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上昇志向の高いITエンジニアには今年がチャンス!肩書き・役割・工程…を2倍上げるIT業界飛び級転職
 IT業界の過度のエンジニア不足から、いわゆる「飛び級転職」が起こっている。SEからリーダー職を飛ばしてプロマネへ、下流工程からいきなり上級工程へなど、ステップをひとつ飛ばして2倍に上げる転職だ。確かにプレッシャーは大きいが、上昇志向の高い人には絶好のチャンスだ。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ イラスト/河本徹朗) 作成日:07.02.13
Part1 70人から調査した「飛び級転職」エンジニアの成功と苦悩
 Tech総研では飛び級転職を実現させたIT系エンジニア71人に、詳細なアンケート調査を行った(転職時期は2001〜2006年)。その中でいくつかの典型例をここに紹介する。転職により変化した業務内容と同時に、彼らが苦労した点とその解決方法に注目してほしい。
職種を2段階アップさせた転職
 ITエンジニアの一般的なステップアップを、プログラマ→SE→リーダー→プロジェクトマネジャー(あるいはコンサルタント)とした場合、例えばリーダー経験のないSEが転職でプロマネになるなどのケースだ。アンケートで最も多い回答だった。
社内SE→プロマネ コミュニケーション力を生かして聞きまくった/SI企業(35歳)
以前は社内SE
社内SE/PG。上級SEからの指示で設計し、時間のあるときはPCのセットアップやユーザーサポートも行っていた。
転職してプロマネに
メンバー20人程度のプロジェクトマネジャーに。いろいろな言語や環境を経験しているため、開発スタイルを選ばないところが受けているらしい。医療系や物流系のプロジェクトでは自分のアドバイスで進めることが多い。
苦労した点と解決方法
社内SEだったので社内の人間にものを頼むことはあったが、大人数の管理は経験がなく、手探りで進めるしかなかった。業務知識はネットで下調べをしてから、別の支店の経験者に話を聞き、そのうえで顧客との打ち合わせに臨んだ。予算管理は未経験だったので、支店長をつかまえて聞きまくった。コミュニケーションでは苦労したことはなく、プロジェクトもほぼ成功し、納品後の不具合対応も最低限ですんだ。
転職で得たもの
一般社員ではあまり身につかない管理手法などが一度に経験できる。
転職時期:2004年10月 年収:500万〜600万円未満
SE→コンサルタント  企画書や提案書は一からの勉強だった/SI企業(34歳)
以前はテストまで行うSE
金融系や、組み込みシステムにおける、設計からテストまでのSEを3年やっていた。
転職してコンサルタントに
上場企業に対するITインフラやSOX法対応などのコンサルティング、SEにおけるテストフェーズのコンサルティングなどを担当。
苦労した点と解決方法
企画書や提案書の書き方がわからず、最初は「こんなものしか書けないのか!」と怒鳴られた。とにかく勉強してたくさんの提案書を書いたら、スムーズに書けるようになった。
転職で得たもの
分析能力と自己表現能力。
転職時期:2006年9月 年収:500万〜600万円未満
職種に加えて工程や規模をアップさせた転職
 転職による業務工程の上昇やプロジェクト規模の拡大で、職種の名称以上に裁量権や役割が増えたケース。例えばメンバー→リーダーならひとつのステップアップだが、前社のリーダー職に比べて何らかのプラス要素があれば、それもワンステップとした。よりやりがいのある転職と考えるエンジニアも多いはずだ。
SE→リーダー  単なるリーダーではなく外注管理のスキルを磨く/通信・ネットワーク系企業(34歳)
以前は単純作業のSE
ネットワークSEとして、主に銀行や通信会社のインフラ構築を担当。プロマネやリーダーから指示されたことをただひたすらドキュメントに起こし、それを構築していた。
転職して管理型のリーダーに
メンバー4人のチームリーダーに。案件はベンダーを使ったインフラ構築で、ベンダーとのミーティングでは自分がトップになって設計の指示、運用の方針などを決めている。
苦労した点と解決方法
ベンダーの操縦法。作りたいものがはっきりしないと指示は出せないし、指示はベンダー側に足りないものを指摘してそれを修正してもらう形にすることが大切だと気づいた。プロマネの先輩に質問したり、プロジェクトマネジメントに関する本を読んだ。先輩の話どおりに行うとだいたいは順調に進むが、強気に出すぎてベンダーとの仲がぎくしゃくしたこともあり、今は自分なりに解釈して実行している。
転職で得たもの
一気にステップアップができた。技術だけでなく外注の管理、仕事のまとめ方、チームマネジメントなどが学べた。
転職時期:2006年5月 年収:800万〜900万円未満
SE→リーダー  下請け案件から自社パッケージの開発担当へ/情報サービス系企業(30歳)
以前は3次請けのSE
オープン系SEを3年、何度かリーダーも兼務。3次請けの案件が多かった。
転職して自社開発業務のリーダーに
自社パッケージ開発のプロジェクトリーダー。開発から導入、運用・保守までを担当している。
