• はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録

リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池、風力発電、バイオマス

今がビッグチャンス!

        電池業界のエンジニア採用動向

世界規模での市場が急拡大し、不況脱出のカギとも言われているのが、「電池」だ。リチウムイオン電池や太陽電池はその代表格、風力発電や実用化を目指す燃料電池も開発熱が高まるばかり。産業革命にも例えられる現代の電池で社会を変えるのは、エンジニアだ。

(取材・文・撮影/総研スタッフ 高橋マサシ)作成日:10.02.03

【電池業界全般】空前の電池開発競争でエンジニアが売り手市場に


株式会社リクルートエージェント
EMCマーケット
キャリアアドバイザー
関野光剛氏

電池業界のエンジニア求人は非常に活発です。電気自動車を筆頭に世界的な開発が進むリチウムイオン電池、クリーンエネルギーの代表格である太陽光発電や風力発電、次世代型電池とも呼べる燃料電池など、今ほど電池関連のエンジニアが求められる時代はないでしょう。その一方で、電池を経験したエンジニアは少なく、転職市場ではさらに限られるため、電池系エンジニアはかなりの売り手市場となっています。

こうした状況は企業も理解しています。そのため、転職者に求める基準は厳しいものではなく、むしろ「新分野」ということから採用は手探りの段階です。われわれとしてもグループメンバー全員で知恵を絞り、アイデアを出し合って、登録者の方に最適な選択肢を探しています。これから転職市場が形成される業界ですし、エンジニアにとってはじっくりと企業が選べる好機です。

電池の種類で企業の求人案件数を比較すると、最も多いのは「太陽電池」と「リチウムイオン電池」。次の「燃料電池」に比べてそれぞれ約3倍の案件数になります。4番目が「風力発電」で、同じく燃料電池と比較すると案件数は約6割。5番目は「バイオマス」で同2割程度となっています。
求人職種も幅広くあります。電池そのものを開発する化学・材料系エンジニアはもちろんですが、電気・電子系、機械・メカトロ系、数は少ないものの組み込みソフト系もあります。中でも、業界全体に薄日が差し始めているとはいえ低迷している、半導体エンジニアの新しい活躍の場として、太陽電池の電気系職種が期待されています。

【太陽電池】半導体エンジニアの新しい受け皿になるか


「電池」と聞くと化学・材料系のエンジニアを想像しがちですが、太陽電池では求人全体の4割程度で、6割が電気・電子系と機械・メカトロ系の募集です。主体となる企業は太陽電池用の製造装置メーカー。そのためか、エレ系ではシーケンサーやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の経験がある電気設備エンジニア、メカ系では製造装置の機械設計や生産技術のエンジニアなど、量産のための職種が多く見られます。
太陽電池メーカーも製造装置メーカーも少ないので、異業種からの転職も十分に可能です。例えば、エレ系なら露光装置や搬送装置の電気設計者、メカ系なら何らかの製造装置や組立加工機の駆動部分の機構設計者などです。

エレ系で注目したいのは半導体エンジニアです。太陽電池と半導体とは量産化までの工程が相当似ているので、業界全体で景況感が悪く求人のなかなかない半導体エンジニアの、新しい受け皿になりそうなのです。実際に半導体のプロセスエンジニア向けの募集が出るなど芽もあり、企業も半導体経験者の「腕前」に気がついたようです。半導体業界にはまだ人材の余剰感がありますから、この傾向が広がることを願ってやみません。

電池の研究・開発で求められるのは化学・材料メーカーのエンジニアです。化学や材料の基礎知識、実務経験がないと務まらない仕事だからです。しかし、電池に使われる材料は多様であり、太陽電池でもシリコンだけでなくさまざまな素材で開発が進んでいます。
そのため、「少しでも親和性のある材料」の経験者であれば、面接を依頼される企業が多くあります。募集の段階で知識や経験を特定するのではなく、面談の場でお互いの接点を見つけようとしているのです。リチウムイオン電池をはじめとする多くの電池開発で同じ傾向があり、化学系エンジニアにとっては大きなチャンスとなっています。
募集職種としてはいちばん少ないのですが、組み込みソフト開発者も求められています。後述のように将来的に求人は増加すると思われます。

【リチウムイオン電池】電池開発1〜2年でも採用の可能性あり!


リチウムイオン電池関連で最も求められているのは、化学系エンジニアの研究・開発職です。太陽電池よりも多く求人全体の7〜8割を占めており、そのためか求人がいちばん多い業種は化学メーカーです。
これを順当な求人企業とすれば、「新興勢力」として完成車メーカー、総合電機メーカー、重工業系メーカーがあります。化学メーカーを含めて開発対象の多くは自動車用二次電池ですが、重工業メーカーでは大型の蓄電装置やキャパシタの開発もあるようです。リチウムイオン電池も開発から量産化までにかなりの設備投資が必要になりますから、ほとんどが大手メーカー。こうした企業が自社にはまだまだ少ない電池開発者を貪欲に探しています。

