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ストレスで突然倒れ、休養を余儀なくされたエンジニア3人が激白
まさか自分が…うつ病を経て仕事に復帰したエンジニア
「誰もがかかる可能性がある」といわれるうつ病。患者数は年々増え続けており、以前より病に対する認知・理解度も向上し、企業側もメンタルヘルスに関して積極的に取り組んでいる。うつ病は早期発見と休養、そして適切な治療を行うことで治すことができる病気だが、実際に休養が必要になった場合、仕事にはどうやって復帰するのだろうか。
(総研スタッフ/タニー只野)作成日:08.11.18

忍び寄るストレス…こまめにセルフチェックを行おう

ストレスはさまざまな症状に表れる

 労働時間が長く、まじめできちょうめんなタイプが多いとされるエンジニア。「開発が佳境に入り抜けられない」「人手が足りず代わりの人間がいない」など、ストレスを抱えながらもなかなか休めないうちに、うつ病が深刻になる場合も多いという。
 これまでTech総研では、エンジニアのメンタルヘルス対策として、専門家による心の病のタイプ別診断や、ストレスによる症状を診断するチェックツールなど、さまざまな角度で自己認識ができるレポートを公開してきた。ストレスをためているコップが満杯になり、体の症状としてあふれ出てきてしまう前に、自分の心と体の状態をチェックしてみてほしい。軽度のストレスなら、適度な発散を行うことで解消できる。また、もしうつ病にかかってしまったとしても、早期発見できれば、2〜3カ月で軽快する可能性が高いのだ。

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早期発見、早期治療が最善策……でも、その後は?

 一般的に理解されてきたとはいえ、うつ病の場合、「もし、すぐに治らなかったら?」「休養後はすぐに復帰できるのか?」……などなど、やはりどこかに不安が残る。早期発見ということは、まだ病状が深刻化する前であるから、どうしても病気が自身に及ぼす影響よりも、仕事や家庭など環境面への不安が先立ってしまい、「もうちょっと様子を見てから医者に行こう」と我慢してしまいがちだ。
 しかし、漠然とした不安から早期治療が遅れては元も子もない。次の項では、実際にうつ病と診断され、長期休養を経て元の職場に復帰したエンジニア2人と、休養中に退職し、転職で復帰したエンジニア1人にインタビューを行い、実体験を語ってもらった。うつ病の向き合い方や復帰までのプロセスについてご紹介していこう。


うつ病から仕事に復帰したエンジニア3人の告白

 今回登場するのは、ストレスからくる体の変調を我慢し、仕事を続けてしまったためにうつ病が悪化してしまった3人のエンジニア。長い休養を経て仕事に復帰したとき、以前と比較して心境に変化はあったのか。また、心に負担をかけない仕事の付き合い方とは。

激務とパワハラがうつ病の原因に…9カ月の休職後に職場復帰

メンタルな問題だと認めたくなかった

「体がおかしい」と思い始めたのは、もう2年半前。疲れやすくなったり、めまいがしたり。自分でもストレス性を疑うんですが、やっぱり認めたくなくて、眼科や内科に行っては「問題ありません」と言われて帰る状態が続きました。
 そのころの自分は、体力以上のオーバーワークと、密室での上司のパワーハラスメントで、心身ともにボロボロでした。徹夜も多いのに密室で四六時中見張られて、情報を遮断し外部と接触させないようにするんです。気に入らない部下は仕事を干してみたり。「自分のやりたい仕事はここでしかできない」と思い我慢していたけど、いよいよ耐えかねて同僚と一緒に別の開発部署に駆け込みました。
 ようやくパワハラ環境から脱出できたのはいいんですが、もう積もり積もった疲労はどうしようもなくて、ある日めまいで倒れて専門医のところに行ったところ、「心療内科に行ったほうがいい」と言われ、原因がはっきりしたんです。でも体は限界で、めまいで起きられなくてじっとしていたら悪化して動けなくなり、ついに救急車で運ばれました。

