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話題の新素材研究も、人気製品を開発するのも、チャンスは今だ!
松下電器、Honda、東レ、旭化成が狙う化学技術者
化学業界はもとより、自動車、エレクトロニクス業界でも、現在、化学・材料系エンジニアへの注目度は高い。
彼らの技術が、次世代製品や環境問題解決に決定的な役割を果たすことが期待されているからだ。
企業が寄せる熱い視線をレポートする。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき)作成日:08.01.23
なぜ今、大手企業が化学・材料系技術者の中途採用に注力するのか
 これまで転職市場では「保守的」と言われてきた化学・材料系エンジニアだが、この数年の動きは見違えて活発だ。半導体のプロセス開発ではこれまでも継続的に求人があったが、近年は自動車・家電業界から熱い視線が集まる。燃料電池などの次世代動力源や薄型ディスプレイ、新材料開発、環境対応、製品リサイクルなどの分野でそのノウハウが強く求められるようになったからだ。その動きは、化学・材料業界にも波及し、大手総合化学がこの1、2年で本格的な中途採用戦略を実行するようになった。なぜ今、化学・材料系エンジニアに注目が集まるのか。その理由を4社の採用担当者に聞いた。
企業ロゴ:松下電器産業株式会社 半導体、液晶パネルなど「源流」で活躍する化学・材料系
松下電器産業株式会社
グループ採用センター
キャリアリクルーティング室
室長
蔭山陽洋氏
液晶事業も拡大。自社デバイスへのこだわり
 2008年10月から社名を「パナソニック」に変更することを発表した松下電器産業。海外で知名度の高いブランド名を社名に据えることで、グローバル・ブランドの価値向上を狙う。化学・材料系エンジニアにとっては、4つの戦略事業のうち、まず関心をひくのがデジタルAV事業だろう。プラズマテレビへの大規模投資を継続するとともに、液晶テレビのラインアップ拡充も狙うことを08年度の事業計画に盛り込んだ。

「液晶技術については、2002年に東芝とディスプレイ合弁会社を設立しているが、松下本体でも液晶事業の拡大、将来の有機ELへの取り組みを強めるため、液晶関連技術者の拡充が重要課題になってきた」と言うのは、キャリアリクルーティング室の蔭山室長。

 世界規模でのデジタル家電の増販をより収益性の高いものにするためには、半導体やプラズマ・液晶パネルなど、キーデバイスの開発段階における利益の作り込みが不可欠。つまり「より源流にさかのぼること」(蔭山氏)が必要で、それが材料系エンジニアのニーズに繋がっている。
品質管理、環境対応でも化学・材料へのニーズ
 さらに、金属・樹脂材料の耐久性確保など品質管理の向上もこれからの課題。松下が樹脂まで開発するわけではないが、品質管理を材料メーカー任せにはせず、自社で見極める目は不可欠。材料技術について高い知見をもつエンジニアが求められるゆえんだ。また、海外展開を進めるうえでは、RoHS規制など特定有害物質の規制、リサイクルプロセスの確立など環境問題への対応も欠かせない。ここでも、化学・材料系エンジニアのノウハウが必要になる。

 これまでも新卒採用レベルでは、半導体、デジタルAV事業などを中心に化学・材料系の学生の採用比率は2〜3割にのぼっていた。今後、「源流系」のウエイトが高まるにつれて、その比率は増すかもしれない。09年には新たな液晶工場が稼働する予定で、生産工学系のエンジニアとともに、材料系技術者の求人は今年度の1.5倍程度に膨らむと見られる。

「材料研究からコンシュマー向け商品に至るまで一貫した取り組みができること、さらに海外とのかかわりが深いためグローバルなステージで仕事ができること」を蔭山氏は、化学・材料系エンジニアが松下で働く最大の魅力に挙げている。
企業ロゴ:株式会社本田技術研究所 クルマの未来を“ワイガヤ”で創り出す、研究・開発の最前線
株式会社本田技術研究所
四輪開発センター
管理室総務課
堀井彩加氏
環境性能の追求に化学・材料は不可欠
 Hondaグループは、販売、研究・開発、生産の3部門を分離独立させており、このうち研究・開発を担当するのが(株)本田技術研究所。同社の国内3拠点のうち栃木の四輪開発センターは、四輪技術の先行研究から商品開発までに特化し、短期の販売動向や収益状況に影響を受けることなく、研究・開発に専念できる環境が整っている。

