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テックハニー“きゃんち”の突撃☆会社訪問 Vol.31 驚きの次世代映像&放送技術をバリバリ研究できる職場
3300万画素のスーパーハイビジョン、1秒間に100万枚の画像を撮影する超高速度カメラetc.……目の前で繰り広げられる最新テクノロジーの数々に、きゃんちもただただビックリ!
(取材・文/津留有希 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:08.10.20
テックハニー“きゃんち” テックハニー“きゃんち”とは?
愛らしいメイド服に身を包んだTech総研公認レポーター。インターネットやモバイル製品など最新の技術が大好きで、アニメやゲームをこよなく愛するマニアックな素顔がエンジニアの共感を呼んでいる。その使命は「エンジニアが快適に働ける、魅力的な職場を探しだすこと」。無邪気な質問と癒しの笑顔で、エンジニアから的確に職場の魅力を聞き出す、好奇心いっぱいの天性のレポーターである。

そんなテックハニーも3年目。パワーアップを続けるテックハニーブログとともに、今年もきゃんちがエンジニアの生態に迫る!
テックハニー“きゃんち”の素顔はこちら http://www.girls-record.jp/artists/kyan_art.html
エンジニアのみなさん、こんにちは! テックハニーきゃんちです。すっかり秋めいてきましたね。朝晩は冷え込むことも多く、体調を崩しやすい季節ですが、みなさんは大丈夫でしょうか? せっかくの食欲の秋、しっかり食べて元気に過ごしましょう♪
さて、今回突撃する企業さんは、放送技術を専門に研究している、日本で唯一の研究所さんです! まだ一般化されていない次世代の映像が見られるということで、とっても楽しみ。では、行ってきます♪
今回訪問した企業プロフィール:NHK放送技術研究所
放送の進歩発達に寄与する技術の研究を行うNHKの研究施設として1930年設立。スーパーハイビジョンをはじめとする高質感・高臨場感映像音響、ユースフル・ユニバーサルサービス、高度コンテンツ制作、放送デバイス、など、便利で豊かな放送の実現に向けて研究開発を進めている。
http://www.nhk.or.jp/strl/
今回案内役のエンジニアプロフィール
日下部裕一さん(34歳)
(写真左から二人目)
超高精細映像研究グループに所属している日下部さん。臨場感あふれる映像の感動を一般家庭でも楽しめる日を夢見て日夜研究にいそしんでいる。
田口誠さん(33歳)
(写真右端)
次世代地上放送研究グループの田口さん。津波や地震などの災害情報を素早く、確実に、多くの人に届ける緊急放送の伝送技術を研究している。
北村和也さん(33歳)
(写真左端)
特殊情報入力デバイス研究グループの北村さん。超高速度カメラによる別世界を見せてくれる映像を鮮明に、長時間撮影できる技術を探求中。
3つの職場の魅力No.1:これが次世代映像! 衝撃のスーパーハイビジョン
きゃ こんにちは! テックハニーきゃんちです。今日はよろしくお願いします! さっそくですが、日下部さんの研究テーマ「超高精細映像」とはどのようなものなんでしょうか?

日下部 私は「スーパーハイビジョン」の映像を、高精細・高画質に表示できるプロジェクターを研究しています。現在のハイビジョンの次の世代のものです。現在のハイビジョンの画素数は約200万画素なんですけど、スーパーハイビジョンは約3300万画素です。縦が約4000画素、横が約8000画素もの多くの画素から構成されていて、とてもクリアに映像を表示できるんですよ。

きゃ 今のハイビジョンだって十分キレイに映るのに、その16倍以上もの画素が! いったいどのくらい細かい映像なのか私には想像がつきません〜!

日下部 あとでぜひご覧ください。開発中のものですが、巨大スクリーンでお見せできますよ。

きゃ あの、つかぬことをお伺いしますが、例えば人の顔なんかもクッキリ映りますよね……?

日下部 それはもちろん、毛穴まで映ります(笑)。

きゃ やっぱり(笑)。テレビに映るほうとしては困ってしまいますね……ハイビジョンでも苦労しているのに〜(苦笑)。

日下部 あはは、そうですよね。でも、もともとテレビって、遠くのものを映す機械だと思うんですよ。日常では行けない場所、見られない景色などをね。その場にいるのと同じような臨場感を感じられるもの、映像の中に没入していける、現実と区別のつかない映像世界を提供したいんです。

きゃ よりリアルに感じられる映像をつくる技術って、具体的にはどのようなものなんでしょうか?

