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我ら“クレイジー☆エンジニア”主義 vol.28 近未来インタフェースで実生活を変える「PlaceEngine」を生んだ暦本純一
2008年の日経BP賞を受賞した位置測定技術「PlaceEngine」や、プレイステーション3用ゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」。それらキー技術の生みの親であり、ユーザーインタフェースの世界的な権威として知られる暦本純一氏の“クレイジー”とは。
(取材・文/上阪徹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:08.04.09
クレイジー☆エンジニア
東京大学大学院教授
ソニーコンピュータサイエンス研究所
インタラクションラボラトリー室長
暦本純一氏
 研究テーマは実世界指向インタフェース。従来型のGUIやデスクトップ・メタファといった概念を超えた新しいインタラクション技術だ。利用者の置かれている状況を察知し、利用者が操作指令をしなくても、実世界での生活をコンピュータが自然に支援してくれる。そんな研究の成果のひとつが、2008年の日経BP賞を受賞した「PlaceEngine」。無線LANアクセス・ポイントのビーコン信号を利用する位置測定技術だ。
 アイデア自体が斬新だが、WiFiのみで位置情報の取得が可能なこの技術の本質は、パーソナライズされた情報をコンピュータが蓄積できることにある。例えば、よく行く街などの行動の嗜好がわかることで、新しい店舗情報などの欲しい情報が欲しいときに入る世界の扉が開くのだ。驚くべきは、こんなアイデアを、ユビキタスなる言葉がまだ珍しかった10年も前から考えていた。それが暦本氏である。
人間とコンピュータとの新しい関係を確立する
 今のコンピュータというのは、情報を操作するための道具として主に使われていて、現実社会での生活を快適にするようには設計されていません。私の研究の中心的なテーマは、人間とコンピュータとの新しい関係を確立することです。ひとつは、リアルとヴァーチャルの融合です。プレイステーション3用のゲームで2007年秋に発売された「THE EYE OF JUDGMENT」は研究成果を実用化した技術が盛り込まれています。

 また、もうひとつテーマとして掲げられるのが、インプット・デバイスです。マウスに代表されるコンピュータとのインタフェースをどう進化させるか。フィジカルな感覚やアナログなセンシング能力など、人間がもともと持っている能力をどう引き出そうかという流れです。

 例えば、人間の皮膚には気配を察知する能力があります。マウスが石のメタファーだとすれば、次のインタラクションは、もっとアナログなスキン(肌)のメタファーとでも呼んでもいいものが必要になってくるはずです。気配や意志を察知して動く。指先の持つ繊細な操作能力がそのまま伝わっていく。そのためには、センシング能力を高めることが重要です。

 未来のソファは、座り込めばどんな姿勢を人がそのときそのときに望んでいるのかをセンサがキャッチし、最もふさわしい姿勢にしてくれるものになるかもしれません。ビジネスに使われる打ち合わせテーブルは、自在にデータのファイルをテーブル上に取り出したり、名刺の交換もテーブル上で簡単にできるようになるかもしれない。

 コンピュータが実生活の中で普通に使われるようになるユビキタスコンピューティング時代に必要なのは、物体の空間的なイメージです。そのときにふさわしいユーザーインタフェースとは何か。間違いなく、従来のGUIやマウスのようなインタフェースではありえない。もっと自然に簡単に使えるものであるはずなんです。
UNIXに触れるために大学に泊まり込んだ
 私が子どもの頃には、まだマイコンなどはなかったんですよね。コンピュータといえば、小さなランプが点滅した大きな箱、というSF的なイメージ。でも、これにものすごく興味があって。NHKのコンピュータ講座をやりたいと親にねだって始めたのは小学校3年生くらい。テキストを取り寄せて。ただ、当時はキーボードなんて一般家庭にはありませんから、テキストについてきた紙に印刷されたキーボードの絵を使ってテキストのタイプを覚えたんです。小学校5年生のときには、実機がないのに、見よう見まねでフォートランとかプログラムを書いていました。

 中学に入った頃に、ようやくプログラム電卓が出始めて。でも、まだ自分には実機はなかった。この頃、同じ趣味を持つ友人に出会ったことを覚えています。でも一人だけ。彼はとても優秀な男で、模型を作る技術もありましてね。夏休みの自由課題に、電子回路のメカニズムを使って機械式コンピュータの原形のようなものを自作したんです。ところが、あまりの先見ぶりに先生にも誰にも理解されなかった(笑)。