早すぎる復帰が逆効果に

 事情を伝えた上司に産業医の先生を紹介してもらったところ、休職を勧められたので、そのまま休むことにしました。先生から最初に言われたのは、「そこまで体力も気力もないのであれば、寝てるだけ。何もせずボーっとしてなさい」と。実際そうでした。緊張状態が解かれて気が抜けちゃうからか、何もする気が起きない。何も考えられない。そうやって気持ちを落ち着かせていきました。
 当時、自分でも休職はかなり不本意で、すぐに治ると思っていました。先生に相談し、休職して3カ月後に、開発や実験ではなくデスクワークで、リハビリ出社を試みました。でも会社に行って席に座り、簡単な作業をしていたら、途中で悪化しダメになってしまった。産業医の先生から「今度はもう長期休養を覚悟しなさい」と言われ、ショックでしたが再度休職に入りました。
 ゆっくり休んでいたら、前回の復帰がいかに無理をしていたかがわかってきた。健康な状態なら少々無理できたことも、リミットが下がっているから無理が利かない。なのに自分はもう治っていて、健康だと思い込んでいたんですね。

高橋さん(仮名)
高橋さん(仮名)
36歳 既婚 研究開発職
これまでの経緯
2006年
症状が出始める
↓
2007年7月
休職
↓
2007年10月
リハビリ復帰
↓
2007年11月
2度目の休職
↓
2008年5月
復帰
↓
現在に至る
あきらめず、ただ固執もせず

 休職中は生活のリズム表をつけ先生と相談し、6カ月くらいして二度目のリハビリ出社となりました。まだデスクワークのみの仕事です。いまも引き続き病院には通っていますが、こうして復帰できたのは、先生に話を聞いてもらっていたからだと思います。実は最初に受診したメンタルクリニックの先生はあまり合わず、途中で病院を変えたんですね。どちらの先生も投薬自体は変わってないので、前の先生も診療技術としては間違ってなかったんだと思いますが、やはり人なので、相性の問題もあるような気がします。
 倒れる前は純粋に忙しかったので、家庭を顧みることができませんでしたが、幸か不幸か1年近く休養を取ったことで、家庭のこともわかりました。デスクワークよりも研究開発や実験の仕事が好きですし、会社での立場や出世をあきらめるわけではないんですが、固執するのはやめよう、家庭にも目を向けようと考えるようになりました。会社でも言われてますけど、ワークライフバランスが大切だと、本当にそう思います。

ある朝、突然家から出られなくなり、11カ月休職

気づかないうちに限界点を突破

 新卒で入社して半年たったある朝、突然、家から出られなくなりました。1カ月前くらいから、吐き気や頭痛がありましたが、いきなり動けなくなってしまったので、私自身、驚きました。会社が提携しているカウンセリング機関に電話し説明したところ、すぐ休職扱いに。上司にも「長期になりそうです」と伝えました。もともと学生時代からため込んでしまう性格だったので、入社して感じていたストレスも「働き始めたばかりだから」と勝手に納得していました。
 あとから考えると、インフラ運用という仕事に対する、「絶対にシステムを止めてはいけない」という命題が自分のなかにあり、それをやりがいと感じられるときと、失敗できないプレッシャーと感じられるときとで整理がつかなくなり、さらに周囲に相談もうまくできず、どんどん自分のなかでたまっていき、いつの間にか限界点を突破していたんだと思います。

復職が実感できるまでに7カ月

 会社の寮に住んでいたので、休職していることがとにかく後ろめたくて、休職直後は会社の人に会わないように、ほとんど外出せずに過ごしていました。休んでいるだけじゃダメだと思いつつ、もう何をしていいのかもわかりませんでした。
 それから3カ月たってカウンセリングに行き、まずは「朝起きて夜寝る」「食事は3食」など規則正しい生活を心がけるようにしました。少しずつ生活を変えていくきっかけを得るうちに、気持ちにも変化が表れてきました。これまでできなかったことができるようになると、些細なことでも自信になるんです。ようやく、外を歩けるようになりました。さらに3カ月たったあたりで、薬の量の多さに疑問をもつようになり、思い切って先生に相談したら「減らそうと思う時点である程度治っていると思う」と言われ、目の前がパーッと晴れてきました。とても遠くて現実感のなかった復職が、このころからようやく実感できるようになり、その後1日のスケジュールを出社と同じリズムにして、復職の準備を始めることになりました。
 先が見えてきたので上司に連絡をしたら、「戻ってくるのを待ってる」と言ってもらえました。本当にうれしくて、心から頑張ろうと思えたんです。