日下部 映像って、赤と緑と青に光る点で表現されているんですけど、そういう点の数を増やすだけでなく、光る点の輝度の範囲も拡げることで深みのあるリアルな映像をつくり出しています。

きゃ 輝度って、明るさですよね。まぶしい白から、暗い黒までの差。

日下部 そうです、そうです。白と黒の明るさの比をダイナミックレンジというのですが、従来だと1000:1くらいなんですけど、このプロジェクターでは、100万:1もあるんです。では、実際にご覧ください。こちらが今回実現された「黒」になります(スクリーンに黒い色を照射)。

きゃ えええっ、真っ黒です、本当の闇です! 映像を出すということは光を出すことだから、普通は映像で「黒」というとダークグレーというか、ぼんやり明るいですよね。でもこの「黒」の表現は、本当に真っ黒。ビックリしました!

日下部 でしょう。このダイナミックレンジをもって映像を映すと、本当にリアルになるんですよ。ご覧ください(スクリーンで画像を再生)。

きゃ 上の写真がそれなんですけど、すごーい、CGの文字が浮き上がって見えます! 巨大スクリーンで動画を見ると本当にその風景の中にいるみたい! どうして立体感や奥行きまで感じるんですか!?

日下部 それは映像が高精細で、かつ輝度のダイナミックレンジが広いからなんですね。また明るさの違いも細かく表示できるので、微妙な色や明るさの変化を最大限に表現できるんですよ。

きゃ これが家庭で見られたら、世界が変わりますね〜! このリアルさは、まさに「次世代の映像」という感じ。すごすぎます!
ほかにこんなところも・・・


巨大スクリーンに映し出される高精細な映像に圧倒されるきゃんち
3つの職場の魅力No.2:災害情報をいち早く届けるため! 使命ある研究にいそしむ
きゃ 田口さんは、緊急放送の研究をなさっているとか。

田口 はい。地震などの災害情報や、それに伴う津波警報をお届けする「緊急警報放送」と、地震発生直後に揺れの到達時間や震度を予測してお知らせする「緊急地震速報」のふたつを、素早く、確実にお届けする技術を研究しています。

きゃ 津波の警報が届かなくて、釣りや海遊びをしているときに逃げ遅れたら大変ですものね。

田口 そうなんです。けれど、今まではテレビやラジオの近くにいないと警報や速報を知ることができませんでした。私が研究しているのは、ワンセグ信号を使って携帯電話などのワンセグ受信端末を自動起動させて、そこに「緊急警報放送」や「緊急地震速報」などの緊急情報を表示する技術です。

きゃ なるほど、携帯電話でリアルタイムに情報を見られたら場所を選びませんね。

田口 ええ、家の外であろうと、通勤途中であろうと、いち早く情報を得ることができます。被害を最小限に止めるためにも大切な技術です。

きゃ どうしてまだ実現されていないんでしょうか?

田口 例えば現在の携帯電話ですと、ワンセグ画面を立ち上げるのには10秒程度の時間が必要でしょう。また、素早く自動起動させるためには、スタンバイ状態のときに常にワンセグ信号の中の緊急放送用の信号を監視している必要があるんです。そうするとバッテリーの消耗がどうしても早くなってしまうんですね。そこを解決して、いかに低消費電力で、確実に情報を伝送するかが、研究の主なテーマです。

きゃ なるほど〜。あ、それなら携帯電話の基地局を通せばいいんじゃないですか? 災害情報のメールを一斉送信すれば解決するような気がするのですけど……。

田口 それだと、多くの人に素早く送ることは難しいらしいですよ。場所によっては、回線が込み合うことがあるようです。放送の電波は、東京タワーなどのいくつかの電波塔からいっせいに送られるから大丈夫なんですよ。

きゃ あ、確かにそうですよね。花火大会の会場とかだと、込み合っていて携帯電話からメールが送れなかったりします! だからワンセグ信号なんですね〜!

田口 ええ。とくに「緊急地震速報」は、あと数秒から数十秒で到達する地震の揺れを予測して配信しますから1秒でも早く情報をお届けすることが最も大切なのです。携帯電話への応用はまだ研究段階ですが、試作でつくったものをお見せしましょうか。

きゃ みなさんは上の写真をご覧ください。これは……目覚まし時計ですか?

田口 はい、自動警告機能付きの目覚まし時計です。これは、ワンセグの電波で送られてくる気象庁発の「緊急地震速報」の情報をキャッチして自動的に警告を発するんですよ。

きゃ すごーい! 寝ているときに「もうすぐ揺れがくる!」って起きれば、机の下に隠れたり、ストーブを止めたりする時間が取れますよね。携帯電話はバッテリーの関係で難しくても、これはすぐにでも商品化できそうじゃないですか!?