 自動車メーカーにとって今、最大の研究・開発テーマといえば、環境負荷の削減。Honda もまた軽量化などによる燃費向上、材質の有効利用、ディーゼルやハイブリッド、燃料電池にいたる次世代エンジンの開発に注力してきた。化学・材料分野ではオールアルミボディや高張力鋼、新世代NOx触媒の開発など、Honda ならではの技術蓄積もある。「環境性能をさらに追求するためには、従来のクルマという枠にとらわれない新しい知見や自由な発想をもつ人材が広く求められている」と、総務課の堀井氏は、化学・材料系エンジニアの中途採用を積極的に行う理由を語る。

 自動車メーカーの材料部門で働く魅力については、「クルマの機能向上という素材開発のニーズが明確。エンドユーザーに近いところで、商品開発に携われる。何よりクルマが大好き、モノづくりにかかわりたいというエンジニアにとっては活躍の場が広い」ことを指摘する。
社風の魅力を語る中途採用エンジニアたち
 もともと Honda の社風は、独創性、自由闊達、技術の前にはみな平等ということで知られる。社長から現場で働くエンジニアまで全員が作業着。名札には名前だけで、役職名はない。オフィスの机の配置からしてフラット。技術的な課題について「ワイワイガヤガヤ」の議論が社内で自然発生的に生まれる。

「近年入社の中途採用社員に話を聞くと、この社風が気に入っているという声が多い」と堀井氏。また、フレックスタイム制で労働時間を自分の裁量で調節できる、就業時間の管理がしっかりしており、有休消化率も高い、といった労働環境を魅力に挙げる社員も少なくないという。

 2月には材料系エンジニアに特化した転職セミナーを開催予定。「Hondaは長年積極的な中途採用活動を行ってきた為、中途採用社員が全体の約3割を占めている。ぜひ当社の技術者に会って、職場の魅力を直に聞き出してほしい」ということだ。
企業ロゴ:東レ株式会社 飛行機の主翼を自分たちの技術で。先端材料の現場へ
東レ株式会社
人事部人事採用課長
小西明子氏
先端材料で世界のトップを目指す
 2006年度から中途採用を急拡大させた東レ。背景にあるのは、炭素繊維やデジタル情報機材向け材料などの先端材料の事業が拡大し、工場の増設、開発プロジェクトの加速などが相次いだことが挙げられる。06、07年度の各100人規模に加え、08年度以降も数十人規模のニーズはあると見ている。

「単に頭数をそろえるのではなく、他社・他業界で異なる経験を積んできたエンジニアが要素技術やノウハウを当社で生かしてハッピーになり、当社としても企業としての総合力を高められるという採用を目指したい」というのは、小西明子・人事採用課長。

 東レの技術力や基礎研究の充実は化学業界のみならず、広く知られるところ。あえてカンパニー制の導入など事業を縦割りにはせず、異なる分野の技術者の社内での交流・融合を積極的に促し、技術領域の複合化を進めているのも特徴だ。「先端材料で世界のトップ企業を目指す」という意気込みも、よりビッグなビジネスにかかわりたい化学・材料系エンジニアにとっては琴線に触れる部分だろう。

「例えば、最終製品メーカーの材料系エンジニア。材料の開発は外部任せで、調達が中心という現実の仕事に飽きたらず、素材そのものの開発に携わりたいと考えている人は多い。そういう人にも当社にチャレンジしてほしい」と、小西氏はアピールする。
東レ株式会社
生産技術第3部
複合材料技術課長
竹内幾雄氏
炭素繊維事業で、今求められる樹脂、化学工学系エンジニア
 注目の炭素繊維について、「現在は日米欧の3拠点がフル稼働、たえずどこかでラインが増設されている状況。航空機だけでなく、環境対応でCNGタンクなど産業用途、自動車向けの需要もこれから伸びてくる」と需要見通しを語るのは、生産技術部の竹内幾雄氏だ。「炭素繊維の技術者は社内で育てる必要あるが、コンポジットとして組み合わせる樹脂は外部に多様な分野の技術者がいるはず。樹脂開発は細分化・専門家されており、彼らのノウハウが不可欠」と、中途採用を進める意義をそう語る。こうした樹脂の専門家に加え、プラント建設で欠かせない化学工学や機電系エンジニアへのニーズも高まっている。

