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実録 求人魂!知られざるエンジニア採用の舞台裏 vol.3 これも採用?自社勉強会に外部エンジニアを無料招待! 実録 求人魂!
中身に自信のある中小企業は、優秀なエンジニアと出会う手段が採用上で最大の課題になる。規模だけを見れば大手とはいえない規模のケペルだが、案件のほとんどが元請けという魅力度の大きな企業。やはり技術者との接触に独自の手法をとっていた。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:08.11.07
今回の求人魂! ケペル株式会社 実は受託開発の100%近くが元請け
ケペル株式会社 ケペル株式会社は独立系のシステムインテグレーター。社員数がグループ全体で100人弱というから、それだけで評価すれば数多のソフトウェアハウスに埋もれてしまうような企業である。ところが同社では、受託開発の大部分が元請けのプロジェクトで、しかも大手金融などの会社から直接発注されている。つまり最大手のハードベンダーなどと同等なポジションの企業である。業界特有のピラミッド構造から抜け出すため、「下請けはしない」という考え方を徹底した末に実現できたそうだ。そこに至るために、同社ではエンジニアにもビジネス教育を行い、組織体制や評価制度とも連携した直接受注戦略を進めてきたのである。こうして優秀なエンジニアのほうから“ぜひ入りたい”と言われる会社となったケペル。次の課題として、より多くの優秀なエンジニアと出会う手段を考え出した。このユニークな手段について、執行役員でもある東京支社長の高井氏に伺った。
求人背景:次々と寄せられる案件に対応していくために
社員数がグループ全体で100人弱と聞くと、業界内の事情に詳しければ詳しいほど、よもやケペルが大手クライアントから直に受託しているとは考えないだろう。二次請けどころか三次、四次請けと思われてもおかしくない規模だ。それゆえ、公募ではなかなか優秀な応募者が集まらないというジレンマがあったに違いない。続々と寄せられる依頼に比して、Web系エンジニアやeコマースサイトの開発者、金融系エンジニアが必要となっているようだ。そこでケペルでは、企業成長のエンジンとなる人材の確保について、独自の方法論を取っている。
高井淳氏
ケペル株式会社 執行役員 東京支社長
高井淳氏
「ケペル」の求人魂! その1 定例の社内勉強会に外部エンジニアが自由参加できる!
元請けSIerらしく、ケペルでは全社員がプロジェクトの上流工程やマネジメントスキルを学ぶ必要があり、先端技術のキャッチアップも不可欠といえる。そのため、社内勉強会が2年前からほとんど毎週欠かさず開催されている。「講師はスキルレベルの高い幹部社員が務めることが多いのですが、時として若手社員が外部研修で得た内容を社内で共有する目的で講師となったりします。テーマはテクニカルなものから業務知識に関することまで多彩で、社員の希望を吸い上げて決定されることが多いですね」。ここまで聞けば、社員教育に精力的な企業ならば珍しいといえるようなことではない。ケペルが一線を画しているのは、そうした貴重なノウハウを提供する場を、社外に向けて広く公開していることにある。つまり、ケペルの社内勉強会には、無料で誰でも参加できるのである。毎回十数人前後の参加者が集まるそうだが、HPなどで開催を知った外部からの参加希望者は、多い時で6〜7人ほどいるそうだ。オープンにした理由を高井氏は次のように語る。

勉強会の様子
勉強会では少人数スタイルで、社員・外部エンジニア問わずざっくばらんな議論が交わされる
「外部の企業の研修に無料といえども自主的に参加する意欲のあるエンジニアは、それだけでも向上心のアンテナを張り、行動力に優れていることが証明されます。私たちはそうした意欲的な方と出会いたいと考えているのです。そうしてケペルを知ってもらい、転職先として応募いただけたら幸いですし、社員にならなかったとしてもいずれ仕事上でお付き合いする可能性は低くありません」。そう、このようにケペルでは社内勉強会はリクルーティングにも有効なイベントと位置づけているのである。実際に、2年間で5人のエンジニアが勉強会を通じて入社している。高井氏の構想どおり、公募ではなかなか応募してくれそうにもない優秀な方々だそうである。高井氏はこの勉強会を通じた採用のよさがまだあると続ける。
