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転職するには理由がある。アンケートで回答が最も多いのは、「会社からの評価や給与が上がらない、下がった」(42%)というもの。「会社や業界の将来に不安を感じた」(40%)という理由もかなりの割合であり、「給与」と「会社の将来性」は転職の2大要因ということがわかる。「希望する仕事に就かせてもらえない」(24%)、「休日数、残業、勤務時間に不満があった」(23%)などは、上記の理由をより詳細に述べたものということもできる。(※DATA1) |
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DATA1 転職を決意した理由は何ですか? |
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昔からの転職理由「人間関係に不満を感じた」(26%)も高率を占めてはいるが、興味深いのは「企業のコア事業・業務から遠ざかっていた」(10%)「市場価値の低い仕事を担当するようになり、社外通用度が低くなっている気がした」(7.0%)などにも一定数回答が分布していることだ。 好景気で企業倒産、人員リストラなど、やむなく転職せざるを得ない理由は減っている。しかし、企業は生き残りのために事業再編を進め、コア事業への選択と集中を相変わらず強めている。そのコア部分を担えないことが、将来への悲観、仕事へのモチベーション低減となり、それがひいては転職につながるというプロセスもあるようだ。 また「今の会社・職場にいては将来にわたるエンプロイアビリティ(雇用される能力)も高まらないし、いずれは社外で通用しなくなる」と判断して、それを転職理由に挙げる人もいる。自分のスキルの市場価値を、エンジニアはたえず敏感に感じているのだ。 転職理由と対になるのが、転職先の企業を選択した理由。転職理由については、よく仕事重視か給与重視かという二律背反論で語られることが多い。しかし、実際はそう簡単にどちらか一方だけを選べるものではない。もちろん「仕事内容の面白さ、醍醐味」(49%)と「年収(残業代含)の額」(38%)との比較でいえば、仕事内容に軍配が上がっているが、実のところは「仕事も給料も」というのが転職者の本音だろう。 「企業の事業戦略や経営目標の将来性」「会社の風土や慣習との相性」「経営者や社員への好感度」などもそれぞれ一定の割合を占めている。理由が一つだけというのは、むしろマレではないだろうか。(※DATA2) |
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DATA2 転職先の企業を選択した理由は何ですか? |
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今回は転職に伴う、業種変更、企業の資本特性の変化についても聞いた。転職前にIT・通信系の企業に勤務していた人が52%。転職後にIT・通信系になった人が51%ある。これは、今回の調査対象にIT・通信系の人が多いということ以上に、IT・通信系の人の出入りの多さを物語っている。業界内の転職が多いと思われるが、なかには「IT離れ」で異業界に転職する人もいそうだ。逆に、異業界からIT・通信系に参入する人も依然、少なくないことが想像できる。 企業規模・資本特性の変化では国内中小企業での出入りが多くなっており、外資系や国内ベンチャー企業はいわれているほど多くないことがわかる。 |
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転職後の年収の増減については明確な年代差が確認できた。つまり20代から30代前半にかけてはほぼ100%の人が「転職で年収が増えた」と回答しているのに対して、30代後半になると事情が様変わりするのだ。30代後半で「増えた」人は皆無、「変わらない」が48%、「減った」が52%になる。これが40代前半になると「減った」人がなんと97%にも達する。(※DATA3) |
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DATA3 年代別/転職で年収は上がった?下がった? |
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一般に、20代は年収増加に与える“転職バネ”が効果的に効く年代である。そもそも日本企業の学卒初任給はたえず低く抑えられている。とりわけ20代前半は広い意味でのテスト期間中であり、企業もおいそれと昇給させる気はない。以前ならその時期を我慢して30代に入れば、昇給幅も伸びてきたから、それを信じて企業にい続けたものだが、その構造が変わってきている。 低い給与に我慢できない20代は早々と見切りをつけて、高給与をめざし、容易に会社を変わるのだ。第二新卒採用ブームなどもあり、20代若手に給与額アップを強調しながら転職に誘導する企業も多い。つまり、20代での年収増大を可能にするマーケットが開かれているのだ。新卒時には大企業に入れず、比較的給与の低い中小企業に入った人が、好景気をとらえ、大企業に転職するケースも増えている。いわゆる“リベンジ転職”などと呼ばれるものだが、この場合もほとんどのケースで年収はアップする。こうした事情も、20代100%年収アップの背景にあると考えられる。 その一方で30代後半以降の現状は厳しい。転職限界年齢は35歳がピークとは以前から言われていた“定理”の一つだが、これは35歳以上の求人が極端に減るということと同時に、「35歳を過ぎると転職しても給与アップは難しい」ということを意味している。近年の転職市場は、採用ニーズでいうと20代の若手層にシフトする傾向があることや、年齢に合ったスキル・経験を積んでいるかを厳しく評価されることなどが考えられる。だが、プロジェクトマネジャーなどのマネジメント経験などを求める企業も多いため、一概に必ず下げるケースばかりともいえないようだ。 |