例えば、10年くらいの業務経験を持つ電気設計エンジニアが、事業方針の変化で異動になり、不慣れなリチウムイオン電池開発を1〜2年続けていたとしましょう。社内の事情とはいえこうしたキャリアチェンジは転職に不利になりがちですが、電気系の経験ではなく、直近1〜2年の電池開発経験に多くの引き合いがくるのです。それほど人材がいないわけです。
リチウムイオン電池でもエレ系やメカ系エンジニアに需要があります。ただ、大手企業では別の部署から電池開発部門へのコンバートができるので、新規の募集にはなりにくく、求人数は全体の2割程度となっています。電源系のアナログ回路設計者など、電池開発だけでなく、ほかの事業でも活躍できる人材の募集が目立ちます。

いちばん少ない職種は、太陽電池と同様で組み込みソフトの開発職です。ただ、電池専用の開発経験者が非常に稀なことは企業も知っていますので、電池を未経験でも大丈夫です。また、量産が始まって仕上げの段階では必要となる職種ですから、太陽電池もそうですが、リチウムイオン電池の普及に伴ってニーズは増加すると見ています。

【燃料電池・風力発電など】ほかの電池にもチャレンジのチャンス!


燃料電池の募集企業は大手の化学メーカー、家電メーカー、完成車メーカーなどで、職種は開発職の化学系エンジニアが約8割です。まだ事業化が進んでいない分野であり、企業は将来への先行投資を進めています。そのため、設備や人材に十分な投資のできる企業と、そうでない企業との差が、しだいに現われてきたような気がします。今後は外資系メーカーも増えてくると思います。
燃料電池の対象は住宅用と自動車用がほとんどです。そのため、エレ系では発電システムをコントロールするための電源の回路設計者などがあります。ブレーキで発生させる電力を無駄なく蓄電するためのエンジニアなどです。

風力発電はさすがに化学系エンジニアの募集はなく、エレ・メカが中心です。エレ系ではモーターやインバーターなどのパワーエレクトロニクス系のエンジニア、メカ系では発動機を制御する機構設計エンジニアなどです。両者ともに出身業界は問いませんが、メカ系では家電業界より自動車業界、例えばエンジン開発など駆動系の経験者、あるいは重電系でプラントや発電所での制御系に携わった人材が求められそうです。
バイオマスの求人はほとんどありません。開発というよりも新エネルギー全般のコンサルタントが多く、バイオマスもその中のひとつという位置づけです。

電池業界の求人で一般的に言えることは、募集要件の表現が幅広いことです。企業側も杓子定規なやり方では採用できないとわかっており、エンジニアとしては「自分の技術を売っていく」ことができます。電池開発は地球環境にダイレクトに貢献できる数少ない分野であり、エンジニアとしてのやりがいは十分に感じられると思います。ぜひチャレンジされることをお勧めします。

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
あなたを求める企業がある!
まずはリクナビNEXTの「スカウト」でチャンスを掴もう!
スカウトに登録する

このレポートを読んだあなたにオススメします

省エネだけじゃない!創エネ・蓄エネで注目される環境技術

今注目の“ecoエネルギー”エンジニアニーズを探る

あらゆる産業分野であらためて注目される環境関連技術。CO2排出をセーブし、より安全で高効率のエネルギー利用技術を開発することは、…

今注目の“ecoエネルギー”エンジニアニーズを探る

厳選★転職の穴場業界 エコロジー製品

エコプロダクツ2006に並んだモノづくり系環境技術

厳選★転職の穴場業界エコロジーという言葉が当たり前に使われるようになって久しいが、ここにきてお題目から実用技術へと急速に変化を遂げている。地球温暖化…

エコプロダクツ2006に並んだモノづくり系環境技術

我ら“クレイジー☆エンジニア”主義!

ソーラーカーでオーストラリア大陸横断した小原宏之

我ら“クレイジー☆エンジニア”主義!常識破りの発想をもった“クレイジーエンジニア”を紹介する第32回は、国内ソーラーカーレースで知らない人はまずいない玉川大学チーム…

ソーラーカーでオーストラリア大陸横断した小原宏之

ソフト、ハード、バイオ……技術者たちが総動員!

地球滅亡の危機は全エンジニアが救う

地球温暖化、環境汚染、廃棄物処理、資源枯渇、砂漠化……。これらをつくったのは、ある面、技術。そして、その改善手法も技術…

地球滅亡の危機は全エンジニアが救う

材料、化学、プラント系エンジニアに電池業界が熱烈ラブコール!

家電もクルマも携帯も!次世代電池が常識を変える

今や生活と切っても切れない重要なデバイス、電池。その電池を巡って今、技術開発競争が活発に行われている。高電圧、長寿命…

家電もクルマも携帯も!次世代電池が常識を変える

IT業界、生保業界…7人の人事に聞いたウラ事情

人事担当者が告白!転職者の給与はこうして決まる

「前給考慮」「経験能力に応じて優遇」などは募集条件でよく見る言葉。でも前給や経験能力を、具体的にどう考慮して給与を決め…

人事担当者が告白!転職者の給与はこうして決まる

この記事どうだった?

あなたのメッセージがTech総研に載るかも

あなたの評価は?をクリック!(必須)

あなたのご意見お待ちしております

こちらもお答えください!(必須)

歳(半角数字)
(全角6文字まで)
  • RSS配信
  • twitter Tech総研公式アカウント
  • スカウト登録でオファーを待とう!
スマートグリッド、EV/HV、半導体、太陽電池、環境・エネルギー…電気・電子技術者向け特設サイト

PAGE TOP