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素早くHz、緻密にdpi、謎めくdB、灼熱のK、力強くPS… エンジニアが使いこなす、華麗なる単位の世界
科学技術に携わる人間なら、避けて通れない「単位」という存在。とはいえ、分野ごとに、エンジニアが使い慣れている単位もさまざま。百花繚乱? 魑魅魍魎? 華麗かつ謎めく単位のあれこれを拾い集めてみました。
(文/川畑英毅 総研スタッフ/根村かやの イラスト/岡田丈)作成日:09.09.07
 手に取れるモノ、取れないモノ――何であれこの世のあらゆる現象を客観的にとらえ、測り、伝えようと思えば欠かせないのが「単位」。技術を担うエンジニアであればなおのこと、分野によって程度の差はあれ、日常、単位から解放されることはほとんどないに違いない。
 とはいっても、この単位というもの、実にヤヤコシイ。何しろ人類が“測る”というワザを身につけて以来付き合ってきたものだけに、歴史的単位に地域による違いが入り乱れる。もちろん今では基本的なところは「国際単位系(SI)」にまとめられているものの、さまざまな経緯から、分野によっては古い単位が残っていたり、独特な使い方がされていたり、果ては「そんな単位、ほかでは聞いたことがないよ!」なんてものが使われていたり。
 というわけで今回は、分野別に単位のうんちくをご紹介!
Part1 聞いたことある? こんな単位
情報・通信分野
FLOPS(ふろっぷす) 浮動小数点数演算回数/秒でコンピュータ性能を計測
 単位としては長い文字列だが、これは、“FLoating point number Operations Per Second”を略したもの。その名のとおり、1秒間当たりの浮動小数点数演算を行う回数を示し、コンピュータの性能を示す指標のひとつとして使われる。
 といっても、一般に使われるようなコンピュータの評価で用いることはあまりなく、科学技術計算やシミュレーションに使われる、いわゆる“スーパーコンピュータ”の性能を表すときに主に登場する言葉である。
 ちなみに海洋研究開発機構(JAMSTEC)がもつスパコン「地球シミュレータ」は、2009年6月、LINPACKベンチマークの性能測定で122.4TFLOPS(テラフロップス)を達成した。
ボー(baud) 通信搬送波の1秒当たりの変調回数
 通信分野で使われる単位が、ボー。フランス電信公社の技術者エミール・ボードにちなむ。搬送波に対する1秒間当たりの変調回数と定義される。
 似たような単位で、より広く使われるものにデータ転送レートを示す「bps(秒当たりビット数)」があり、時折混同されることもある。
 実際、1回の変調に1ビットの信号が乗るという条件下ではボーとbpsは数値的に一致するから、そう考えてあまり問題が起きなかった時代があったのも確か。しかし現在では、帯域幅を効率的に利用するため、1回の変調に2ビット以上の信号が乗るのが普通。あくまで分けて考える必要がある。
dpi(でぃーぴーあい) インチ当たりのドット密度で画像の精細度を示す
 画像データの精細度を示すものとして、いまや一般にもそれなりになじみのある単位がdpi。プリンタやスキャナなどの性能諸元にも必ず登場する。
 このdpiは、「dot per inch(インチ当たりドット数)」の略。ドット密度といっても、このインチは面積(平方インチ)ではなく、あくまで長さ(幅)としてのインチである。
 現在、パソコン用ディスプレイでは100dpi程度が一般的。プリンタでは家庭用でも2400dpiを超えたりする。ただし、色数が限られる通常のインクジェット式プリンタの場合、数ドットで1ピクセルを表現するため、1ドット=1ピクセルが普通のディスプレイとは感覚が違う。
〔ヤード・ポンド法 vs. メートル法〕
 dpiのほかにも、よく似たppi(インチ当たりピクセル数)、lpi(インチ当たりライン数)など、メートル法が当然の現代にあって、画像関係はいまだにインチが多い。テレビの画面サイズなど旧来の規格を踏襲しているためだが、加えて「アメリカが力をもっている分野だから」と思うのはうがちすぎ?
