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携帯電話メディアの技術発展にかけるWebアプリSEの転職

多方面でモバイル事業を展開するシーエー・モバイルへ

シーエー・モバイルはモバイルビジネスに特化し、コンテンツ、広告、コマースと多方面でユーザーに最適なソリューションを提供する。同社の強みは企画力とマーケティング力にあり、それを実現する迅速的確なシステム開発力には定評がある。今回は同社のSE選考面接を取り上げる。
(取材・文/須田忠博 総研スタッフ/高橋マサシ)作成日:07.04.02
シーエー・モバイル
応募したエンジニア 企業の面接担当者
本多宏次さん
本多宏次さん
(当時30歳)
斉藤智彦氏
システムグループ
マネージャー
斉藤智彦氏
当時の職種
WebアプリケーションSE
募集職種
メディア開発エンジニア(Webアプリケーションエンジニア)
業務内容
大規模スポーツポータルサイトの運用管理・機能改善。
仕事内容
一般ユーザー向けにリリースされるモバイルメディアのアプリ開発、コンテンツ運用。
職務経歴
システム開発会社にSEとして合計6年強勤務。Webシステム・Webサイト、モバイルアプリ・モバイルサイトの設計、開発、保守を担当。
応募資格
UNIXの基本的なオペレーション経験。Perl、PHP、JavaなどによるWebアプリ開発経験。
志望動機
モバイルインターネットに特化した、広告などのシステムの可能性を追求したい。
募集背景
創業以来、増収増益を続ける事業拡大路線を継続していくため。
面接の流れ
システムグループのマネジャークラス数人で選考する。
システムグループのマネジャークラス2人で面接する。所要時間は約30分。
技術担当役員2人で面接する。所要時間は約30分。
社長が面接する。所要時間は約30分。
3次面接から1週間前後で通知する。
【通過率:2〜3割】

【通過率:5〜6割】

【通過率:8〜9割】

Part1
自己紹介・経験業務・志望動機
「モバイル広告は伸びる」と考えて応募
斉藤:
  【Point1】早速ですが、最初に自己紹介と直近の仕事内容、弊社への志望動機をまとめて簡単にお願いします。
本多:
  本多宏次と申します。30歳です。これまで主にWeb系のアプリ開発を行ってきて、現在も同じ仕事です。
 【Point2】志望動機はWebアプリから携帯アプリ、特に広告システムへ移りたいからです。今の会社で地図表示の携帯アプリ開発を担当したこともあり、技術力とノウハウを伸ばしたいと思っています。そうした考えから、モバイルに特化して幅広く事業を展開されている、御社に応募させていただきました。
携帯電話向けアプリケーションの開発経験
斉藤:
 携帯電話における広告の、どんなところに興味がありますか?
本多:
  私は、モバイル広告は今後、Webでの広告を上回る勢いで伸びるだろうと思っています。Webよりももっと短期間で市場が成長すると予想できますし、検索エンジンのリスティング広告などもぐんぐん伸びていくはず。そういう世界に身を置いて仕事をしたいのです。
斉藤:
 今の会社ではどんなモバイルサイトを作ったのですか?
本多:
  2件あります。 【Point3】ひとつ目はFOMAで地図を表示するアプリケーション。ふたつ目は、災害発生時に被災者の安否情報を確認するためのシステムです。
斉藤:
 Webのほうでは、例えばどんなシステムを作りましたか?
本多:
  中規模ホテルの予約サイトや、飲食系の店舗検索システムなどです。
Point1
[面接官]私の面接の出だしは9割方、このパターンに決めています。3つの要素をまとめて話してもらうのは、話や文章を組み立てるコミュニケーション能力を見たいからです。面接時間が短いですから、最初にアピールの機会を確保する意図もあります。
[応募者]自己紹介、直近の仕事内容、志望動機とも事前に答えを用意していましたが、筋道を立てて話すようにいわれると戸惑うものです。どうしても要点のみになり、そう長々と話せはしません。
Point2
[面接官]この答えの中には魅力を感じるところが2点あります。ひとつは、携帯アプリを作った経験があること。もうひとつは、弊社のビジネススキームへの関心が強いようで、エンジニアの枠を超えたビジネスセンスがうかがえる点です。
[応募者]ここでは、私の経験内容と志向性が、シーエー・モバイルという会社にマッチしているというイメージを植えつけられればと思いました。
Point3
[面接官]Webアプリ開発の経験だけでも構わないのですが、携帯アプリ開発の経験者なら即戦力性が高いのはいうまでもありません。コンテンツの分野は何でもよく、携帯独特の仕様を知っていることが重要なのです。
Part2
技術スキル

