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大学卒業を待たずに応募した学生エンジニアの即戦力転職 ネットの「楽しい」を創造し続けるウノウへ
映画ファンにはおなじみの新作映画情報サイト「映画生活」、写真や動画を核にしたSNS「フォト蔵」を運営するウノウ。一味違ったネットの楽しさを少数精鋭で企画・開発している。ラボ活動や開発合宿など、社内制度も技術重視だ。そんな同社の1次面接を公開する。
(取材・文/須田忠博 総研スタッフ/高橋マサシ)作成日:08.12.22
「コンピュータ技術が大好き」を随所に示してCTOの面接を突破!
転職者:久保達彦さん(当時22歳) 面接官:尾藤正人氏[CTO]
面接突破のカギ!
1、技術好き:仕事(授業)以外で技術を駆使した実績を説明する。
2、技術力:身についている技術力が表面的ではないことを示す。
3、志向性:Webサービスへの関心が深く、トレンドに敏感なところを見せる。
採用プロセス
CTOが選考する。
CTOが1対1で面接する。所要時間は約1時間。
【通過率:約3割】
社長が1対1で面接する。所要時間は約1時間。
【通過率:6〜7割】
2〜3日以内をめどに連絡する。
募集職種 エンジニア
仕事内容 ウノウの各種事業における機能改善や新機能開発。新規インターネットサービスの立ち上げ。サーバ周りなどインフラの構築。
応募資格 規模を問わずプログラミング言語、DBを用いた開発経験。実務経験の有無は不問で、独学での開発経験があれば可。
ウノウの1次面接スタート!
Part1 実務経験、志望動機
すぐに入社できる即戦力があれば学生でもOK
尾藤:
 【Point1】今、大学の5年生ですね。すぐ当社に入って働けるんですか?
久保:
 卒業に必要な単位はすべて取り終わっています。卒業前から働くことは教授にも許可されました。
尾藤:
 【Point2】ソフト開発会社のアルバイト社員をしてきたと応募書類に書かれていますが、主にどんな仕事をしましたか?
久保:
 その会社はフラッシュメモリ用のファイルシステムを作っていて、私は雑用からテストプログラムの作成、デバッグを担当しました。
尾藤:
 使用言語は何ですか?
久保:
 基本的にはCです。Javaを使う案件に一時的に加わったこともありました。
尾藤:
 組み込み系の開発で苦労するのはどんな点ですか?
久保:
 私が担当したので言うと、デバッグです。PCでコンパイルしてできたバイナリを実機のWindows CEマシンに転送してテストするわけですが、ランタイムごとに転送する仕組みになっていたりしたせいで、転送時間が数分とか十数分掛かってしまう。そのため、あまりまめにはデバッグできないところが面倒でした。
尾藤:
 なるほど。では、当社を志望するのはなぜですか?
久保:
 自社の力だけでWebサービスを開発するようなベンチャー企業で働きたいからです。
Point1
[面接官]当社は正真正銘のITベンチャーです。大学を卒業するしないは関係ありません。応募の時点で実力とポテンシャルがある人なら、すぐに入社して戦力になってもらいたいのです。

[応募者]募集要項を見たらどこにも「新卒」の文字がない。これは即戦力の採用。すぐ入社できると答えない限り、採用されないと思っていました。
Point2
[面接官]この質問は応募書類の内容確認にすぎません。開発作業で苦労した点を尋ねるのも、実際に行ったのかどうかを確かめるため。面接の出だしでは応募者の緊張をほぐすことに比重を置いています。

[応募者]アルバイトの立場とはいえ、開発実務経験があることはアピール材料になると思っていました。応募書類には公私ともども、実績と習得技術を詳細に書きました。
Part2 技術力
実績となる作成したHPから具体的に審査
尾藤:
 【Point3】応募書類には、自力でWikiクローンを作ったと書かれています。どういう経緯だったんですか?