野々村さん(仮名)
野々村さん(仮名)
25歳 独身 インフラ運用
これまでの経緯
2007年9月
症状が出始める
↓
2007年10月
出社できなくなり、休職
↓
2008年5月
服薬終了
↓
2008年9月
復帰
休職中に、環境も整備されていた

 休職から約11カ月。いきなり5日間は厳しいので、金曜から復帰しました。休職しているうちに会社の事情も変わり、個人が業務を抱えることがないように設計されていたり、何かがあったときにリカバーできる環境づくりを積極的に行っており、「システムが止まったらどうしよう」に悩むのではなく、「どうしたらいまより良くなるのか」を考えられるようになりました。また、長く休んでいるうちに人の入れ替わりもあり、気負わずに職場復帰ができました。
 もともと、人が便利に暮らせる仕組みにかかわりたいと思い、選んだインフラの仕事。休職前は言いたいことや疑問をのみ込んで、プレッシャーばかりを背負っていましたが、いまは対処法も見えてきたので、今後は立ち止まらずにやっていけるかな……と思います。

治療に専念するため休職から退職、そして転職へ…

ノイローゼ気味になり、倒れる

 私のストレスは、仕事ではなく家庭の事情でした。家族とうまくいかず、5年前から約2年間、問題解決のために悩み続け、ノイローゼ気味になっていました。その頃から病院には行っていたのですが、解決の糸口が見えないまま仕事を続けていくうちに、ストレスは蓄積され、ある日とうとう爆発してしまいました。倒れて車で病院に運ばれたんです。
 倒れてしばらくは、立てない、何もできない状態だったため、休職することになりました。もともと上司には、病院に通っていることを伝えていたので、事情は理解していただいていました。しかし、3カ月間療養してもなかなか治らず、一旦退職して治療に専念しようと思いました。

しばらくは「何もしない」

 人間関係のストレスだったので、問題解決には時間がかかりました。どうしても、何とか打開策を見つけようとして悩み、無理を続けて、結果的に自分自身を追い込んでしまっていたようです。けれど休んでいるうちに、「自分が頑張れば何とかなる」という考え方をやめて、「何もしない」「放っておく」くらいの考え方に切り替えた頃から、気持ちがだんだん落ち着いてきました。
 退職してから3カ月、「変わらなきゃいけない」と思い、きっかけがほしくて転職活動を開始。すぐに仕事が見つかるわけではありませんでしたが、月に1回の通院が必要なことを、面接ではきちんと伝えていました。前向きに転職活動を続けていくうちに、理解のある会社で、しかもこれまでの経験が生かせる仕事が見つかり、まずは契約社員という雇用形態で入社が決まりました。

小谷さん(仮名)
小谷さん(仮名)
34歳 独身 客先常駐SE
これまでの経緯
2003年
ノイローゼ気味に
↓
2004年3月
休職から退職
↓
2004年6月
入社
↓
2005年
通院終了
入社の翌年、通院も終了

 入社後は徐々に仕事にも慣れ、体調も快方に向かったため、入社した翌年に医師の判断をもらい、無事、通院は終了しました。また、入社時は契約社員でしたが、その後正社員になりました。仕事内容も、お客様のところで泊まり込みなどはありますが、代休もあるし特に不満はありません。
 5年前、最初に自分がうつ病かもしれないと知ったのは、他人からの指摘でした。また、倒れて動けなくなったときは車で病院まで運んでもらったり、転職のときは通院を理解していただいたりと、周囲のサポートにはとても助けられました。一歩一歩でも、何とか進んでいけば、道は開けていくものだと思います。

<Data>37%のエンジニアは、会社のメンタルヘルス制度に他人事
<Data>37%のエンジニアは、会社のメンタルヘルス制度に他人事  以前に[Tech総研がエンジニア741人に聞いたアンケート]では、企業のメンタルヘルス対策を「かなり必要性が高いと思う」63%に対して、「自分には関係ないが必要だと思う」26%、「あまり関心がない」7%、「会社が実施することだとは思わない」4%と、37%が自身にかかわる制度だとは感じていない。しかし取材した3人のエンジニアは、体調に変化をきたしたときに、まず会社のメンタルヘルス制度を利用していた。事情を上司に伝えたり、休みを取る場合は会社のメンタルヘルス制度を利用したほうが何かと便利であることは間違いない。必要になったときに困ることのないよう、念のため会社の制度は確認しておいたほうがよさそうだ。