苦労した点と解決方法
多くの人を使うことと、品質管理の点で苦労した。寝る間を惜しんで働いたがあまり解決せず、上級職を巻き込んで何とかなった。
転職で得たもの
いろいろな人と接触する機会が増え、交渉術が身についた。
転職時期:2004年1月 年収:500万〜600万円未満
SE→リーダー  前社より大規模なチームで初めてのリーダーに/SI企業(29歳)
以前は小プロジェクトのSE
オープン系インフラ構築のメンバー。
転職してより大規模PJのリーダーに
提案チームリーダー。メンバーは8人(内サブリーダー2人)で、前社のリーダークラスの仕事内容をより大規模なチームで実施している。
苦労した点と解決方法
部下の扱い方がわからず、特に年上メンバーの人心掌握には腐心した。そこでチームメンバーの交流会を増やし、細かな作業はできるだけ自分で担当し、よほどの目に余ることでなければ細かいことには口を出さないようにした。今のところはチームとしてうまく機能しており、率直な意見も交わせるようになった。
転職で得たもの
以前と全く異なる立場での業務を行ったため、上下どちらの立場からの意見も調整しやすい。
転職時期:2006年5月 年収:900万〜1000万円未満
役職を上げるベンチャー企業への転職
 ベンチャー企業に転職することで役員クラスのポジションに就いたケース。全回答の中で5つと数は少ないが、部長、取締役、CTOとその役職は多様で、しかも年長者に限らず若手エンジニアの転職も多い。自信家であることをうかがわせるコメントが目立つ。
リーダー→開発部長  緊密なコミュニケーションで立場を確固に/情報サービス系企業(28歳)
以前は平社員のSE
オープン系SEとして業界9年目だった。小さなプロジェクトのリーダーは経験あり。
転職して開発部長に
ベンチャー企業の開発部部長。いきなり部の活動計画を作成するように言われて、とまどった。
苦労した点と解決方法
部下の掌握の難しさ。現在実施中だが、現場だけでなく社にもよく帰るようにして、社内メンバーとよく話すことに徹している。来年度に部長を降ろされる方がいる中、自分は部長が確定している。
転職で得たもの
会社、特に経営に対する考え方。
転職時期:2006年3月 年収:600万〜700万円未満
リーダー→開発部長  社内協力者を募ってワンマン社長を説得/インターネット系企業(36歳)
以前は開発も行うリーダー
大手企業で電話交換機のソフト開発を13年間担当。ソフトハウス5人のリーダーで、人数不足のために私も開発も行っていた。
転職して開発部長に
社員10人以下の自治体向けソフト開発企業で部長職。基本的な開発はソフトハウスが行い、社内の2人で基本設計、開発管理、試験を実施。
苦労した点と解決方法
いきなり1カ月後に納入するソフト開発を担当。それまで社内に実質的な担当者がおらず、ソフトハウスが 放置状態で3カ月遅れだった。社長に直接現状を説明し、別の部の常務にお願いするなど社内に協力者を募って説得を後押ししてもらった。社長は強烈なワンマンなので最初は大変だったが、1カ月遅れの了解をもらい、結果的には2週間遅れで終わらせた。その後は社内での信用が上がって仕事がやりやすくなった。
転職で得たもの
大企業では開発が大規模で担当するのも全体のほんの一部だったが、現社ではほとんどすべての業務が経験でき、力がついたと思う。
転職時期:2003年8月 年収:400万〜500万円未満
飛び級転職の失敗例と技術職以外からの転職
 番外編ともいうべき2例を紹介する。ひとつは、飛び級転職はしたものの失敗だったと後悔しているケース。もうひと つは、技術経験のない大工さんが努力してネットワークエンジニアになったケースだ。どちらも珍しい回答だった。
プログラマ→上級管理職  権限のない役職に転職失敗を実感/ソフトハウス(38歳)
以前は専門的なプログラマ
オープン系のプログラマを7年。 少人数での開発が中心で、リーダーとしての経験も多少あっ た。通信プログラムの保守や新規機能の開発が主な仕事で、 専門に特化したプログラマだったと思う。
転職して上級管理職に
10人ほどの部署の上級管理職。 開発は同じオープン系。
苦労した点と解決方法
社長が個々の社員に恣意的に指示を出すため、アサインを把握するのが困難だった。また、アサインを勝 手に変更するグループがあり、一貫した業務を行うのに苦労した。自分の仕事をはっきりと切り分けて専念するようにしたが、失敗した。形式上は上級管理職でも実際には必要な権限が与えられておらず、こち らの指示が尊重されないのでやむを得ないかもしれない。
転職で得たもの
ボトムアップ型の組織で権限がはっきりしていない場合、いきなり上級管理職を放り込んでも仕事の流れ はできていかない、ということがわかった。
転職時期:2005年7月 年収:700万〜800万円未満
大工→ネットワーク系SE  死に物狂いの努力で海外取引まで担当/通信・ネットワーク系企業(27歳)
以前は大工さん
大工をしていた。普通の大工だった。
転職してネットワークSEに
ネットワークSEになった。 死に物狂いで1年間やったら、ネットワークの企画、システム 会社との打ち合わせ、アメリカとの取引を任されるようになっ た。
