいというもの。Googleのロゴを描きたいという子供がいることに勇気づけられました」

コンテストのテーマは「私の好きな日本」。日本全国の小中学生から届いたDoodle (いたずら書き)は6万8000点以上にのぼった。川島氏らの想像をはるかに超えたのは数だけではなく、子供たちのGoogleに対する認識。コメント等から、Googleを誰もが知っている。そうとらえていることがうかがえた。日本独自のホリデーロゴを増やしてきたことが実を結んだのは言うまでもない。

「Googleのウェブマスターの役割は、Webサイトを通してユーザーとGoogleをつなげること。『Doodle 4 Google』を通して、日本のGoogleも広く親しまれるようになったということを実感できたのが嬉しかったですし、子供たちの作品こそがまさにイノベーティブだと思いました」

Webサイトのデザインにおいて、新しい発見ができる。

 とはいえ、ホリデーロゴの作成はウェブマスターの本業ではない。川島氏自身、「20%ルール」(勤務時間の20%は自分の好きなことに使える)のプロジェクトで行っている。本業はあくまでもWebサイト全体のデザインであり、プログラミング等の構築。その業務は多岐にわたるが、見た目の派手な仕事は少ない。

「Googleのサイトは素っ気ないくらいにシンプルなので、いったいどこをデザインしているのとよく不思議がられます。デザインを見た目のカッコ良さでとらえれば、そう思うのも無理はありません。でも、ユーザーがいかに早くストレスなく目的を達成できるかを、私たちは大切にしています。インターフェースもユーザーが迷わないことだけを考え、必要のないものは徹底的にそぎ落としている。その上で、ボタンがどこの位置にあったらいいのか、大きさは、どんな色や形ならいいのか。レイアウトもそれこそ1ピクセル単位で変えて検証しています。

 面白いのは、デザイナーの直感でカッコいいと思ったことが機能していなかったり、逆にダサいと思っていたことが機能したり。ちょっとした変化でも、ユーザー数が膨大なので確度の高いデータが得られますし、ビジネスインパクトも絶大です」

 Googleに転職する前は、ロサンゼルスで数多くのエンターテイメント系Webサイトのデザインを手がけていた川島氏。当時はFlash等も駆使し、とにかく派手にインプレッションを残すことを心がけていたと言う。ギャップはなかったのだろうか。

「たしかに見た目の派手な仕事は減りましたが、物足りないと思ったことはありません。本当に意味のあるWebサイトを突き詰めて考えるキッカケになりましたし、Webサイトのデザインに対して新しい見方ができるようになりましたから。まったく新しい発見が、新鮮な経験として積み重なっている感じです」

発想や才能だけでイノベーションは起こせない。

 デザインと言うと思いつきやアイデアで勝負するイメージもあるが、決してそうではない。ホリデーロゴにしても描くまでに、過去の資料や写真を探し構想を練ることはもちろん、より深く文化を学んだりもする。そういう努力の結果がイノベーションを生み出すことにもつながっていくのだ。

「天秤があって片方のお皿だけに塩が盛られていたとします。それを一粒ずつもう片方の空いているお皿に乗せ換えていくことがイノベーションだと、私は思っています。傍から見ているとバカみたいで、おまえは何をやっているんだと言われるかもしれない。それでもあきらめないで移していると、どっかで天秤の傾きが変わる。そこで世の中の人は気づくわけです。大きな変化が起こったのだと。奇跡的に見えても、ある日突然起こったわけではありません。たとえ周りから批判されても、愚直にやり続ける情熱というか努力が大きな変革を生みだしたのです。

 Googleには、こういう未来が見たい∞ユーザーはこういうものがあったら楽しいはずだ≠ニ純粋に夢見て、実現するために自ら努力する人材がそろっています。それがGoogleの強みであり、次から次へと新しいイノベーションを生み出していける原動力なのです」

 時にGoogleの新サービスは、その革新性ゆえに軋轢を生むこともある。しかし、障害が発生するのは覚悟の上なのだ。ユーザーにとっていいことであれば、そして、自分たちが正しいと信じることであるならば、負けずにやり続ける。世界が変わるまで。ただ真っ直ぐに。

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