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日本時間1月13日早朝、ハイチ共和国でマグニチュード7の地震が発生し、死者20万人とも言われる大惨事になりました。多くの媒体で報道されているので詳細は書きませんが、記事を検索するうちに、支援の寄付でTwitterが使われていることを知りました。 | ||||
● Twitterを使って動き出したハイチへのさまざまな支援 |
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電話やWebを使った募金システムはあっても、Twitterが本格的に使われたのは今回が初めてではないでしょうか。米国での活用が中心で、特定のテキストを特定のショートコードに送ると、少額の寄付がされる仕組みが多いです。右下にいくつかの取り組みを紹介しますが、「ハイチ 寄付」などでも検索できます! | ||||
● 日本初の「ツイッター募金」を今後の布石に | ||||
右記の「ハイチ地震緊急支援ツイッター募金」は、日本に無料の「クリック募金」を導入した株式会社ディ・エフ・エフの活動。代表取締役の清水久敬氏によれば、ハイチの被害の深刻さから社内でアイデアを募り、「ユーザー数が急増しているTwitterを使えば募金に応じてくれそうだ」と1月21日夜から開始。Twitterでつぶやくと国際協力NGOセンターを通じて、11のハイチ地震支援団体に1円が寄付されます。 「2日目には複数のニュースサイトで取り上げられて、1時間で1000件以上増加しました。その後は少し落ち着き、現在では1日130〜150%増で推移しています」 2月9日現在のつぶやき総数は約10万以上。同社では通常の場合、企業と契約して1クリックで1円が寄付されるサイトを提供し、運営費としてシステム料金を受け取る。しかし今回は緊急性が高く、企業に声を掛ける時間がなかったために、支援金は同社が負担しています。2月15日までの予定なので、早目につぶやきを! 「2月15日までなのは、緊急支援として団体間で区切りがあるからです。ただ、現地の情報や国際協力NGOセンターとの調整などから、延長も考えています。Twitterでの募金活動は手探りで進めましたので、今後に生かしたいと思います」 |
ハイチをきっかけにTwitterに興味を持ち、見渡すとTech総研にもTwitterがある。ただ、実を言いますと、主に記事の更新を機械的にお知らするだけだったのです。すみません。ようやく個人アカウントを取った私が、Tech総研でのつぶやきにチャレンジしました。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
● 呆然!フォロワー650人でリプライはたったひとり | ||||||||||||||||||||||||||||||
そこで助っ人を頼みました。これまで取材した「ギーク」と呼ばれる開発者30人ほどに、メールでリツイート(RT:転載して再投稿)をお願いしたのです。10人ほどの方が協力してくれまして、ようやくいくつか集まりました。はっきり言うと、ものすごくうれしかったです。
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● ギークたちのTwitter活用法は一味違う! | ||||||||||||||||||||||||||||||
そして、思わぬ副産物も。RTしてくれたギークの方々の使い方やTwitterに対する思いが、とてもとても面白かったのです。まずは使い方から。
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● Twitterを使わないギークたち……その理由とは? | ||||||||||||||||||||||||||||||
ギークの中にはTwitterを使っていない方が4人いました。その理由がごもっとも。
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● ネット本来の力がTwitterでようやく実現 | |
1995年ごろからインターネットが広がって、「ネットで社会が変わる」と言われたけど、思ったよりも変わらなかった。その理由は通信料が高くて、回線速度が遅くて、ITリテラシーの高い人が少なかったから。それが今では低料金のブロードバンド環境やモバイルの機能が充実し、日本のインターネット人口も9000万人を超えた。そんなときに出てきたTwitterは、社会を変える「ネットの先祖帰り」だと感じます。確かにスケーラビリティはすごいけど、Twitterの技術にもサービスにも新奇性はありません。しかし、「リアルタイム性」「オープン性」「伝播力」が秀逸なのです。 リアルタイムとは現実の社会なので、目の前の社会とコミュニケーションが取れます。しかも、可視化されたオープンな環境に、刻々と情報が広がり、メッセージがどんどん伝播されていく。これってネット本来の力で、以前なら理想論だったのが現実になっている。例えば、ネットの中では話題になるけど社会的にはほとんど報道されないとか、その逆の事例がありますけれど、今後は両者の話題差がなくなっていくでしょう。 もうひとつの特徴は誰に対してもフラットなこと。Twitterは「著名人が強い」と言われます。知名度が高ければフォロワーが増え、RTもされるので、発言力も強くなるということですが、僕は違うと思います。有名な方でもフォロワーが少ない人は多いですし、例えば著名人でフォロワーが4万人、一般の方で4000人とすれば、その差は10倍。でも、現実の知名度の差は10倍どころではないでしょう。ギブの精神を持つ素晴らしい人がTwitterでボトムアップされ、その人が現実の世界でも変わっていく。そんな可能性だって十分にあると思います。 |
● 今後のTwitterにもエンジニアの協力が必要だ | |
数は多くないけれど、ときたま社会のリーダーがポンと飛び出てきます。普通ならその人だけがピンで出ますが、Twitterを使うと納豆みたいにネバっとほかの人が付いてくる。逆に言えば、Twitterが背中を押してくれるので付いていきやすい。Twitterでは話が早いから提案するとすぐに意見が返り、「じゃ、会って相談しようか」「紹介するよ」などが決まっていく。ここから新しいムーブメントが始まるんです。 だからエンジニアにも期待したい。エンジニアの協力がなければTwitterは日本で火がつかなかったと思います。例えば、日本の文字コードでも携帯電話でTwitterができるようにした「モバツイッター」。僕も携帯電話で使えなかったらこれほどハマっていなかったでしょう。 ほかにも、Twitterの「お気に入り」を集計する「ふぁぼったー」などの便利なサービスがたくさんあります。エンジニアが個人でAPIから機能を開発し、公開したおかげです。これからもぜひ新しいアイデアを出したり、あるいはアイデアの豊富な人と技術力でコラボして、Twitterを高めてください。 僕が今後のTwitterに求めるのはマネタイズ、お金が回る仕組みです。TwitterはリアルタイムのQ&Aとして使われることが多くあります。教えてもらって「ありがとう」というリプライだけでなく、クリックで10円でも50円でも送ることができて、Twitter本社にも何%かが入ってもいいですよね。機能が複雑になるのは賛成できないので、うまい仕組みをエンジニアの方にお願いしたいです。 |
メディアジャーナリスト 津田大介氏 大学在学中からITやネットに関する文章を多くの媒体で執筆。 2006年から文部科学省の文化審議会著作権分科会の専門委員。 2007年に「インターネット先進ユーザーの会」を設立。 Twitter活用の先駆者として知られ、『Twitter社会論』(洋泉社)など著書多数。 |
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