 高校生では8ビットパソコン。マイコンクラブに入って、文化祭で乱数を使った恋占いなどをやりました。自分が作ったもので人が行列するという面白さを知ったのはこのときです。作った通りに動き、間違えたら動かないというわかりやすさも大きな魅力でした。

 大学はコンピュータサイエンスを専攻しましたが、まだパンチカードやバッチ処理の時代。インタラクティブ性などまるでない。だからこそ3年生のときにUNIXに触れたときは衝撃でした。あるソフト会社がDEC VAX-11を入れたと聞いて、アルバイトさせてもらいに行ったこともありました。ここで初めてUNIXのプログラムを書いた。いわゆるインタラクティブコンピュータに触れたんです。その後、日米貿易摩擦問題で日本の貿易黒字を減らすために外国のものを購入しようと政府が声を上げて、大学にもDEC VAX-11が入ってきました。日本初じゃないかというBSD(バークレィ版UNIX)のインストールを経験したのがこのときです。

 今から思えば、最もクレイジーだったのはこの時代だったと思います。自宅にマシンなんかありませんから、コンピュータを触るには学校にいるしかない。だから、毎日のように泊まり込んで。ほとんど大学で過ごしてた。こんなに面白いものはないと思いましたね。今もそう思っていますけど。
『暮しの手帖』を愛読していたことがきっかけ
 もうひとつ、大学時代でよく覚えているのは、初めてGUIやマウスを見たときです。それまでは論文でしか見たことがなかった。そんな時代がちょっと前まであったんです。海老名にある外資系企業の工場に初めて入ったと聞いて、わざわざ見せてもらいに行きました。強烈な体験でした。

 ユーザーインタフェースの研究に本格的に携わるようになったのは、大学院からです。コンピュータの中にあるロジカルなもの、目に見えない構造も、それだけでは機能しません。画面上で目に見えたり、触れたりするようにしないといけない。その間を、どうプログラムでつないでいくか。これが、ユーザーインタフェースです。その構成手法の研究を進めていました。

 どうしてユーザーインタフェースだったのか。理由が2つあります。ひとつは、コンピュータの巨人、アラン・ケイの論文に衝撃を受けたこと。チカチカとランプが光る大きな箱のコンピュータではなく、画面上を通してグラフィックスで対話できる。そんな世界があると知って興味を持ったことです。そしてもうひとつは、ちょっと変わった経験によるもの、といえるかもしれません。

 どういうわけだが、私は子どもの頃から『暮しの手帖』という雑誌を愛読していたんです。当時は商品テストなどの情報がたくさん出ていましてね。家電製品などが性能だけでなく、「使い勝手」と呼ばれる項目でバッサリと評価されていく。これがまた厳しくて、例えばグッドデザイン賞を受賞していても、使いにくいとなれば評価は低い。ものすごくシビアなんです。

 世の中の商品というのは、それだけ厳しくチェックされて世に出ていく。なのにコンピュータはどうなのか。コンピュータはすごいモノである。でも、使い勝手はすこぶる悪い。それこそ『暮しの手帖』なら、どんなことを書かれたか。これは設計している人の問題ではないか、と思ったわけです。これをなんとかしなくてはいけない、と。そのカギを握っているのがインタフェースだと思ったんです。
「PlaceEngine」データベース
■「PlaceEngine」データベース
 
「PlaceEngine」のアイデアそのものは98年頃からあったのだという。「デジタルカメラで写真を撮ったときに場所を残せないかな、という思いからだったんです。GPSを使う方法もありますが、時間も手間もかかる。もっと簡単な方法はないものか、と」。当時、パソコン通信で面白い情報が広まっていた。そのころPHSには隠しコマンドがあって、信号強度のパターンが取れたのだ。そうすれば、場所が基地局を介して特定できる、と。暦本氏もこの情報をもちろんキャッチし、実験もしたという。「インフラやハード環境が大きく変わり、本気で取り組み出したのが2005年くらい。無線LANのアクセス・ポイントのデータベースを蓄積し始めると、ほとんど都心部がカバーされました。しかも、GPSと違って地下鉄やビルの中でも位置を特定できる。今は70万件ほどのデータベースがあります」。
無線LAN端末
■無線LAN端末
 