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電気・電子分野
デシベル(dB) 対数を用いて減衰量、音圧レベルなどの比を表す
 一般には、「音の大きさ」を示すと思われがちなデシベルだが、パーセントなどと同じく、実際には比率を表す単位。基準の信号と比較してどの程度かを、対数を用いて示す。音圧レベルとして音響工学で使われるほか、電力比や、減衰量などのエネルギー比を示すものとして電子・電気の分野でもおなじみ。
 前半の「デシ」はdl(デシリットル)などと同様、10分の1を示すもの。単位“本体”のベルは、電話の発明で有名なアレクサンダー・グラハム・ベルにちなむ。とはいえ「ベル」だけで用いられることはほとんどなく、常に「デシベル」とひとつながりで使われることが多い。おかげで、常用する分野では「デシ」だけでデシベルの意味として通用してしまうこともある。「ディービー」「デービー」という読み方もある。
ヘルツ(Hz) 1秒当たりの周波数、振動数
 国際単位系(SI)で定められた周波数・振動数の単位がヘルツ。ドイツの物理学者、ハインリヒ・ヘルツに由来する。電波(周波数)も音(振動数)も波であるのは同じ。ヘルツは、1秒当たりのその波の数を示す。
 電子・電気の分野では電磁波の周波数を示すために多用。しかし、電磁波の中で電波だけを見ても、商用電源に使われている50、60Hzのような低周波から、30kHz〜300kHzの長波、300kHz〜3000kHzの中波、3MHz〜30MHzの短波、さらにそれ以上の超短波、極超短波、マイクロ波までさまざま。さらに周波数が高くなると、赤外線から紫外線までの光(3THz〜30PHz)、エックス線(30PHz)、ガンマ線(2.42EHz)といった世界になってくる。
 ふだん、Hzにどんな単位接頭辞、どれくらいのケタの数字を付けて使っているかによって、その人の技術分野も細かく特定できそう。
テスラ(T) 平方メートル当たりの磁束密度
 磁力線を仮に“束”としてとらえ、その束(磁束)の密度を表すのがテスラという単位で、セルビア出身のアメリカの電気工学者、ニコラ・テスラの名にちなんだもの。磁束そのものの単位としてはウェーバ(Wb)があり、1T=1Wb/m²と表すことができるが、T(テスラ)は固有名称をもつ組立単位(基本単位の組み合わせで示せる単位)のひとつとして、国際単位系に組み入れられている。
 ちなみに、医療で使われるMRI装置の場合は0.5〜1.5T程度。磁束密度が、画像の解像度にもつながる。一方、最近特に電磁波の“漏れ”が課題となっている家電では、大きくて20μT程度の量とか。
〔電気といえばアンペア(A)もボルト(V)も人名だった〕
 上に挙げた3つは、すべて人名由来の単位。見て、触れて測れるわけではない電気や磁気の分野では、圧倒的に「人名単位」が多く、近代になって、急激に進んだ分野であることが、ここからも見て取れる。この分野のエンジニアは、日々、偉大な先達の名前に取り囲まれて仕事しているといえるかも。
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素材・化学分野
タップ密度 容器を振って間隙を詰めた粉体の密度
 単位体積当たりの質量を示すのが密度。と言えばストレートだが、工業技術的には、業界や分野によって、さまざまな種類の「密度」が存在している。
 そのうちのひとつ、特に微粒の粉末を扱う化学分野、薬品分野などでよく使われるのが、「かさ密度」である。これは容器の中に粉体を充填し、その全体を測って求められる密度のこと。当然、粉体の粒子のあいだには隙間があるし、隙間の広さは粒子の形状によっても異なってくる。粉体自体を構成する物質の密度(真密度)とは違うが、粉体の特性を知るには欠かせない尺度なのだ。
 さらに同じ粉体でも、ふわりと軽く詰めるか、目いっぱい押し込むかによってもかさ密度は変わってくるが、これまた粉体の取り扱いには重要なデータ。後者を示すバリエーションがタップ密度で、粉体を入れた容器をタップ(上下動)させ、容器内の体積にほぼ変化がなくなるまで詰めた後に測定する。単位は通常の密度同様kg/m³(キログラム毎立方メートル)だが、g/cm³なども使われる。
