|
今の職場であと、5年、10年仕事をしたとして、キャリアアップの余地はどれだけあるか。年収はどこまでアップするのか。 将来予測の結果、必ずしも楽しい未来が待っていないのだとしたら、そのときが転職チャンスだ。 |
|
転職活動で使った職務経歴書を公開してもらった。自分の強みをどうアピールし、それをどのように年収アップにつなげたのかを見てみよう。 |
|
|
Aさんの話と職務経歴書を、リクルートエージェントのキャリアアドバイザー・落合美紀さんがチェック。なぜ彼は500万円台乗せに成功できたのか。 Aさんは海外の大学を卒業されており、TOEIC850点というレベルは十分外資系企業でやっていけるものだと思います。サーバー運用・管理のキャリアはまだ十分とはいえませんが、若手のエンジニアを求める外資系、例えば日本に上陸したばかりの中小パッケージベンダーなどだと、サポート、プリセールス、コンサルタントなどへの職種転換含みで500万円以上の年収をオファーするところもあります。 同業・同職種のまま、ほかのアウトソーシング企業に転職するとなると、年収が上がっても420万円ぐらいがせいぜい。客先の社内システムをアウトソーシングで運用していたという経歴からすると、ユーザー企業の社内SEに転職するという道もありますが、その場合でも、400万〜450万円あたりにとどまるでしょう。外資系企業ならもう少しアップするかもしれませんが。 その意味で、今回の転職で500万円のオファーがあったというのは、彼の経験・年齢からするとかなりの好条件ではなかったかと思います。転職理由が現職での成長可能性を感じられなくなったということなので、転職のグッドタイミングだったのではないでしょうか。 20代の転職では、現職の環境であと5年働いた場合、どういうキャリアが身につくのか、それが自分の技術者としての市場価値を高めることができるのかという視点が重要です。社内におけるキャリアアップの方向性がみえなくなったら、それがひとつの転職のタイミングでしょう。 |
|
|
|
※年収は残業代等込みの手取り |
|
転職のために、面接まで行ったことがないというBさん。ただ、自分のキャリアの棚卸しのために、毎年職務経歴書だけは更新している。 |
|
|
Bさんには「いますぐに転職したい」という意向はないようだ。しかし、次の5年、10年を考えたとき、転職を含めたキャリア形成の視点は欠かせない。 |
Bさんが転職するとすれば、まず候補として考えられるのはユーザー企業の情報システム部門。つまり社内SEでしょう。社内システムのアウトソーシング化が進む昨今ですが、そのアウトソーシングを企画したり、統括する部署の充実は急務で、たえず求人があります。Bさんの場合は、製薬会社のシステム開発経験が長いので、ユーザー側に移る場合も製薬会社というのがベストですが、社内SEの場合、必ずしも業務知識は募集の条件になってはいないので、どんな業種でも仕事ができると思います。 自分の趣味生活を充実させるため、残業の多い会社、休日出勤の多い会社は敬遠したいという意向のようですが、社内SEであれば残業に追われてやりたいことができないという事態は避けられるかもしれません。 給与は転職先の業種、業態、規模によって変わってきますが、金融業界や新興ベンチャーに移れば大幅な年収アップも可能です。全体的には、月に20〜30時間の残業代込みで400万円台後半から500万円台中盤まで、というところが社内SEの相場でしょう。 ほかには、同業他社に移るという選択があります。これまでのキャリアをさらにステップアップしたいということでしたら、より上流工程の仕事ができるチャンスを求めるのはどうでしょうか。仕事は多少忙しくなるかもしれないけれど、1割程度の年収アップは十分に可能です。 また、思い切って会計系のパッケージベンダーでSEや導入コンサルタントの職種へ転換してみるというのも、チャレンジだと思います。さらにコンサルタントファームの会計コンサルタント、あるいは内部統制需要がらみでシステム監査という仕事も、ターゲットの範囲です。これらの職種なら年収は確実に500万円を超すでしょう。 |
|
|
|
※年収は残業代等込みの手取り |
|
たとえいますぐ転職するわけでないとしても、自分がいま年齢・社歴に応じたキャリアを積めているのか、年収はそれにふさわしいものなのかどうかについては、たえずチェックしておきたい。そのためには、職場の同僚との比較だけでは不十分で、他企業のエンジニアとの比較という視点が欠かせない。つまり、転職マーケットへの関心だ。 「自分の今のキャリアなら、年収はいくらで、転職の選択肢はどのくらいあるのか」という視点で、たえず自分のキャリアを点検してみよう。それが現在の職場における自分の仕事の仕方の改善、キャリアアップのモチベーションにつながっていくはずだ。 |
|
||||
このレポートの連載バックナンバー
エンジニア給与知っ得WAVE!
キャリアプラン、ライフプランの設計に「お金」の問題は欠かせません。エンジニアのお金に関する疑問に独自調査データとトレンド情報でお答えします。
このレポートを読んだあなたにオススメします
「年収にはこだわってない」「今すぐ転職する以外考えられない」
年収250万円未満で働く30代エンジニアの胸の内
これまでTech総研では、アンケート調査を元に職種別、地域別、年齢別などさまざまな観点で、給与データをご紹介してきた。しかしデー…
今月のデータが語る エンジニア給与知っ得WAVE!
約7割が年収UPと回答!転職で給与はいくら上がった?
転職すると年収はどのぐらいアップするのか。エンジニアはどのぐらいの年収を求めて転職しているのか。Tech総研では、20…
今月のデータが語る エンジニア給与知っ得WAVE!
100人に聞いた転職後の年収・交渉の余地
転職したら年収は果たしてアップするのか。転職する際、エンジニアはどのぐらいの年収を求めているのか。Tech総研では、こ…
今月のデータが語る エンジニア給与知っ得WAVE!
好況のデジタル家電・自動車業界の転職給与はいくら?
好況業界に転職するとやはり年収はアップするのか。 Tech総研では、最近1年以内に転職した635人のエンジニアに、転職…
エンジニア年収と労働時間データから算出
年収と労働時間から算出!時給が高い職種・低い職種
エンジニアの収入も、職種によってさまざま。少ない労働時間で高収入を得られる職種もあれば、たくさん働いても収入はそこそこ…
やる気、長所、労働条件…人事にウケる逆質問例を教えます!
質問を求められたときこそアピールタイム!面接逆質問集
面接時に必ずといっていいほど出てくる「最後に質問があればどうぞ」というひと言。これは疑問に思っていることを聞けるだけで…
あなたのメッセージがTech総研に載るかも