小さな位置情報だけを取る専用デバイスがあってもいいと暦本氏。実際、LifeTagと呼ぶライフレコーダーを試作し、自分の行動履歴を残し、自分で活用しながら実験を続けている。例えば、日々の行動を記録し、自分の行動の嗜好を知る。「これは自分の人生のあり方を知ることです。そして、こうしたプライベートでパーソナライズされた情報をコンピュータで活用する。地図情報サービスや店舗情報サービスと連携させると、興味のある店をブックマークするだけではなくて、自分がよく行く街に関するさまざまな情報を自然に入手してくれる。「街に行くと情報が入手できるようなモデルも考えられるでしょう。コンピュータが実生活で使われるときに重要なことは、利用者のことをどのくらいよく知っているか、が重要になるんです」。「PlaceEngine」は、そのための重要なインフラになるのだ。
THE EYE OF JUDGMENT
■THE EYE OF JUDGMENT
 
暦本氏の所属するインタラクションラボラトリー室の研究成果はすでにゲームにも盛り込まれている。プレイステーション3用のゲームで2007年秋に発売された「THE EYE OF JUDGMENT」はそのひとつ。手に取って触れるカードと、触れられない画面の中のCGを統一的に扱い、ビデオカメラでカードを認識、そこにコンピュータグラフィックスを合成する仕組みになっている。リアルに掲げたカードが、画面上に現れるのだ。もともとワークステーションで動くものはかなり前からやっていたというが、プレイステーション3のようにゲーム機が発達してきたので、一般向けのゲームにも適用することができるようになってきたのだという。「時代がようやく発想に追いついてきたという感じがします」
 今やインタフェース研究の世界的権威として知られる。2007年からは東京大学大学院情報学環の教授に招聘された。その研究の大きな特色が“実世界指向”というキーワードなのだが、この方向性に一歩踏み込んだのは、就職してNECに勤務して間もない頃、意外な場所で、だったのだという。国語教師を務める夫人の誘いで行った、歌舞伎座だ。歌舞伎の知識のない暦本氏には、歌舞伎ガイドシステムなるイヤホンガイドが貸与された。歌舞伎の舞台を同時通訳してくれるのかと思いきや違う。セリフ以外の時間に小道具の意味などを教えてくれるのだ。これで、ぐっと物語の面白さが高まった。「このとき思ったんです。人間が賢くなるには、その場面、その場面で適切な情報を得ることが重要なのだ、と」。ただ便利になるのではなく、個々人のコンテクストに合わせた便利こそ意味がある。コンピュータとはまったく関係のない経験から、未来のインタフェースの方向が実世界指向になると直感した瞬間だった。
20代で修羅場を何度もくぐったのはよかった
 最初の就職先としてNECを選んだのは、当時、IBM互換機の全盛時代に国産で唯一独自OSを作っていたこと。入社後は、開発寄りの研究所で、会社が受注するシステムについて、GUIを含むツールキットのような基盤ソフトを手がけていました。8年間の在籍の意味は大きかったと思っています。お客さまを知り、バグの怖さも知った。修羅場も何度もくぐりました。今から思うと、若いうちにこういう経験をしておいたことは本当に貴重でした。また、数十人のメンバーを率いて仕事をする経験が積めたことも大きかった。

 かなりリアルなビジネスにつながるソフトウェアに携わっていたんですが、当時は論文賞などももらいましてね。でも、配属された環境では、製品的なものから抜け出す研究はやりづらい。それは少し不満でした。会社にそう伝えると、留学はどうか、と。それで、バーチャル・リアリティで有名だったカナダのアルバータ大学に留学したんです。企業派遣なら、もっと有名な大学にどうして行かなかったんだと聞かれることもあるんですが、正直なところ、私にはそういうことはよくわかりませんでした(笑)。たまたま、来ていいよ、と言ってくれたのがアルバータ大で、なぜか留学費用も免除してもらえました。行ってみると、カナダ北端の、冬はスキー場も閉鎖されてしまうような何もない極寒の地。でも、結果的にここを選んだのは正解になるんです。

 留学の大きな成果は、まず国際的な場で研究者としてやっていく自信が得られたこと。最初はネイティブの早い英語に慣れなくて戸惑いましたが、なんとかなるもので、いろいろ言葉を想像したりするとスピードにもやがて慣れまして。そもそもネイティブはゆっくりしゃべることができないのだということも知りました。ゆっくり、という概念がないんですよ。お願いすると、急にしゃべれなくなったりして(笑)。学科に日本人は私だけだったので、変に日本人コミュニティで固まることもなく、いろんな友だちができましたね。

