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いきなりなんだよ、と思われるかもしれないが、まずは大手チェーンのハンバーガーの話。 東京の渋谷センター街店でも、鳥取県の港町・境港店でも、ハンバーガーは全国どこで食べてもみな同じ値段、とばかり思い込んでいたが、最近はどうも違うらしい。同社はこの6月から地域別価格制を導入。東京、大阪など4都道府県で平均3〜5%値上げ、その一方で宮城、鳥取など5つの県の130店で、単品やセットメニューを1〜2%値下げした。大都市での人件費、店舗賃料の上昇が目立つようになり、大都市と地方ではコスト構造に大きな差が生まれたためといわれる。本来、こうした地域間のコスト差を吸収して、全国一律に同質で低価格なサービスを提供できるのが、全国フランチャイズチェーンのメリットだったのだが、そうも言っていられない世の流れがあるのだろう。 ここで注目したいのは、同じチェーンの同じハンバーガーでも地域によって値段が異なる理由の一つとして、都市部での人件費高騰が挙げられていることだ。外食産業はアルバイトによって支えられているが、その時給は都心部と地方では3〜4円の開きがあるという。アルバイトや正社員賃金の地域間格差が、結果的に商品やサービスの価格差に転化されることは決して珍しいことではないが、それが全国チェーンの外食産業にも及んだという意味で、これは実に興味深いニュースなのである。 |
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前置きはそのぐらいにして、さて今回のテーマは、エンジニア年収の地域間格差である。実は、2006年11月にも同様のテーマを取り上げている。前回は技術系だけでなく、サービス・販売職、営業・事務職など総合的な職種比較を行ったが、今回はソフト・ネットワーク系、ハード系のエンジニア系20職種に限った。サンプル数は1000件。地域分布では関東圏が52%と最も多く、以下、関西(16.4%)、東海(11.5%)などとなっている。 まずは全体集計から見ていただこう。1000人のエンジニアの平均年収額は584万円。これを「北海道・東北」「関東」「北信越」「東海」「関西」「中国・四国」「九州」の7つのブロック別に見ると、DATA1のようになる。最高は関東の608万円、最低は北海道・東北の502万円。その差額は106万円で、東北・北海道は関東の17%減ということになる。ただし、関東と東海・関西の差は20万円ほど(約3%)で、そう大きいとはいえない。 2006年の調査では、すべての職種で見たときトップの関東と最下位の九州との間で113万円(22%減)という数字だった。それと比較すると、エンジニアに絞った今回の調査では地域間格差はやや縮まっているという印象だ。 |
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DATA1 地域別に年収を比較すると関東がやっぱり高い? |
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とりわけハード系職種に限って見た場合(DATA2)は、関東がトップであることは変わらないものの、関西はほぼ同額、東海、九州との差も全体平均よりは縮まっている。これはメーカー(モノづくり系)の大企業の工場が、関東圏以外にも、東海、関西、九州に幅広く展開しており、そうした企業では基本的にはほぼ全国同一賃金が保たれているのかもしれない。また、地域間格差のある中小企業でも、これらの地域における製造業の活況が賃金の相対的上昇につながっているのではないかという見方もできる。 名古屋を中心とした東海地区が、日本のモノづくりの中心地となっていることはよく知られている。例えば愛知県の製造品出荷額等は37兆155億円に達し全国第1位だ。2位の神奈川県の18兆6669億円を大きく引き離している(2004年)。また、愛知県の有効求人倍率は全国で唯一、2倍を超えておりいまや完全な「人不足」の状態だ(2007年7月)。製品出荷額や求人倍率をそのまま賃金に当てはめることはできないにしても、ハード系職種についていえば、愛知を擁する東海地区の高い位置は当然どころか、むしろもっと高くてもおかしくないということになる。 控えめにいっても、ハード系職種の賃金格差は、関東、東海、関西、九州に限って言えば、ほとんど問題にならないところまできたとはいえるだろう。ただし、ソフト系はやや異なる。グラフ(DATA2)を見ると、ハード系との相対比較ではあるが、関東の優位性が高く、北海道・東北、中国・四国地区との差は依然大きい。東海、関西も頑張ってはいるが、関東には及ばない。ハードは西日本優勢、ソフトは関東優勢というのが全国エンジニア賃金マップの全体状況だ。 |
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DATA2 職種で違う?地域・職種別の年収比較 |
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昨年の調査レポートでも述べたことではあるが、こうした年収格差が、そのまま生活の質や満足度につながるかどうかは、また別問題である。 仕事内容に比べて、現在の年収が「見合っているかどうか」という質問では、全体の62%が「見合っている」または「仕事内容に比べて50万〜100万円高い」と考えている。これを「満足層」とすれば、残りは「仕事内容に比べて50万〜200万円安い」と考える「不満層」だ。 この満足・不満足の割合の地域別比較を見ると面白い結果が得られた。年収ではトップの関東だが、「仕事内容に見合っている」の割合でいうと60%で、北海道と中国・四国を除く他の地区に及んでいない。関東地区の満足層(60%)と、関西の満足層(61%)にどれだけ有意差があるかはおくとしても、少なくとも年収の差は満足層の割合とは比例しない、という事実はたしかなところだ(DATA3)。 いかに年収が高くても、家賃や物価までもが高くては、生活のレベルは下がらざるを得ない。もちろん、生活の質には、行政サービスのレベル、交通や教育・医療のインフラ、文化・スポーツ・レジャー施設の数、情報の刺激度なども含まれるから、一概に年収対物価の比較で生活の質を語ることはできない。それでもなお、関東のエンジニアの満足度が、年収ほどではないというのは、留意すべき事実だ。これは、これからのエンジニアのIターンUターンを考える上でも、参考になる数字だと思われる。 |
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DATA3 現在の給与は仕事内容に見合っている? |
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