転職時、「採用された理由」は採用担当者から聞ける場合が多いが、不採用になった理由はわからないことがほとんど。たとえ経験・スキルは十分でも、どんな面接での回答や態度に人事は「NG」を出すのか、採用担当者200人に緊急アンケート!
(取材・文/入倉由理子 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/片桐秀樹)作成日:07.07.04
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応募者に不採用の理由を伝えてるのは1割強
自分では何気なく言った言葉、何気なく振舞ったこと、マニュアルを見て「バッチリ」と思っていることが、人事の「不採用ボタン」を押すきっかけになっていることがあるようだ。とはいえ、右のグラフでもわかるように、実際の不採用理由は本人には伝わることは少ないようだ。 面接で、「御社に興味があり、ぜひ入社したいと思います」と、意欲満々で現れた応募者がいた。そこで、どこに興味を持ったのか聞いてみると、「特に調べていません」という回答。「興味がある」というのは口先だけだとバレバレ。調べずに入社して、合わなかったらすぐに辞めてしまうつもりなのだろうか? まずは、面接を受ける会社の事業内容、応募する仕事の中身、必要な技術・スキルは最低限調べておくこと。あいまいな回答や、どこの会社にでも通用する回答に人事は「意欲のなさ」を感じることが多いので、「その会社やその仕事のどこに魅力を感じ、これまでの経験が具体的にどんなところで生かせるのか」をしっかり語れるように準備したい。 うつむき加減で、ぼそぼそと「1日パソコンに向かっている」といわれると、引きこもりのように思ってしまった。しっかり前を見て言ってくれれば、「勉強でもしているのかな」と思えるのだが……。物事に対する前向きな取り組み姿勢も見えなかったし、人とコミュニケーションを取るのが難しそうに感じ、不採用に。(IT・通信系企業) まずは、「聞かれた質問に適切に答えること」が大前提。「特にない」は問題外。人事は「やる気のない人」と思ってしまう。例にあったように「普通に休んでいます」というような、トンチンカンな答えや、聞かれてもいないのに長々と話すのも、「コミュニケーション能力が低い」と判断されがちだ。また、話し方も大切。ボソボソ、うつむき加減でネガティブな印象に。はっきり、自信を持って回答すること。 少なくとも私の判断では、経験年数的にもそこまで言い切れることが疑問だった。どこから出てくる自信かはわからないが、言葉の端々に「自分は特別」みたいなうぬぼれが感じられ、鼻についてしまった。(メーカー系企業) これまでの経験を今後にどう活かせるのか、明確に答えることは重要。ただし、それには「根拠」が必要だ。その会社の仕事を経験もしていないうちから、闇雲に「できます」と言ったところで、「根拠がない」と一蹴されるだけ。「できること」と「これから学ぶべきこと」を整理したうえで話すと、人事からも信頼感が得られるはずだ。 研修制度について、細かく質問してきた。研修制度ももちろん大切かもしれないが、本来技術者であれば、まずは自分で必要な技術を自分で学ぶことが基本。何を目的に入社したいのか、自分のスキルアップだけが目的なのかと疑問を感じてしまった。(IT・通信系企業) 転職するとき、仕事内容だけでなく、給与や待遇、残業の有無や研修の内容なども重要な判断材料となる。だから、それを確認してはダメということではない。タイミングの問題で、一次面接からその話題に終始するのは避けたほうがいい。面接を重ねれば、お金や勤務時間の話に必ずなるはず。相手から聞かれたら答える。このスタンスが無難だろう。 せっかくの面接なのだから、自分の持っている技術や知識、意欲などをアピールしたり、成長したいという前向きな意欲を伝えればいいのに、前に勤務していた会社の悪いところを延々と並べ立てる。どんな会社にでも不満を持つ人と判断し、不採用にするケースが多い。(IT・通信系企業) 転職するのだから、当然、前職に不満を持っていることも多いだろう。しかし、それを前面に押し出して話すのはご法度。「うちの会社にもこういう不満を持つのかな」と人事は不安に思うからだ。せっかくの面接の場なのだから、会社への不満はいったん脇に置いて、これまでどんなに有益な経験をしてきたかをアピールすることに専念したほうがいい。「前向きな転職であること」を伝えよう。 |
佐藤人材・サーチ株式会社 総合商社、外資系証券、メーカーを経て、人材サーチ企業に転職。2003年、佐藤人材・サーチを設立。ヘッドハンターとして活躍する。 企業が面接を行うのは、既にレジュメを見て「採用の可能性あり」という場合です。ですから面接は、経験や技術力・スキルを確認する場であるのと同時に、レジュメでは伝わってこない人物評価をする場でもあります。つまり、面接で不採用になる理由は、「経験・スキルが採用のレベルにならない場合」と「人物的な側面」の両方になります。 私自身、一般企業でエンジニアの採用担当をしていましたし、今でも面接に立ち会うことがあります。そこで感じるのは、面接は「2部構成」であること。面接が30分あるとしたら、最初の約5分で人物的に「いけそうかどうか」の印象が決まり、そこをクリアして初めて、残りの25分で「経験・スキル」の確認をすると考えて、ほぼ間違いないでしょう。最初に固まった印象を覆すことは、なかなか難しいのです。 では、最初の5分の人物評価で、企業は何を見ているのでしょうか。基本的には、その会社の社風や、ほかの社員との相性を見ています。その人がその会社の人とチームを組んで、高いパフォーマンスを出す姿をイメージできるかどうかが採否を分けることになります。A社では高評価な人が、B社ではまったくダメ、というケースはよく見られ、応募者がどうコントロールできるわけでもないのです。
よくエンジニアが「僕は暗いから落とされた」と言いますが、そうとばかりも言えません。口下手だとしても、相性が合い、その後の経験・スキルの確認をクリアすれば、採用されている人はたくさんいます。 このように、いずれのパターンにしても心当たりがある人は、3分と時間を決め、これまでの経験や自分の強みなど、アピールポイントを鏡に向かって話してみるといいでしょう。できれば、家族や親友などに聞いてもらい、忌憚のない意見をもらうべきです。 せっかく、採用レベルの経験・スキルがあっても、伝えられなければもったいない。そうした練習をしておけば、自然と自信が生まれ、アピールが過剰になることも、過小になることもないはずです。 |
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