 国際学会の発表も初めて体験するんですが、前の日に緊張のあまり、発表練習中にホテルのバスタブのお湯を張っていたのを忘れてしまうくらいだったんですが、当日はうまくいって「良かった」といろんな人に褒めてもらえて。これはうれしかったし、自信になりました。
先進性がわかってもらえて30秒で転職を決めた
 留学のもうひとつの成果は、自分の目指す方向である実世界のユーザーインタフェースというテーマを確信できたことです。バーチャル・リアリティで有名な学校でしたから、手にセンサグローブをつける、なんて研究もまわりにあったんですが、直感的にこれが主役になることはない、と思いました。なぜなら、普通の暮らしではセンサグローブなんて付けないから。

 折しも、「現実世界に帰ろう(back to the real)」という有名な論文が出て、感銘を受けて。人間を現実から切り離して違う世界に入れるのではなく、現実世界にコンピュータの世界を入れて快適さを強化するほうが重要であるという認識を改めて深めて。あの歌舞伎座の直感は間違ってはいなかったということも再確認できた。

 さらに留学は1年だったんですが、冬はどこにも出られないほどの寒さ。だから、仕方がなくてこもっているしかなくて、いろんなアイデアを考える時間があったんですよね。現実世界をよくするには、コンピュータにどんなことができるだろうか、と。それをプロポーザルにまとめて、会社に提出しようとしたわけです。けっこう、いいアイデアが出たんですよ。

 ところが帰国すると、バブル崩壊で国の雰囲気がガラリと変わってた。清貧の思想がもてはやされて、安い食べ物屋が大流行で。1年離れていただけで、本当にびっくりするくらいの変わりぶりだったんです。そして、会社に提出した私のプロポーザルを見て、上司は言ったんです。申し訳ないが、なんのことだかさっぱりわからない、と(笑)。ああ、中学のときに友人が経験したあれだ、と思いました。でも、会社を非難する気にはなれませんでした。

 実際、アイデア満載だったといっても、まだインターネットも一般化していない。しかも不況で社会がふわふわしている頃です。ところが、そんな時代に私を理解してくれた人がいた。最初の私の職場で先輩だった北野宏明さんでした。留学から戻って、「どうしてる?」と連絡があって。会ったときに、たまたま持っていたプロポーザルを見せたら、後日電話がかかってきたんです。ソニーコンピュータサイエンス研究所に来ないか、と。この先進性をわかってくれる人がいた。うれしかったですね。転職の不安も考える時間はありませんでした。30秒で決めましたから(笑)。
新しいチャレンジだな、と思ったら、踏み込む
 どうすればアイデアが出るのか、聞かれることがあります。ひとつだけ言えるとすれば、ボツになったアイデアが山のようにあるということですね。ピンポイントにものになるアイデアが浮かぶのではなく、すごくたくさん使えないものがあって、残ったものがアイデアになっている。考えるのは、苦しいですよ(笑)。常に苦しい。かつては一人のリサーチャーでしたが、99年からはインタラクションラボの室長にもなって、マネージャー的な仕事もしないといけない。でも、誰かに何かを命じられてやるので自分の責任でできる。自分の生きたいように生きられるわけです。だから頑張れるのかもしれません。

 これは新しいチャレンジだな、と思ったら、踏み込むほうがいいと思っています。1回きりの人生です。細かな生活設計なんてしないで生きていきたい。実際、新しいものは大変ではあるけれど楽しい。大学でも若い学生と接する機会を得て、また人生が圧倒的に楽しくなった。本格的に研究室が始まるのは2008年4月からですが、きっと大変だと思います。でも、間違いなく楽しいと思っています。

 もうひとつ思うのは、個人のパワーはあなどれないということ。今、ネットの世界を席巻している会社だって、数人のアイデアから始まった。ほとんど個人で始まったテクノロジーは多いんです。個人のアイデアやクリエイティビティを、社会はもっと評価しないといけないと思う。そうでなければ、既存の大きな枠組みにしか、若い人は行くところがなくなってしまう。