リクルートエージェントに聞く メンタルな事情の伝え方

 メンタルな事情で長く休養を取ったり、治療のために会社を辞めた場合、転職先の企業にはどのように伝えたらいいのか。そこで今回は、キャリアサポートのプロであるリクルートエージェントの塩間氏に話を伺った。

まずは退職よりも休職を

 心療内科に通われている方や、精神的に疲れてしまい休職して、職場復帰か転職か迷っている方、転職を決意し退職理由をどのように伝えたらいいか悩んでいる方など、ストレスから体調を崩されてご相談をいただくケースが増えています。  まず、私たちがお勧めするのは、企業や周囲に理解があるのであれば、やはりしっかり休養を取って、上司の方や、いらっしゃれば産業医の方と相談しながら職場復帰をするという選択肢です。転職して会社を替えること自体がストレスになるので、結果的に再発してしまうことが多く見受けられます。入社後半年くらいの短い勤務期間なら別かもしれませんが、例えば3〜4年勤めてご自身もなじんでいる企業であれば、まずは休職しその後部署を変えてもらうなどして、少しずつ仕事を始めるほうが無理はないのではないかと思います。実際、部署などが変わることにより前向きに取り組めるケース、元気を取り戻されるケースなどを多く見ていますので、あくまでも退職については復帰後に検討されたほうがいいですね。

塩間 範子氏
株式会社リクルートエージェント
事業推進ユニット キャリアサポート部
キャリアサポートグループ
グループマネジャー
塩間 範子氏

休職、退職理由は明確に

 社風などの問題で、どうしても復帰が難しい、戻っても辛いと思われる場合は、退職という選択肢になりますが、そのときはやはり辞めた理由を明確にし、企業にも伝えたほうがいいように思います。詳しい病名まで伝える必要はないかもしれませんが、退職理由は必ず聞かれますので、なぜそういう状況になったかの自己認知ができれば、次はそうならない職場を探すことができるのではないでしょうか。
 また、休養期間についても、回復していまは元気であるならば、治療のために休んでいたことは正直に言ったほうがいいと思いますね。うつ病は、まじめで一生懸命な人が多く、逆に会社にとっては貴重な存在でもある方なので、採用されているケースも多く、決してそこで悲観的になってほしくはありません。「本人から伝えにくい」という場合は、先に私どもに言っていただければ、企業側にも伝えておくなどサポートをすることもできます。


焦らず、休養はしっかりと

塩間 範子氏

 これはどうしてもお伝えしたいのですが、メンタル疾患などで会社を辞められて転職活動をする場合は、完治してからにしてください。焦りや生活面から、無理をして失敗される方が本当に多いんですね。仕事を辞めて1〜2週間で転職活動を開始してしまう方がいらっしゃるのですが、せっかく治ってきたのに面接や再入社のプレッシャーで、せっかく上がっていた調子がガクンと落ちてしまうのです。新しい方と会ったり、慣れない仕事を始めたりと、転職はストレスがかかります。新しい会社を3日や1週間で辞めてしまう例を多く見ているので、休養期間はしっかり取って、万全の態勢で臨んでほしいと思います。でないと同じことの繰り返しになり、ご自身がどんどんつらい状況になってしまいます。
 うつ病は治らない病気ではありませんし、恥ずかしいことでもありません。しっかりと休養を取って治療し、元気になったのであれば、隠さずに企業に事情をお伝えしたほうが、転職活動でも良い企業やよいポジションにめぐり合える可能性が高いと思います。


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タニー只野(総研スタッフ)からのメッセージ タニー只野(総研スタッフ)からのメッセージ
うつ病にかかって突然会社に来れなくなってしまい、1年間休職して復帰した後輩がいます。優秀な人だったので、いろんなことを考えすぎてしまったのかもしれません。現在は、休職したのがウソのように、明るく元気に仕事を続けています。忙しい日々が続くと疲労で体が弱るように、精神だって疲弊してきますよね。お休み、大事です。

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