レッツクッキング！料理とプログラムの共通点って何？

テックハニーがキッチンで料理をしている……。でも、ここはれっきとしたエンジニアの職場。今回は、日本最大の料理サイトを運営する企業に訪問、そこで見つけた料理とプログラムの意外な共通点とは!?

（取材・文／津留有希　総研スタッフ／山田モーキン）作成日：09.03.16


	愛らしいメイド服に身を包んだＴｅｃｈ総研公認レポーター。インターネットやモバイル製品など最新の技術が大好きで、アニメやゲームをこよなく愛するマニアックな素顔がエンジニアの共感を呼んでいる。その使命は「エンジニアが快適に働ける、魅力的な職場を探し出すこと」。無邪気な質問と癒しの笑顔で、エンジニアから的確に職場の魅力を聞き出す、好奇心いっぱいの天性のレポーターである。そんなテックハニーも3年目。パワーアップを続けるテックハニーブログとともに、今年もきゃんちがエンジニアの生態に迫る！

エンジニアのみなさん、こんにちは、テックハニーきゃんちです。すっかり春めいてきましたね！　この時期は気温が不安定だったり、歓送迎会で飲み過ぎたりと体調を壊しやすい季節なので、十分ご注意ください。

さて、今回突撃するのは、日本最大の料理サイトを運営している企業さん。会社の中に広いキッチンがあって、エンジニアさんたちまでお料理されるのだとか……!?　実は私も、お料理大好きなんです♪　はりきってレポートしたいと思います☆




	1997年設立。ミッションは「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」。現在、掲載レシピ数48万件以上、月間の利用者540万人以上という日本最大の料理サイト「クックパッド」の企画・運営を主軸に、食品マーケティング事業、広告事業を展開している。 http://cookpad.com/

根岸義輝さん（27歳）
技術部開発者の根岸さんは、クックパッドの広告系コンテンツ作成を支えるウェブ開発者。企画からかかわり、開発、検証までをひとりで行っている。一人暮らしながら「ほとんど自炊。得意料理は豚丼です！」という、料理の楽しさを知るエンジニア。

きゃ：	みなさんこんにちは☆　早速ですが、上の写真をご覧ください。とっても広いキッチンなんですよ～！テックハニーとして「おたま」を持ってキッチンに立つなんて、不思議な感じがしています（笑）。
根岸：	料理する姿、お似合いですよ（笑）。
きゃ：	ありがとうございます♪　今日は、日本最大の料理サイトを運営されているクックパッドさんにおじゃましています。よろしくお願いします！
根岸：	よろしくお願いします。クックパッドを開発している、ウェブエンジニアの根岸です。いかがですか、当社のキッチンは。
きゃ：	すごく広くて、きれいですね。こんなに広いキッチンが、ウェブサイトを作っている会社にあるなんて、驚きです。
根岸：	クックパッドはユーザの皆さんに料理レシピを投稿していただくサイトですが、食品関連のクライアントと協力して調味料や食材などの広告もしています。そのため、サイトのユーザを集めて食品のデモンストレーションをして意見を聞いたり、料理関連のイベントを行うことがあるんですよ。このキッチンにはIHクッキングヒーターが4台もあり、シンクも調理台も広いので、そのような料理イベントにも十分使えます。
きゃ：	ほかに場所を借りなくても、社内でイベントができちゃうんですね。料理教室もできちゃう広さです♪
根岸：	あと、当社には「まかない制度」というのがあって、週に一度プロのシェフがこのキッチンで料理を作ってくれます。あれは、本当においしいです！
きゃ：	プロのできたてをプライベートで食べるなんて、うらやましすぎます～！　社員の皆さんがキッチンをお使いになることはあるんですか？
根岸：	もちろん。staubの鍋など、こだわりの調理器具もそろっているので、家ではできない料理もここでは作れます。バレンタインデーにはみんなでスイーツを作ったり、私の所属する技術部も、このキッチンで料理の勉強会をしたんですよ。
きゃ：	エンジニアさんと料理って、なんだか結びつかないような!?
根岸：	そんなことないですよ、料理とプログラムって共通点があるんです。無駄のない手順を考えて料理を作る流れと、プログラムのロジックを考える流れは似ています。
きゃ：	確かにそうかも！　何品も料理するときの手順って、すごく頭を使いますもん。
根岸：	それに、サイトを開発するときの協力体制と、集団で料理をするときの連携も、「チームプレイ」という点では似ていますね。リーダーがきちんと指示すれば、未熟な人でも料理や開発に参加することができ、簡単な作業を任されるうちに段々と一人前になっていく過程は同じという気がします。
きゃ：	なるほど～。エンジニアさんって食生活が不規則になりがちですけど、こちらで働いていると、食には気をつけるようになりそうですね。
根岸：	それはありますね。私も、こちらのキッチンで慣れ親しむうちに料理に抵抗がなくなってきて、今ではクックパッドを利用して家でも自炊するようになりました。そうすることで料理人の視点がわかり、サイトの改善点がわかってくるんですよ。
きゃ：	料理をすることで、食生活が改善されて、仕事にも役に立って、一石二鳥じゃないですか☆
根岸：	それに、技術部が遅くまで仕事をしていると、他部署の人たちがキッチンで料理を作って差し入れてくれるんですよ。「よし、頑張ろう！」っていう気持ちになります。
きゃ：	いいですね～！　体にいいし、仕事がはかどるし、結束も強まるし、「料理」ってすごく大切なことなのかも!?