 自分にできることって、思っているよりも大きいんです。「どうせ、ウチの会社なんて」「どうせ、自分なんて」……。そんなふうに勝手に決めてしまうのって、つまんない気がします。たしかに席巻されることもある。制覇されることもある。でも、必ず誰かがそれを壊してきた。「どうせ××がいるから」という世界を破壊してきた。大事なことは個人の小さな芽や小さな可能性をきちんと評価することです。それこそ、エンジニアがもっと評価される社会への第一歩なんじゃないかと思います。
Pick-and-drop
■Pick-and-drop
 
ユビキタス世界ならではのUIとはどんなものか、を発想して浮かんだひとつのアイデアが、「Pick-and-drop」。きっかけは、複数台のコンピュータを使ったときに、いくつものマウスがデスク上を占領して、マウスジャングルになってしまうことだった。もっと整理された環境で複数台のコンピュータを扱えないだろうか、と。「Pick-and-drop」では、ペンを使うが、ポイントはペンでファイルなどをつまめ、もちあげて、別のコンピュータのスクリーンへと移動できること。まさにリアルとヴァーチャルの融合である。
SmartSkin
■SmartSkin
 
マウスが発明されたのは40年以上も前。以来、いかにマウスを超えるインタフェースのツールを作るか。そんなチャレンジも研究の大きなテーマ。成果の一例が、「SmartSkin」だ。テーブル全体にセンサを入れ、人間が粘土を作るような、指先でもっているような、マニュピレーションする能力をインタフェースにしている。「エンジニアの仕事には2つのフェイズが必要だと思っています。一人で考えるフェイズと、出会いがもたらすフェイズです。
誰と出会うかで、何をやれるか、は変わってくるんです。ソニーCSLに来たのも北野さんや所長の所さんとの出会いだった。「PlaceEngine」には、今はスピンアウトして別会社になり、私も創業者兼特別顧問として取締役になっているクウジット(株)の末吉隆彦社長と塩野崎敦取締役CTOの出会いがあった。東大で教えることになったのは、ユビキタスコンピューティングで有名な坂村健さんとの出会いがきっかけでした」
PreSense
■PreSense
 
スクロールを指先が指示するのではなく、スクロールしようという皮膚感覚をインタラクションの機器として活用しようとしたのが、「PreSense」。アイデアの結実した一例だ。「メモとかはすさまじく取りますね。アイデアメモは、1日10個以上。パソコンだと自分で自分のアイデアも検索できますから。面白いのは、何度も思いついているものもあること。あとはディスカッションもしますし、他の人の研究ももちろん見ます。人の研究を見たときに、「どうしてこうしないんだろう」と感じて、ハッと浮かぶことも少なくないですから」。決め手になるテクノロジーがないという候補もたくさん出す。「テクノロジーがないから、という理由で却下はしません。こういう要素技術があればあれができる、といった水面下にたくさん候補を出しておくことが大切なんです」
profile
暦本純一
ソニーコンピュータサイエンス研究所
インタラクションラボラトリー室長
東京大学大学院情報学環教授

1961年、東京生まれ。86年、東京工業大学理学部情報科学科修士課程修了。NEC、アルバータ大留学を経て94年、ソニーコンピュータサイエンス研究所の研究員に。99年、同研究所インタラクションラボラトリー室長。理学博士。ヒューマンコンピュータインタラクション全般、特に実世界指向インタフェース、拡張現実感、情報視覚化、ネットワークインテリジェンス等に興味を持つ。研究成果の一部がプレイステーション3用ゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」(CyberCodeによる拡張現実感)や「みんなの地図2」(PlaceEngineによるWiFi位置認識)などに利用されている。ACM、情報処理学会、日本ソフトウェア科学会各会員、90年、情報処理学会30周年記念論文賞受賞。98年、MMCAマルチメディアグランプリ技術賞受賞、99年情報処理学会山下記念研究賞受賞、2003年日本文化デザイン賞受賞、06年ACM SIGCHI Academy受賞, 08年日経BP技術賞など。
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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ 宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
何年か前に夢中になって見た映画「マイノリティ・レポート」の近未来インタフェースがそこにありました。まるで手品のように情報が操作されていて、何度か歓声を上げてしまいました。研究所のあちこちの壁に落書きのように書きめぐらされた数式やアイデアの数々。ついつい幻想的な空間での取材に酔いしれてしまいました。

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