デニール(D) 9000m当たりの重さで糸・繊維の太さを示す
 その業界以外の人でも、女性ならわりとおなじみという、ちょっと変わった単位がデニール。
 これは糸・繊維の太さを表すもの。太さなら普通に長さの単位を使えばいいように思うが、細い繊維の場合、日常、その太さの実測値を示すのは現実的ではない。そこで、長さ当たりの重さ、この場合は9000m当たりのグラム数を使って太さを示す。当然、比重の違う素材なら、同じ値でも実際の太さは違ってきてしまうが、同じ素材の製品を比較するならばこれで十分。
 女性におなじみである理由は、ストッキングの厚みを、使われている糸のデニールで示すため。ちなみに、形は同じパンストとタイツの違いは、メーカーによって若干基準に差はあるが、20〜30デニール以下ならパンスト、それ以上ならタイツということだとか。
 現在では長さの切りのよさから1000m当たりのグラム数を示すtex(テックス)に切り替わりつつあるが、なお慣用でデニールも広く用いられている。
ビッカース硬さ(HV) 圧痕の表面積で荷重を割った、硬さの指標
 工業材料の重要な性質のひとつが硬さ。しかし、その“硬さ”にはたくさんの種類がある。
 何かを押し付けてどれくらいくぼみができるか。引っかいて傷か付くかどうか。何かを当ててどれくらい跳ね返るか。ビッカース硬さにブリネル硬さ、ロックウェル硬さにヌーブ硬さ、モース硬度、ショア硬さ……。つまり調べ方によっていろいろな“硬さ”があるのだ。
 そのうち、ビッカース硬さ(HV=Vickers hardness)は、ものを押し付ける「押し込み硬度」のひとつ。浅いピラミッド型をしたダイヤモンドの先端を荷重をかけて押し付け、そのくぼみの表面積と荷重から値を求める。特に金属材料の硬さを調べる場合に汎用性が高く、金属を扱う業界であればおなじみのはず。ちなみに代表的なステンレス、SUS304は150〜200HV程度。
〔粉と糸とハガネを同じ単位では測れないか……〕
 とにかく扱う素材の種類によって、使われる単位も独特なのがこの分野。上の「タップ密度」など、粉体を扱う業界以外ではほとんど耳にしない言葉かも。「健康診断でメタボ傾向だって言われてジョギング始めたよ。体重は変わらないけど、ちょっと締まった気がする」「タップされて密度が上がったな」なんて会話もアリ?
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機械・力学分野
馬力(PS、HPなど) “馬一頭の仕事率”をもとに仕事率、工率を示す
 一般にもよく使われる「馬力」。自動車のエンジン出力などを示す数値として、カタログスペックなどにもよく登場するおかげだ。
 これがなかなかクワセモノ。もともと、読んで字のごとく、これは荷馬車を引く馬の力を基準にしたものだが、とはいっても馬一頭の全力ではなく、「単位時間当たり、“標準的”な荷役馬が“標準的”な荷物を一定距離動かす仕事率」を示す。馬が身近な時代、感覚としてわかりやすかったのだろうが、おかげで、馬力の正確な定義は各地でばらばら。特に代表的といえるものでも、英馬力(HP)と仏馬力(PS)の2種がある。その違いは、英馬力がヤード・ポンド法に基づき、仏馬力はメートル法に基づくところにある。
 このように曖昧かつ複雑な単位のため、現在では国際単位系に定められたW(ワット)の使用が基準とされているが、それでも仏馬力(PS)も広く併用されており、エンジニアにもなじみ深いはず。ちなみに1PS=735.5W。
トルク 回転軸まわりにかかる、力の能率
 ある物体を、固定回転軸を中心として動かすとき、その回転軸まわりにかかる力の能率(回転モーメント)をトルクと呼ぶ。力そのものの単位(国際単位系)はN(ニュートン)だが、その効率を表すトルクは、力と距離の積、国際単位系ではN・m(ニュートンメートル)で表される。
