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生活の一部に溶け込んでいる白物家電。大型で高額な製品が多く、また、本来の機能や用途は大きく変化しないため、気付いたら年代モノに囲まれている読者も多いのでは。そんな買い換えの難易度が高い白物家電ではあるが、ユーザー視点の便利な機能が搭載された製品を見つけたとき、あるいはエンジニア心をくすぐる斬新な製品を知ったときは、たとえ自宅に現役選手が活躍していたとしても、思わず真剣に購入を検討することもあるだろう。では、エンジニアが感じる、魅力あふれるアイデアが搭載された白物家電とは、一体どのような製品なのか。 そこで今回は、25歳から39歳までのエンジニア300人を対象に、「斬新なアイデアに衝撃を受けた家電製品」をアンケート形式で聞いてみた。エンジニアならではの観点で、発想や技術に感銘を受けた製品を、ランキング形式でご紹介していこう。 |
ランキングのトップに輝いたのは、意外?かもしれないがダイソンのサイクロン掃除機。ジェームズ・ダイソンが1983年に開発し、世界で最初に日本で販売され、現在も高い人気を誇っている。これまで家庭用掃除機では当たり前だった紙パックを使わないという発想、また、新しい技術であるサイクロン方式を採用していることから、大きくエンジニアの注目を集めたようだ。しかし堅実なエンジニアからは「価格も高い」という指摘も散見された。 | |||
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続いて第二位は、「空気(オゾン)で洗う」というキャッチフレーズが衝撃をもたらした三洋電機のドラム式洗濯乾燥機「AQUA」。水を一切使用せずに、空気だけで洗濯するわけではないのだが、水の力だけでなくオゾンの力を利用して除菌や消臭を行う発想に驚かされたという声が多かった。また、この機能を利用して水で洗濯できない帽子や革靴などの製品を消臭し、清潔に保つことができる点も評価ポイントのひとつ。 | |||
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そして第三位は、自動でフィルターを掃除し清潔に保つ、松下電器のエアコン「Xシリーズ」。頻度が高い割に設置場所や構造の関係上、取り外しや洗浄がわずらわしかったエアコンのフィルター掃除。「面倒くさい」と感じていたエンジニアも多いのでは。ユーザーが命令を出さずともエアコン自らが洗浄を行うという機能は、手間を省いた便利機能であるとともに、快適な空気を送り出すというエアコン本来の機能を最大化するため、省エネにも貢献している。 | |||
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第四位は、水蒸気をさらに加熱し「加熱水蒸気」で調理するオーブン「ヘルシオ」がランクイン。オーブンも電子レンジも手軽で高性能が当たり前となり、目新しさは薄れてきたところに登場した「水で焼く」という斬新さが、エンジニアの心をとらえたようだ。高温の「加熱水蒸気」を使うことで、調理も温めも素材のおいしさを逃さず、パサつきを抑えて脂を落とし、低カロリーに仕上げることができる。 | |||
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第二位に引き続き、またまた洗濯乾燥機がランクイン。日立の「ビッグドラム」は、直径60㎝のドラムサイズを生かし、たたき洗いによる洗浄力と、時速360㎞の風の力で衣類を広げシワを伸ばす「風アイロン」機能が特徴の洗濯乾燥機だ。エンジニアからは、洗浄力という観点ではなく、乾燥機のデメリットであるシワシワ仕上がりを解消するために強力な風の力を利用した“アイロン機能”に支持が集まった。 | |||
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部屋の状況をセンサーで感知、段差や障害物を避けながら自動で掃除し、掃除が終了したら充電器に自分で戻るという、iRobot社のお掃除ロボット「ルンバ」。その形状や大きさも斬新なうえに、ゴミセンサーでヨゴレの多い個所は時間をかけて掃除し、壁センサーで自分の動きをコントロールするなど、数多くのセンサーを内蔵。まさにその動きは知能をもつお掃除ロボットの姿であり、多くのエンジニアの心をとらえてしまったようだ。 | |||
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最近、本格志向の高級炊飯器が話題になっているが、今回上位に挙げられたのは、多機能炊飯器。お米がおいしく炊けるのはもちろん、玄米モードや調理モードなど多くの機能を搭載し、ケーキが焼けて豆腐が作れるという、もはや「炊飯器」と呼ぶには幅が広すぎるほどの多彩な活躍を見せている。春には同ブランドから、単身者や少人数世帯向けの小容量の高級炊飯器もリリース予定で、炊飯器にこだわる人は拡大中のようだ。 | |||
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惜しくも五位を逃したものの、上位に挙げられたのが三菱電機の冷蔵庫、「冷凍『瞬』時代」。2007年9月に、家庭用冷蔵庫としては世界で初めて微粒子凍結を応用した瞬間冷凍を実現し、これまで冷凍に不向きだった食品も、細胞を破壊することなく冷凍することができるようになった。コメントでは、今回の瞬間冷凍機能とともに、自動製氷機能や解凍しなくても切れる冷凍など、過去に搭載されてきた冷蔵庫のさまざまな機能に言及が見られた。 | |||
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多機能な家電製品だが、中には機能が盛り込まれすぎて、実際に使ったことがない、もしくは使う用途がよくわからない機能もあるのではないか。最後に、エンジニアが感じた、家電製品の不思議な機能をご紹介したい。 |
「畳」「カーペット」などの切り替えスイッチ。最初は切り替えながら掃除しますが、だんだんと切り替えることで何が変わるかわからず(切り替えなくてもきれいにゴミを吸い込んでくれるので)、使わなくなる。「強」「弱」も同様に「強」しか使わない。(30歳 男性 運用、監視、テクニカルサポート、保守) |
リモコンに付いている取り出しボタン。せっかくリモコンでソフトを出しても、結局デッキのところまで取りに行かなければならない。デッキに取り出しボタンが付いていればいいような……。(35歳 男性 品質管理、製品評価、品質保証、生産管理) |
洗濯物の量で、水量を勝手に判断する機能。あとで大きなものを追加しても、あまり対応してくれず、結局手動で水量を増やしたりしている。(31歳 女性 システム開発(Web・オープン系)) |
たくさん用意されている対象料理ボタン。調理対象物の大きさが違うと時間も変わってくるので、けっきょく自分で設定することになるため、目安だけ表示されていればいいと思う。(39歳 女性 システム開発(Web・オープン系)) |
なべなどを持ち上げたときに自動でOFFになる機能。なべが振れない。(39歳 男性 品質管理、製品評価、品質保証、生産管理) |
ターボボタンの存在。ターボボタンを押さないと風が弱すぎて使えないので、常に押している。(36歳 男性 システム開発(Web・オープン系)) |
電子音のアラームが音楽なのだが、そんなに凝らなくても普通のブザー音で十分。変な電子音が家のなかで鳴っているとき、常に思う。(29歳 女性 コンサルタント、アナリスト、プリセールス) |
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