取得技術は豊富だが、本格的なDBチューニングの経験はなし
斉藤:
 【Point4】技術面について質問します。開発言語は何を多く使ってきましたか?
本多:
  携帯のアプリはJavaで、WebサーバはApache、Tomcatを使って1対1で接続する形です。WebアプリではPHPやASPなどWebスクリプト系が多かったです。
斉藤:
  サーバのOSは?
本多:
  大半がLinuxかSolarisのUNIX系で、一部はWindows系でした。
斉藤:
 開発環境はWindowsですか、Linuxですか?
本多:
  Windows環境です。Javaであれば、EclipseといったIDE(統合開発環境)を使って開発しています。スクリプト系の言語はテキストエディタなどです。
斉藤:
 【Point5】DB回りはどんな感じですか?
本多:
  大体はPostgreSQLかMySQLといったオープン系です。一部ではOracleやSQLサーバを使った大規模なDBもありました。
斉藤:
  【Point6】チューニングの経験はありますか?
本多:
  中規模から小規模のシステムについては経験しました。ただし部分的なもので、本格的なチューニングをしたことはありません。大規模なシステムは既に稼働しているものにかかわる形でしたから、チューニングはすんでいました。
現在の業務は100万ユーザーの大規模Webサイト
斉藤:
 【Point7】開発に携わった携帯とWebのサイトで、ユーザー数やトラフィックが最も多かったものと、その規模を教えてください。
本多:
  最大のものは現在のスポーツポータルサイトで、携帯にもつながっていますが、メインはWebです。会員数は約100万人で、正確なPVは申し上げられませんが利用率は高く、トラフィックもかなりのものです。このサイトには構築ではなく、運用保守と機能改善で携わっています。
斉藤:
  会員が100万人もいるサイトというと、機能改善のプログラミングにしても、トラフィックに耐えられないといけないわけですね。特別に得た知識や気を使った点などはありますか?
本多:
  【Point8】ユーザーの個人情報を預かり、しかも稼働中の巨大なシステムに手を加えることから、接続前のテストと接続の仕方には細心の注意を払っています。このあたりのスキルには自信がつきました。
構築した自宅サーバはLinux+Apache
斉藤:
 サーバ回りとDB回りの設計にはどのくらいの経験がありますか?
本多:
 アプリ開発が中心でしたのでそう多くはありません。プロジェクトリーダーを務めたときには、サーバやDBの専門担当者に設計をお願いし、レビューで第三者を入れて協議と確認をする形にしました。
斉藤:
 【Point9】プライベートでも構わないのですが、自分自身の手でサーバ構築とかOSのインストールをしたことはありますか?
本多:
 あります。不要になった会社のPCをサーバにして新技術を試してみたり、プライベートでもサーバを構築してホームページを運用したりです。そうした経験は仕事にも役立ちます。
斉藤:
 自宅のサーバには何を入れているんですか?
本多:
 Linuxです。Apacheを入れて、DBをかませ、自分なりにカスタマイズしました。