久保:
 採用の決め手【Point4】もともとは正規表現を勉強するためでした。Wikiにはいろいろな文法がありますよね。例えば、ハイフンを4個つなげたらHRタグになるとか、リストを書くときは普通にULタグとLIタグで書くよりも、ハイフンを2個つなげたら次はULとLIになるとか。そういうパーサーが自分にも書けるだろう、正規表現ならもっと簡単に書けるはずだと思いました。
 そんなことを3週間ほど続けた後、まずはWikiを作ってやろうと考えて、所属しているコンピュータ部のホームページに目をつけたんです。それはCVSで管理されていたんですが、ほとんど無メンテ状態だったので、この機会にリプレイスしようと取り組みました。
 最初は単純にフリーのWikiを使おうと思ったんですが、外部にも見せるページと部員だけ入れるページの分けに対応できないようでした。つまり、ログイン機能が見当たらない。それで、パーサーはありましたから、エンジンごと作ってしまいました。
尾藤:
 なるほど。それでは、ここでそのホームページを見せてもらえますか?
(久保さんは承諾し、差し出されたノートPCでインターネットにアクセス。ページを開いてひととおりの説明をした)
専門用語を交えて話が弾むかどうかがカギ
尾藤:
 採用の決め手【Point5】このホームページのWikiは履歴管理をしてるんですか?
久保:
 私としては付ける気がなかったんです。ところが、作っている途中で同級生の部員が手伝ってくれたので加えました。ファイルを上書きして保存するだけだったのを、CVSを介して管理する形にしてくれました。部員たちは履歴管理機能なんかあまり使わないんですけど、データが消失してしまったときにはCVSからデータをすべて戻せましたから、やっておいてよかったと思いました。
尾藤:
 なぜ、Subversionを使わなかったんですか?
久保:
 Subversionはそのころ私たちの間ではまだメジャーではなく、CVS自体もあまり使ったことがないレベルでした。ただ、CVSなら履歴がファイル単位なのでWikiに合っています。
尾藤:
 CVSのサーバはその同級生が立てた?
久保:
 いえ。もともとホームページがあったサーバにCVSの設定がしてあったので、Wikiのほうからアクセスするコードを書けばよかったんです。
尾藤:
 CVSにはどうアクセスさせましたか?
久保:
 【Point6】普通にRSHかSSHです。正確に言えば、ユーザーがWikiを使うときはリモートで、CVSにWikiのアプリがアクセスするときは単なるローカルアクセスです。
必ずチェックするのは「技術好き」かどうか
尾藤:
 大学の学科は電子情報工学科ですね。どんな勉強をしましたか?
久保:
 電子分野では電磁気工学や電子回路で、情報工学ではアルゴリズムやプログラミング、OSなどについてです。
尾藤:
 アルゴリズムではどんな勉強をしましたか?
久保:
 例えばソートアルゴリズムです。単純なバブルソートからクイックソート、選択ソートなどの基本的な事柄です。
尾藤:
 【Point7】クイックソートはどんなアルゴリズムですか?
【Point8】(この質問に対して、久保さんは「バラバラになった数字の配列を小さい順に並べる」という例題を挙げて、バブルソートと比較しながらクイックソートのアルゴリズムを詳細に説明した)
評価が高くなるネットワークの技術知識
尾藤:
 ところで、Linuxの経験はどのくらいありますか?
久保:
 ここ1年と少しはほとんどLinuxです。Windowsは使わなくなっています。
尾藤:
 ディストリビューションは何ですか?
久保:
 以前はVineでしたが、今はUbuntuを使っています。
尾藤:
 私は学生時代にVineを開発したんです。
久保:
 はい、存じ上げています。ありがとうございます(笑)。
尾藤:
 【Point9】Linuxでサーバを立てたことはありますか?
久保:
 お遊び程度なんですが、玄箱を買ってDebianのLinuxを入れたことがあります。
尾藤:
 そのサーバで何をサービスしましたか?
久保:
 先ほどお話したWikiです。ホームページ以外で、自分でも動かしてみました。
尾藤:
 ということはApacheが動いていた。ほかのプロトコルとかポートは何か?