 東レはワークライフバランスや女性社員の活用でも先進的な企業。「男女問わず、子供が小3になるまでベビーシッター費用を補助する」など取り組みも年々強化されている。仕事と家庭生活の充実を両立させたいというエンジニアのこだわりにも、応えてくれそうだ。
企業ロゴ:旭化成株式会社 昨日まで世界になかったものを
旭化成株式会社
人財・労務部採用グループ
キャリア採用担当
課長
山田秀樹氏
全方位で化学・材料系技術者を募集
 旭化成グループでは2006年度より始まった中期経営計画で、「成長へのギアチェンジ」を合言葉に、更なる飛躍をめざしている。新しい事業の創出、グローバルな事業展開を行うため中途採用を本格化している。ケミカル系・エレクトロケミカル系事業などの高機能材料開発を目的とする有機化学・無機化学・ハイブリッドの材料技術者、さらには電気化学へも拡大。また、生産拠点への設備投資が進むのにつれて、機械工学のエンジニアも積極的に募集を行っている。

 同社の事業分野は幅広いが、中途採用者が主にアサインされる事業としては、自動車産業向けリチウムイオン電池のキャパシタや燃料電池などのエネルギー分野、エレクトロニクス分野では半導体、ディスプレー用途等の機能性フィルムなど、さらに医薬医療分野では創薬のほかに、膜の技術を活かした透析事業、同じく膜技術を活かした水質処理装置などの環境分野など様々な分野での募集が挙げられる。

「募集職種によって期待するスキルや経験は異なりますが、旭化成グループが求めるのは、まず何よりも、自分で考え、行動できる力です。昨日まで世界になかったものを創り出すというのが当社のポリシー。新しい事にチャレンジしたい皆さんのご応募を、お待ちしています」というのは、人財・労務部の山田課長だ。現在、年間の採用計画において、社員の2割を中途採用者が占めるところまでもっていきたいとしている。
いろんな技術、事業にかかわれる魅力
 同社には新素材開発から、それこそ“サランラップ”などのコンシュマー製品に至るまでの川上から川下に至る一貫した流れがあり、また、事業分野が幅広いので、さまざまな技術・製品、プロセスを手がけられるという利点がある。様々な分野にチャレンジできるという環境の一方で、「自分で事業を立ち上げるところまでやる、というような強い意志があれば、それを応援する風土がある」という。実際、それまでは決して主流ではなかった技術が、息の長い研究を経てあるとき脚光を浴び、いまや大きな利益をもたらしているという例もまれではない。

 高度な専門性を発揮し、事業に貢献した社員には、グループフェローや高度専門職としての職位と処遇が与えられ、社内外で高く評価される人財がリスペクトされる環境があります。

 社員すべてが「さん」づけで呼び合い、若手の意見を尊重するなど、非権威主義的な風土もよく知られるところ。好業績を背景に新規事業への戦略的投資を強めるいま、「転職者が実力を発揮できるチャンスはこれまでになく拡大している」(山田氏)。
「自分の専門性を活かしたい」こだわりを実現するチャンスは今
 自己実現やキャリアアップのために転職を意識するようになった化学・材料系エンジニア。ただ、「特定の技術や材料、製品の開発にこだわって仕事したい」など、そのこだわり度はほかの技術分野よりも強く、かつ転職理由も多様化しているといわれる。

「化学・材料技術は専門領域が細分化されているため、川上─川下間の異動や、有機から無機へなど分野を超えた異動はそう簡単ではない。また機械、電気、ITなどと違って、誰もがすぐに理解できる専門技術の標準が存在しないという問題もある」と指摘するのは、リクルートエージェントのキャリアアドバイザー・羽田野直美氏。

 そうした企業と応募者側の間で仕事のイメージを巡ってミスマッチを回避するにはどうしたらいいのか。羽田野氏は「自分の専門技術をよりわかりやすく説明するプレゼンテーションスキルや、面接での自己PR法に磨きをかける必要がある」と、指摘する。最近は企業が化学・材料系エンジニアを対象とした転職セミナーを開く機会も増えており、そうしたチャンスを生かすのもひとつの方法だ。

「自分の専門性を生かしたい」「学会への参加などで最新研究にたえず触れていたい」といった化学・材料系エンジニアのこだわりについては、「エンジニアにとって大切なこと。転職市場が活性化した今はそのこだわりを実現するチャンス。ひとつの業界内に留まらず、視野を異業種にまで広げれば、それにこたえられるだけの企業やチャンスはたくさんある」とアドバイスしている。
羽田野直美氏
リクルートエージェント
第二ビジネスユニット
EMCカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
羽田野直美氏
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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ 宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
私の前職での勤務先は化学メーカー。そのこともあって今回の取材は興味深く話を聞くことができました。化学・材料エンジニアのニーズが上がり、活躍の場が広がっていることはうれしいニュース。時代の先端を創り出す仕事が皆さんを待ち望んでいます。チャレンジしてみたい仕事がある方は、ぜひリクナビNEXTものぞいてみてくださいね。

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