事務所に入るとすぐ目の前に飛び込んでくる、広大なキッチンスペース　定期的に料理イベントが開催されている

きゃ：	では、クックパッドのサイトの特徴を教えてください！
根岸：	クックパッドをご覧になったことはありますか？
きゃ：	もちろんです。上の写真のサイトですよね。私もよく自炊しているので、参考にしています♪
根岸：	ありがとうございます。クックパッドは、ユーザから投稿されたレシピでできているサイトです。ほかの人のレシピにコメントしたり、「つくれぽ」というトラックバックのようなフォトレポートを付けたりして、料理を中心としたコミュニケーションも楽しめます。
きゃ：	ホントにたくさんのレシピが載っていますよね。
根岸：	現在は、約48万品のレシピがありますね。
きゃ：	48万件ですか！　毎日1個作っても、えっと……一生かけても作りきれません（笑）。
根岸：	おもに20代～30代の女性がレシピを投稿しているので、忙しい中でササッと作るコツや味付けのポイントが書かれていて、参考になるレシピばかりなんですよ。わが社ながら、すごいサイトだなと自負しているんです。
きゃ：	たくさんの英知が集まっているんですものね。材料から検索できたり、レシピの字数が短めだったり、読みやすいです。
根岸：	できるだけシンプルに、料理が中心となっているサイトづくりを心がけています。それでもコミュニティが広がるのは、「つくれぽ」などのコミュニケーション機能に加えて、「MYキッチンレポート」というアクセス解析機能を充実させたからなんですよ。
きゃ：	アクセス解析機能では、どんなことがわかるんですか？
根岸：	単純な閲覧回数だけでなく、「MYフォルダ」というお気に入りに登録された回数や、「印刷」ボタンが何回押されたかが表示されます。印刷されたということは、確実に誰かが自分のレシピを作ってくれたということですよね。こういう工夫が、次のレシピを掲載する励みになるんだと思います。
きゃ：	私もブログを書いてますけど、反応があると励みになります♪　今は、何人くらいクックパッドをご覧になっているんですか？
根岸：	毎月、540万人以上から閲覧されていますね。
きゃ：	す、すごい！　そんなサイトの開発なんて、責任重大ですよね。
根岸：	そうなんです。新人のころに、ミスで2分間だけシステムをダウンさせたことがありまして……。その2分間でいただいた「見られない」という苦情メールが、なんと500件以上ですよ（苦笑）。そのときに、しみじみ自分の責任を痛感しました！
きゃ：	それだけ多くの方に、ちゃんと利用されているんですね。
根岸：	それが540万人というユーザを背負っている開発のやりがいでもあるんです。ご意見ボックスからも、クックパッドのサービスについて毎日たくさんのご要望が届くので、ちゃんと目を通しています。
きゃ：	ちなみに、技術部でサイト作成にかかわっている方は何人いらっしゃるんですか？
根岸：	全体で5～6人くらいです。単純に考えても1人100万人のユーザを負担してのサイト開発なので、やらねばならないことも多く、かなり勉強できますよ。私は入社してまだ2年ですが、がむしゃらにやってきたおかげで成長できたと思います。
きゃ：	人数が少ないと、いろいろな仕事を担当できるでしょうし、やる気のある人にはピッタリの職場ですね☆