Point4
[面接官]ここから尋ねる要素技術については、自分が得意と思っているもの、自信のあるものを答えてほしい。職務経歴書の表記ではわかりづらいことがままあるからです。
Point5
[面接官] アプリケーションエンジニアなら、DBの基本を知っていればOKとします。一方、30歳前後のSEで、実務でDBにまったく触れたことがないのは困ります。また、大規模サイトのアプリ開発経験者が、DBの知識をもっていないなどのケースもまず不採用です。
Point6
[応募者]この質問にはドキッとしました。私がいちばん苦手とするのがDBのチューニングだからです。
Point7
[面接官]携帯サイトでもWebサイトでも、巨大なものの開発に携わった人とそうでない人とでは、習得スキルに圧倒的な差があります。そこを知りたくて尋ねました。
[応募者]この質問には「やった!」と思いました。アピールすべきと考えていたスポーツポータルサイトの経験を、自然な流れで話せるからです。
Point8
[面接官]この答えは1次面接通過のポイントのひとつになりました。会員数100万人という大規模サイトにかかわれる経験者は少数で、貴重な経験といえます。
Point9
[面接官]Webエンジニアの技術は、やる気と時間さえあれば自宅でも勉強ができ、向上させていけます。サーバ構築の基礎くらいはマスターできる。そういう行動をとっているかどうかは非常に重要だと思っています。
Part3
マネジメント経験・入社後の希望
メンバー管理で意識するのは負荷バランスと情報共有
斉藤:
  ところで本多さんは、プロジェクトの中でどんな立ち位置が多いんですか?
本多:
  今の会社では開発のリーダーかサブリーダーになることが割と多く、メンバーであってもリーダー的な視点で動いています。携帯アプリの開発ではプロジェクトマネジャーとして、運用する発注者との交渉なども行いました。
斉藤:
  そのプロジェクトのメンバー数は?
本多:
  最大で6人でした。
斉藤:
 【Point10】リーダーをしていて気に掛けるのはどんなところですか?
本多:
 やはりスケジュールとメンバーのモチベーション、システムの品質の3つです。
斉藤:
 メンバーの使い方で意識する点は何ですか?
本多:
 新卒からベテランまで、各人の技術力にはバラツキがあります。特定の人に負荷が掛かりすぎないようにするのと同時に、経験を積ませることを意識しています。また、メンバー全員で情報を共有することが大切だと思っています。
目標や情熱をもって仕事に打ち込むタイプか?
斉藤:
  【Point11】もし弊社へ入社したら、やれることとやりたいことで、これだというものがありますか?
本多:
 かつてiモードを開発していた時期が、自分の中ではいちばん楽しかったんですね。ですから、ぜひともiモードアプリの開発に携わりたいです。もし加われる適当な案件がないのなら、自分で新規に企画を提案して、実現させたいと思っているくらいです。
斉藤:
  iモードアプリの開発プロジェクトを、体制づくりから設計、開発、稼働まで責任者として回していける自信があるんですか? それだけのことができる経験はあると?
本多:
  はい。自分の中ではできると思っています。私ひとりの力だけでは無理でしょうが、私の知識をメンバーにフィードバックして広め、開発力を高めていくことは可能だと思います。
 【Point12】(このあと、斉藤氏は本多さんに質問を促した。本多さんは「携帯にフルブラウザが搭載されるようになってきたが、携帯専門の公式コンテンツはビジネス的にどう動く気配なのか」といった事柄を聞いた)
Point10
[面接官]この質問に即答できないとしたら、リーダー経験自体を疑うかもしれません。ありきたりの内容でも、すぐに答えを返してくるかどうかがポイントです。
Point11
[面接官]転職の目的、将来の希望を具体的に知りたくて質問しました。弊社はベンチャー企業ですから、自主的な目標や情熱を重視します。情熱が会社の成長を牽引しているのです。
Point12
[面接官]面接の最後の10分間は、逆にこちらへ質問してもらうようにしています。本気で弊社を志望しているのかどうかを念頭に質問を受けます。
面接官はココを見た!
●仕事に情熱を傾けられるエンジニアか。
●自主的に技術を吸収する能力と意欲があるか。
●習得技術のベースがどこにあり、そのレベルはどのくらいか。
 仕事への情熱は、志望動機や入社後に希望する分野などから探り出す。モバイルソリューションのどこに関心があるのか、サービスをイメージして作るという姿勢をもっているかを見る。自主的な技術吸収は自宅での学習内容から判断する。同時に、希望する仕事への真剣さも判定する。技術力の審査は、得意な要素技術を把握したうえで、経験プロジェクトに即したスキルレベルかどうかで行う。このほか、ビジネススキルとしてはコミュニケーション力をチェックする。
本多さんはコレで決めた!
「事前に用意していた質問に対して、面接官は本気で答えてくれました。
その返答はモバイルに特化した企業だからこそいえることばかり。
会社への期待感が膨らみましたし、丁寧な対応がうれしかったです」
 1次面接の前に、会社についてというよりはモバイルサービス全般に関して5つほど質問を用意していました。この際ですから、面接官の意見や情報を聞いてみたいと思ったんです。私の質問に斉藤さんは本気で答えてくれました。モバイルに特化しているからこその内容でした。こんな事情から面接時間は20〜30分オーバーしてしまったんですが、これほどの対応をしてもらえたことがとてもうれしかったです。この人と一緒に働きたいと思いました。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
特定の分野や製品に携わりたいと転職をするエンジニアは多くいますが、「今後伸びると思うから」という理由で選ぶ人は、実は少ないような気がします。成長分野だから飛び込みたい、企画からビジネスまで携わりたい。そんな志向の若手エンジニアが徐々に増えているようです。彼らにどんどんアイデアを出してほしいと思います。

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