苦労した点と解決方法
最初は毎日怒鳴られていたけれど、大工時代から慣れていた。大工に戻りたくなくて後がなかったから、 一刻も早く一本立ちできるようにどんな仕事でも文句を言わずに頑張ったら、全部こなせるようになって いた。ただ、人とのコミュニケーションは大事にした。絶対にひとりじゃ無理で、皆さんの助けがあって 今日までやってこられた。
転職で得たもの
人間、どん底に落ちてからが勝負だと思った。正直つらかったけど、頑張ってよかった。
転職時期:2003年3月 年収:400万〜500万円未満


Part2 今だからできる飛び級転職のチェックポイント
 以前では考えられなかった飛び級転職は、企業にとってのリスクも大きいはず。なぜそんな転職パターンが生まれたのか。
また、チャレンジしたいエンジニアにとって注意すべきポイントはどこか。リクルートエージェントの村山雅哉氏にお聞きした。
IT業界全般で起こっている多様な飛び級転職
「IT業界での飛び級転職は以前からありましたが、目立つようになったのは1年ほど前からです。主な理由は4、5年前に企業が新卒採用を手控えたこととIT業界のエンジニア需要増で、こうした状況にITエンジニア特有の上昇志向の高さがマッチした形です。ただ、正確には飛 び級転職が増えたというより、転職者の希望がかないやすい環境になったというべきです」
 アンケート調査の転職例が村山氏の指摘を裏付ける。SEからプロマネといった職種のス テップアップだけでなく、部長職などの役職、下流工程から上流工程、大規模案件の担当で 実質的な役割が上昇するなど、実に多様なパターンがあり、転職先の業界や業種もさまざまだ。

「特定の分野で起きていることではなく、業種ならSI企業、ハードメーカー、コンサルティン グファームなどと幅広く、企業規模も大手からベンチャーまでと、IT業界全般の傾向です。 ただ当然ですが、プロマネならメンバーや予算や工程の管理能力が、コンサルタントなら専 門性や顧客との折衝能力が要求されます。こうした知識や経験がときには全くないわけです から、身の丈に合わない転職であり、転職後に大きな負荷を抱えることも少なくありません」
 改めて「転職で何を実現したいのか」を自分に問う必要があると、村山氏は語る。また、こ のことを論理的に説明し、経験不足を補う自己分析力と問題解決力をアピールすることが、 面接でのポイントになるという。
村山雅哉氏
リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
グループマネジャー
村山雅哉氏
人一倍の努力と積極的なコミュニケーションがカギ
 飛び級転職では職種やポジションが一気に上がるため、必然的に責任は重くなり、マネジメント業務が増える。覚える ことは山ほどあり、入社後の努力は絶対不可欠だ。
「人一倍の努力は当たり前。ただ、独学で足りない部分は上司、あるいは部下に教えてもらうしかありませんから、コ ミュニケーション能力は非常に大切。技術職は自己完結型の仕事も多く、人に聞くのが苦手なエンジニアも少なくないの ですが、周囲の協力なくして知識や経験は積めません。また、こうした努力を続けられる精神力も必要です。そもそも通 常では採用されないような厚遇なので、当然と言えば当然のことです」

 飛び級転職を可能にしているIT業界の求人事情は、今後はどうなるのだろうか。企業のIT投資は増加中で、エンジニア ニーズは減る様子を見せていない。また、IT業界から、他業界へ移る人も多く、今後の少子化と考え合わせると、その「候 補者」が爆発的に増えるとは思えない。このような理由から、今後も求人の高止まりが続くだろうと村山氏は言う。
「転職が珍しくないIT業界ですが、今後は社員の転職を引き留めるべく、制度や組織を整えた働きやすい職場づくりを始 める企業が増えると思います。人材が充足すれば企業は『質』を求めるもの。その意味で将来的なことは断言できません が、今が売り手市場のピークであることは間違いありません」
71人に聞いた「あなたの飛び級転職は成功・失敗?」
飛び級転職を成功させる4カ条
1.面接で見られるのは志の高さ
 何がしたいのかを明確に述べ、自己分析力と問題解決能力をアピールする。
2.入社後に不可欠な人一倍の努力
 独学でできるところまで努力する。このベースがないと結果は出せない。
3.周囲に対して心掛ける発信と吸収
 同僚や上司に積極的に接して、足りない知識や経験を貪欲に吸収する。
4.投げ出さずに継続させるモチベーション
 一人前に成長するまでは努力を続ける。途中で投げ出しては元も子もない。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
例えばメンバーがいきなりプロマネになるなんて、あまりにむちゃじゃないですか。だから最初にこの企画を考えたとき、「あおるだけの成功物語にせず、負の部分もきちんと見せよう」と思ったんです。しかし、むちゃな転職でも皆さん必死に努力して、きちんと結果を出していたのです。昔から「役職が人をつくる」などと言いますが、本当に驚きました。

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