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自分の強みの理解度、顧客視点に立った提案力アピールetc

30歳ITエンジニア 
同じ経歴でも転職格差が生じるわけ

同じ企業に入社し、同じようなキャリアを積み、同じようなスキルを持つ30歳のエンジニア2人が転職を決意して同じ企業に応募したとき、一方は内定を獲得、対してもう一人は不合格…。もしこんな事態が起こった時、2人の間にいったいどんな“格差”が生じたのでしょうか。その要因や対策を、専門家に詳しく聞いてみましょう。

(総研スタッフ 山田モーキン)作成日:10.02.24

(株)リクルートエージェント
ITマーケット キャリアアドバイザー
安井祐子氏

想定ケース:同じ経歴&スキルを持つエンジニア2人が転職、同じ企業に応募したら…


8年前、大手有名SIer企業にエンジニアとして就職したAさんとBさん。
それ以来、数々の大規模通信システム開発プロジェクトにSEとして参加し、最近は小さいながらもチームのプロジェクトリーダーとして、スキルを磨き、キャリアを積んできた。
そして30歳を迎えた今年、より上流工程にキャリアアップするために転職を決意した2人は、くしくも同じ企業に応募したのだ。書類選考を通過し、採用面接を受けた2人。しかしその結果には明暗が。
晴れて内定を獲得したAさんに対し、不採用通知を受けてしまったBさん。この2人の間にはいったい、どんな違いがあったのか?

転職格差が生じる4つの大きな要因

要因1:自分の強みに対する理解度
要因2:採用企業ニーズの理解度


昨今の不況になる前は、30歳のプロジェクトリーダークラスに求められる条件には、例えマネジメント経験が浅くともチームリーダーとしての“伸びしろ”部分、つまり素質も評価対象になっていました。しかし現在は即戦力になる人材を求める傾向が強く、求職者にとっては採用に至るまでのハードルが高くなったと言えるでしょう。
今回のケースのように同じようなキャリアやスキルを持っていても、その方自身の仕事や転職に対する意識の違いや面接対応によって、内定を獲得できる、できないという「転職格差」が生じてしまいます。

大きな要因は4つあります。1つ目は「自分の強みをどれだけ正確に理解しているか」。
どんなに優秀な方でも、自分の強みを客観的に分析して、それを簡潔に伝えることができなければ“宝の持ち腐れ”となり、大きな損失となります。
その上で「私はこれができる」とはっきり伝えることが大切です。多くの転職者は「自分はこれがやりたい!」という思いばかりが前面に出てしまう傾向にありますが、今のようにシビアな採用環境下では、採用側はまず「この方は何ができるのか」を重視しているのです。その点を踏まえ、自分自身をアピールする必要があります。

2つ目に大事なことは、「企業側がどういう意図で求人を出しているのか」という点。いくら自分の強みを理解してアピールできたとしても、企業側がその強み(スキルや経験)を今回の採用において特に必要としていない、もしくは高く評価しない場合、無駄骨に終わってしまうわけです。
自分の強みと企業側の採用意図、双方を理解した上で両者の“合致点”を見つけること。これが転職成功に近づく大きな要因となってきます。

要因3:主体的な取り組み
要因4:顧客視点に立った提案・問題解決力アピール

さらに今回のケースのようなプロジェクトリーダークラスの転職の場合、2つの要素が重要になってきます。
それは「主体的な取り組み」と「顧客視点に立った提案・問題解決力」。ひと言でさまざまなプロジェクトを経験してきたといっても、その取り組み方や姿勢が問われます。
プロジェクトマネージャーの指示に忠実に従って職務を実行してきた方よりも、要件定義や設計などあらゆる過程で最善の策を自分で考え、行動に移していく。それが例え失敗したとしても、そこから改善策を見出し、次につなげていく方のほうが評価されます。
加えて、顧客視点で物事をとらえる能力を備えているかも重要なポイント。プロジェクトは顧客あってのもの、という大前提を常に持ちながら、顧客が抱える問題点はどこにあるかを深く追求し、一つひとつの問題を解決するためのベストな提案ができることを証明することが重要です。

転職格差解消のために今、できること

自分の強みを常に自問自答&応募企業の採用意図や背景をできる限りチェック

以上の要因が絡み合うことで、同じキャリアやスキルを有していても“転職格差”は必ず起こってしまいます。
ではそうした格差を少しでも埋めていくために今、転職者ができることは何でしょうか。

まず自分の強みを理解するためには、日頃から“自問自答”するくせをつけること。面接になっていきなり自分の強みを相手に理解してもらえるように話すのは、かなり難しいことです。
これまでのキャリアを振り返って、何が辛かったのか、何が楽しかったのか、何が嬉しかったのかなど印象に残った経験を洗い出すこと。例えばこれまで火を吹いているプロジェクトの火消し役を頼まれることが多く、その中で参加している各協力会社の課題を抽出し、それぞれに解決のための糸口や目標を設定し、なんとかまとめてきた実績が印象に残っているとします。この場合、「どんな状況でも冷静に対処できる能力」であったり「人の話をヒアリングする能力」、また「課題解決力」といった能力を自問自答する中で導き出し整理すること。それができれば、導き出した各能力を自分の強みとしてアピールできる有力な証拠となるはずです。

また応募先企業の採用意図を把握するためには、日ごろの情報収集や私たちのようなキャリアアドバイザーを利用するのもひとつの方法です。
ここでひとつ注意する点は、例え同じ企業が同じ職種を定期的に募集していたとしても、それが必ずしも常に同じ採用意図とは限らないということ。例えば同じプロジェクトリーダークラスの募集でも、前回は数人程度のメンバーを抱えるリーダー経験でよかったのが今回は10人以上の経験が必須、というようなこともあります。
もちろんもっと細かな意図が企業側にはあって、そこまで踏み込んで事前に理解するのは難しいので、後は面接の場で直接、採用意図を確認してもいいと思います。
今回、企業はなぜこの職種を募集するのか、そしてどんな人を採用したいと思っているのかをその都度見極めた上で、企業の採用ニーズに合致する自分の強みをアピールしていく柔軟な姿勢が問われます。

主体的に動くことが苦手でも、着実性をアピール&提案未経験でも顧客目線の考え方をアピール


続いて主体的な取り組みをアピールする場合、主体的に行動してきた方ならばそのまま、取り組んできた仕事に関するエピソードを話すことでアピールすればいいでしょう。
一方、主体的でないと自ら感じる方にとってはそもそも、主体的な取り組みをアピールするのは難しいことです。その場合、例えば「上司からのどんな指示に対しても、必ず忠実に実行してきた」という面から、具体的にどのように実行することにしていたのか工夫した内容をアピールすることで、「どんな時も手を抜かず、丁寧に仕事をする人」という別の強みをアピールできます。つまり主体的な面をカバーするために、自分なりに着実に仕事に取り組んだことや姿勢はそれだけで十分、評価対象になるわけです。

同じようにこれまで顧客提案の経験がなかったとしても、それに置き換わる経験を代わりにアピールすることも可能。例えばSEやプログラマーの方が上流工程やマネジメント領域にキャリアアップする目的で面接をする場合、設計段階で「お客様が本当に必要としている機能は何か?」「より便利で使いやすくなる仕組みは?」といった視点でアイディアを考え、それを設計に反映させてきた実績があるなら、高く評価されます。つまり顧客目線の視点を持った業務経験があることが重要なのです。

このように例え主体的でなくとも、そして顧客折衝の経験がなくともそれに置き換わる別の強みを探し出し、アピールしていくことで転職格差を縮めることができるはずです。

本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。 Supported by Tech総研

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