久保:
 基本的には80ポートで、あとはリモート接続用にSSHを使ったくらいです。
Point3
[応募者]この質問は「待ってました!」という感じでした。応募書類で強くアピールしておいたからです。
Point4 決め手
[面接官]この説明にはエンジニアならではの用語とその使い方が見られます。応募書類に記載された実績に納得がいくわけです。また、正規表現の勉強やサークルホームページのリプレイスといった興味の赴くままの行動から、心から技術が好きなんだなと感じました。説明も生き生きとした口調でしたし(笑)。
Point5 決め手
[面接官]「こういうものを作りました」とは誰でも言えます。しかし、その具体的な仕組みや技術的な説明を聞いて、はじめて実際に作ったんだと信じられます。また、説明を聞けば応募者の技術レベルも判定できます。1次面接ではこのあたりが最大のポイントで、一連のやりとりから久保さんの技術レベルは相当高いと判断しました。実に優秀です。
Point6
[応募者]技術的に細かな点をどんどん尋ねられて、面接であることを忘れて話してしまいました。これで内定がもらえたら私のこうした点がマッチする会社なのだろうと、面接後に思いました。
Point7
[応募者]尾藤さんは、自分が十分にわかっていることであっても、まるでわからないかのような口ぶりで質問するんです。こちらの答えを聞いている間の表情もそうです。ですから、ついつい真剣に事細かに説明してしまいました。
Point8
[面接官]久保さんは熱心にとうとうと説明してくれました。当社にぴったりの人材だとうれしくなりました。
Point9
[面接官]当社の仕事では、ネットワーク技術が必要不可欠というわけではありません。入社後に、例えばアプリ開発に専念したいというのなら、ネットワーク技術の経験はなくてもいい。そのため、選考上でネットワーク技術は加点要素にしています。
Part3 情報収集の感度、入社後の希望
ITトレンドに関する情報の収集姿勢
尾藤:
 【Point10】インターネット関連の情報収集には主に何を利用していますか?
久保:
 ソーシャルブックマークを使ったり、RSSリーダーで気になるブログとかサイトの情報は仕入れています。
尾藤:
 ソーシャルブックマークは何を使っていますか?
久保:
 はてなブックマークです。一時期はdel.icio.usも使いました。
尾藤:
 RSSリーダーのほうは?
久保:
 サンダーバードに付いている購読用の機能を利用しています。
尾藤:
 購読しているフィードはどのあたりですか?
久保:
 ITメディアニュースにCNET、それにIT系のニュースサイトですね。あとは海外の有名エンジニアのブログを読みます。
入社後にはWikiクローンの開発経験を生かしたい
尾藤:
 当社に入ったとしたらどんなことをやりたいですか?
久保:
 【Point11】Webサービスの開発をしたいです。
尾藤:
 当社のサービスを、ここは自分の力で変えてみたいといった希望はありますか?
久保:
 Wikiを作った経験を生かして、何らかの機能を付ける機会があればやってみたいです。
Point10
[面接官]ここからの一連の質問は、ITトレンドに関する情報収集姿勢とセンスを探ることが狙いです。久保さんはまあまあの感度で技術トレンドをウオッチしていると判断しました。

[応募者]この質問の意図はすぐにわかりました。技術トレンドを怠らず追い続けているかどうかがチェックされるのだと思いました。
Point11
[面接官]久保さんは開発志向であって、Webサービス自体を企画からやりたいと望むエンジニアではないと受け止めていました。それは、この答えからもわかりました。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
この連載「面接現場の舞台裏」は今回で終わります。長い間ありがとうございました。この記事はTech総研の前身である『TECH B-ing』で3年ほど連載され、Tech総研に引き継いで今回で66回目。合計すると100回を超える長期連載となりました。『TECH B-ing』の初回から今回までの原稿を担当していただいたライターの須田忠博さん。本当にお疲れさまでした。そして皆さん、またお会いしましょう!

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