 馬力同様、エンジン性能を表す数値として頻出する言葉で、カタログなどにも最大トルクが記載されていることが多い。車格によって大きく変わるが、乗用車のエンジンでは100〜400N・m程度、大勢の乗客を乗せる大型路線バスのエンジンではケタ違いに高トルクで、1000N・mを超すものも。またトルクは機械類の組み立てで、ボルトの締め付け力を示すものとしても重要で、かかったトルクが適切であるかどうかがわかる工具、「トルクレンチ」も使われている。
〔1文字で示す加速度の単位〕
 「力」を表す国際単位(組立単位)が、トルクの項にも出たニュートン(N)。1Nは1kg・m/s²、すなわち質量と加速度の積で定義されているが、加速度の単位としてはこのm/s²のほかに、地球の地表付近での重力加速度(標準重力加速度)を1とした単位「G(じー)」もあり(1G=9.80665m/s²)、航空機開発などではおなじみ。分野により、国際単位系以外の単位もけっこう使われているのだ。
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エネルギー・流体分野
ケルビン(K) 絶対零度を基準に定められた熱力学温度
 温度といえば、日常使われる単位は℃(摂氏)。これはご存じのように水が凍る温度を0℃、沸騰する温度を100℃として刻んだものだが、すべての分子の運動が止まる絶対零度(−273.15℃)を0としているのがケルビン。国際単位系の7つの基本単位のうち、熱力学温度の単位として定められている。
 もちろん一般には、日常生活の範囲内で大きな値は取らない摂氏のほうが使いやすいが、物理の世界、特に熱力学ではこちらが基本。工学分野でも、超低温でその効果が現れる超伝導などで、よくこの単位が聞かれる。
 液体窒素の沸点以上での超伝導現象を高温超伝導と呼ぶが、その温度は摂氏で−196℃、ケルビンで77K。ここはやはりケルビンでこそ「高温」のイメージになるというもの。
ジュール(J) 1N(ニュートン)の力で1m動かすエネルギー
 仕事、エネルギーを表す「固有名称をもつ組立単位」として国際単位系に定められているジュール。1J=1N・mであり、1J=1C・V(クーロン・ボルト)でも、1J=1Ws(ワット秒)でもある。ちなみに、単三電池1本がもつエネルギー(電力量)は、約1kJだとか。
 例えば「灯油は1リットル当たり8900kcal」といった具合に、エネルギー、特に熱量の単位として従来広く用いられてきたのは「カロリー」だが、これはもともと「水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量」をもとに定められたもの。ジュールに換算すると、およそ1cal当たり4.184Jで、現在ではジュールへの切り替えが進んでいる。
レイノルズ数(Re) 慣性力と粘性力との比で求める、流れの指標
「単位」とは言いづらいが、流体力学で非常に重要な数値が「レイノルズ数」。慣性力と粘性力との比であるレイノルズ数、流れの速度と音速の比で求められるマッハ数――流れの中におかれた物体に働く力は、この2つのみの関数。レイノルズ数とマッハ数が同じなら流れ場は同じ振る舞いをするため、そのほか多くの変数を考える必要はないという便利なモノ。
 レイノルズ数が大きくなるほど慣性の力が強まっていることになり、ある数値を超えると、流体の粘性を振り切って、慣性の力で流れは乱れる。この状態を「乱流」、それ以前の整った流れを「層流」という。層流と乱流を分ける数値を「臨界レイノルズ数」という。
 臨界レイノルズ数は流れの状態、条件で大きく変化するが、円筒形の管内の流れなら2000〜3000程度。水流中に流した赤インクが、臨界レイノルズ数を超えるときれいな線から一転、乱れて周りと混ざり合う様子が実験で観察できる。
〔エンジニアはカロリーを気にしない?〕
 ジュールの項で触れた「カロリー」は、実は「もともと何度の水の温度を1℃上げるか」により値が違ってヤヤコシく、実際、何種ものバリエーションがある。それもあって、現在、日本の計量法でカロリーが認められているのは栄養学や生物学だけ。そのうち、「しばらく食事のジュールを抑えなきゃな」なんて会話をする時代になるかもしれない。
