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エンジニア給与WAVE! Vol.69 <ITエンジニア約3000人調査>外資系SIerとソフトハウスの給与はどれだけ違う?
ひと口にITエンジニアといっても、勤務先企業は大手から中小・零細、大手系子会社から独立系まで、さまざまだ。果たして年収差はどれぐらいあるのだろうか。ITエンジニア約3000人の生データを基に、年齢・役職・勤務地で年収を徹底比較した。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也)作成日:07.07.06
約3000人のITエンジニアを業態別・職種別・役職別に年収分布を徹底分析
 今回の調査対象はIT関連業務に就く3090人。年齢は20代後半から40代前半までで、最も多いのは30〜34歳層だ。男性が全体の87%を占める。勤務地は全国。勤務する企業の業態は、SIer、ソフトベンダー、コンサルタントファーム、メーカー、一般事業会社の情報システム部門、技術系人材派遣会社など多岐にわたる。独立系のSI、NI、ソフトハウス、コンサルが33.3%、システム開発を主としないユーザー系企業の情報システム部門が13.7%、大手企業のシステム子会社が10.9%、メーカーが10.6%となっている。企業規模は100〜500人というのが最多帯だ。

 職種別では、アプリケーション開発(Web、オープン系)(27.2%)を筆頭に、運用・監視・テクニカルサポート(14%)、社内SE(11.2%)などがあり、ITのほぼ全職種をカバーしている。これらのデータを、業態と役職、年代、地域などの設問に対して有効回答者のみを抽出し、クロス集計しながら、年収の分布を調べた。
【年 代】30代前半の派遣労働と外資系SI正社員では、年収に3倍以上の開き
 20代後半(25〜29歳)では、年収300万円台(301〜400万円)が全体の36%、同じく400万円台が28%を占めていた。300万円以下の層も18%あり、全体として500万円以下の層が8割以上。その中で年収の業態別分布状況を見ると、業態による年収格差が見えてくる。例えば「外資系SI・NI・コンサル」では500万円台が40%と最多ゾーンであり、全体に年収は高い。一方で、「技術系人材派遣会社」では最多ゾーンは300万円以下(40%)だった。

 これが30代前半(30〜34歳)になるとどうなるだろうか。回答の最多帯が500万円台になっているのは、「システム開発を主としない企業(=ユーザー企業)のシステム専門子会社」「ネット関連」「外資系SI」「大手SI」の4つで、それ以外の「ハイテクメーカー系の制御SI」「大手SIの子会社」「独立系SI」などは、400万円台にとどまっている。親会社と子会社間で格差が生じている傾向もうかがえる。

 ここでも「人材派遣会社」は最多帯が300万円台にとどまっている。半面、外資系ではこの年代になると、1000万円以上の年収を得る人が8%を占める。最高と最低ランクを単純に比べると、同じ年代で3倍以上の差が開いていることになる。

 若年層では年収のピークは1つまたは2つのゾーンに集中する傾向があるが、年代が上昇するにつれて、分布が広がり、結果的にピークはなだらかになる。これは、年齢の上昇によって一つの企業内でも、年収格差が広がることからも、当然の現象といえるだろう。

 たとえ同じ業態に勤務していても、年齢が上昇するにつれて、年収格差は広がる。例えば同じ業態の「大手SI・コンサル・ベンダー」に勤務していても、30代後半(35〜39歳)になると、年収400万円台にとどまる人が11%いる一方で、年収800万円台の人も同じく11%存在するという状況が見られるようになる。個別企業間の業績の差、個人の業績の差が年収に反映される傾向は、年代が上昇するにつれて顕著になる。
DATA1 年代で比較!勤務先企業で年収はこんなに違う
25才〜29才

30才〜34才

35才〜39才

40才〜44才
主任から部長までの最多帯は500万円台と、あまり変わらない
 役職(肩書)別に年収の傾向を比べるとどうなるだろうか。全体の最多帯を見ると、「取締役クラス」はサンプル数こそ少ないものの、600万円台が最も多い。「部長クラス」「課長クラス」「主任・係長クラス」は共に最多帯が500万円台だ。この3つの年収の実数平均を取れば、役職間の差はたしかにあるのだろうが、最多ゾーンだけに着目すると、部長も課長も、そしてたとえ取締役になってもそれほど年収に変わりないということになってしまう。

 日本の企業では欧米企業に比べて、取締役以上の経営層とそれ以外の社員との年収格差が小さいといわれる。また、部長、課長、主任などはいわばマネジメント職種の名称にすぎず、権限の差ほど年収差はないともいわれる。それは「課長になったからといって、仕事が大変になるばかりで、給料なんて少ししか増えないんだよ」というサラリーマンの嘆きの根拠にもなっている。今回の調査でも、その傾向を覆すまでのデータは得られなかった。

 しかしながら、外資系、独立系SI・ソフトハウスなどでは高位役職者の年収最多帯が高めに出る傾向が認められる。一般に外資系やベンチャー企業ではマネジメント層が一般社員に比べて相対的に好待遇であるという事実があり、その傾向がここにも反映されているのかもしれない。
DATA2 部長、課長、主任……役職で年収は変わらない?
部長クラス