「社員も外部から参加者が来ることで刺激を受けます。それに、参加者にはありのままのケペルを見てもらえる。技術力、社内の雰囲気、そのほか通常の面談では伝えきれない生の情報を提供することができます。私たちの理念やビジネスのレベルをぜひ知っていただきたいですし、勉強会の参加を経てから転職することになれば、入社後にがっかりされることも避けられます」
「ケペル」の求人魂! その2 技術者コミュニティ経由の応募も
ケペルでは社員が月に1〜2回、社員の人脈などで呼びかけた技術者コミュニティの交流会を開催している。通常は食事をしながらの情報交換だそうだが、夏にはバーベキューイベントも開催される。そして、ケペルはこのイベントに参加した社員が使った経費は会社持ちとしている。その理由を高井氏は……。
「自分の分はもちろん、イベントに一緒に参加した家族の分も会社負担で運営しています。レクリエーションの支援という意味も、業界内で社員に人脈を形成してほしいという思いも、両方あります。それに、この交流会やイベントでケペルのことを知った優秀なエンジニアが、入社を決めたこともあるのです。定例の勉強会と同様に、優秀なエンジニアに生のケペルの魅力を知ってもらえる場だと位置づけているのですね」
エンジニアが集まったコミュニティという性格上、現場で活躍するエンジニアたちの日ごろの思いが詰まった率直な意見が飛び交うことだろう。そんな交流会では、他人の芝生が青く見えることが多いものだ。それでも、こうしたイベントに参画する社員をバックアップするケペルという会社に、優秀な社員が社外に流出する懸念よりもつなぎ止められるという確信と新たに優秀なエンジニアを呼び込む自信を感じた。
お花見の様子
フットサルの様子
お花見にフットサルにバーベキューetc.……さまざまなイベントを通して、ケペルの本当の姿を知ることができる
今後の展望:システム会社初の事業会社コンツェルン構想
「元請けから五次請けまで連なるケースまである業界特有のピラミッド構造から抜け出すため、元請け受注にこだわってきたケペルが目指しているのは、システム会社初の事業会社コンツェルン構想です。システムインテグレーションとコンサルティングで培った事業ノウハウやITスキルをベースに、“SIerであるわれわれ自体がビジネスをつくり、その事業子会社を束ねていく”ことを考えているのです」。高井氏たちは、大手事業会社がシステム子会社をつくる従来のパターンとは逆のことを考えているである。実際に既にひとつ、在宅医療とインターネットを結びつけた遠隔診断システムを提供する企業を立ち上げている。そうした壮大な構想に向け、Web系や金融系のソリューションを提供できるエンジニアを一人でも多く採用したいと高井氏は言う。
高井淳氏
「システム会社初のコンツェルンを目指す」と力強く語る高井氏
今回の求人魂! 理念、技術力、業務内容、待遇。そのすべてに自信があるから、採用活動ではない場でも優秀なエンジニアを応募に向かわせられる。
いかに多くのエンジニアとアクセスできる状況をあの手この手でつくったとしても、それがきっかけで優秀なエンジニアを呼び込めるほど採用は簡単ではない。ケペルが、常識的な採用方法だけに頼らず、独自の方法で採用に成功しているのは、ひとえに会社自体に魅力があるからにほかならない。元請けにこだわり、プロジェクトを企画段階やコンサルフェーズから動かしていく仕事があること。それゆえ、プロジェクトマネジャーやコンサルタントを目指せるキャリアパスがあること、さらに元請けだからこそ実現した規模からは考えられないような待遇などが、大手に転職してもおかしくない市場価値の高いエンジニアを惹き付けているのだろう。加えて、システム会社初の事業会社コンツェルン構想など、そのビジョンも壮大で魅力的だ。採用が順調に進み、一定の規模を超えたときに、業界中がケペルの先駆性や構想に震撼することだろう。
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