フリースペースの壁一面に掲げられたホワイトボードには、さまざまな料理レシピが

きゃ：	根岸さんは、クックパッドの開発の中で、どの部分を担当されているんですか？
根岸：	私は広告系のエンジニアです。広告の委託を受けた商品を紹介するために、クックパッドでレシピコンテストを開催したりするのですが、その仕組みづくりが私の仕事です。あとは、バナー広告をサイトに効果的に表示する方法を模索したりしています。
きゃ：	広告って、ユーザさんだけじゃなく、クライアントさんのことも考えなきゃいけないですよね。
根岸：	そうですね。ウェブ広告の効果はまだ実証されていない部分も多いので、試行錯誤しています。何人のユーザに何回見せたら効果が出たかなどのデータを基に、細かい調整をしながら、クックパッド独自の理論を蓄積しているところです。
きゃ：	エンジニアの範囲を超えて、マーケティングや、広告のお仕事にも精通しないといけませんね。
根岸：	そうですね。営業や編集部との協力も不可欠です。社員数が45人くらいですし、みんなコミュニケーションをとって仲良くやっていますよ。
きゃ：	どうやってお仕事の方向性などを決めているんですか？
根岸：	当社の社長がよく言うのですが、「3つの輪」という分析メソッドがあるのです。「やりたいこと」「やるべきこと」「得意なこと」を書き出してみて、この3つの重なる真ん中の部分だけをやり続ければベストの選択ができると言われています。
きゃ：	なるほど～、いいこと聞きました！　メモしておかなきゃっ。
根岸：	どうぞ、参考になさってください（笑）。
きゃ：	それが上の写真です。本当に個人的にメモしたので、あんまりきれいに書けてなくて、すみません（笑）。
根岸：	ほかに、EOGS（Emotion Oriented Goal Setting）というフレームワークも取り入れています。プロジェクトがスタートするときに、部署内で話し合って、ユーザやクライアントなどの利害関係者の要求を図にし、A4用紙1枚に解決策をまとめるのです。どちらも、そのときに最適の選択をするという目的もありますが、目指すゴールがぶれないように共有するという意味も大きいですね。
きゃ：	みんなの目標がはっきりしているから、こんなに急成長してこられたんですね。これからもステキな料理アイデアを楽しみにしています！これ、ハニー“きゃん”ディーです。みなさんの手料理にはかなわないかもしれませんが、食べてください♪
根岸：	とんでもない、ありがとうございます。いただきます！

「3つの輪」を実践することで、ここから次々と料理アイデアが生まれている


	根岸：		料理というコアを中心に、500万人以上の人が集まっているコミュニティなんて、ほかにないと思います。エンジニアとしての強みは伸ばしつつ、人が集まっているからこそできる面白い企画をどんどん考えていきたいです。携帯電話も普及し、ネットコミュニティでできることは増えています。「食」は生活には必要不可欠なものですから、クックパッドというサイトをはみ出して、もっと広くみなさんの生活に普及するようなことを企画したいですね。食に興味があって、新しいこと、面白いことをやってみたい人は、ぜひ当社に応募してください！


	自炊するとき、いつもレシピ検索でお世話になっているクックパッドさん。「料理」というテーマのせいか、みなさん楽しそうにお仕事していて、料理教室みたいに和気あいあいとした雰囲気が印象的でした。「3つの輪」のお話は、自分の仕事に役立てていきたいです。　私は、「食」って生活でいちばん大事だと思ってるんですよ。人間の体を作るのは食べものだし、ちゃんと食事しないと元気が出ないじゃないですか。エンジニアさんは忙しくてコンビニ食が多いかもしれませんが、食生活の見直しは能率アップにつながるかもですよ。料理とプログラムは考え方も似ているそうだし、料理が得意になるとプログラムの腕も上がっちゃうかもしれません!?