課長クラス

主任・係長クラス

役職なし
大手SIとその子会社では、同じ主任でこうも違う
 Tech総研の読者傾向から考えると、いきなり取締役クラスの年収を示すよりも、むしろ「主任や係長になったらどのぐらいの年収になるのか。他社ではどうなのか」を見たほうが面白いかもしれない。前述のように主任・係長クラスの全体の最多帯は500万円台だが、業態によっては若干の差が認められる。

 例えば、「システム専門子会社」では最多帯は500万円台(44%)だが、「ハイテクメーカー系制御SI」では400万円台(42%)だ。「大手SI」の最多帯が700万円台であるのに対して、「大手SIの子会社」になると、500万円台へと後退する。

 当たり前の話ではあるが、同じ主任の肩書でも、業態や企業規模によって年収は違ってくる。大手SIとその子会社を単純に比べると、子会社の主任の年収が親会社のそれをなかなか超えられないというのも、ある意味では想定の範囲内である。
IT職種で年収が高いのは「関東」「中部」「近畿」「四国」
 ちなみに、地域間の年収格差を見てみたところ、最多帯が400万円台であるのは、「関東」「中部」「近畿」「四国」の4地域で、それ以外の「北海道」「東北」「中国」「九州」はいずれも300万円台にとどまっていた。

 これもまた賃金構造基本統計調査などの公的データと基本的に同様の傾向値を示しており、さほど驚きはない。とりわけIT職種の場合は、企業と人材の双方が関東・中部・近畿に集中する傾向があり、それ以外の地方では、職場・人材共に絶対数が少ないということがある。

 必ずしも高収入だけが働きがいとはいえないが、もし地方の人が単純に収入アップを目指すだけのであれば、こうした人材の需要と供給が高い地域に移動するということも考えなくてはならないだろう。
「次も同一業態に転職」という人が多い現実
 続いて、今回の調査対象者の転職意向について見ることにする。これまで述べたように、同じIT職種でも企業の業態、規模、親会社・子会社の関係、地域、年代によって年収には格差がある。もちろん現在の仕事のなかで個人のスキルや業績を高め、昇進・昇給を狙うというのがオーソドックスな年収アップの道ではある。

 しかしそのプロモーション活動も、業態の「構造」上、限界がある場合もある。例えば、子会社にいては親会社の年収をなかなか超えることができないというジレンマだ。もし可能であれば、こうした構造上の縛りを越えて、つまり業態間を移動することで、年収を上げたいと思うのは当然だろう。

 単に年収の問題だけでなく、システムの発注側に回るか受注側にとどまるかといった仕事の性質も、構造的に規定されている問題のひとつである。例えば、メーカーからの受託開発を中心とするソフトハウスのエンジニアは、受託案件を確実に仕上げることに喜びを覚えることはあっても、システムそのものを企画・立案する側にはなかなか立てない。仕事の性質を変えることで、働きがいやモチベーションをアップする。それも転職の有力な理由になる。

 調査では「転職するとしたら、どのような企業を希望するか」を尋ねている(DAT3)。まず多いのは同一業態間の転職を希望する人たちだ。つまり外資系SIから外資系SIへ(64%)、独立系SIから独立系SIへ(62%)、ネット関連からネット関連(72%)へというようなケース。外資系のビジネスパーソンが次も外資系を狙うのは、ほかの職種でも同様の傾向が見られる。また、広くIT業界といっても技術の専門化は進んでおり、例えば、ネット系からいきなりメーカー系への転職は難しいという事情もここには反映されているのだろう。

 興味深いのは「システム開発を主としない企業(=ユーザー企業)の情報システム部門」のエンジニアが、次に選ぶ転職先として同じ業態を数多く挙げている(58%)ことだ。この層は、例えば流通・サービスなどのユーザー企業の社内SEにあたるものと考えられるが、現代のシステム・アウトソーシング化の流れの中では、常に発注者の立場に立つ人々と考えてよいだろう。一度その立場に立つと、なかなかシステム受注側には移れないと考えるのかもしれない。

 全体を見ると、異なる業態への移動は意外と忌避されている、というのが今回の結果だ。
DATA3 転職するとしたら、どのような企業を希望する?(※抜粋)
転職するとしたら、どのような企業を希望する?(※抜粋)
業態の壁を超えて、ステップアップ転職をめざす人たちも
 その一方で、おそらく先に述べた「構造上の理由」から、異業界への転職を希望する人がいないわけではない。ユーザー企業の関連会社からは、同じ業態への転職意向とほぼ同じ比率で、「システム開発を主としない企業(の社内SE)」への転職希望が出ている。これは、受注側よりも発注側へ、下流工程よりも上流工程へのシフトを希望する声と考えるべきだろう。

 同様に「ハイテクメーカー系制御SI・ソフトハウス」からは、同業態への移動希望と同率で、「メーカー」そのものへの転職希望が出ている。近年は製造業の人材不足が深刻で、メーカーも、従来は外注先にいたようなエンジニア(派遣社員も含む)を積極的に正社員として採用する動きを示している。いわゆる企業の下請け構造を超えた“ステップアップ転職”が可能になっているのだ。今回の調査結果は、そうした人材流動化の動向をも敏感に反映しているといえる。
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