目指せ世界新記録!?「水泳」で静寂＆浮遊感を体感！

高速水着着用による世界記録の続出や、今月開催される北京オリンピックに向けて注目が集まっている水泳。全身運動といわれる水泳は、脱メタボの観点からもおすすめのスポーツだ。水着さえあれば安く気軽にできる。さああなたも今夜、会社帰りのプールで快汗を！

（取材・文／ぱうだー　総研スタッフ／山田モーキン）作成日：08.08.04



			水泳は医学的にも優れたスポーツであり、水圧による血行促進や浮力がリハビリにも活用されている。競技での個人メドレーはバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形（クロール）の4種目で構成される。最近ではスピード社製水着での驚きの記録更新が話題となった。また2008年8月に開催される北京オリンピックでは日本水泳陣、特に平泳ぎの北島康介氏の活躍に注目が集まっている。


小泉飛鳥氏

スイミングスクール「Aty Swimming（エーティースイミング）」代表インストラクター。3歳から水泳を始め、大学時代は数々の競技会に出場。かの北島康介氏とは小さい頃からの練習仲間で後輩。「水中は宇宙遊泳と似ているかもしれない」と語る、筋肉が逞しい29歳。 Aty　Swimming http://www.aty-swimming.com/

次々と世界新記録を打ち出しているスピード社製の高速水着で今、注目を集めている競泳。特に今月、北京オリンピックが開催されてTVで目にする機会も多くなるはず。
そこで今回は江東区辰巳にある辰巳国際プールでレッスン中の、スイミングインストラクターである小泉氏をインタビュー。脱メタボで健康やお腹まわりに関心が集まる今、全身運動として効果が高いといわれる水泳事情についてお話を伺った。

大人の生徒さんは多いですね。水泳は浮力があるので体重の負担が少ない。ウエートを気にする方は特に始めやすいと思います。年配で「水が怖い」という方でも、レッスンを受けているうちに水に慣れて、だんだんと泳ぐ面白さにハマっていくこともあるんですよ。

子供の場合、小学生まで水泳を習わせる親御さんは昔と変わらず多いです。中学校になると、受験やほかのスポーツへの興味でやめてしまう人が多いですが、大学まで続ける生徒さんは競技に出るケースがほとんどですね。

まずは入念な準備体操をする。プールに入る前の基本

こちらではレベルに合わせてクラスを分けています。ほとんど泳げない・まず健康になりたいという初級、泳ぐのは苦じゃないけれどスキルにいまいち自信がないという中級、また私のように以前選手として競技会に出ていた人たちが集まって大会を目指すサークル（上級）まで幅広いです。

生徒さん一人ひとりをきちんと見たいので、ひとつのクラスは多くても8人まで。授業はひとクラス55分。なかには「せっかくきたんだから」といくつも連続して受ける生徒さんもいらっしゃいますね（笑）。

いよいよ飛び込み台に。ここからがスタート



		(左上から時計回りで) ①初心者にとって最も難易度の高い「バタフライ」　②前に向かって勢いよく腕を進ませる「平泳ぎ」　③腕を大きく水面に出す「背泳ぎ」　④息継ぎが重要なポイント「クロール」

「水という流体の中」ならではの面白さですね。ほとんどのスポーツって空中でやるじゃないですか。でも水泳は水の中、だから非日常という感覚が強い。
お風呂でも実感できますけど（笑）、水の中って音が聞こえなくて静かなんですよね。街中を何時間も走ると飽きますが、長時間黙々と泳いでも平気な人がたくさんいるのは、この外界と遮断されたところにあるような気がします。

「浮く」という感覚もほかのスポーツにはないところですね。陸上のスポーツだと「力むこと」が大事ですが、水泳はちょっと違う。力を入れる＋力を抜く、このバランスが大切なんです。水という不定形な流体の中を推進するには、力むだけでは沈んでしまう。柔らかいだけでつかめなかった水が、ある日身体に集まっている感じがしたときは、泳ぎがうまくなった証拠だったりするんですよ。