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年収の増減を職種別にみるとどうなるか。回答者の職種を大きく「ソフトウェア・ネットワーク関連」と「ハードウェア関連」に分けると、明らかにハード系のほうが「増えた」率が高い。より詳細にみると「回路・システム設計」「光学技術」「生産技術・プロセス開発」「研究、特許、テクニカルマーケティング」などの職種での「増えた」率が高くなっている。簡単にいえば、これらがいま転職市場で人気の高い職種ということができるのだ。(※DATA4) |
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DATA4 職種別/転職で年収は上がった?下がった? |
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これに比べて「システム開発」はおしなべて「増えた」人の割合が低く、「汎用機系」では59%が「減った」と回答している。「セールスエンジニア、FAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)」にいたっては全員が「減った」と回答している。 これはたまたまの例というより、最近の転職市場における電機・電気・電子・機械系メーカー系の求人の急激な伸びを物語っている。求人倍率でいえば、IT業界が圧倒的に高く、今もさらに上がり続けているが、昨今のメーカー求人はその勢いを凌ぐほどである。 |
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とはいえ、IT・ソフト技術者でも、個別的には転職で大幅な年収アップを果たした人もいる。ここでアンケート回答者の中から、年収増加ベスト10のエンジニアを取りだし、その生の声を聞いてみることにしよう。どういう理由で彼らは何百万円もの年収増加が可能になったのか。(※DATA5) 転職前の年収が800万円だったAさん(23歳)は、転職後いきなり1400万円に年収がアップした。20代前半なのに800万円ももらっていたというのも驚くが、転職後の増加率1.75倍にもびっくりだ。仕事はパッケージソフトの技術寄りのプリセールスで変わらないが、前職が事業会社だったのに対して、転職先はコンサルタント専門会社だというのが違う。また、国内の少人数ベンチャー企業から外資系企業へと、資本特性の変化も伴っている。一般に給与水準が高い外資系コンサルタント企業への転職が年収増加の大きなファクターになっていることは間違いない。 「前職では管理職に抜擢され、とても良い待遇で仕事も順調だったが、あまりの重労働と会社の理不尽な体制に疑問を感じていたので、2年目でまた転職を決意。今度の企業は役職ではないが、面接では予想以上に良い待遇を提示され、逆に怖くなるほどでした」と、2004年の転職を振り返る。 「転職は大成功。年収大幅アップと、結果としては結婚相手を社内で見つけられたので……」というコメントなど、うらやましい限りだ。 システム開発エンジニアのBさん(26歳、2006年1月転職)の場合は、前職650万円から現職900万円へと1.3倍に増えた。Aさんとは逆に、外資系企業から国内ベンチャー企業への転職だ。 転職理由は「業績不振が続き、待遇の悪化が進んだから」。転職先選びでは、転職エージェント企業の担当者と密接に連絡を取り合った。面接では「プロジェクトリーダーとしてシステム開発と運用保守を行っていた」経験を詳しく語った。そのスキルが運用保守部門の総責任者を求めていた転職先企業の条件にぴったり合致したのだ。現在は部長クラスの待遇で「すべてのシステムサービスの最高責任者」を任されている。年収増加とともに、仕事の責任も増大したことは確かだろう。 もう一人、制御系システム開発のCさん(25歳、2006年4月転職)は、500万円から800万円と1.6倍の伸び。「前職で上司とともに部署移動となったが、その上司が使えないので一緒に仕事する意欲が減退した」というのが転職理由。20代では上司にあたる人の能力が、エンジニアとしてのスキルや人間力を引き上げるのに大きな影響がある。その上司が頼れないとなると、将来が不安にもなるだろう。 そこで知り合いのツテをたどって転職。半導体CADツール関連という仕事は変わらないが、以前は保守サポートが中心だったのに対して、今度はそれに開発も加わるようになった。国内大手から外資系への転職である。年収アップという点ではもちろん満足しているが、コメントを読む限り、Cさんの顔は晴々という感じでもなさそうだ。なぜなら、「この人だったら自分を引き上げてくれると頼っていた人が辞めてしまって、新しい上司がやっぱり使えない人だったから」である。たんなる偶然か、それともこれが宿命なのか。「俺はつくづく上司に恵まれない」と、転職の喜びも半減のCさんではある。 |
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DATA5 転職で年収が上がったランキング |
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総じて今回のアンケートでは、「転職前に感じていた不満は転職後に解消された」人が全体の83%となった。その結果、転職に「とても満足している」が14.7%、「やや満足している」が32.3%。それに対して「やや不満」14.3%、「とても不満」9.3%と、満足派が大幅に上回る結果となった。 年収がすべてではないものの、転職満足の理由に年収増加を挙げる人は多い。とりわけ20代エンジニアの間ではそうだ。年収を上げるためのタクティクスとしての転職。その方法を今後も考えていきたい。(※DATA5) |
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DATA6 転職後の年収満足度はどうですか? |
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