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営業、経理事務ならまだマシ?翻訳、ボランティア活動まで……エンジニアじゃない仕事、どこまでやってる?
さまざまな事情で本来の業務以外の仕事をしなければならないエンジニアは多い。特に昨今の不況の影響でその数はさらに増えているのでは?そこで今回、その業務外の仕事の気になる内容や背景について探ってみた。
(総研スタッフ/山田モーキン イラスト/村林タカノブ)作成日:10.01.20
2/3のエンジニアが、本来の業務以外の仕事を担当している現実
今回、無作為に抽出した25歳〜29歳までのソフト&ハード系エンジニア300人にアンケート調査を実施した。その結果下のグラフの通り、あくまで本来の業務だけに取り組んでいるエンジニアが全体の1/3に対し、本来の業務以外の仕事も担当している割合が全体の2/3に及んだ。特にそのうちの半分が営業や経理事務など、いわゆる「エンジニアの業務領域とは全く異なる業務」も本来の業務と合わせて担当している実態が明らかになった。
では実際にエンジニアたちは今、どんな"業務外"の仕事に取り組んでいるのか?まずはアンケート結果から厳選したコメントを、3段階に分けて紹介したい。
現在の勤務状況
その1 3段階で判定 エンジニアが本来の業務以外の仕事30連発
レベル1 これも同じエンジニアの仕事だから頑張ってます
レベル1
レベル2 営業、経理、事務……会社にとって重要な業務だから頑張ってます
レベル2
レベル3 英語の翻訳にボランティア活動?これも業務なのか……
レベル3
その2 不況とは関係ない?本来の業務以外の仕事に潜むワケあり事情
3段階で紹介してきた業務外の仕事をしているエンジニアの生声。では、業務外の仕事をすることになった背景や、業務外の仕事に対するエンジニアの考え方などについてさらに詳しく、探ってみたい。
8割以上が、現在の不況が直接、影響していない?
まず業務外の仕事を担当することになった経緯について質問してみたところ、15%がいわゆる「リーマンショック」以降の世界的な不況の影響によると回答。その理由の多くは「人件費を削減(人員整理)したことで、少人数で複数の業務を掛け持ちしなければならなくなった」といったような内容だ。しかしそれ以外、8割以上の大多数が「別の理由」と答えていて、現在の不況とは関係ないという。
そこで代表的な理由をいくつか拾ってみると、
「現場にPC周りに詳しい人がいないので、何でもやらされる」
「結局、設計という部署はんでもやらされる」
「案件が減っても突発的なトラブルや運用業務のボリュームは減らないため、一人当たりの作業量が増えてる」
「もともと、人手が少ないため以前から一人でいろいろな業務を担当している」といった声が多い。
つまり全体の傾向としては、
本来の業務以外の仕事を担当することになった経緯
1.PCに詳しかったり設計などのエンジニアというだけで、他の業務もやらされる
2.今回の不況に関係なくもともと、人手が少なく一人でさまざまな業務をこなさなければならい状況


という長年に渡ってエンジニアの職場環境を取り巻く、構造的な要因によるところが大きいようだ。
9割は、本来の業務以外の仕事をネガティブにとらえていない?
続いて右のグラフに注目してほしい。本来の業務以外の仕事に対する率直な感想について聞いてみたところ、9割ものエンジニアがそれほどネガティブにとらえていないことが明らかになった。それどころか逆に「専門外の新たな分野の業務を任せてもらえてありがたい」といった意見も含め、全体的にはポジティブにとらえているエンジニアのほうが割合的に多いようだ。

「新しい業務自体は新鮮さからのやる気につながるし、本来業務自体へのフィードバックも多い」
「将来的な自分の進む道としては社内での調整や予算管理が必要になってくると思うので、別に嫌ということはない」
「結局、すべての仕事はコミュニケーションが重要なので、プラスに考えて作業している」
「腹が立つが今やっていることがそのうち、花が咲けばいいのかなと思うようにしている」

大なり小なり不満を抱えていても、現在の自分自身が置かれた立場やまわりの環境を冷静に受け止め、できる限り前向きに捉えることで仕事に対するモチベーションを高めようとしている努力が、今回のアンケートコメントからうかがい知ることができた。
本来の業務以外の仕事をすることに対する率直な感想
6割が、本来の業務以外の仕事にメリットを感じてる?
先ほども触れたとおり、多くのエンジニアは本来の業務以外の仕事に対してポジティブにとらえている傾向がある中で、その6割が具体的なメリットを感じている。

「事務経験は初めてなので、転職の際に幅が広がると思う」
「SEでありながらマーケティングも担当している。それによって今、世の中が必要とするシステムの本質について深く認識でき、顧客が求める質の高いシステム開発に大いに役立つ」
「半導体の設計から製造までの一連の流れを把握できることで、製造を考えた設計が必要なことがわかった」
「ほかの部署の人と話す機会が必然的に増えるので人脈ができる。部署のシステムをつくるときにも、使用する人の感じがわかるのが利点」
「運用サポートならず障害に切り分け原因調査まで行っているため、システムに対する理解度がかなり深まった。それにより障害時の対応の早さにつながっている」
本来の業務以外の仕事をすることによるメリット
このように仕事の幅が広がったり、全体の流れを把握することで本来の担当業務をより深く理解できるなど、具体的なメリットを実感しているエンジニアは多いようだ。
終わりに 今後も本来の業務外の仕事とうまく付き合っていく必要がある
今後の業務に関して、およそ2割は今後ますます業務外の仕事が増えると回答、7割が現状維持と回答していることから、ほとんどのエンジニアにとって今後も業務外の仕事をこなしていく必要がある。
当面、景気に関しても楽観視できない状況が続くと思われる厳しい環境下で、担当する業務が本来の業務、そして業務外の仕事のどちらであっても今回のアンケートコメントに合ったように、前向きにとらえて目の前の業務に取り組むことで新たな道が開けてくるはずだ。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
実は私も去年から、いわゆる本来の業務以外の仕事も担当するようになりました。最初のころは不慣れでかなり苦労しましたが、今では逆に新しい発見がいろいろあって「やってみてよかったかな」と少しずつ思い始めているところです。でもやっぱり本音としては本来の業務に専念したいというところですが、ぜいたくな話なのかもしれません。

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