田口 そう簡単でもなくて(苦笑)。これはワンセグ信号のAC(放送波の伝送制御に関する付加情報チャンネル)を使用するので、実際に運用するためには制度や放送規格の改正が必要なんですよね。

きゃ う〜ん、技術を進歩させるだけじゃなくて、いろいろな部分を変えていかなければならないんですね。さすが最新技術! 大変だけど、すごくやりがいがありそうです♪
ほかにこんなところも・・・


近い将来にはワンセグ携帯にも届けられるように、研究開発が進められている
3つの職場の魅力No.3:超高速度カメラがとらえるのは、驚きの別世界!
きゃ 北村さんのご専門は、超高速度カメラの研究だとか。画素が多いなどのうたい文句は聞いたことがありますが、カメラに「高速」っていう形容が付くのは不思議な感じです(笑)。

北村 ははは、聞き慣れない言葉ですかね。超高速度カメラというのは、ひと言で言うと非常に速い現象を撮影してゆっくりと再生できるカメラのことです!

きゃ ああ、なるほど! ということは、スローモーション映像で使われるんですね。

北村 そうです、高速で動く物体が、いったいどのような動きをしているのかを撮影できます。私が研究に携わっているこのカメラも、スポーツ番組や自然番組で実際に使われていますよ。

きゃ あの、動画というのはつまり、連写した画像をパラパラ漫画みたいに動かして見せているわけですよね?

北村 そうです。高速度カメラというのは、1秒間により多くの画像を写すことのできるカメラのことです。

きゃ 普通のカメラでは、動画はどれくらいの速度で撮っているんですか?

北村 普通は1秒間に60枚の画像を撮っています。私たちの開発したこの超高速度カメラは、1秒間に最大100万枚の画像を撮影できます!

きゃ ええっ、100万枚ですか! それは……60枚とは次元が違いすぎますね。

北村 CCDの受光部に直結してメモリを組み込むという独自の方式を採用することで、この速度が実現できました。
水風船を針で割ってみてください。割った瞬間の映像を撮影できますよ。

きゃ おおー、ホントだ! 上記の写真は割ったところなんですけど、はじけた瞬間って、水の形は空中に残っているんですね! こういう肉眼ではぜったいに見られない瞬間を見ると、技術の進化を実感します。

北村 動物番組でも使っています。たとえば水上を走るバシリスクというトカゲがいるのですが、どうやって沈まずに2足歩行で水上を走っているのか、その全貌をコスタリカまで行って撮影できたときは感動しました。

きゃ あはは、かわいい! 必死に水の上を走ってますね〜(笑)。速度としてはこの超高速度カメラで十分だと思うのですが、現在は何を研究なさっているのでしょうか。

北村 これ、撮影時間が短いという問題があるのです。撮影速度にかかわらず144フレーム分しか撮影できないんですよね。最近では入射光を分割するスプリッターを使って、ふたつのCCDに撮影できる装置を組むことで、撮影時間をこれまでの2倍にすることができています。でも、長い時間の撮影が必要な被写体もありますから、まだまだ研究途上ですね。
この研究所にはクリーンルームなど、デバイスの実験をする設備もそろっているし、研究のやりがいはあるところですよ。

きゃ ぜひ、もっと驚きの超スローモーション映像を見せてください☆ 今日はみなさん、貴重な研究成果を見せてくださって、ありがとうございました! これハニー“きゃん”ディーです。これで元気になって、バリバリ研究を進めてくださいね♪

日下部田口北村
ありがとうございます、いただきます!
ほかにこんなところも・・・


こちらが超高速度カメラの本体。この中の特殊CCDが一瞬をとらえる
ほかにもこんな魅力も!そして今後の野望!!
日下部 今の研究テーマであるスーパーハイビジョンが、現実に家で楽しめるテレビになることが第一目標。伝送技術と撮影・表示技術の両方の開発が必要なので大変なことだとは思いますが、この感動をお届けしたいですね。
田口 私はこの研究所に来て3年になります。自分が担当している研究が、早く製品化され、みなさんのお役に立つこと、研究所の成果が現実のものになることを目標に頑張っていきたいですね。
北村 現在は超高速度カメラの開発チームの一員として開発にかかわっていますが、いつか自分が原理から考えて作ったまったく新しいデバイスを世に出したいです! 大きな野望ですが、実現してみせます。
テックハニーきゃんちの「職場の魅力」今日も発見!
「技術で生活が豊かになる」って、真実なんでしょうけど、今までピンとこなかったんです。でも、テレビって身近な存在だし、毎日のように接するものだから、次世代の新しい放送技術を見せていただくと、本当に「技術って、研究者って、すごいなあ〜!」と実感できました。みなさん、やっていることはそれぞれですが「放送を、よりよいものにしていく」という目標は一緒なんですよね。その恩恵を私たちも確実に受け取っているのだと思います。
 研究って孤独なものというイメージがありましたが、年に1回、研究テーマを話し合って決めて、協力してやっていくというチーム体制もいいなと思いました☆
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