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Part2 魅惑の単位たちの雑学
 ここまで分野別に見てきたいくつかの単位。もちろん、単位は星の数ほどあるし、ここに出せたのはごく一部。「オレがふだん使っているのがないぞ!」と言わないでくださいね。
 さて、とはいえ、上に登場しない分野で使われている単位にも、また分野を限らず使われている単位にも、いろいろ興味深いネタはたくさん。ここからは、そんな「業界・分野無制限」の単位の話をどうぞ。
あっちではパーミリ、こっちではパーミル
 日本語では百分率と訳されるパーセント。こうした比率を表す単位は、モノ、現象そのものを測っているわけでなく、必ず基準となる別の値がある。こうした単位を「無次元の単位」という。
 さて、「100分のいくつ」を表す単位があるなら、当然そのほかもあるわけで、そのうちパーセントに次いで比較的メジャーなのが「‰(千分率)」。その名のとおり、「1000分のいくつ」を示す。
 しかしこの言葉、一般的な読みは「パーミル」だが、一部の分野、特に鉄道工学では、なぜか「パーミリ」と読むのが普通。線路の勾配を表すときに必ず出てくる単位で、「1000m当たり何m上下しているか」を示す。
 さらにドイツ語風に「プロミル」「プロミレ」と呼ぶ場合もあり、こちらは“ドイツ語文化”の色濃い医学・薬学分野での使用が主。‰をどう読むかで業界がわかる?
増える接頭辞
「キロキロ(k)と、ヘクト(h)デカ(da)けたメートルが、デシ(d)に追われてセンチ(c)ミリミリ(m)」……なんていう語呂合わせを、中学や高校のころに覚えたという人もいるかもしれない。
 言わずもがなだが、これらはメートル法で使われ、国際単位系でも採用された単位の接頭辞のうち、中心的な6つを並べたもの。この上のメガ、ギガ、テラも特にIT分野から、下のマイクロ、ナノ、ピコも、ナノテクの発展ですっかり一般的に。
 もっとも、“一般的になった”ということは、先端分野ではさらにその先が研究対象になっている、ということでもある。
 というわけで、1964年にはフェムト(10の−15乗)とアト(10の−18乗)、75年にはペタ(10の15乗)とエクサ(10の18乗)、そして1991年にはゼタ(10の21乗)、ヨタ(10の24乗)、セプト(10の−21乗)、ヨクト(10の−24乗)が加えられている。さて、この先、いったいどこまで増えるのだろうか。
ゆく人、くる人
 電子・電気分野の項で触れたように、近代の科学技術の発展とともに使われるようになった単位には、「その道の大家」の名前由来のものが非常に多い。
 しかし、なかには表舞台から“引退”を勧められてしまった「有名人の単位」もある。
 特にその契機となったのは、1960年、国際度量衡総会(CGPM)で国際単位系の使用が採択されたこと。基本単位7つを中心に、単位の整理統合が進められたのだ。
 例えば粘度を示す「ポアズ」(フランスの物理学者ジャン・ポアズイユより)は、国際単位系では「パスカル秒(Pa・s)」となった。さらに、「テスラ」に取って代わられた「ガウス」、「ウェーバ」に替わった「マクスウェル」など、“お世話になる人”が入れ替わってしまった例も。せっかく単位に名を残しても、なかなか気の休まるときはない、と草葉の陰でぼやいているかもしれない。
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根村かやの(総研スタッフ)からのメッセージ 根村かやの(総研スタッフ)からのメッセージ
素材・化学分野でご紹介した「デニール」(D)は、登山家・アウトドア愛好家にもおなじみの単位らしいです。シュラフは30D、丈夫なレインウェアは70D、ザックの底部は600D以上。ストッキングを常用する女性と山男との共通点が、こんな「単位」にあったとは。

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