世界的な大会も数多く開催される「東京辰巳国際水泳場」

息継ぎで壁にぶつかる人が多いですね。息をしなかったら25ｍいけるのに、息継ぎをすると途端に苦しくて途中で立ってしまう。そういう人は「息を吐いてない」｢息を吐きすぎ｣｢空気が肺に入っていない」のどれかなんですね。原因に合った指導を受けると、もっともっと楽に長く泳げるようになりますよ。

大人の男性で多いのはバタフライ挫折。バタフライを習う時期（小学校高学年）と中学受験が重なるのか、チャレンジしてもだめだったのか、泳ぎは得意でも「バタフライはちょっと……」という人が多いんです。バタフライが続かない方の多くが、身体を使ったうねりをつくり出せていないんですね。沈んじゃいけないと思いすぎて、身体が平らになっているから、かえって全体が沈んでいってしまう。そういう方はまず沈む・浮くという「うねりの強調」を意識すると上達していきますね。

小泉氏が愛用しているゴーグルやキャップ

「いきなりバリバリ泳げない」という方は、まず水中を歩くことからおすすめしたいですね。プールはお風呂と違って広くて静か。顔を水につけると水中の静けさも実感できますから、考え事にもおすすめです。
結構泳げる方は、距離を延ばすことを目標にするといいですよ。水泳は、楽に泳げる＝うまくなる＝運動になるという特徴があるんです。毎日1000ｍ泳ぐ、なんていう人がいると周りはびっくりしますが、実は楽じゃなきゃできないんです（笑）。

泳げる距離が延びてくると、柔らかい筋肉がついてきますから体つきも変わってきます。健康面だけじゃなく、スタイルアップにも効果的な水泳。水着さえあればすぐできる気軽さもいい。これから始める方にはリフレッシュのためにも、ぜひ時間を空けずに続けてもらいたいですね。

「水の中」の魅力について語る小泉氏

ひげぽんさん

2ちゃんねるから火がついた「Mona OS」開発者。はてなを経て、現在サイボウズ・ラボに勤務。通勤用自転車でお気に入りのプールを探す日々。31歳。

20代後半になって、お腹のお肉が気になってきて……。全然運動しない毎日を送っていたこともあって「よし！運動でやせるぞ！」と思ったのがきっかけですね。
実は僕、小さいころのび太だったんです。小学校のころなんか、本当に足が遅くて体育はいつもC。運動神経がないことを痛いほどわかっていたので「チームプレーのスポーツなんか選んだら、みんなに迷惑がかかってしまう！ここは個人競技しかないだろう！」と思って水泳にしました（笑）。

始めたばかりのころは、25ｍぎりぎりしか泳げなかったので、まず50ｍを目標にしました。スクールに入ってもよかったんですが、自分のコンプレックスのせいか、なんだか怒られそうな気がして（笑）｡　ひとりで泳ぐことにして、本を買って勉強したり、隣で泳いでる人をこっそり観察してました。
このとき週1、2回は目黒区や渋谷区のプールに通っていましたね。たまたま「はてなグラフ」で自分が泳いだ距離を公開したんですが、そうすると応援してくれる人がでてきちゃって。見ている人がいると思うと、サボれないのでよかったですね。

最初はひとりでプールに通っていたんですが、だんだん仲間が増えてきたんです。はてなにいたころだったので「はてな水泳部」なんていう部活までできちゃって（笑）｡職場の理解もあって「毎週火曜日は部活」と決めると、プールに行ける時間には帰れるようになりました。
みんなと一緒に泳いでわかったんですが、一緒に楽しめる仲間がいたほうが、運動のモチベーションが上がりましたね。

泳いでいる間は自分と会話をすることが多いですね。泳ぎながら仕事の課題を考えて、自分を追い込んでいく。そんなときにふと大事なヒントが浮かんだりします。
水の中は外界から遮断されますから、邪魔するものがない落ち着く空間です。温水プールだと、お母さんの胎内にいるような安心感があります。そんなほかから情報が入らない環境だからこそ、発想力につながるのかもしれませんね。

これから水泳を始めるエンジニアには、まずいい道具（水着、ゴーグル）を買うことをおすすめしたい。いい道具を買うと途中で簡単にやめられないですから（笑）｡道具といえば最近のスピード社製の水着、すごく興味があります。あの水着で僕がいったいどのくらい速くなるか、ぜひ試してみたいですね（笑）｡